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12章

712.神様の〜〜

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「迷った時に言うおまじないみたいなものかな?」

「じゃあミヅキおねがい!」

コハクに頼まれて私は揚げを指さした。

「わかった、行くよー〝どちらにしようかな  天の神様の言うとおり  あべべのべ  鉄砲打ってバンバンバン  もひとつオマケにバンバンバン  柿の種  赤とんぼ!〟」

指でお揚げとお肉を指さしながら歌を歌う。

最後に指が指したのはお揚げだった!

「コハク、お揚げだって!」

「ミヅキ、へんなうた~」

コハクは子供の数え歌の~どちらにしようかな~が面白かったのかゲラゲラと笑っている。

【バンバンバンとは怖いな】

プルシアも聞いていたのか不思議そうな顔をしている。

【神に聞くとはどういうことだ?ミヅキは神と知り合いなのか?】

シルバ達からのツッコミが…細かいことは聞かないで下さい…

「い、いいの!私のところではこうやって決めてたの!」

【フム…なら次から迷ったら私も言ってみるか?】

【俺は迷ったら両方入れるな!】

シルバの発言にコハクの耳がピンッと立った!

うるうると目をうるませてこちらを見つめる。

「わかったよ、両方入れてもらうんだね?」

「いいの?」

「おばちゃんお願い出来ますか?」

おばちゃんに聞けばいいよと笑顔で頷く。

「それにしてもミヅキちゃんもその歌知ってるなんてね~私達も少し違うけど歌うわよ」

「えー!そうなんですか!?」

おばちゃん達が頷き合う。

そうか・・・隠れ里は雄一郎さんが居たんだ。
雄一郎さんが歌って広まった可能性がある。

「ちなみにどんな歌ですか?」

「どちらにしようかな、天の神様の言うとおり…までは一緒だね」

「その後が違うねぇ~」

「〝あべべのべべのべの  柿の種  〟だよ!」

「いや!違う! 〝鉄砲打ってバンバンバン  もひとつおまけにバンバンバン〟で終わりだよ!」

「俺はいつも・・・」

「「あんたはいいの!!」」

おじちゃんが何か言おうとしたらおばちゃんに止められた…
なんか可哀想だけど口を出すのはやめておこう。

それにしてもなんか…みんな微妙に違うみたい…

おばちゃん達は自分のが正しいと言い合っている。

「まぁまぁ!みんな自分の歌いやすいようにしてるのかもね!でもこの歌がここでも聞けて嬉しいなぁ~」

おばちゃん達の言い合いの間に入った。

「そうかい?ミヅキちゃんと繋がりが出来て嬉しいねぇ~」

おばちゃんはコロッと笑顔になった。

「ミシェルさんはこの歌知ってますか?」

うどんを上品にすすっていたミシェルさんに聞いてみる。

「ん?いえ、知らないわ。多分この王都では知ってる人は少ないんじゃないかしら?」

「私も知らないなー。でもなんか面白いしすぐに覚えられそうだね!神様の言うとおり~だっけ?」

アクアが頭の部分を軽く歌う。もしかしたらこれを気に広がるかもしれないなぁ~

【うーん、満足だ…】

ドサッ!

後ろでは大盛りの肉うどんを平らげたシルバがお腹を膨らませて横になっていた。

みんなもうどんを食べ終え、里のみんなにお礼を言ってまた街に繰り出す事になった。

マルコさんはもう少し長老様達とうどんの事で話し合いを続けるとの事。

レシピの事を相談されて喜んで了承する。
後で何日か分のレシピをマルコさんに渡すことになった。

「本当にミヅキは凄いよね、よくあんなに色々と思いつくね」

アクアが感心している。

「うーん…何となく?こうだったら美味しいのになぁ~って思ったことすぐに口にしちゃうんだよね…」

それで何度もベイカーさん達に怒られてきたが食へのこだわりは中々抑えられるものではなかった。

「美味しいものを食べると幸せになるしね、だからもっと美味しいものを…って思っちゃうんだ」

みんなの美味しそうに食べる顔を想像すると自分まで嬉しくなる。
だからつい、あれがこうだったらとか止まらなくなってしまう。

「でもそれでみんなが助かってるし、現に幸せになってるよ!私達もたっくさんのチョコバナナの材料持って来たよ!」

「えー!そうなの!?嬉しー、また海の国のチョコバナナ食べれるんだー」

さっきうどんでお腹がいっぱいになっていたはずなのに…まぁ甘いものは別腹だしね!

「ミヅキの分もちゃんと持ってきてるから安心して!」

「やったー!」

【なになに~あの美味しいのまた食べれるの~】

シンクが甘いものと聞いて近づいてきた。

【うん!アクアのところで食べたチョコバナナだよ!覚えてる?】

【もちろん!あの黒くて甘いやつだよね】

「チョコバナナかー、ここならアイスもあるし、生クリームもあるし…チョコバナナパフェが作れるかも…」

思わずつぶやくと…

「「【なにそれ!】」」

アクアとミシェルさんにシンクが食いつく!

「なんか聞くだけで美味しそうな感じがするわ!」

「うんうん!ミヅキが言うなら間違い無いよね!」

【ミヅキ~食べたーい】

シンクの甘える声にデレッと目尻が下がる。

「もう~しょうがないなぁ~」

「じゃあお父様にお願いしてミヅキの分のバナナを貰ってくるわ!」

アクアが待ちきれないのか走り出そうとする。

「あっ!ならドラゴン亭で作ろうよ!ちょうど行こうと思ってたしあそこなら他の食材が揃ってるよ」

「わかったわ!じゃあ私がアクア様と一度王宮に戻るわ。ミヅキちゃんはシルバくん達がいるから大丈夫よね?」

チラッとミシェルさんが路地を見つめる、その視線に一緒に振り返るとガッツ隊長達が見えた。

「え!?ガッツ隊長?それにパックさんも!?」

「ちょっとここを離れるからお願いね」

ミシェルさんはガッツ隊長達にウインクした。

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