上 下
454 / 687
10章

563.案内

しおりを挟む
無事オリビア達の家が出来ると

「じゃあ次は町を案内するね!」

オリビアを連れて町の中を歩いて行く

「ここはよく来る市場だよ、食材が欲しい時はここね」

「ミヅキちゃん!今日は寄らないのかい?」

市場の人達に次々に声をかけられた。

「今日は友達の案内なの、今度来たらよろしくね」

オリビアを紹介すると

「オリビアと言う…よろしく」

オリビアがペコッと頭を下げて答えた。

「よろしくね!可愛いエルフのお嬢ちゃんだね」

市場のおばさん達が笑いかける。

「こんなかわい子ちゃんが来たらたくさんおまけしちゃうな!」

おじさん達が鼻の下を伸ばして笑うと…

「そ、その時はよろしく…」

オリビアが慣れていないようでたどたどしく頼んだ。

「よし!ほらこれ持ってきな!」

おじさんが高そうな果物をオリビアに渡すと

「これからご贔屓にしてくれよ」

ニカッと笑った。

「あ、ありがとう…」

オリビアは戸惑いながら受け取ると

「いくら?」

お金を出そうとする。

「おまけだよ!タダ、タダ!」

持ってけと差し出してくるおじさんを見てニコッと笑う。

「嬉しい…」

恥ずかしそうな笑顔に市場の人達も微笑ましそうに見つめていた。

「次はドラゴン亭と黒猫亭ね!この町のおすすめのお店だよ!」

ミヅキはドラゴン亭目指して歩くとお店には今日もたくさんのお客さんが来ていた。

ミヅキは裏口に回ると

「お店の入口はこっちですよ…」

オリビアが入口を指さす。

「うん、そうだけどここのお店の人は家族みたいなもんなんだ」

「家族…」

オリビアが神妙な顔をする。

ミヅキはその表情にハッとする…

そうだ、オリビアは家族と離れてこっちに来たんだった…すごい無神経な事言っちゃったかも…

ミヅキはどういいわけしようかと考えていると…

「ミヅキの家族…って事は私もしっかりと気に入られとかないと…ミヅキのそばに居られなくなるかも…」

オリビアはブツブツと一人呟いている。

「オリビア…ごめんね。ここに住むルンバさんとリリアンさん夫婦はとっても優しいからね、きっとオリビアの事も可愛がってくれるよ」

「えっ!そうですか!」

オリビアが嬉しそうに顔を明るくする。

ああ、やっぱり家族と離れて寂しかったんだな…

ミヅキは平気そうに見えたオリビアは本当は寂しかったのだと気がついた。

「リリアンさんちにはムツカっていう私の妹みたいな子とオイトっていう弟もいるんだよ」

「ミヅキの妹弟!それは是非とも挨拶しないと…」

オリビアの顔が険しくなる。

「二人ともすっごい可愛いの!オリビアも妹と弟と思って可愛がってね!」

「もちろんです」

オリビアはしっかりと頷いた。

ミヅキはうらの扉をノックすると…

「こんにちはー」

声をかけて扉を開ける、するとムツカがひょいと顔を出した!

「あっ!ミヅキさま!」

ムツカがミヅキを見て顔を輝かせた!

「ミヅキ様?」

オリビアは後ろで二人の様子を見ていると…

「あっオリビア、この子がムツカだよ」

ミヅキがムツカを紹介すると

「ミヅキさま?その人は?」

ムツカが怪訝な顔をしているオリビアを見つめる。

「エルフの国からきたオリビアだよ。ムツカ色々と教えてあげてね」

「オリビアです…ムツカ…さんはミヅキの妹ぎみだとお聞きしましたが…」

オリビアが伺うと

「妹…」

ムツカがチラッとミヅキを見ると、ミヅキが満足そうにうんうんと頷いている。

「そんなミヅキさまの妹なんて…私はミヅキさまに拾ってもらった元どれいだよ」

ムツカは困った様に笑うと

「何言ってるの!リリアンさんが私を娘みたいに可愛がってくれてるでしょ?」

「うん」

ムツカがその通りだと頷くと

「そしてムツカも娘みたいに可愛がって貰ってるでしょ?」

「はい!」

ムツカがその通りだと力強く頷く!

「てことは私とムツカは姉妹みたいなもんじゃないの?」

「あれ?そうなの…?なんか違う気がする…」

ムツカが首を捻ると…

「おい、ムツカどうした?」

なかなか戻ってこないムツカを心配してルンバさんが顔を出した。

「ミヅキ、どうした?ん?友達か?」

後ろに連れてるオリビアを見つける。

「そうなの。ムツカとオイトとルンバさん達を紹介しようと思って」

「そうか、えっと…名前は」

「オリビアです。ミヅキのお父様ですか?」

「お父様!」

「ぶっ!」

話を聞いてた客から笑い声が漏れる。

「ルンバをお父様だって…あの顔でお父様!!どう見てもオヤジって顔だよな!」

馴染みの客達から笑いが溢れる。

「うるさいぞ…お前ら次来る時は肉なし野菜炒めな」

ギロッと睨みながら常連客を睨みつける。

「肉無しかよー!まぁいいけど、何食っても美味いしな」

「そうだな、明日のメニュー決まってラッキーだな。じゃまた明日ー」

「ムツカちゃん、お代ここ置いとくよー」

常連客達は金を置くと笑いながら店を出て行った。

「あ、ありがとうございましたー!またよろしくです」

ムツカはペコッと頭をさげる。

「ルンバさん…よかったね」

悔しそうにしながらも何処か嬉しそうに笑いを我慢するルンバさんにミヅキは笑いかけた。

「すごい顔…」

オリビアはルンバの複雑な表情があまりにも怖くて後ずさりする…

「わ、悪い…」

ルンバさんはそれに気がついて顔を隠す。

「オリビア、ルンバさんは料理がすっごい上手なみんなのお父さんって感じなんだよ」

ニコッと笑うと

「そ、そうです!ルンバさんはとっても優しいんですよ」

ムツカが必死に説明すると…

「なるほど、ミヅキとその妹ぎみがそこまで言うのならかなり信用おける方なのですね」

オリビアはコクっと頷くと

「ルンバさんよろしくお願い致します」

オリビアは手を差し出した。

「お、おお…よろしくな。ミヅキやムツカと仲良くしてやってくれ」

優しく微笑むと

「はい…ミヅキ、何となくわかりました。笑うと優しそうです」

オリビアが真面目に答えると、ルンバさんはハッとして顔をまた隠してしまう。

「そうなんだよ、またそれを隠す姿が可愛いよね」

ミヅキがウンウンと頷くと、

「ムツカもわかるー!ルンバさんが笑いながら頭撫でてくれるの大好きです!」

「それもわかるー」

ミヅキとムツカが騒いでいると…

「騒がしいね?誰か来たの?」

リリアンさんがオイトを抱いて住居スペースから出てきた。

「あっ!リリアンさん」

「あら、ミヅキちゃんいらっしゃい…ってあなたどうしたの?顔が真っ赤よ?」

リリアンさんが顔を赤くして大きな体を小さくして震えているルンバさんに気がついた…

リリアンさんはルンバさんを仕事に戻すと

「ミヅキちゃん達はこっちに上がって」

住居スペースへと二人をあげた。

「ムツカも休憩していいのよ」

ムツカも誘うが…

「んー…ムツカはルンバさん手伝ってくる!オイト、バイバイ」

ちょっと悩むとオイトを撫でてお店へと戻っていってしまった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

転生テイマー、異世界生活を楽しむ

さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

女子力の高い僕は異世界でお菓子屋さんになりました

初昔 茶ノ介
ファンタジー
昔から低身長、童顔、お料理上手、家がお菓子屋さん、etc.と女子力満載の高校2年の冬樹 幸(ふゆき ゆき)は男子なのに周りからのヒロインのような扱いに日々悩んでいた。 ある日、学校の帰りに道に悩んでいるおばあさんを助けると、そのおばあさんはただのおばあさんではなく女神様だった。 冗談半分で言ったことを叶えると言い出し、目が覚めた先は見覚えのない森の中で…。 のんびり書いていきたいと思います。 よければ感想等お願いします。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

継母の心得 〜 番外編 〜

トール
恋愛
継母の心得の番外編のみを投稿しています。 【本編第一部完結済、2023/10/1〜第二部スタート☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定】

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

ほっといて下さい(番外編)

三園 七詩
ファンタジー
「ほっといて下さい」のもうひとつのお話です。 本編とは関係ありません。時系列も適当で色々と矛盾がありますが、軽い気持ちで読んで頂けると嬉しいです。 ✱【注意】話によってはネタバレになりますので【ほっといて下さい】をお読みになってからの方がいいかと思います。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。