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8章

451.お揃い

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「まぁ…お嬢ちゃんがそんな嬉しそうな顔するならいいけどよ…」

鍛冶屋のおじいさんは紙を取り出すと…

「とは言っても素材は持ち込みだし、ドラゴンの鱗も貰っちまったからな…チーノも世話になったし…しょうがない!今回はサービスだ!」

おじいさんがパッ!と紙を破り捨てる。

「いいのか?結構いい仕上がりだぞ」

ベイカーが防具を見つめる。

「まぁお前さんが払うんなら少し貰ってもよかったが…可愛らしいお嬢ちゃんの奢りならしょうがない」

「本当に!やったー!」

ミヅキが飛び上がって喜ぶと

「ベイカーさんよかったね~」

ミヅキがニコニコとベイカーを見つめる。

「ああ、可愛い子は得だよな…」

「えっ?」

ミヅキが首を傾げると

「ああそうだお嬢ちゃんにもドラゴンの鱗でちょっと作ったんだ父ちゃんとおそろいだぞ」

おじいさんが黒いマントのようなケープを取り出す…前を留める部分がプルシアの鱗で出来ていた。

「かわいい!」

「お!ミヅキいいな!」

「ほら、着せてやれ」

おじいさんがベイカーに渡してやると、ベイカーが屈んでミヅキに羽織らせる。

「ベイカーさんおそろいだね!」

「かわいいぞ、ミヅキ」

ベイカーも嬉しそうに笑うと

「じゃあこっちは金貨一枚な」

おじいさんがベイカーに手を差し出す…

「え?これもサービスじゃねえのかよ!」

「お前…お嬢ちゃんのプレゼントをサービスで贈る気か?それでも親か!」

「グッ…それは…」

「いいよ、ベイカーさん自分で出すから!はいおじいさん金貨一枚です」

ミヅキがおじいさんに渡そうとすると

「いや!俺が払う!ミヅキはそれをしまえ」

「えっ?いいの?」

「当たり前だ!俺からのプレゼントって事を忘れるなよ」

「うん!ありがとう!」

ミヅキは嬉しそうにケープを抱きしめた。

満足そうに鍛冶屋を出ると

「なんか結局ベイカーさんがお金出したね、本当によかったの?」

「ああ、ミヅキにやれてよかったよ。凄い似合ってるぞ」

「おそろいだもんね」

ミヅキとベイカーは笑い合いながら帰って行った。


里に戻るとベイカーとミヅキのお揃いの防具に…みんなが反応する。

「ミヅキかわいいの着てるな、買ってもらったのか?」

「お!ミヅキ新しい服か?似合ってるな」

「ミヅキ!かわいい!」

「ミヅキ様素敵です!この青い宝石が本当に綺麗…えっ?プルシアの鱗なんですか?」

「いいなぁ~ベイカーさんミヅキ様とお揃いの私にも買ってください!」

「ずるい!私も!」

女の子達がベイカーに詰め寄ると…

「俺も新調したのに…誰も気がついてくれねぇ…別にいいけどさぁ…」

「何ブツブツ言ってるんですか!ベイカーさん!ミヅキ様の服どこで買ったんですか?」

「これは…鍛冶屋だよ…一応防具だからな」

「「「「「えー!こんなに可愛くて防具!」」」」」

女の子達の目の色が変わる!

「でもプルシアの鱗を使ってるから高いぞ…お前らじゃまだまだ買うのは無理だろ」

ベイカーが笑うと

「なら…そこだけ変えて貰って…」

「あっ!それいい!私この前ミヅキ様から貰った貝殻で作ってもらおうかな!ちょっと行ってきてもいいですか?」

「あっ!なら私も!」

「ずるい!みんなで行こうよ!」

ライラやハル達がギース達に声をかけると…

「ああ、行ってこい。もう仕事も終わってるし店に迷惑かけないようにしろよ…」

「「「「「はーい!」」」」」

みんなは嬉しそうに出かけて行ってしまった…

「ほ、本当は俺のが最初なのに…」

ベイカーが悔しそうにしていると

「いや、ベイカーさん…女の子達が冒険者の防具に興味なんて持たないでしょ…しかもミヅキがあんな可愛い格好してりゃ尚更だよ」

「確かに可愛いけどよぉ…」

みんなに囲まれて嬉しそうにしているミヅキを見るとベイカーは仕方ないと笑ってため息をついた…。

「あっそうだテリーさんにも包丁セットあげるね!」

ミヅキは包丁セットを取り出すとテリーに渡す。

「またなにか作ったのか?」

「料理専用の包丁だよ、戦闘には使えないから注意してね」

「へー!それはいいな!早速なんか作って見るか!」

「いいね!試し切りもあるから私も手伝う!何にしようか?」

「そうだなぁ…」

テリーが悩んでいると

「切る作業が多いのがいいよねータケノコもまだあるから…青椒肉絲とかいいかなぁ」

「それは聞いたことないぞ!」

テリーが食いつく!

「じゃあそれと…天鶏から卵貰ってトマトと玉子の炒めものとスープにしようか?」

「ミヅキが言うならそれでいい」

テリーが頷くと

「じゃあまずはピーマンとタケノコを千切りね!あとは肉も同じ様に切って…」

ミヅキがタケノコを取り出す。

「ピーマンが無いなぁ…誰かに買ってきてもらおうか?」

「倉庫にあるんじゃないか?」

「えっ?本当!ついでに何か使えないものないか見てくるね!」

ミヅキが貯蔵庫に向かうと後ろからシルバが着いてくる…

【ん?シルバも行くの?】

【ああ、ミヅキが行くところにはついて行くぞ】

【じゃあぼくもー】

コハクもシルバの後ろからトコトコと着いてくる。

【ミヅキーきょうのごはんなぁに?おいなりさん?】

【おいなりさんは作らないよ】

【えー!たべたかったなぁ…】

コハクがしょんぼりとすると

【じゃあ厚揚げを使ったおかずでも作ろっか?おいなりさんばっかりだとみんなが飽きちゃうからね】

【おいなりさんあきないよ?】

コハクがなんで?とコテンと首を傾げる。

【コハクはそれが大好物だからね~】

【そうだな大好物は飽きないな、俺も肉は毎日でもいい】

シルバがうんうんと頷くと

【わかったよ~肉と厚揚げ使った料理にするから】

ミヅキが笑って了承すると

【やったな!】

【やったね!】

シルバとコハクが嬉しそうに喜ぶ!

【じゃあ大豆と肉を持っいって…後はピーマンね!】

ミヅキが貯蔵庫の中からお目当ての食材を取り出すと

【後は玉子とトマト…スープには具沢山中華スープにしようかなぁ…】

ゴソゴソと漁っていると…

「あっ!」

ミヅキが突然大きな声を出す!

【どうした!】

シルバがミヅキのそばによると…ミヅキが何かを持って固まっている。

「こ、これは!」

【なんだ?ゴミか?】

シルバはミヅキが持っている黒い塊を見つめると

【違うよ?これどうしたんだろ!誰が採ってきたのかな…これスープに入れよう!】

機嫌よくミヅキが収納にしまう。

食材をしまってテリーの元に戻ると

【シルバ達、玉子取ってきてくれる?】

【いいぞ】

シルバが快く頷くとミヅキがシルバに籠を持たせる。

【これに入れてきてね、コハクが人になれば取れるよね】

【まかせて!】

コハクはクルンと一回転すると人型に姿をかえる。

ミヅキはシルバ達が卵を取りに向かうと

「じゃあテリーさん作ろっか!タケノコ切ってくれた?」

「ああ、こんな感じか?」

テリーが細く切ったタケノコを見せると

「バッチリ!どうだった包丁の具合は?」

「切りやすいぞ!軽いしなあと真っ直ぐに切れる」

「じゃあ私も使ってみよう!ピーマン切るからテリーさんお肉を同じように細く切ってくれる?」

「わかった」

ミヅキはピーマンの種を取って千切りにしていく、トントンと包丁がまな板を叩きリズムよく音を立てる。

「うん!切りやすい!チーノさんやるね」

ミヅキはどんどんピーマンを千切りにしていくと、他の野菜も切っていく!

最後に貯蔵庫で見つけた食材を取り出すと…

「あっ!そうだテリーさんこれどうしたの?」

ミヅキがテリーに見せると

「なんだそれ?食い物か?」

「えっ、貯蔵庫にあったよ」

「みんな採取したらあそこにしまうからな…誰かが間違って入れたんじゃないのか?」

「間違って…って!これ美味しいんだよ!」

「え…そんなのが食べれるのか?」

テリーは怪訝な顔をしてミヅキの持つ食材を見つめた…。
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