ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

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10章

325.脱出

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【コハク…大丈夫?】

ミヅキは揺られるコハクの背に必死にしがみついていた…

【ク、クンッ!】

コハクからは疲れた様な声だが大丈夫だと言うように走る脚を止めることはない…

街の裏手を人が少ない方へと選びながら走っていると…コハクがやっと止まった。

ミヅキが顔を上げると…知らない街並みがミヅキ達の行く手を阻んでいた…

【行き止まり…】

コハクがガクッと膝を付く

「わっ!」

ミヅキも一緒に倒れ込むと…

【コハク…ごめんね、ありがとう】

ミヅキが壁に寄りかかって座ると、コハクを引き寄せ抱き抱えた。

【どうしようか…この町なんか大きいね…王都に似てるけど、建物の感じとか全然違う…海の町でもないし…何処にいるんだろ…】

ミヅキがハァハァと息が上がる。

コハクが心配そうに見ると…

【コハク…ごめん…回復魔法使おうと…思ったんだけど…上手く…練れない】

ミヅキの体温が上がってきた…

コハクがミヅキの顔を舐めると

【キャン!】

ムーに向かって鳴いた!ムーは慌ててミヅキのおでこに張り付くと…

【気持ちいい…】

ミヅキがゆっくりと瞳を閉じる。

「キャン!キャン!キャン!」

コハクが鳴き出すと…

【ごめん…コハク…ちょっと…休憩…】

コハクを撫でた手がパタリと落ちた。

コハクはミヅキに向かって何度も鳴くがミヅキが起きる気配がない…ムーをチラっと見ると、街の通りの方へと走り出した!


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


[おい、ミヅキいい加減にしないか!]

[本当です…何度同じ事を言われれば気が済むのですか]

[いい加減にしてくれよ…お前に付き合わせられのはもう嫌だ…]

[あなたのせいで…私の全てが変わってしまいました…]

[わがままなのも大概にしろよ…]

ベイカーさん、セバスさん、デボットさん、レアルさんギース達が顔を顰め、ミヅキを見つめる…

[待って!ベイカーさん!セバスさん!ちゃんと言う事聞くから!]

ベイカーとセバスが後ろを向いて歩いて行ってしまう…

[デボットさん!レアルさん!ギースさん!わがままばっかり言ってごめんなさい!]

デボット達に手を伸ばそうとするが掴めない…

〈もうお前の面倒はみれん!契約終了だ…〉

〈ミヅキ!バイバイ〉

〈世話になったな…もう会うことは無いだろう〉

[シルバ!シンク!プルシア!…やだ!行っちゃやだ!]

ミヅキが泣き出すが…さんにんは振り返ることなく去っていく。

「待って!」

ミヅキが叫ぶと…

「あっ!先生起きたよ!」

女の子の声が聞こえる…

天井を見ると…

(また…知らない天井だ…)

ミヅキがポロポロと涙を流すと、コハクがぺろぺろとミヅキの涙を舐める。

【コハク…怖い夢見ちゃった…】

そばにいたコハクとムーを抱き寄せると、たまらず…

うっ…うっ…

声を押し殺して泣き出す…

(違う…ベイカーさん達はあんな事言わない…シルバ達だって優しいもん…)

すると…

「大丈夫?」

大きな手が優しくミヅキの頭を撫でた。

ミヅキはそっと顔を上げると…

「可愛い顔が台無しだよ、ほら拭いてあげるよ」

見た事無い男の人がコハク達ごとミヅキを抱き上げると膝に乗せ、布でミヅキの顔を優しく拭いてくれた…

「ありがっと…ございます…」

しゃくりあげながらお礼を言うと、おでこに手を当てられる。

「うん…熱は落ち着いたみたいだね」

優しい笑顔で話しかけると…

「覚えてるかな?君路地裏で熱を出して倒れてたんだよ」

ミヅキはコクっと頷く。

「そう…この子が僕の所にいきなり来てズボンを引っ張ったんだ」

そう言ってズボンを見せると裾の所が破けていた。

「ご、ごめんなさい…」

ミヅキがしゅんと謝ると

「どうして謝るの?」

「コハクが…私の子が服を破いたから…」

ミヅキがコハクを庇うようにギュッと抱きしめると

「謝る必要なんてないよ、むしろご主人様を助けたこの子を褒めてあげてね」

男の人が笑ってミヅキとコハクを撫でてくれる。

コハクは心配そうにミヅキを見上げると

【コハク、ありがとう】

ミヅキは今笑える精一杯でコハクに笑顔を見せた。

「それじゃあ君…名前は?お家はわかるかな?」

男の人が聞くと…

「名前は…ミ……ここってどこなんでしょうか?」

ミヅキは名前を言うのを躊躇った…助けてもらった手前嘘をつきたくないが…

「ここ?ここはサウス国の王都だよ?君は王都に住んでるの?」

「サウス国…」

ミヅキが驚き顔をあげる。

「その顔を見ると…サウス国の人じゃないのかな?」

ミヅキは、コクっと頷く。

「ウエスト国の田舎町がお家…です…気がついたらこの街にいました…」

「そっか…」

男の人が寂しそうに微笑むと

「僕はラウロこの教会のかかりつけの医師だよ」

「ラウロさん…教会?」

「うん、とりあえずここに連れてくるしか無くてね。ここのシスター達は優しいし同じような境遇の子がいるからきっと大丈夫だよ」

ちょっと待っててね

そう言うとラウロは部屋を出ていってしまった…

ミヅキはキョロキョロと部屋を観察していると…扉の隙間から覗き込む頭が目に入った…

バチッ!っと目が合うと

「大丈夫?」

(さっき聞こえた声の子だ…)

ミヅキはうんと頷くと…

「あなたも捨てられちゃったの?」

女の子が扉の所から聞いてくる…

「わかんない…」

ミヅキが下を向くと、コハクが

【キャン!キャン!】

違う!と騒ぎ出した

【そうかな?私捨てられてない?】

ミヅキがコハクの頭を撫でながら聞くと

コクコク!と頷く!

「その子はなあに?」

女の子が一歩近づき聞いてくる。

「コハクって言って…私の従魔…家族だよ」

「へー可愛いね」

女の子がまた一歩近づく。

「名前はなあに?私はミーナって言うの」

「私はミヅキ…」

思わず名前を答えてしまう…

「ミヅキはここに住むの?」

質問する度に近づいてくるミーナ、あと一歩でベッドの前に来ると…

「ミーナ、それくらいに彼女は病人ですよ」

後ろから綺麗な女の人が現れた…後ろにはラウロさんも付いている。

「はーい…」

ミーナはミヅキにまたね!と手を振ると部屋を駆け出して行った。

「全く…あの子は…」

女の人が首を振る…ミヅキはその女の人をじーっと見つめると

「どうしましたか?」

ミヅキを見てニッコリと笑いかけた…ミヅキはなんでもないと言うように首を横に振ると

「ラウロさんから聞きました…お家が分からず迷子だと聞きましたが…」

ミヅキが頷くと…

「行きたい場所があるなら行ってもいいですが、もし無いなら病気が治るまでここに住みませんか?」

あなたの好きにしていいよ…と言われるように優しく聞いてくれる。

ミヅキはコハクとムーを見ると…

「…よろしく…お願いします…名前は…ミヅキ…です」

頭を下げた。

「やったー!」

すると扉の向こうでミーナがバンザイして喜んでいた。
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