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7章

324.奇襲

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男は凄まじい破壊音に目が覚めると、外に飛び出した!

靴も履かずに外に出ると…飛び散った瓦礫に足が傷つく、しかし周りの光景に愕然となり痛みなど感じなかった。

外では数十人の武装した異国の兵士が暴れ回っていた…。

異国の兵士達が剣を振り回すと衝撃波で建物が崩れる…崩れた瓦礫に巻き込まれた人が何人も潰れていた…

「なんだ…これは…」

男が呟くと…この国の兵士達が暴れ回っている異国の兵士を止めようと立ち向かっていた…

「お、俺も行かないと…」

自分もこの国の兵士である事を思い出す…急いで着替えて外に戻ると…

ガッシャーン!

目の前を仲間の兵士が通り過ぎ…壁に激突した…。

「えっ…」

仲間を見るが、動く様子は無い…体は変な方向へと折れ曲がっていた…今度は飛んできた方を見ると…一匹の黒い魔獣が牙を剥き出し唸っていた…全てを壊しつくそうとしているかのように怒り、殺気が飛んでくる…

「あ、足が…」

動かない…恐怖に足がすくんでしまった。

「大丈夫か!」

すると後ろから隊長達が助けに来てくれた!ホッとすると…今度は剣を持った冒険者風の男と品のあるこの場にそぐわない男が現れた…

隊長が何か叫び向かって行くと、剣を持った男が相手をする。

「嘘だろ…」

俺たちが全然敵わない隊長が明らかに押されている…

残りの兵士がもう一人の男を捕まえようと剣を向けると…男はにっこりと微笑んだと思ったら…足蹴りで兵士達の剣を叩き折っていった…

「なんなんだ…こいつらは…」

唖然としていると

「ギャー!」「ギヤー!」「ギイャー!」

空から飛竜達の声が聞こえてきた…飛竜部隊が出てきた!頼もしい援軍だ!

男が空を見上げると…そこには飛竜達を軽くなぎ倒していく…巨大なドラゴンが空を支配していた…

「飛竜達が…」

ドラゴンがひとたび咆哮を放つと…飛竜達が叫び声を上げて地面へと落ちていく…

飛竜達が咆哮を放ってもドラゴンの羽ばたきから織り成す風に弾き返されていた…飛竜達がまるで赤子の手をひねるように倒されていった…

「あの…ドラゴンは…」

あの子供を連れていた一行と一緒にいた…よく見ると暴れ回っているのはあの時にいた奴らだった…

隊長を見ると…

「ぐぅあああー!」

隊長が腹を抑えて倒れ込んだ…周りの兵士達もあらぬ方向に足や手が曲がっているものや…既に四肢が無いものもいてみな恐怖にうずくまってしまっていた。

「○○○を出せ…」

男達が誰かを出せと怒りをあらわにする…

「○○○を返していただきます…」

男達が近づいてくる…思わず後ずさりすると…

「グゥルルルルル…」

後ろにはあの魔獣がいた…

男はペタっと座り込むと

ガラガラ…ドガシャーン!!!

振動と共に、爆音が響くと…

「し、城が…」

王宮にそびえ立つ城が破壊され崩れ落ちていた…音が止むと…瓦礫の上にあのドラゴンが降り立った…

その近くには筋骨隆々のおじいさんとガタイのいい大剣を持った男が立っている…周りには子供と思われる子が剣を振るっていた…

「なんなんだ…お前達は…」

恐怖で歪んだ顔で男達を見ると

「大事なものを返してもらいに来ました…ただの保護者です」

男性がにっこりと笑っている…がその笑顔を見ると体が震える…

「きっちりと責任を取れ…」

隣にいた怒りの形相の男が剣を片手で軽々と持ち上げると…真っ直ぐに振り下ろした…。

ザンッ!


「ガッハ!」

ジャンは…飛び起きた。

「ゲホッ!ゲホッ!」

喉がカラカラに乾いて張り付き上手く息が出来ない。

体からは汗が吹き出しベッドを濡らしていた…

「ゆ…め…」

あまりにリアルな夢に焦って窓辺にたつと、外からはいつもの様な街ののどかな話し声が聞こえて来た。

店先ではお店の人がお客さんと楽しそうに話してるのが見える…城を見るとちゃんといつもの様にそびえ立っていた。

「よかった…」

思わず口から零れた…ドカッと床に倒れ込みホッとして目を閉じた…すると…

ザンッ!

最後に切られたシーンが甦る。

バッ!

ジャンは目を開けると顔を触って…体を確かめる。

体には傷一つないが、心臓がドキドキと脈打っていた…

もう出ないと思っていた汗がまた吹きでる、ジャンは落ち着くためにも水を飲んでいると

ドンドンドン!

部屋の扉が勢いよく叩かれた!ジャンはビクッと体を硬直させると…

「ジャン!ジャン!起きてるか!」

外では同僚のリゲルが騒いでいた…ジャンはホッとして扉を開けると…

「なんだよ…朝から…」

力なく返事を返す

「大変なんだ!あの…」

リゲルが言葉を止めて驚いてジャンを凝視する

「どうしたのだ…お前…」

リゲルが不安そうに聞くと

「えっ?何が?」

ジャンが自分を見る

「その髪…真っ白だぞ…それにその顔、なんで一晩でそんなに老け込んだんだ…よく見りゃ汗びっしょりじゃないか!」

「えっ…髪?顔?」

ジャンは水を張り自分の姿を映すとそこには恐怖で刻まれた皺ができ髪が白く染まっていた…

そっと触ると確かに自分の髪だった…

「大丈夫か…?」

リゲルがジャンの肩にそっと手を乗せると

「ああ…だ、大丈夫だ…夢見が悪かっただけなんだ…気にするな…それよりなんかあったんじゃないのか?」

ジャンは顔をそのまま洗うと着替えだした。

「あ、ああ…例のあの子なんだが…」

「何かあったのか!」

ジャンが振り返る。

「いや…あの部屋に入れてから一度も様子を見れて無いんだ…」

「なんで?」

「どうやら従魔が起きたようで扉を開かないようにされてしまった…外から声を何度かかけたんだが返事がないんだよ…もしかして病気が悪化でもしたのかと…」

「そんな事になったら…俺達はなんのためにあの子を連れて来たんだ!直ぐに様子をみよう」

「無理やり開けでもしたら警戒されないか?」

「連れて来た時点でされてるだろ…でも傷つける気なんてないって分かってもらうしかない…あの子の力を借りたいだけだって…」

「そ、そうだな…とりあえず話も出来なきゃなんにも進まないしな、調子が悪いなら…教会に連れて行かないと…」

ジャンとリゲルは急いで部屋を飛び出して行った…


小屋に付くと…

「おい…これって…」

小屋の扉が開けっ放しになっている。

ジャンがリゲルを見ると、慌てて首を振る

「いや!閉めたよ!慌ててはいたがそこまで馬鹿じゃないよ」

二人が子供を寝かせておいた部屋に行くと…

「なんだ…これは」

部屋の扉は木で覆われていて…下の方に丸い何かがぶつかったような窪みが出来ている。

「逃げた…」

リゲルがボソッと呟くと…

「まだそう遠くには行ってないだろ、子供と小さい従魔だ、探すぞ!」

ジャン達は小屋を飛び出し二手に別れると街へと向かった!
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