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53 愛してる
しおりを挟む今日は婚姻式。
私は控え室で純白のドレスに着替えさっきまでお父様とお母様、お兄様とお義姉様と話していたの。
そして今は一人
鏡に映る自分の姿
前の時と同じ教会で同じ控え室。
王族はこの教会で婚姻式を挙げるから。フレディ兄様もお兄様もこの教会で婚姻式を挙げたわ。
鏡に映る自分を見ていると明らかに違う所が一つ。
幸せな顔をしている自分の姿が映っている。
前の時、鏡に映った私の顔は今から婚姻式を挙げる人の顔ではなかったわ。こうして一人になり何を思ったか、何も思っていなかったわ。嬉しいとも幸せとも、辛いとも。
婚姻式
これは儀式の一つ。この儀式をしないと婚姻できないから。白いドレスは儀式をする為の衣装。
さあ微笑んで皆の前に行かないと。
前の私も懸命に生きていたわ。言葉を飲み込んで、偽りの愛の言葉を伝えて、そうする事が義務だと。
コンコン
「グレース大公女殿下お時間です」
「分かりました」
今の私はようやくフランキーと夫婦になれると喜んでいるの。いとこから夫婦に、前の時と同じだけど、でも心が全く違う。
愛する人へ嫁ぐ
幸せの扉を開ける瞬間なの。だから私はその扉を開ける。自分の意思で、愛する人の元へ歩いていく。
部屋を出るとお父様が立っていた。
「何度見ても綺麗だ」
「ありがとうお父様」
お父様にエスコートされ廊下を進む。
「ロニーが代われと煩くてな」
「ふふっ、でも私はお父様がいいわ。ありがとうお父様」
「嫁に出すといっても今までとあまり変わらないからな。でもお前ももう王子妃だ」
「はい、平和な国が続くように努力します」
フランキーへ続く扉が開いて私はお父様と歩いていく。一歩一歩、前の私に別れを告げてそしてフランキーと一緒に過ごす幸せに溢れた未来へ進む。
婚姻式が無事に終わり、今は夫婦の寝室のベッドの上で座っている。
パタン
扉の閉まる音に体がビクっと震えた。
「待たせたか」
「大丈夫」
フランキーは私の隣に座った。
フランキーは震える私の手を握った。フランキーの手も震えている。
「俺も怖い…、本音を言うとな」
「フランキーは知ってるでしょ?」
「初めてだから上手くできるか怖いんだろ?もし失敗してグレースに嫌われたら、優しくしたくても優しく出来なかったら、俺がもし手慣れていたらきっとグレースも痛くないのに、そう思う」
「でも閨教育受けたでしょ?それにほら、娼婦に習うって聞いたわ」
「確かに娼婦はいた。相手をしたのは騎士だけどな。俺をそれを見ていた。相手の騎士が気の毒になるくらい娼婦は手取り足取り教えてくれたぞ?ここをこうしてああしてって解説付きだ」
「想像したら確かに相手の騎士が気の毒ね」
「だろ?だから実際俺が女性の体に触れるのは初めてだ。だから俺も怖い。優しくする、そう格好良く言えたら良かったんだけどな」
フランキーの話を聞いていたら何を怖がってるのか、怖い理由は分かってる。それでもこれは愛の行為。愛を伝える行為。
「触れて、いいか?」
私はコクンと頷いた。
フランキーは繋いだ私の手に口付けした。それから額、頬、そして唇。何度も重なる唇に好きが溢れていく。そして深くなる口付けに重なる視線。
息が苦しい、でも止めないで…
フランキーは私の夜着の紐を解いた。そして自分の夜着の紐も解いた。
フランキーが私に触れる手に、触れられた所が熱くなるのが自分でも分かった。優しく大切に触れるフランキーの手、唇、一つ一つから愛を伝えてくれる。
『グレース愛してる』と。
身体中熱くなった私はもう何も考えられない。フランキーは時間をかけて何度も触れる。フランキーが触れる度に『はあぁん』と息が漏れる。
「ごめんグレース、少しだけ我慢してくれ」
フランキーの我慢して苦しそうな顔。
私はコクンの頷いた。
「あぁーーー」
シーツを握りしめる私の手にフランキーは手を重ねた。私は力いっぱいフランキーの手を握る。
汗ばむ身体にフランキーからこぼれ落ちる汗。私の頬にポタポタと雫が落ちて私の涙と混ざり合う。
「ようやく、ようやく俺のものに、できた……」
その一言はとても重くそして幸せを噛みしめているように聞こえた。
「ごめんな、痛かっただろ」
「ううん、幸せな痛みよ」
初夜を無事に終え今はフランキーに抱きしめられている。
お互い肌が直接触れている。
恥ずかしいけど幸せな時間。
「泣かせたな…」
「フランキーもよ?」
「それを言うなよ」
ばつの悪そうな顔をしているフランキーの頬を包む。
さっきフランキーが『ようやく俺のものにできた』そう言った時、二重に声が聞こえた気がしたの。そう聞こえただけかもしれない。私も痛みではっきりとは覚えていないから。でも確かに二重に聞こえたの。
「どうした?」
「愛してる、愛してるわフランキー。貴方を愛してる」
「愛してる、愛してるグレース。お前を愛してる」
フランキーは私をギュッと抱きしめた。
フランキーの胸に顔を埋め私は幸せを噛みしめた。
私は言葉で愛を伝える大切さを知ったわ。そして営みで愛を交わし心が満たされる事を知ったわ。
私の秘部とフランキーの秘部が繋がり一つになる。私の奥深くまで入れるのはこの先もフランキーだけ。
今も私の秘部はフランキーの秘部が入っているようなそんな感覚。
でもそれが幸せだと思うの。
ようやく一つになれた、それを実感できるから。
この先の出来事は私も知らない。
もう戻すことの出来ない人生をこれからは歩む。
後悔しないように一日を懸命に生きる。
今日も平和なこの国で
愛する人達に囲まれて
私が愛する人の隣で
私は幸せよ
101
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