0歳児に戻った私。今度は少し口を出したいと思います。

アズやっこ

文字の大きさ
53 / 55

53 愛してる

しおりを挟む

今日は婚姻式。

私は控え室で純白のドレスに着替えさっきまでお父様とお母様、お兄様とお義姉様と話していたの。

そして今は一人

鏡に映る自分の姿

前の時と同じ教会で同じ控え室。

王族はこの教会で婚姻式を挙げるから。フレディ兄様もお兄様もこの教会で婚姻式を挙げたわ。

鏡に映る自分を見ていると明らかに違う所が一つ。

幸せな顔をしている自分の姿が映っている。

前の時、鏡に映った私の顔は今から婚姻式を挙げる人の顔ではなかったわ。こうして一人になり何を思ったか、何も思っていなかったわ。嬉しいとも幸せとも、辛いとも。

婚姻式

これは儀式の一つ。この儀式をしないと婚姻できないから。白いドレスは儀式をする為の衣装。

さあ微笑んで皆の前に行かないと。


前の私も懸命に生きていたわ。言葉を飲み込んで、偽りの愛の言葉を伝えて、そうする事が義務だと。


コンコン

「グレース大公女殿下お時間です」

「分かりました」


今の私はようやくフランキーと夫婦になれると喜んでいるの。いとこから夫婦に、前の時と同じだけど、でも心が全く違う。

愛する人へ嫁ぐ

幸せの扉を開ける瞬間なの。だから私はその扉を開ける。自分の意思で、愛する人の元へ歩いていく。


部屋を出るとお父様が立っていた。


「何度見ても綺麗だ」

「ありがとうお父様」


お父様にエスコートされ廊下を進む。


「ロニーが代われと煩くてな」

「ふふっ、でも私はお父様がいいわ。ありがとうお父様」

「嫁に出すといっても今までとあまり変わらないからな。でもお前ももう王子妃だ」

「はい、平和な国が続くように努力します」


フランキーへ続く扉が開いて私はお父様と歩いていく。一歩一歩、前の私に別れを告げてそしてフランキーと一緒に過ごす幸せに溢れた未来へ進む。



婚姻式が無事に終わり、今は夫婦の寝室のベッドの上で座っている。

パタン

扉の閉まる音に体がビクっと震えた。


「待たせたか」

「大丈夫」


フランキーは私の隣に座った。

フランキーは震える私の手を握った。フランキーの手も震えている。


「俺も怖い…、本音を言うとな」

「フランキーは知ってるでしょ?」

「初めてだから上手くできるか怖いんだろ?もし失敗してグレースに嫌われたら、優しくしたくても優しく出来なかったら、俺がもし手慣れていたらきっとグレースも痛くないのに、そう思う」

「でも閨教育受けたでしょ?それにほら、娼婦に習うって聞いたわ」

「確かに娼婦はいた。相手をしたのは騎士だけどな。俺をそれを見ていた。相手の騎士が気の毒になるくらい娼婦は手取り足取り教えてくれたぞ?ここをこうしてああしてって解説付きだ」

「想像したら確かに相手の騎士が気の毒ね」

「だろ?だから実際俺が女性の体に触れるのは初めてだ。だから俺も怖い。優しくする、そう格好良く言えたら良かったんだけどな」


フランキーの話を聞いていたら何を怖がってるのか、怖い理由は分かってる。それでもこれは愛の行為。愛を伝える行為。


「触れて、いいか?」


私はコクンと頷いた。

フランキーは繋いだ私の手に口付けした。それから額、頬、そして唇。何度も重なる唇に好きが溢れていく。そして深くなる口付けに重なる視線。

息が苦しい、でも止めないで…

フランキーは私の夜着の紐を解いた。そして自分の夜着の紐も解いた。

フランキーが私に触れる手に、触れられた所が熱くなるのが自分でも分かった。優しく大切に触れるフランキーの手、唇、一つ一つから愛を伝えてくれる。

『グレース愛してる』と。

身体中熱くなった私はもう何も考えられない。フランキーは時間をかけて何度も触れる。フランキーが触れる度に『はあぁん』と息が漏れる。


「ごめんグレース、少しだけ我慢してくれ」


フランキーの我慢して苦しそうな顔。

私はコクンの頷いた。


「あぁーーー」


シーツを握りしめる私の手にフランキーは手を重ねた。私は力いっぱいフランキーの手を握る。

汗ばむ身体にフランキーからこぼれ落ちる汗。私の頬にポタポタと雫が落ちて私の涙と混ざり合う。


「ようやく、ようやく俺のものに、できた……」


その一言はとても重くそして幸せを噛みしめているように聞こえた。


「ごめんな、痛かっただろ」

「ううん、幸せな痛みよ」


初夜を無事に終え今はフランキーに抱きしめられている。

お互い肌が直接触れている。

恥ずかしいけど幸せな時間。


「泣かせたな…」

「フランキーもよ?」

「それを言うなよ」


ばつの悪そうな顔をしているフランキーの頬を包む。

さっきフランキーが『ようやく俺のものにできた』そう言った時、二重に声が聞こえた気がしたの。そう聞こえただけかもしれない。私も痛みではっきりとは覚えていないから。でも確かに二重に聞こえたの。


「どうした?」

「愛してる、愛してるわフランキー。貴方を愛してる」

「愛してる、愛してるグレース。お前を愛してる」


フランキーは私をギュッと抱きしめた。

フランキーの胸に顔を埋め私は幸せを噛みしめた。


私は言葉で愛を伝える大切さを知ったわ。そして営みで愛を交わし心が満たされる事を知ったわ。

私の秘部とフランキーの秘部が繋がり一つになる。私の奥深くまで入れるのはこの先もフランキーだけ。

今も私の秘部はフランキーの秘部が入っているようなそんな感覚。

でもそれが幸せだと思うの。

ようやく一つになれた、それを実感できるから。



この先の出来事は私も知らない。

もう戻すことの出来ない人生をこれからは歩む。

後悔しないように一日を懸命に生きる。

今日も平和なこの国で

愛する人達に囲まれて

私が愛する人の隣で


私は幸せよ



しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました

Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。 順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。 特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。 そんなアメリアに対し、オスカーは… とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。

いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!

夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。 しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。 ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。 愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。 いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。 一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ! 世界観はゆるいです! カクヨム様にも投稿しております。 ※10万文字を超えたので長編に変更しました。

跡継ぎが産めなければ私は用なし!? でしたらあなたの前から消えて差し上げます。どうぞ愛妾とお幸せに。

Kouei
恋愛
私リサーリア・ウォルトマンは、父の命令でグリフォンド伯爵令息であるモートンの妻になった。 政略結婚だったけれど、お互いに思い合い、幸せに暮らしていた。 しかし結婚して1年経っても子宝に恵まれなかった事で、義父母に愛妾を薦められた夫。 「承知致しました」 夫は二つ返事で承諾した。 私を裏切らないと言ったのに、こんな簡単に受け入れるなんて…! 貴方がそのつもりなら、私は喜んで消えて差し上げますわ。 私は切岸に立って、夕日を見ながら夫に別れを告げた―――… ※この作品は、他サイトにも投稿しています。

【完結】長い眠りのその後で

maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。 でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。 いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう? このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!! どうして旦那様はずっと眠ってるの? 唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。 しょうがないアディル頑張りまーす!! 複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です 全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む) ※他サイトでも投稿しております ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです ※表紙 AIアプリ作成

【完結】私を捨てて駆け落ちしたあなたには、こちらからさようならを言いましょう。

やまぐちこはる
恋愛
パルティア・エンダライン侯爵令嬢はある日珍しく婿入り予定の婚約者から届いた手紙を読んで、彼が駆け落ちしたことを知った。相手は同じく侯爵令嬢で、そちらにも王家の血筋の婿入りする婚約者がいたが、貴族派閥を保つ政略結婚だったためにどうやっても婚約を解消できず、愛の逃避行と洒落こんだらしい。 落ち込むパルティアは、しばらく社交から離れたい療養地としても有名な別荘地へ避暑に向かう。静かな湖畔で傷を癒やしたいと、高級ホテルでひっそり寛いでいると同じ頃から同じように、人目を避けてぼんやり湖を眺める美しい青年に気がついた。 毎日涼しい湖畔で本を読みながら、チラリチラリと彼を盗み見ることが日課となったパルティアだが。 様子がおかしい青年に気づく。 ふらりと湖に近づくと、ポチャっと小さな水音を立てて入水し始めたのだ。 ドレスの裾をたくしあげ、パルティアも湖に駆け込んで彼を引き留めた。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 最終話まで予約投稿済です。 次はどんな話を書こうかなと思ったとき、駆け落ちした知人を思い出し、そんな話を書くことに致しました。 ある日突然、紙1枚で消えるのは本当にびっくりするのでやめてくださいという思いを込めて。 楽しんで頂けましたら、きっと彼らも喜ぶことと思います。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

婚約破棄されたトリノは、継母や姉たちや使用人からもいじめられているので、前世の記憶を思い出し、家から脱走して旅にでる!

山田 バルス
恋愛
 この屋敷は、わたしの居場所じゃない。  薄明かりの差し込む天窓の下、トリノは古びた石床に敷かれた毛布の中で、静かに目を覚ました。肌寒さに身をすくめながら、昨日と変わらぬ粗末な日常が始まる。  かつては伯爵家の令嬢として、それなりに贅沢に暮らしていたはずだった。だけど、実の母が亡くなり、父が再婚してから、すべてが変わった。 「おい、灰かぶり。いつまで寝てんのよ、あんたは召使いのつもり?」 「ごめんなさい、すぐに……」 「ふーん、また寝癖ついてる。魔獣みたいな髪。鏡って知ってる?」 「……すみません」 トリノはペコリと頭を下げる。反論なんて、とうにあきらめた。 この世界は、魔法と剣が支配する王国《エルデラン》の北方領。名門リドグレイ伯爵家の屋敷には、魔道具や召使い、そして“偽りの家族”がそろっている。 彼女――トリノ・リドグレイは、この家の“戸籍上は三女”。けれど実態は、召使い以下の扱いだった。 「キッチン、昨日の灰がそのままだったわよ? ご主人様の食事を用意する手も、まるで泥人形ね」 「今朝の朝食、あなたの分はなし。ねえ、ミレイア? “灰かぶり令嬢”には、灰でも食べさせればいいのよ」 「賛成♪ ちょうど暖炉の掃除があるし、役立ててあげる」 三人がくすくすと笑うなか、トリノはただ小さくうなずいた。  夜。屋敷が静まり、誰もいない納戸で、トリノはひとり、こっそり木箱を開いた。中には小さな布包み。亡き母の形見――古びた銀のペンダントが眠っていた。  それだけが、彼女の“世界でただ一つの宝物”。 「……お母さま。わたし、がんばってるよ。ちゃんと、ひとりでも……」  声が震える。けれど、涙は流さなかった。  屋敷の誰にも必要とされない“灰かぶり令嬢”。 だけど、彼女の心だけは、まだ折れていない。  いつか、この冷たい塔を抜け出して、空の広い場所へ行くんだ。  そう、小さく、けれど確かに誓った。

出来レースだった王太子妃選に落選した公爵令嬢 役立たずと言われ家を飛び出しました でもあれ? 意外に外の世界は快適です

流空サキ
恋愛
王太子妃に選ばれるのは公爵令嬢であるエステルのはずだった。結果のわかっている出来レースの王太子妃選。けれど結果はまさかの敗北。 父からは勘当され、エステルは家を飛び出した。頼ったのは屋敷を出入りする商人のクレト・ロエラだった。 無一文のエステルはクレトの勧めるままに彼の邸で暮らし始める。それまでほとんど外に出たことのなかったエステルが初めて目にする外の世界。クレトのもとで仕事をしながら過ごすうち、恩人だった彼のことが次第に気になりはじめて……。 純真な公爵令嬢と、ある秘密を持つ商人との恋愛譚。

処理中です...