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次の日早速ジムのツテで探して貰った専門家に商会の権利の譲渡の手続きを早急にして貰った。
2日後、
「お嬢様、王宮より書簡が届きました」
「ありがとう」
私は受け取り中を確認する。
「返答が早かったわね」
「何の返答ですか?」
「陛下と宰相に商会の経営者として交渉をね。その返答よ」
「何と書かれてましたか?」
「商会の経営者としてチャーリーのこの国への立ち入りを許可する。ですって。 もう少し揉めるかと思ってたんだけど、案外早かったわ」
「何と言ったのですか?」
「うん? 現経営者として次期経営者のこの国への出入りを認めなければ商会は退くって」
「それは強制に近くありませんか?」
「確かにね。だけど商会に勤めてる従業員でこの国にどうしても留まりたいって言う者達が何人いると思う? 留まりたいって言う者達には別の職を探すし、家族と共に他国へ渡ると言うなら家族の補償もするわ。
他国でもミリー商会の事は耳に入ってるはずよ? 慈善事業と主とする平民を護る商会ってね。 この国へ納めてた寄付を他国へ納めれば快く歓迎してくれるわ」
「確かにそうですね」
「この国だって商会からの多額の税と寄付をみすみす手放す事なんて出来ないはずよ」
「ですが、公爵家が何と言うか」
「確かに問題はそこね。それ等を話合って出した結果でしょ?文句は言わせないわ。もし文句を言ってきたら潔く退くわよ」
「そうですね」
暫くし、執務室の扉が勢いよく開いた。
「グレン、お前という奴はノックもできんのか」
「親父、それどころじゃないんだよ」
「何、またサラが来たの?」
「それよりも厄介な奴だ」
「誰?」
「元婚約者」
「ジェフ様?」
「ああ。今門の所で騎士達と揉めてる」
「帰って貰って。もう関係ない人よ」
「何度もそう言ってるんだが」
「聞く耳持たない所はサラと一緒ね。次男次女ってそんなのばっかりなのかしら」
「それは個人の性格だろ。それよりどうする?」
「伯爵家から籍を抜かれ平民になったジェフ様と伯爵家とは関係ないとはいえ一応連絡だけ入れましょう。騎士団の方達へ応援要請も時と場合によって出すわ」
「時と場合か?」
「伯爵家が関与しないと宣言したらこちらも迷わず騎士団へ要請するわ」
「分かった。ならとりあえず騎士達には頑張って貰って、その間に伯爵家へ行ってくるよ」
「手紙書くから良いわよ?」
「それまで騒がせておくのか?走った方が早い」
「確かに。先触れが出せない旨を書くから門番に見せて」
「分かった」
私は緊急の為、先触れを出せない謝罪とジェフ様の状況と急ぎ返答を求める手紙を書きグレンに渡した。 グレンは急いで伯爵家へ向かった。
「厄介な人」
「本当です」
「返答次第では騎士団へ連絡お願いね」
「お嬢様は会われるのですか?」
「会わずに済むなら会いたくないわね。このまま引き下がってくれる事を願うわ」
「全くです」
暫くしてグレンが戻って来て、
「伯爵家から騎士達も一緒に来て、無理矢理馬車に乗せて帰って行ったよ」
「そう。ありがとう」
「伯爵当主も申し訳ないって。後日謝罪文を送るって言ってたぞ? 一筆書く時間があるなら急ぎあの男を回収した方がいいって判断したみたいだ」
「適切な判断よね。侯爵家にも迷惑をかけるし、伯爵家の恥にもなるもの。平民になっても手がかかる者を持つと大変だわ」
「お互いにな」
「本当にそれよ。サラは今の所おとなしいのが救いだわ」
「だな」
「問題は直に帰って来るあの人達ね。お祖父様が何とかしてくれるとは思うけど」
「爺さんなら大丈夫だろ」
「そういえばお祖父様は?」
「爺さんなら婆さんの所に帰った。また直ぐ戻ってくるってよ。手続きは終わったしな」
「そうね」
数日間静かな日を過ごし、伯爵家から謝罪文と今後ジェフ様が近づかない様に厳しく言い聞かせたと書かれていた。もしまた迷惑をかける様ならその時は伯爵家と関係ない人間の為、騎士団へ捕縛して貰って構わないと。
商会からサラの彼の髪飾りを数個届き、ディーナからの手紙には返答が欲しいと書いてあった。
グレンと髪飾りを見つめ、
「迷うわね」
「出来が良くないのか?」
「出来ね…。 出来は普通。可もなく不可もなくって感じね」
「それは手を引くって事か?」
「それも頭にはある。ただね………」
「サラは今の所ヒロインとやらになって頑張ってるんだろ? なら手を引いても良いんじゃないか?」
「そうね……」
「爺さんか?」
「お祖父様は多分大丈夫だと思う」
「なら?」
「迷うのよ。作り方は丁寧、だけど雑に見える。多分昼間作って夜は酒場へ働きに行くから、どうしても慌てて作るから雑になるのかもね?」
「あ~、今は昼間も働いてるみたいだぞ?」
「そうなの?」
「夜働くだけでは暮らして行けないなら昼間も働くしかないだろ?」
「サラは?」
「今は家の事だけだな」
「そう。なら寝る間も惜しんで作ってるのかしらね」
「だろうな」
「デザインは何とでもなるけど、細かい所が丁寧に出来る人は今後も丁寧に出来るわ」
「出来てるのか?」
「ええ」
私はディーナに少し様子見をする旨と、商会の管理する作業室で作る事が可能か書いて手紙をグレンに渡した。
2日後、
「お嬢様、王宮より書簡が届きました」
「ありがとう」
私は受け取り中を確認する。
「返答が早かったわね」
「何の返答ですか?」
「陛下と宰相に商会の経営者として交渉をね。その返答よ」
「何と書かれてましたか?」
「商会の経営者としてチャーリーのこの国への立ち入りを許可する。ですって。 もう少し揉めるかと思ってたんだけど、案外早かったわ」
「何と言ったのですか?」
「うん? 現経営者として次期経営者のこの国への出入りを認めなければ商会は退くって」
「それは強制に近くありませんか?」
「確かにね。だけど商会に勤めてる従業員でこの国にどうしても留まりたいって言う者達が何人いると思う? 留まりたいって言う者達には別の職を探すし、家族と共に他国へ渡ると言うなら家族の補償もするわ。
他国でもミリー商会の事は耳に入ってるはずよ? 慈善事業と主とする平民を護る商会ってね。 この国へ納めてた寄付を他国へ納めれば快く歓迎してくれるわ」
「確かにそうですね」
「この国だって商会からの多額の税と寄付をみすみす手放す事なんて出来ないはずよ」
「ですが、公爵家が何と言うか」
「確かに問題はそこね。それ等を話合って出した結果でしょ?文句は言わせないわ。もし文句を言ってきたら潔く退くわよ」
「そうですね」
暫くし、執務室の扉が勢いよく開いた。
「グレン、お前という奴はノックもできんのか」
「親父、それどころじゃないんだよ」
「何、またサラが来たの?」
「それよりも厄介な奴だ」
「誰?」
「元婚約者」
「ジェフ様?」
「ああ。今門の所で騎士達と揉めてる」
「帰って貰って。もう関係ない人よ」
「何度もそう言ってるんだが」
「聞く耳持たない所はサラと一緒ね。次男次女ってそんなのばっかりなのかしら」
「それは個人の性格だろ。それよりどうする?」
「伯爵家から籍を抜かれ平民になったジェフ様と伯爵家とは関係ないとはいえ一応連絡だけ入れましょう。騎士団の方達へ応援要請も時と場合によって出すわ」
「時と場合か?」
「伯爵家が関与しないと宣言したらこちらも迷わず騎士団へ要請するわ」
「分かった。ならとりあえず騎士達には頑張って貰って、その間に伯爵家へ行ってくるよ」
「手紙書くから良いわよ?」
「それまで騒がせておくのか?走った方が早い」
「確かに。先触れが出せない旨を書くから門番に見せて」
「分かった」
私は緊急の為、先触れを出せない謝罪とジェフ様の状況と急ぎ返答を求める手紙を書きグレンに渡した。 グレンは急いで伯爵家へ向かった。
「厄介な人」
「本当です」
「返答次第では騎士団へ連絡お願いね」
「お嬢様は会われるのですか?」
「会わずに済むなら会いたくないわね。このまま引き下がってくれる事を願うわ」
「全くです」
暫くしてグレンが戻って来て、
「伯爵家から騎士達も一緒に来て、無理矢理馬車に乗せて帰って行ったよ」
「そう。ありがとう」
「伯爵当主も申し訳ないって。後日謝罪文を送るって言ってたぞ? 一筆書く時間があるなら急ぎあの男を回収した方がいいって判断したみたいだ」
「適切な判断よね。侯爵家にも迷惑をかけるし、伯爵家の恥にもなるもの。平民になっても手がかかる者を持つと大変だわ」
「お互いにな」
「本当にそれよ。サラは今の所おとなしいのが救いだわ」
「だな」
「問題は直に帰って来るあの人達ね。お祖父様が何とかしてくれるとは思うけど」
「爺さんなら大丈夫だろ」
「そういえばお祖父様は?」
「爺さんなら婆さんの所に帰った。また直ぐ戻ってくるってよ。手続きは終わったしな」
「そうね」
数日間静かな日を過ごし、伯爵家から謝罪文と今後ジェフ様が近づかない様に厳しく言い聞かせたと書かれていた。もしまた迷惑をかける様ならその時は伯爵家と関係ない人間の為、騎士団へ捕縛して貰って構わないと。
商会からサラの彼の髪飾りを数個届き、ディーナからの手紙には返答が欲しいと書いてあった。
グレンと髪飾りを見つめ、
「迷うわね」
「出来が良くないのか?」
「出来ね…。 出来は普通。可もなく不可もなくって感じね」
「それは手を引くって事か?」
「それも頭にはある。ただね………」
「サラは今の所ヒロインとやらになって頑張ってるんだろ? なら手を引いても良いんじゃないか?」
「そうね……」
「爺さんか?」
「お祖父様は多分大丈夫だと思う」
「なら?」
「迷うのよ。作り方は丁寧、だけど雑に見える。多分昼間作って夜は酒場へ働きに行くから、どうしても慌てて作るから雑になるのかもね?」
「あ~、今は昼間も働いてるみたいだぞ?」
「そうなの?」
「夜働くだけでは暮らして行けないなら昼間も働くしかないだろ?」
「サラは?」
「今は家の事だけだな」
「そう。なら寝る間も惜しんで作ってるのかしらね」
「だろうな」
「デザインは何とでもなるけど、細かい所が丁寧に出来る人は今後も丁寧に出来るわ」
「出来てるのか?」
「ええ」
私はディーナに少し様子見をする旨と、商会の管理する作業室で作る事が可能か書いて手紙をグレンに渡した。
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