43 / 187
42
しおりを挟む
コンコン
「エミー少し良いか?」
「グレン?入って~」
商会に手紙を届けに行ったグレンが帰って来て、執務室に入って来た。グレンの顔色は悪く真剣な顔をしていて、後ろには顔を黒色のローブで隠した人が居た。
「グレン?大丈夫? 誰?」
「エミー……」
「グレンから離れなさい!早く!」
私は大声を出した。
「エミー落ち着け」
「でも、グレンが……。グレンから離れて!」
ローブを被った人がグレンの前に出て来て、被ってたローブを脱いだ。
「チャーリー?チャーリーなの?」
「ああ」
4年ぶりに見たチャーリーは少し雰囲気が変わっていて、少し不機嫌そうだった。
「チャーリー、どうしたの?何かあったの?」
「何かあっただと?」
「え?何?」
「お前は……お前は何をしたんだ!」
チャーリーは怒りながら机に手紙を置いた。
「何?」
「これは何だ」
私は手紙を読んだ。
「これは……」
「どういうつもりだ!」
手紙は陛下直筆のチャーリーがミリー商会経営者としてこの国の立ち入りを許可すると書いてある手紙で陛下と宰相の直筆のサインもしてあった。
「そのままの意味よ」
グレンも手紙を読み、
「エミー、これは……」
「グレン、ジムを呼んで来て。書類も一緒に持って来てって伝えて」
「エミー大丈夫か? その二人きりにさせて」
「大丈夫。少し二人きりにして。行って」
グレンはジムを探しに部屋を出て行った。
「エミリーヌ嬢、これはどういう意味だ」
「そのままの意味よ」
「俺がいつ経営者になった」
「後は貴方のサインだけよ。手続きは済んでる」
「誰が頼んだ」
「私の我儘よ」
「誰がこの国へ来たいと言った」
「私が帰って来て欲しいと思ったから」
「余計な事をするな」
「余計?何が余計なの?」
「ミリー商会はエミリーヌ嬢の商会だ。俺は代表で良いと言ったはずだ」
「私が貴方にミリー商店を頼んだ時、貴方には断られたわね」
「ああその通りだ」
「私はあくまで商店の権利の話をしたまでよ」
「商店が商会になった。ただそれだけだろ?権利は変わらない」
「商会になっただけ? 何を言ってるの? 商店を商会にしたのは貴方。 ここまで大きな商会にしたのも貴方。 商会の評判を上げたのも貴方。 支店を増やしたのも貴方。 貴方の努力の賜物で出来上がった商会なの。そこに私の努力は何一つ入ってないわ」
「エミリーヌ嬢が俺に託した商店だったろ?」
「そう。貴方を信じて託し、貴方の好きな様に経営して欲しいと思った。 私が貴方を探してた時、私に貴方の人生を預けてくれないと言ったわ。覚えてる?」
「ああ」
「私は貴方の人生を縛り付けたの。私の代わりに商店を経営する人として。 あの時、商店にはアンネとリンが居たわ。貴方に私の代わりに2人の人生を背負わせたの。2人の生活だけは護ってと言って。
私も貴方の元婚約者と一緒なのよ。
貴方の人生を縛り付け、代わりに働かせる。
下僕の様に奴隷の様に人としての尊厳を見ない振りしてね」
「エミリーヌ嬢と元婚約者は違う」
「一緒よ。貴方がどん底の時に甘い文句で誘っただけ。元婚約者よりも私の方がたちが悪いわ」
「俺がどん底の時に甘い文句で誘っただけ? そのどん底の時、誰が俺を救ってくれた?誰が俺に手を差し伸べてくれた? 甘い文句?国外追放されてる身に隣国で働く場所を提供してくれるのが甘い文句なのか? 俺の人生を縛った?どうせ捨てようとした人生だ。
俺を助け出してくれたのはエミリーヌ嬢だ。
働く場所を貰って、一緒に過ごす従業員も与えて貰って、着る物も食べ物も住む所もそれにお金までも与えて貰った。 そもそも俺は道端に野垂れ死ぬはずだった。 俺に生きる事を生き甲斐を与えてくれたのはエミリーヌ嬢だ」
「それでも私は自分の為に貴方を下僕の様に奴隷の様に扱った事には変わらないわ」
「下僕?奴隷?笑わせるな。下僕や奴隷と思ってる奴に自分の商店を預けるか?自分が大事にしてる従業員を預けるのか?
俺は好きな様に経営して良いと言われた。だから好きな様に経営した。 自分の好きな様に経営したら従業員が増えた。増えたから商会にした。 商会の評判は腕の良いアンネやリンのお陰だ。 この国に支店を出したのだってその方が都合が良かっただけだ。 俺だって別に商会の力になってない」
「何を言ってるの? 腕の良いデザイナーがいようがお針子がいようが、それ等を売り込みしなければアンネやリンの才能は埋もれてた。 商会は確かに腕の良い職人が居て初めて成り立つ。だけどね、腕の良い職人だけ居ても、売り込みしお金を稼ぎ出さないと成り立たないの。
地盤もツテも何も無い状態で一から築き上げる事がどれ程大変だと思うの? それを貴方は一から築き上げ、小さな商店を大きな商会にした。
それは貴方の努力よ。
私は名だけの経営者。貴方に預けて何もしてない経営者。 私は貴方の努力と功績に対する対価としてミリー商会の権利を貴方に渡したいの」
「エミー少し良いか?」
「グレン?入って~」
商会に手紙を届けに行ったグレンが帰って来て、執務室に入って来た。グレンの顔色は悪く真剣な顔をしていて、後ろには顔を黒色のローブで隠した人が居た。
「グレン?大丈夫? 誰?」
「エミー……」
「グレンから離れなさい!早く!」
私は大声を出した。
「エミー落ち着け」
「でも、グレンが……。グレンから離れて!」
ローブを被った人がグレンの前に出て来て、被ってたローブを脱いだ。
「チャーリー?チャーリーなの?」
「ああ」
4年ぶりに見たチャーリーは少し雰囲気が変わっていて、少し不機嫌そうだった。
「チャーリー、どうしたの?何かあったの?」
「何かあっただと?」
「え?何?」
「お前は……お前は何をしたんだ!」
チャーリーは怒りながら机に手紙を置いた。
「何?」
「これは何だ」
私は手紙を読んだ。
「これは……」
「どういうつもりだ!」
手紙は陛下直筆のチャーリーがミリー商会経営者としてこの国の立ち入りを許可すると書いてある手紙で陛下と宰相の直筆のサインもしてあった。
「そのままの意味よ」
グレンも手紙を読み、
「エミー、これは……」
「グレン、ジムを呼んで来て。書類も一緒に持って来てって伝えて」
「エミー大丈夫か? その二人きりにさせて」
「大丈夫。少し二人きりにして。行って」
グレンはジムを探しに部屋を出て行った。
「エミリーヌ嬢、これはどういう意味だ」
「そのままの意味よ」
「俺がいつ経営者になった」
「後は貴方のサインだけよ。手続きは済んでる」
「誰が頼んだ」
「私の我儘よ」
「誰がこの国へ来たいと言った」
「私が帰って来て欲しいと思ったから」
「余計な事をするな」
「余計?何が余計なの?」
「ミリー商会はエミリーヌ嬢の商会だ。俺は代表で良いと言ったはずだ」
「私が貴方にミリー商店を頼んだ時、貴方には断られたわね」
「ああその通りだ」
「私はあくまで商店の権利の話をしたまでよ」
「商店が商会になった。ただそれだけだろ?権利は変わらない」
「商会になっただけ? 何を言ってるの? 商店を商会にしたのは貴方。 ここまで大きな商会にしたのも貴方。 商会の評判を上げたのも貴方。 支店を増やしたのも貴方。 貴方の努力の賜物で出来上がった商会なの。そこに私の努力は何一つ入ってないわ」
「エミリーヌ嬢が俺に託した商店だったろ?」
「そう。貴方を信じて託し、貴方の好きな様に経営して欲しいと思った。 私が貴方を探してた時、私に貴方の人生を預けてくれないと言ったわ。覚えてる?」
「ああ」
「私は貴方の人生を縛り付けたの。私の代わりに商店を経営する人として。 あの時、商店にはアンネとリンが居たわ。貴方に私の代わりに2人の人生を背負わせたの。2人の生活だけは護ってと言って。
私も貴方の元婚約者と一緒なのよ。
貴方の人生を縛り付け、代わりに働かせる。
下僕の様に奴隷の様に人としての尊厳を見ない振りしてね」
「エミリーヌ嬢と元婚約者は違う」
「一緒よ。貴方がどん底の時に甘い文句で誘っただけ。元婚約者よりも私の方がたちが悪いわ」
「俺がどん底の時に甘い文句で誘っただけ? そのどん底の時、誰が俺を救ってくれた?誰が俺に手を差し伸べてくれた? 甘い文句?国外追放されてる身に隣国で働く場所を提供してくれるのが甘い文句なのか? 俺の人生を縛った?どうせ捨てようとした人生だ。
俺を助け出してくれたのはエミリーヌ嬢だ。
働く場所を貰って、一緒に過ごす従業員も与えて貰って、着る物も食べ物も住む所もそれにお金までも与えて貰った。 そもそも俺は道端に野垂れ死ぬはずだった。 俺に生きる事を生き甲斐を与えてくれたのはエミリーヌ嬢だ」
「それでも私は自分の為に貴方を下僕の様に奴隷の様に扱った事には変わらないわ」
「下僕?奴隷?笑わせるな。下僕や奴隷と思ってる奴に自分の商店を預けるか?自分が大事にしてる従業員を預けるのか?
俺は好きな様に経営して良いと言われた。だから好きな様に経営した。 自分の好きな様に経営したら従業員が増えた。増えたから商会にした。 商会の評判は腕の良いアンネやリンのお陰だ。 この国に支店を出したのだってその方が都合が良かっただけだ。 俺だって別に商会の力になってない」
「何を言ってるの? 腕の良いデザイナーがいようがお針子がいようが、それ等を売り込みしなければアンネやリンの才能は埋もれてた。 商会は確かに腕の良い職人が居て初めて成り立つ。だけどね、腕の良い職人だけ居ても、売り込みしお金を稼ぎ出さないと成り立たないの。
地盤もツテも何も無い状態で一から築き上げる事がどれ程大変だと思うの? それを貴方は一から築き上げ、小さな商店を大きな商会にした。
それは貴方の努力よ。
私は名だけの経営者。貴方に預けて何もしてない経営者。 私は貴方の努力と功績に対する対価としてミリー商会の権利を貴方に渡したいの」
182
お気に入りに追加
2,394
あなたにおすすめの小説
妹に婚約者を奪われたけど、婚約者の兄に拾われて幸せになる
ワールド
恋愛
妹のリリアナは私より可愛い。それに才色兼備で姉である私は公爵家の中で落ちこぼれだった。
でも、愛する婚約者マルナールがいるからリリアナや家族からの視線に耐えられた。
しかし、ある日リリアナに婚約者を奪われてしまう。
「すまん、別れてくれ」
「私の方が好きなんですって? お姉さま」
「お前はもういらない」
様々な人からの裏切りと告白で私は公爵家を追放された。
それは終わりであり始まりだった。
路頭に迷っていると、とても爽やかな顔立ちをした公爵に。
「なんだ? この可愛い……女性は?」
私は拾われた。そして、ここから逆襲が始まった。
【完結】「君を愛することはない」と言われた公爵令嬢は思い出の夜を繰り返す
おのまとぺ
恋愛
「君を愛することはない!」
鳴り響く鐘の音の中で、三年の婚約期間の末に結ばれるはずだったマルクス様は高らかに宣言しました。隣には彼の義理の妹シシーがピッタリとくっついています。私は笑顔で「承知いたしました」と答え、ガラスの靴を脱ぎ捨てて、一目散に式場の扉へと走り出しました。
え?悲しくないのかですって?
そんなこと思うわけないじゃないですか。だって、私はこの三年間、一度たりとも彼を愛したことなどなかったのですから。私が本当に愛していたのはーーー
◇よくある婚約破棄
◇元サヤはないです
◇タグは増えたりします
◇薬物などの危険物が少し登場します
全てを捨てて、わたしらしく生きていきます。
彩華(あやはな)
恋愛
3年前にリゼッタお姉様が風邪で死んだ後、お姉様の婚約者であるバルト様と結婚したわたし、サリーナ。バルト様はお姉様の事を愛していたため、わたしに愛情を向けることはなかった。じっと耐えた3年間。でも、人との出会いはわたしを変えていく。自由になるために全てを捨てる覚悟を決め、わたしはわたしらしく生きる事を決意する。
理想の女性を見つけた時には、運命の人を愛人にして白い結婚を宣言していました
ぺきぺき
恋愛
王家の次男として生まれたヨーゼフには幼い頃から決められていた婚約者がいた。兄の補佐として育てられ、兄の息子が立太子した後には臣籍降下し大公になるよていだった。
このヨーゼフ、優秀な頭脳を持ち、立派な大公となることが期待されていたが、幼い頃に見た絵本のお姫様を理想の女性として探し続けているという残念なところがあった。
そしてついに貴族学園で絵本のお姫様とそっくりな令嬢に出会う。
ーーーー
若気の至りでやらかしたことに苦しめられる主人公が最後になんとか幸せになる話。
作者別作品『二人のエリーと遅れてあらわれるヒーローたち』のスピンオフになっていますが、単体でも読めます。
完結まで執筆済み。毎日四話更新で4/24に完結予定。
第一章 無計画な婚約破棄
第二章 無計画な白い結婚
第三章 無計画な告白
第四章 無計画なプロポーズ
第五章 無計画な真実の愛
エピローグ
公爵令嬢の辿る道
ヤマナ
恋愛
公爵令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフは、迎えた5度目の生に絶望した。
家族にも、付き合いのあるお友達にも、慕っていた使用人にも、思い人にも、誰からも愛されなかったエリーナは罪を犯して投獄されて凍死した。
それから生を繰り返して、その度に自業自得で凄惨な末路を迎え続けたエリーナは、やがて自分を取り巻いていたもの全てからの愛を諦めた。
これは、愛されず、しかし愛を求めて果てた少女の、その先の話。
※暇な時にちょこちょこ書いている程度なので、内容はともかく出来についてはご了承ください。
追記
六十五話以降、タイトルの頭に『※』が付いているお話は、流血表現やグロ表現がございますので、閲覧の際はお気を付けください。
恋した殿下、あなたに捨てられることにします〜魔力を失ったのに、なかなか婚約解消にいきません〜
百門一新
恋愛
魔力量、国内第二位で王子様の婚約者になった私。けれど、恋をしたその人は、魔法を使う才能もなく幼い頃に大怪我をした私を認めておらず、――そして結婚できる年齢になった私を、運命はあざ笑うかのように、彼に相応しい可愛い伯爵令嬢を寄こした。想うことにも疲れ果てた私は、彼への想いを捨て、彼のいない国に嫁ぐべく。だから、この魔力を捨てます――。
※「小説家になろう」、「カクヨム」でも掲載
【完結】妹に全部奪われたので、公爵令息は私がもらってもいいですよね。
曽根原ツタ
恋愛
ルサレテには完璧な妹ペトロニラがいた。彼女は勉強ができて刺繍も上手。美しくて、優しい、皆からの人気者だった。
ある日、ルサレテが公爵令息と話しただけで彼女の嫉妬を買い、階段から突き落とされる。咄嗟にペトロニラの腕を掴んだため、ふたり一緒に転落した。
その後ペトロニラは、階段から突き落とそうとしたのはルサレテだと嘘をつき、婚約者と家族を奪い、意地悪な姉に仕立てた。
ルサレテは、妹に全てを奪われたが、妹が慕う公爵令息を味方にすることを決意して……?
妹に全部取られたけど、幸せ確定の私は「ざまぁ」なんてしない!
石のやっさん
恋愛
マリアはドレーク伯爵家の長女で、ドリアーク伯爵家のフリードと婚約していた。
だが、パーティ会場で一方的に婚約を解消させられる。
しかも新たな婚約者は妹のロゼ。
誰が見てもそれは陥れられた物である事は明らかだった。
だが、敢えて反論もせずにそのまま受け入れた。
それはマリアにとって実にどうでも良い事だったからだ。
主人公は何も「ざまぁ」はしません(正当性の主張はしますが)ですが...二人は。
婚約破棄をすれば、本来なら、こうなるのでは、そんな感じで書いてみました。
この作品は昔の方が良いという感想があったのでそのまま残し。
これに追加して書いていきます。
新しい作品では
①主人公の感情が薄い
②視点変更で読みずらい
というご指摘がありましたので、以上2点の修正はこちらでしながら書いてみます。
見比べて見るのも面白いかも知れません。
ご迷惑をお掛けいたしました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる