勘違いから始まる吸血姫と聖騎士の珍道中

一色孝太郎

文字の大きさ
256 / 625
動乱の故郷

第六章第29話 森の調査

しおりを挟む
2020/09/16 不正確な表現を修正しました
2020/09/26 誤字を修正しました
================

「それではよろしくお願いします」
「はっ」

私の言葉に短くそう答えてくれたのは第二騎士団の期待のホープ、アロイス・バルディリビアさん 18 歳だ。

金髪碧眼の超絶イケメンの、いわゆる少女漫画にでも出てきそうな騎士様だ。ただし白馬には乗っていない。

なんでもホワイトムーン王国南西部にあるロンべリア半島、その中でも辺境にある男爵家の三男なのだそうだが、16 歳で家を出て騎士団の見習いとなり、そして僅か 2 年で小隊長に登りつめたらしい。

クリスさんのような例外を除けばかなり出世は早い方で、男爵家出身者としては事実上の最高ポストである中隊長にもあと何年かで手が届くのではないかと言われているそうだ。

軍隊の指揮官を身分で選ぶなんてどうかとは思うが、上位貴族の子息は身分を理由に従わなかったりするそうなのでこれはこれで仕方ないことなのだそうだ。

さて、今はいらない人を野戦病院から追い出した翌朝だ。

怪我人を全員退院させて暇になったので、私たちも森の様子の確認がてら軽く南の森の魔物の討伐に向かうというわけだ。

ただ、気を利かせてくれたのか私たちの誰かが怪我をするという事態に陥った際の責任逃れなのかは分からないが 30 人ほどの小隊が一つくっついてきたのだ。

そしてその小隊の隊長がこのアロイスさんというわけだ。

いらないって言ったんだけどね。はぁ。

「聖女様、まずは斥候を出して探らせるのがよろしいかと存じます」

アロイスさんはごくごく常識的な助言をしてくるが、うちにはルーちゃんがいるのでその常識とは外れた行動を取れる。

「いえ、私たちにはルミアがいますのでその必要はありません。では、ルーちゃん、お願いしますね」
「はいっ」

そうしてルーちゃんが精霊の助けを借りると森が道を開け、私たちを奥へ奥へといざなってくれる。

「なっ、これが聖女様の……従者……」

アロイスさんが驚いている。この辺りはカルヴァラの国境警備隊の人たちと同じだ。まあ、エルフと一緒に行動する機会なんてまずないだろうから驚くのも無理はないのかもしれない。

「むぅ、この森、魔物だらけです。姉さま、右から来ますっ!」
「聖女様、お任せ――」
「マシロっ!」

ルーちゃんがそういった瞬間、以前よりもかなり大きくなったマシロちゃんが出現して風の刃を右の藪に打ち込む。

「ギャアアアア」

悲鳴が聞こえ、そして静かになる。

「害獣が 3 匹でしたっ!」

ルーちゃんがそう言ったのを聞いた騎士の皆さんが右の藪を確認し、ゴブリンが三匹倒されていることを確認してきた。

「こ、これが聖女様の従者……」

アロイスさんがまたもや驚愕している。

そういえば、カルヴァラでも似たような光景を見た気がするね。

こうして私たちは森の奥へ奥へと進んでいったのだった。

****

「聖女様、そろそろ正午でございます。お戻りをお考え頂いた方がよろしいかと存じます」

私たちが歩いているとアロイスさんがそう教えてくれる。どうやら森に入ってから大体 3 ~ 4 時間くらいが経ったようだ。

森の中に入ってからというもの、5 ~ 10 分に一回くらいのペースで魔物に襲われている気がする。一番多いのは害獣ことゴブリンで、フォレストウルフ、ビッグボアーが主だ。たまにオークもいるが、チィーティェンの時のように上位種のいる集団には今のところ出くわしていない。

「そうですね。大体どんな感じなのかは分かりましたし、お弁当を食べたら帰ることにしましょう」

ピクニックにしてはずいぶんと血生臭かったが、森の様子も何となく分かったので初日の成果としては上々だろう。

私は適当な場所を探して腰を降ろすと、マンテーニ子爵が持たせてくれた特製サンドイッチを収納から取り出そうとした、ちょうどその時だった。

「姉さまっ! あっちで戦闘がっ!」

それを聞いた瞬間私たちは弾かれたように駆けだす。そしてそんな私たちの様子に気付いたアロイスさんたちが大分遅れて追いかけてくる。

「あれは! フィーネ様、あれはオーガです」

茂みをいくつか潜り抜けた先にほんの少し開けた場所があり、そこには角を生やした 4 ~ 5  メートルほどの大きさはあろうかという巨人が 3 体、人間の集団と戦闘になっていたようだ。

なっていた、というのは、すでに動いている者は誰もいなかったからだ。そこにあるのはすでにオーガ達に殴られて潰された肉の破片か血だまりばかりだ。

凄惨な光景に眉をひそめていると、まだ動くものを発見した。

「ひっ、あ、あ、あ゛……」

わたし達から一番遠い場所にいるオーガの口元だ。仮面? のようなものを被って全身をマントで覆った人間のお尻から上がその口から覗いている。

右足はオーガに捕まれており、恐らく足を捕まれて口まで運ばれたのだろう。

大きさと声からして恐らく女の人だろう。

ぶちり

まるで噛み切れない肉を無理矢理千切るかのようにオーガは力ずくでその右足を引っ張り、そして引きちぎった。

「え゛……お゛……」

オーガの顔面が返り血で真っ赤に染まり、そして声はしなくなった。

「拙者が!」

シズクさんが飛び出すと手前にいる二体のオーガの片足をそれぞれ斬り飛ばしてその動きを封じ、さらに奥のオーガへと迫る。私たちはシズクさんの意図を察知してすぐにその後を追う。

「その人を離すでござるっ!」

シズクさんは残る女性の胴体を食おうとしていたオーガの両足、両腕をそれぞれ一太刀で斬り飛ばした。オーガそのままぐらりと体勢を崩し、というか支えを失って地面に落下する。シズクさんはその崩れ落ちるオーガの首を一撃でね、足を食いちぎられた女性を救出した。

私たちはシズクさんが足を斬り飛ばして動きを封じたオーガにトドメを刺してからシズクさんと合流する。

「大丈夫ですか!」

私は地面に横たえられた女性に声を掛けるが返事はない。生きてはいるようだが気を失っている。

「せ、聖女様! っ! その状態ではっ! もう……」

追いついてきたアロイスさんがあまりの惨状に言葉を失う。左足の太ももから先が失われているだけではなくお腹からもかなり出血しており、これはどうやら何者かにナイフか何かで刺された傷のようだ。

「治癒!」

私は急いで治癒魔法を掛ける。足丸ごと一本とはいえ、これだけ時間の経っていない欠損なら【回復魔法】のレベル 6、いや 7 もあれば確実に再生できるはずだ。

女性の体が柔らかい光に包まれ、オーガに食いちぎられた左足が付け根からボコボコと再生していく。しかし、どうにも治癒魔法のかかりが悪い気がする。

「なっ、欠損が!?」

アロイスさんが何か言っているが今はどうでもいい。まずはこの人を治すことに集中するんだ!







そして数分で食いちぎられた左足は綺麗に再生された。その他にも打撲や骨折、それに何故かあった刺し傷も一緒に治ったはずだ。

しかし、これは一体どういうことだろう?

まず妙に MP を使わされてしまった。まるで穴が開いていてどこかに治癒魔法の魔力が抜けていっているような感じだ。

そしてもう一つ、何故か私の治癒魔法は未だに手応えがあるままなのだ。

私は一旦治癒魔法を止める。

「聖女様! お見事でございます。まさかあれほどの欠損を回復させてしまうとは」
「うーん、なんか変ですし、まだ終わっていないんですよね」

一命は取り留めたようで、顔色は悪いが命を落とすことはないだろう。レベル 7 相当で治らないとなると、欠損以上の重大な怪我ということになるだろう。

となると、脳とかかな?

だがここから先は勉強した書物にも何も書いていなかったので私もよく分からない。となると診察してみるしかないだろう。

私は女の人の服を脱がそうとしたところでふと視線を感じて手を止める。

「あの、アロイスさん? ちょっと外して貰えますか? 相手は女性ですので」
「っ! も、申し訳ありませんっ!」

弾かれたようにアロイスさんはわたし達から離れると、他の騎士たちに指示を出して周囲を警戒させる。

「じゃあ、結界」

私は外からの視線を遮るようにして結界を張り、仮面を取る。

「っ! これはっ!」

その仮面の下から現れたのは何かに引っかかれたような大きな傷痕で、その傷で左目を失ったのだろう。さらにその傷の周りには無数の火傷があり、皮膚がケロイド状になっている。

「ひ、酷い。どうしてこんなことに……」

さらにその人の服装はボロボロで、下手をすると数週間は洗っていないのではないかと思われる異臭を漂わせている。

ただ、その首にはボロボロの服装には似合わない金色のチョーカーがつけられている。いや、これはチョーカーというよりも首輪と言った方が良い太さかもしれない。

正面には大きな赤い宝石があしらわれている。細かい彫刻も施されており、これはこれでかなりの高級品に見える。

私はそのボロボロの服を脱がせて全身を確認する。するとその全身にも凄惨な傷痕が残されていた。

引っかかれたような顔面の傷は体にも続いており、それが胸から腰にまで達している。そして更に全身には火傷の跡、切り傷の跡が残されており、傷ついていない場所は服から出ている手の先くらいだ。さらにその体はガリガリに痩せており、十分な栄養も取れないままにこの危険な森へと入ったことがうかがえる。

「一体何なんですか? なんでこんなことに?」
「いくらハンターが怪我を負うことは自己責任とはいえ、これにはさすがに酷いですね。いや、だがこの傷は? 一体何故?」

クリスさんは沈痛な面持ちでそう言った。

「これは戦いで負った傷ではござらんな」
「あの、姉さま、こういう人、その、あたしが捕まっている時、他の捕まっている人で……」

シズクさんは眉をひそめてそう言い、ルーちゃんはか細い声で私にそう伝えてきた。どうやら奴隷として捕まっている時にこういう傷を負った奴隷がいたらしい。

「フィーネ様、シズク殿の言う通り、戦いでこのような傷を負うとは考えにくいです。それに、この女の装備は戦うためのものではありません」

クリスさんもそれに同意する。

「ということは、日常的に切られたり火傷したりしていた?」
「しかし、一体誰が何故そのようなことを?」
「うーん? でも女性の肌がこんなになってしまうのはかわいそうですよね。ちょっと臭いますし血糊で酷いことになっているのでまずは綺麗にして、それから治療しちゃいましょう」

私は洗浄魔法をかけてこの女性を綺麗にすると、フルパワーの治癒魔法をかける。

洗浄魔法の時は何も感じなかったが、治癒魔法はまるでバケツに穴が開いているかのように魔力が失われ、十分な効果を発揮してくれない。

「ううん、何かに私の治癒魔法が邪魔されているみたいなんですよね」

一度魔法を止め、【魔力操作】で【回復魔法】の魔力を操作してこの女性をじっくりと診察していく。女性の体に治癒魔法として流し込まれた私の魔力がその体を巡っていき、そしてそれのかなりの部分がどこかに吸い込まれて消えていく。だが、【魔力操作】でまだ私のコントロール下にあるその魔力を追いかけることは可能だ。

魔力の行き先を慎重に探っていき、そして私はその行き先を見つけた。

「あ、これですね」

私はその女性が身につけている首輪を指さす。

「クリスさん、治療に必要なのでこの首輪を外してくれますか?」
「はい」

クリスさんは女性の頭を持ち上げて外そうとするが、手間取っているようで中々外せないでいる。

そしてクリスさんは私に顔を向けると首を横に振った。

「フィーネ様、この首輪には継ぎ目がありません。持ち主の意思で外せる物なのかもしれませんが、そうでないとするならば違法なアイテムです。これを装着させた者は処罰されます」
「違法なアイテムってことは、呪いのアイテムですかね? えい、解呪!」

私は解呪魔法をその首輪にかけて解呪を試みる。すると、パキンと軽い音を立てて首輪は宝石の部分から真っ二つに割れた。

宝石からは吸い込んだであろう魔力がじわじわと漏れているようだが、暴発するような気配はない。これなら、放っておいても危険はないだろう。

原因を取り除いた私はもう一度、今度はフルパワーで治癒魔法をかける。

眩いばかりの治癒の光がこの女性を包み込み、古傷が、傷痕が癒されていく。そして数分が経つとその女性の傷痕はすっかり綺麗に消えた。

「ふぅ」

私は一つ大きなため息をつくと親方と一緒に作った MP ポーションを口にした。MP 回復薬のあの不味い味は残っているものの、随分とマシになった上に飲む量も劇的に少なくて済む。

これは便利なものを手に入れたと私は心の中でガッツポーズをしたのだった。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  ブックマーク・評価、宜しくお願いします。

~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます

無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...