異世界アウトレンジ ーワイルドハンター、ギデ世界を狩るー

心絵マシテ

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二百三話

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 大元のもとで治療を受けること、三日。
 ようやく自力で歩行できるようになった。

「まだ、完治にはほど遠いから無茶をしないように。特に右腕は時間がかかる、良くなるまで使用してはいけないよ」

「分かっているつもりです。気晴らしに散歩して来ても良いですか?」

 早速、釘を刺されてしまった。
 ギデオンも身体が自由に動くことに感激すら覚えた。
 それと一緒に、体調管理の大切さも痛感した。
 とにかく、身動きが取れなかった分、今まで退屈で仕方がなかったのだ。

 なんせ、ずっと暗い洞穴ほらあなの中で、倒れていたんだ。外の情報がほとんど入ってこない。
 先生やシユウが、どうして洞窟暮らしをしているのか? 聞くには訊いた。
 二人ともに国の役人に歯向かい、この僻地に送りこまれてきたそうだ。
「住めば都」と先生はきっぱり告げたが、こんな原始的な暮らしが都になるはずもない。

 ギデオンがここ数日知りたかったのは、公国の動きだ。
 何故、カナッペを公国に連れ去ったのか? 腑に落ちない。
 勇士学校を脅迫するにしても、富豪や貴族の子供を狙えば済むはずだ。
 どうして民間の少女をターゲットにしたのか、街の人間たちの会話を聞けば、何か分かるはずだ。

 それにオッドたちの行方も気になる。ウネがいるから無事だとは思うが、できれば近場で合流したい……。
 様々な事を思いつつも、街へとくり出す。

 公国の街並みは、共和国と対照的に酷い有様だった。
 共和国が発展を象徴するのであれば、公国の街は衰退を意味とする。
 街全体がすでに荒廃していた。
 考えうる理由としては、飢饉が発生し、それをちゃんと管理してこなかった悪政のせいで市民たちが貧困に喘いでしまったことにある。
 圧倒的に物資が不足しているのにも関わらず。市民に対する誠実さは微塵も感じ取れない。
 聖王国も物価こそ高めだったが、ここまで国民を蔑ろにはしてこなかった。

 ここまで治安が悪いと、当然、街中で犯罪が横行する。
 路地裏でたむろする若い女たちがいた。向かいでは、柄の悪い男が話込んでいる。
 あれは薬の売人だ。別段、珍しいものでもない。
 どの街に行っても、ああいう光景には遭遇する。
 できるだけ目を合わせない方がいい、トラブルの元になるからだ。

「よう、兄ちゃん。俺たち、ちぃ~とばかし物入りで金が必要なんだ! 悪いけど貸してくんねぇかなぁ~」

 場合によっては……向かうから勝手にやってくる。
 お約束通り、すぐに悪漢三人に取り囲まれた。

「ちょうど、いい。僕も金銭を必要としていたところだ。なんせ、何の準備もなく公国入りしてしまったからな」

「はっ? 何、寝惚けてんだ? そんなボロボロの身体で何ができるってんだ!?」

「別に、お前達の相手をするのは僕ではない。相棒を紹介するよ……スコル、そこのお兄さんたちと遊んでやってくれ」

 こうしたトラブル発生時にやってはいけない事がある。
 まず、相手の要望には極力従わないこと。
 素直に従うのは捕獲されてからでいい。

 次に手心を加えること。
 中途半端に、追い払えば後で必ず報復してくる。
 この場合、迷惑この上ないから二度と来れないようにするか、徹底的な苦痛を与える。
 何事も効率よく済ませないといけない、ギデオンは、そう大人たちから教わった。

「ヒィイイイイイッ!! スンマセン、スンマセン、スンマセンでした!」

「おっ、俺たちが間違ってました、もう二度と悪さしないんで見逃してください!」

「お金なら差し上げます。手持ちはこんだけしかありませんがぁぁぁ……」

 まさか、街中で魔獣に襲われるとは夢にも思わなかっただろう。
 三人とも、目に涙をためて命乞いしてきた。
 うち、一人が両手に掴んだ札束をギデオンに向けて差し出した。
 それ見るなり、彼は左手でソレを叩き落とした。

「必要ない。大方、誰かから奪い取った金だろう。その汚れた金をお前達から受け取れば僕も共犯者になってしまうだろうが! 欲しいのはもっと、まとまった金額だ。その為の情報が欲しい。どこに行けば、大金を稼げるんだ?」

「すみません……それでしたら、二つ方法があります。運任せですが地下賭博で一山当てるか、冒険者ギルドで危険な仕事を得て地道に稼ぐぐらいですかね……もっとも、ライセンスがないと話になりませんが」

「冒険者ギルドだって! この街にもギルドがあるんだな!?」

「はい、もちろんです!!」

 ライセンスプレートを肌身離さず持っていて正解だった。
 共和国では、ナズィール地区にギルドがなかった為に依頼を受けることができなかったが、ここではそれが可能だ。
 ギデオンは、悪漢たちに案内されてギルド、呂下支部りょかしぶにやってきた。
 軒先にかかげてある紋章入りの看板が、これぞギルドだと物語っていた。
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