異世界アウトレンジ ーワイルドハンター、ギデ世界を狩るー

心絵マシテ

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百四十五話

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 一先ず、犯人の目星はついた。
 その事は、大変喜ばしいがそうもいかない。
 本番はここからだ。
 どうやって生徒会と事件の関連性を結びつけてゆくのか?
 未だ明確な証拠をつかんでいない以上は、単なる証言、机上の空論でしかない。
 物的証拠を押さえなければ、やはり決めてにかける。
 生徒会に詰め寄っただけでは結局、白を切られて終いになる。

 寺院を背にギデオンは一人、石畳の上を歩く。
 畳と畳の継ぎ目の合間を凝視してゆくと、パズルのピースに自分が乗っているような感覚を覚える。
 均等に引かれた縦横のラインの内、いずれかが正解に至るルートだと仮定すると、まさに今、その中を彷徨っている状態だ。
 ただ、不思議なことに継ぎ目を眺め続けていると自分だけのルートが開けてくる。
 溝となった部分しか進めはしないが、ゴールまで道のり自由に決められる。
 こんな風に事件も単純、解決すればいいが道は複雑で障害も多い。

 壁を取り払うには、人手が必要だ。
 ギデオンは、通信用の魔道具を取り出した。
 どうやら、先に向こうの方から連絡が入っていたようだ。
 回線を開き、そのまま相手方につなげる。

「こちらジェイク。そちらの様子はどうだ?」

「ああ。今は留置所からブロサッムを連れ出して、キンバリーの遺体を盗みだした輩を特定したところだ」

「犯人が分かったのか?」

「犯人は生徒会役員の連中だ、会長のバミューダを筆頭に何名か事件に関与している疑いがある」

「ほう……確か、君の同級生を捕まえた張本人たちだな。それで、私の力が必要になったと?」

「察しがいいな。確実な証拠がない以上、アンタの能力が必須だ。協力してくれるか?」

「見返りは求めるぞ! それで良いのなら引き受けよう」

 ギデオンはこれまでの出来事をジェイクに事細かく説明した。
 留置場での脱走劇。反政府組織との遭遇。犯人特定までの過程。
 そして……これから、ゴールデンパラシュートにどう動いてもらうのか伝えた。

 すべてを聞き終えジェイクは言った。
「こちらも、ガルベナールの計画について資料とデータはいくつか入手した。一度、合流したい」

「生徒会の件を片付けたらすぐに……。今は連中から追われている身だから、迂闊には動けない」

「了解した―――――」

 通信を終えるとギデオンは木陰にあったベンチに腰を下ろした。
 上々の成果だ。期待を大きく上回り、ジェイクたちもしっかり活躍してくれている。
 シオン賢者の妨害もなさそうな雰囲気ではある。
 ならば、今度はこちら側から仕掛ける番だ!!

「ギデです……実は折り入ってご相談が――――」


 *

 ギデオンたちが、留置所からナズィールに戻ってきた、丁度その頃。

 歓楽街の傍を占領する迎賓館でも変移が起きようとしていた。
 現在、迎賓館にいるのは、ガルベナール……に扮したシゼル。
 その侍女としてシルクエッタ。
 館内の警固はランドルフの部隊に一任されていた。
 その他には、ガルベナールに同行してきたスタッフと勇士学校関係者がちらほらいる。

「ランドルフさん、少しいいですか?」

「どうかなさいましたか?」

 迎賓館内部を巡回していると、シルクエッタが部屋の扉から顔をだしていた。

「少しの間、外出したいんですけどシゼルさんのことお願いできますか?」

「無論、構いませんが……理由を聞いても?」

「なんと言いますか、聖職者としての役目のようなものです」

 どことなく、歯切れの悪い回答に護衛長である彼はピクリと眉を動かした。
 彼女を疑っているわけではないが、どこかいつもとは違う。
 思えば、この時から、変化の兆しは訪れていた。
 気づけば事態を回避できたかもしれない。
 そう思ってしまうのはただの後悔であり、言い訳でしかない。

 カラン―――カラン――――

 シルクエッタを玄関まで見送った直後、不意に下駄の音が耳に入って来た。
 彼女と入れ替わるようにして玄関先に向かってきたのは、着流しに身を包んだ不審な男。
 躊躇わず本館の方へと入ろうとする様子は、どう見ても不自然極まりない。

「それ以上、近づくな! 身元を明かせ、でなければ切り捨てる!!」

 ランドルフがレイピアの柄を握ったまま、相手に警告を発した。
 男は、二ヤリと口元を歪めると彼の言葉を無視して接近してくる。

「こんな、朝っぱらからやり合うつもりか!!」

 レイピアを弾性を利用し弓なりとなった刀身が相手に懐に潜る。

 ガキィ――――ン!! 接触音とともに固い感触が腕に伝わってくる。

「いい加減にしろ!! 名ぐらい名乗ったらどうだ!? 貴様も剣士の端くれだろう!」

 その懐から飛びしていたのは漆黒の太刀だった。
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