126 / 549
百二十六話
しおりを挟む
「ひゅ~う。おっかねぇ―攻撃だな! だが、それでいい」
焦げついた掌を振るファルゴは、歓喜の口笛を鳴らす。
生粋のバトルジャンキ―、そうとしか言いようのない闘争心の塊に、つけ入る隙などあるのだろうか?
「ギデ君?」
彼の変化に、カナッペが真っ先に気づいた。
笑っていた……渾身の一撃をしのがれ、ジリ貧状態だというのにギデオン自身も、この状況を愉しんでいた。
「まったく、いつ以来だろうな……全力でやり合うのは」バハムートを解除しながら態勢をなおすハンター。
「へっ、テメェ―もイケる口か? これだ! 命を賭けて拳を振るうこの瞬間こそが、生を強く感じることができる」暴君は興奮冷めやらぬ様子で豪語する。
「そして拳をくらうことで、ソイツの生き様が伝わってくる。もっとも……そう易々、殴られるつもりもないがな」
「上々だ。弱肉強食なんて、原子的なもんじゃねぇー、闘争は火花だ!! 無味乾燥なセカイから脱するための唯一無二の方法。俺達から散らばる生命の火花こそが、モノクロの景色に彩りを与える!!」
二ッと口元を広げた、ファルゴがギデオンの視界から消えた。
「面倒な縮地法だな!」
「捉えたぜ、パルサーディノ二クス!!!」
捕食者が生爪をたてる。
命を刈り取ろうとする魔手から蒼白いプラズマが放出された。
槍の穂先のように細長く鋭い一撃がギデオンの後ろ首を串刺しにしようとする。
「ハイドアンドシーク」
敵の攻撃に合わせ、ハンターである彼は銃口を後ろに向け、即座にの左脇に差し込んだ。
ほんの一秒、手短なアクションとともに光弾が暴発しファルゴの視界を奪った。
「くううう!! 魔力の波長を狂わせたのか!?」
視覚情報を遮断したのにも関わらずプラズマの槍がギデオンの腕をかすめた。
切り裂かれる痛みよりも全身を貫く痺れに意識が飛びかけた。
それでも、力の限り両足で踏ん張り、ジャンクショットを撃ち込んだ。
何発も何発も、持てる力のすべてを弾丸に変換し近距離から発砲し続ける。
今しかなかった。ここでファルゴを倒せなければ、スコルの魔力が尽きてしまう。
「悪くない、悪くはないが……貧弱すぎて、眠くなるわ!!」
ハチの巣にされた常態でありながらもダイノハンマーが発動する。
振り落とされる拳、たった一発で形勢逆転した。
「ガハッ…………グウウウウウウゥ――――!!」苦痛にうめくギデオン。
全身、バラバラになりそうなほどの衝撃が襲ってきた。
膝を笑わせ、身体をふらつかせているトコロに、非情な頭突きが叩きつけられた。
トリケラホーン――頭蓋骨が粉々になりそうなほどの破壊力のまえには、誰しも無力に等しい。
意識混濁のまま、ギデオンは沈黙してしまった。
額から血を垂れ流したまま、仁王立ちになっている。
「足りねぇー!! 俺と小僧、テメェ―には大きく差がある。それが何か分かるか!? すべてを破壊しようとする重み厚みだ。人は無意識に制限をかける、それこそ自己保身のために! 防衛本能ではあるも、その線引きが限界突破の邪魔をしてくる……制限の中に埋もれているテメェ―も所詮は人の子だったということだ!!」
砂地を足で蹴り、捕食者が務めを果たそうとする。
敗北者への引導。トドメを撃ち込むべくギデオンの前まで歩いてくる。
「何のつもりだ……女?」
「これ以上、彼に手出ししないで!! もう決着はついたはずよ、乱暴は止めて」
カナッペが彼の前に立ち塞がっていた。
「勇ましさだけは、一人前だな。だが、その願いは聞けねぇ―な。コイツとは遊びでなく命のやり取りをしていたんだ! 取るべきモノはしっかり取らないとケジメがつかねぇ―んだよ。 どけ!」
「退かない! 私はアンタの暴力なんかに屈したりしない。逃げたら最後よ、ずっと怯えていなければならない……自身の弱さに」
「あん? わけの分からないことを……だったらテメェ―ごとぶっ飛ばしてやるぜ!」
対峙するカナッペとファルゴ。
両者は一歩も引かずに睨み合いを続けていた。
彼女の決意が本物であると察した暴君は、ためらわず拳を構えた。
両手を広げたまま、震える目蓋を閉じるカナッペ。
その後ろでは、失神していたはずの彼の手が魔銃の引き金を引いた。
ズダン! と自身の胸元に撃ち込む。
その音に、彼女は飛び上がりファルゴは目を見開いていた。
「ギデ君!? なんてことを!! アンタ、どうかしているわ……」
「空砲だ。たいした……ことは、ない! ああっ、イテェェェェ――! けど、目は覚めた」
「そうだ……クククッ、ハハッ!! それでいい!! もっと感じさせてくれよ、オメェーの瀬戸際を!」
「死に際の間違いじゃないか? まぁ、いい。お前には、もっと素敵なモノを見せてやる」
そう言いながらギデオンが、懐からおもむろに取り出したのは一本の万年筆だった。
焦げついた掌を振るファルゴは、歓喜の口笛を鳴らす。
生粋のバトルジャンキ―、そうとしか言いようのない闘争心の塊に、つけ入る隙などあるのだろうか?
「ギデ君?」
彼の変化に、カナッペが真っ先に気づいた。
笑っていた……渾身の一撃をしのがれ、ジリ貧状態だというのにギデオン自身も、この状況を愉しんでいた。
「まったく、いつ以来だろうな……全力でやり合うのは」バハムートを解除しながら態勢をなおすハンター。
「へっ、テメェ―もイケる口か? これだ! 命を賭けて拳を振るうこの瞬間こそが、生を強く感じることができる」暴君は興奮冷めやらぬ様子で豪語する。
「そして拳をくらうことで、ソイツの生き様が伝わってくる。もっとも……そう易々、殴られるつもりもないがな」
「上々だ。弱肉強食なんて、原子的なもんじゃねぇー、闘争は火花だ!! 無味乾燥なセカイから脱するための唯一無二の方法。俺達から散らばる生命の火花こそが、モノクロの景色に彩りを与える!!」
二ッと口元を広げた、ファルゴがギデオンの視界から消えた。
「面倒な縮地法だな!」
「捉えたぜ、パルサーディノ二クス!!!」
捕食者が生爪をたてる。
命を刈り取ろうとする魔手から蒼白いプラズマが放出された。
槍の穂先のように細長く鋭い一撃がギデオンの後ろ首を串刺しにしようとする。
「ハイドアンドシーク」
敵の攻撃に合わせ、ハンターである彼は銃口を後ろに向け、即座にの左脇に差し込んだ。
ほんの一秒、手短なアクションとともに光弾が暴発しファルゴの視界を奪った。
「くううう!! 魔力の波長を狂わせたのか!?」
視覚情報を遮断したのにも関わらずプラズマの槍がギデオンの腕をかすめた。
切り裂かれる痛みよりも全身を貫く痺れに意識が飛びかけた。
それでも、力の限り両足で踏ん張り、ジャンクショットを撃ち込んだ。
何発も何発も、持てる力のすべてを弾丸に変換し近距離から発砲し続ける。
今しかなかった。ここでファルゴを倒せなければ、スコルの魔力が尽きてしまう。
「悪くない、悪くはないが……貧弱すぎて、眠くなるわ!!」
ハチの巣にされた常態でありながらもダイノハンマーが発動する。
振り落とされる拳、たった一発で形勢逆転した。
「ガハッ…………グウウウウウウゥ――――!!」苦痛にうめくギデオン。
全身、バラバラになりそうなほどの衝撃が襲ってきた。
膝を笑わせ、身体をふらつかせているトコロに、非情な頭突きが叩きつけられた。
トリケラホーン――頭蓋骨が粉々になりそうなほどの破壊力のまえには、誰しも無力に等しい。
意識混濁のまま、ギデオンは沈黙してしまった。
額から血を垂れ流したまま、仁王立ちになっている。
「足りねぇー!! 俺と小僧、テメェ―には大きく差がある。それが何か分かるか!? すべてを破壊しようとする重み厚みだ。人は無意識に制限をかける、それこそ自己保身のために! 防衛本能ではあるも、その線引きが限界突破の邪魔をしてくる……制限の中に埋もれているテメェ―も所詮は人の子だったということだ!!」
砂地を足で蹴り、捕食者が務めを果たそうとする。
敗北者への引導。トドメを撃ち込むべくギデオンの前まで歩いてくる。
「何のつもりだ……女?」
「これ以上、彼に手出ししないで!! もう決着はついたはずよ、乱暴は止めて」
カナッペが彼の前に立ち塞がっていた。
「勇ましさだけは、一人前だな。だが、その願いは聞けねぇ―な。コイツとは遊びでなく命のやり取りをしていたんだ! 取るべきモノはしっかり取らないとケジメがつかねぇ―んだよ。 どけ!」
「退かない! 私はアンタの暴力なんかに屈したりしない。逃げたら最後よ、ずっと怯えていなければならない……自身の弱さに」
「あん? わけの分からないことを……だったらテメェ―ごとぶっ飛ばしてやるぜ!」
対峙するカナッペとファルゴ。
両者は一歩も引かずに睨み合いを続けていた。
彼女の決意が本物であると察した暴君は、ためらわず拳を構えた。
両手を広げたまま、震える目蓋を閉じるカナッペ。
その後ろでは、失神していたはずの彼の手が魔銃の引き金を引いた。
ズダン! と自身の胸元に撃ち込む。
その音に、彼女は飛び上がりファルゴは目を見開いていた。
「ギデ君!? なんてことを!! アンタ、どうかしているわ……」
「空砲だ。たいした……ことは、ない! ああっ、イテェェェェ――! けど、目は覚めた」
「そうだ……クククッ、ハハッ!! それでいい!! もっと感じさせてくれよ、オメェーの瀬戸際を!」
「死に際の間違いじゃないか? まぁ、いい。お前には、もっと素敵なモノを見せてやる」
そう言いながらギデオンが、懐からおもむろに取り出したのは一本の万年筆だった。
0
あなたにおすすめの小説
エレンディア王国記
火燈スズ
ファンタジー
不慮の事故で命を落とした小学校教師・大河は、
「選ばれた魂」として、奇妙な小部屋で目を覚ます。
導かれるように辿り着いたのは、
魔法と貴族が支配する、どこか現実とは異なる世界。
王家の十八男として生まれ、誰からも期待されず辺境送り――
だが、彼は諦めない。かつての教え子たちに向けて語った言葉を胸に。
「なんとかなるさ。生きてればな」
手にしたのは、心を視る目と、なかなか花開かぬ“器”。
教師として、王子として、そして何者かとして。
これは、“教える者”が世界を変えていく物語。
転生したら王族だった
みみっく
ファンタジー
異世界に転生した若い男の子レイニーは、王族として生まれ変わり、強力なスキルや魔法を持つ。彼の最大の願望は、人間界で種族を問わずに平和に暮らすこと。前世では得られなかった魔法やスキル、さらに不思議な力が宿るアイテムに強い興味を抱き大喜びの日々を送っていた。
レイニーは異種族の友人たちと出会い、共に育つことで異種族との絆を深めていく。しかし……
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
元皇子の寄り道だらけの逃避行 ~幽閉されたので国を捨てて辺境でゆっくりします~
下昴しん
ファンタジー
武力で領土を拡大するベギラス帝国に二人の皇子がいた。魔法研究に腐心する兄と、武力に優れ軍を指揮する弟。
二人の父である皇帝は、軍略会議を軽んじた兄のフェアを断罪する。
帝国は武力を求めていたのだ。
フェアに一方的に告げられた罪状は、敵前逃亡。皇帝の第一継承権を持つ皇子の座から一転して、罪人になってしまう。
帝都の片隅にある独房に幽閉されるフェア。
「ここから逃げて、田舎に籠るか」
給仕しか来ないような牢獄で、フェアは脱出を考えていた。
帝都においてフェアを超える魔法使いはいない。そのことを知っているのはごく限られた人物だけだった。
鍵をあけて牢を出ると、給仕に化けた義妹のマトビアが現れる。
「私も連れて行ってください、お兄様」
「いやだ」
止めるフェアに、強引なマトビア。
なんだかんだでベギラス帝国の元皇子と皇女の、ゆるすぎる逃亡劇が始まった──。
※カクヨム様、小説家になろう様でも投稿中。
不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?
カタナヅキ
ファンタジー
現実世界で普通の高校生として過ごしていた「白崎レナ」は謎の空間の亀裂に飲み込まれ、狭間の世界と呼ばれる空間に移動していた。彼はそこで世界の「管理者」と名乗る女性と出会い、彼女と何時でも交信できる能力を授かり、異世界に転生される。
次に彼が意識を取り戻した時には見知らぬ女性と男性が激しく口論しており、会話の内容から自分達から誕生した赤子は呪われた子供であり、王位を継ぐ権利はないと男性が怒鳴り散らしている事を知る。そして子供というのが自分自身である事にレナは気付き、彼は母親と供に追い出された。
時は流れ、成長したレナは自分がこの世界では不遇職として扱われている「支援魔術師」と「錬金術師」の職業を習得している事が判明し、更に彼は一般的には扱われていないスキルばかり習得してしまう。多くの人間から見下され、実の姉弟からも馬鹿にされてしまうが、彼は決して挫けずに自分の能力を信じて生き抜く――
――後にレナは自分の得た職業とスキルの真の力を「世界の管理者」を名乗る女性のアイリスに伝えられ、自分を見下していた人間から逆に見上げられる立場になる事を彼は知らない。
※タイトルを変更しました。(旧題:不遇職に役立たずスキルと馬鹿にされましたが、実際はそれほど悪くはありません)。書籍化に伴い、一部の話を取り下げました。また、近い内に大幅な取り下げが行われます。
※11月22日に第一巻が発売されます!!また、書籍版では主人公の名前が「レナ」→「レイト」に変更しています。
追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~
さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。
全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。
ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。
これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる