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百二十四話
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「どこに、連れて行ったかと思えば、無限ダンジョンか……チッ、悪趣味な場所に引っ張りやがって!!」
手紙に記された場所にやって来たファルゴが悪態をつく。
ルヴィウス勇士学校の敷地内にあるダンジョン、ギデオンたちはそこを潜伏先とした。
様々な顔を持つダンジョンは、自分たちの身を隠すのにうってつけの場所だった。
しかし、彼らにとってそれだけでは不十分だ。
ファルゴの読みどおり、ガルベナールを誘拐するのが目的ではない。
すべては、理想の為――救国済民の活路を開く。
これには、ゴールデンパラシュートのジェイクからも賛同を得た。
「何なの……地面から黒い水晶みたいのが生えているわ。それに、焼けた金属の臭いが充満している…………うっ、酷い! おびただしい量の血痕。今まで、こんな禍々しいダンジョン見たことないわ……」
眼を背けたくなるような光景に、カナッペは両手で口元をおおった。
惨劇の跡……所々から火の手があがっていた。
戦火は森を焼き払い、村を灰燼に帰し、そこに暮らす者たちが築き上げてきた大切なモノを灰燼と化していた。
この場所に善悪二元論は存在しない。
無いからこそ、秩序が生まれなかった。法で治めることも実現できなかった。
地獄なんて生温い、無法地帯に転がっているのは骸のみ。
「戦場跡地か……コイツはエクストラダンジョンだ。ダンジョンマスターによって再現された過去世界の記億――だよな? ジェイク・イスタムニール」
くびきだらけ世界を形成したダンジョンマスターはジェイクだった。
彼は語る。すべてを思い出させるために、あの戦場を再現したと。
大地に突き刺さっている六角オベリスク。
黒く染まった陰から、リーマン風の彼が姿を見せた。
「覚えていたのか。それは何よりだ! ファルゴ・エンブリオン」
「ふっ、俺達が初めて実戦投入された舞台だからな。そんなことより、ガルベナール宰相を返してもらおう! スパイだったテメーのことだ……ひとおもいではなく、拷問しながらいたぶっているんだろうが!?」
「人聞きの悪いことを言ってくれる。彼は丁重に扱っているよ、まだ思い出さないようだから」
「薬をつかったな……テメーがその言葉を使うときは、決まってそうだったよなぁぁああ――!!」
暴力を拳に乗せ、髪をかき上げた青年が疾走する。
ズボンのポケットの両手を入れたまま、棒立ちしているジェイクへと間髪入れずに荒れ狂う衝撃が飛ぶ。
風圧の壁がカナッペの身体を押し流そうとする。
身を屈め必死にこらえる声は、風音にのまれ誰の耳にも届かない。
「せっかくだが、お前の相手は私ではない」
「ど、どうしてだ!? どうしてお前がそこにいるマローナ!!」
ジェイクを護るように割って入ってきた、お気に入りの様にファルゴが血相を変えた。
状況の整理がおぼつかないのか? おもわず、後退し距離を取り出した。
「ここまで来れば、正体を隠す必要はないな」
眼鏡とカツラを放りながら、服の袖でゴシゴシと化粧を落とす。
それまで、女性だと思い込んでいたファルゴの口元は開いたまま固まっていた。
「おおおおおお―――っん!? 男だと……いや、そう見えるだけ――じゃねぇぇぇえ――――!! 小僧!! マローナはどこに行った!? いつから入れ替わった?」
「オメデタイ、頭だな……。最初から、そんな人間はいない。ずっと僕が、ツワーガイドとして付き添ってやっていただけだ!」
「くうううううっ…………マローナ。俺はまんまと敵にハメられたというわけだな――――ありえない、あってはならない!!! このすべてにおいてパーフェクトな俺が、虫けらから辱しめを受けるなど…………クククッ、そうだァァ――! 小僧、テメー女になれ!! そうすれば、俺のマローナは実在することになる」
恍惚な表情で笑う宰相の孫に、ギデオンは狂気を感じずにいられなかった。
理由が分からなかった。
だまされていたにも関わらず、ファルゴがそこまでしてマローナに執着するのが……。
正体を明かしても尚、求めてくる。
悪意もなく本気でそう言っている……もし、そうだとしたら笑えない。
ここで囚われたら、女にされかねない。
「マローナはいるさ、お前の思い出の中にな! それで充分だろ?」
「ざけんなぁぁああ!! テメーじゃなくて……俺が欲するのは、俺が求める彼女だ」
わなわなと両手を震わせながら、ファルゴの身体から莫大な魔力が解放された。
凄まじい圧により、耳鳴りが止まない。
「どうやったのか? 知らないが次は、受けきれねぇぞ!! せいぜい、ガッカリさせんなよ」
手紙に記された場所にやって来たファルゴが悪態をつく。
ルヴィウス勇士学校の敷地内にあるダンジョン、ギデオンたちはそこを潜伏先とした。
様々な顔を持つダンジョンは、自分たちの身を隠すのにうってつけの場所だった。
しかし、彼らにとってそれだけでは不十分だ。
ファルゴの読みどおり、ガルベナールを誘拐するのが目的ではない。
すべては、理想の為――救国済民の活路を開く。
これには、ゴールデンパラシュートのジェイクからも賛同を得た。
「何なの……地面から黒い水晶みたいのが生えているわ。それに、焼けた金属の臭いが充満している…………うっ、酷い! おびただしい量の血痕。今まで、こんな禍々しいダンジョン見たことないわ……」
眼を背けたくなるような光景に、カナッペは両手で口元をおおった。
惨劇の跡……所々から火の手があがっていた。
戦火は森を焼き払い、村を灰燼に帰し、そこに暮らす者たちが築き上げてきた大切なモノを灰燼と化していた。
この場所に善悪二元論は存在しない。
無いからこそ、秩序が生まれなかった。法で治めることも実現できなかった。
地獄なんて生温い、無法地帯に転がっているのは骸のみ。
「戦場跡地か……コイツはエクストラダンジョンだ。ダンジョンマスターによって再現された過去世界の記億――だよな? ジェイク・イスタムニール」
くびきだらけ世界を形成したダンジョンマスターはジェイクだった。
彼は語る。すべてを思い出させるために、あの戦場を再現したと。
大地に突き刺さっている六角オベリスク。
黒く染まった陰から、リーマン風の彼が姿を見せた。
「覚えていたのか。それは何よりだ! ファルゴ・エンブリオン」
「ふっ、俺達が初めて実戦投入された舞台だからな。そんなことより、ガルベナール宰相を返してもらおう! スパイだったテメーのことだ……ひとおもいではなく、拷問しながらいたぶっているんだろうが!?」
「人聞きの悪いことを言ってくれる。彼は丁重に扱っているよ、まだ思い出さないようだから」
「薬をつかったな……テメーがその言葉を使うときは、決まってそうだったよなぁぁああ――!!」
暴力を拳に乗せ、髪をかき上げた青年が疾走する。
ズボンのポケットの両手を入れたまま、棒立ちしているジェイクへと間髪入れずに荒れ狂う衝撃が飛ぶ。
風圧の壁がカナッペの身体を押し流そうとする。
身を屈め必死にこらえる声は、風音にのまれ誰の耳にも届かない。
「せっかくだが、お前の相手は私ではない」
「ど、どうしてだ!? どうしてお前がそこにいるマローナ!!」
ジェイクを護るように割って入ってきた、お気に入りの様にファルゴが血相を変えた。
状況の整理がおぼつかないのか? おもわず、後退し距離を取り出した。
「ここまで来れば、正体を隠す必要はないな」
眼鏡とカツラを放りながら、服の袖でゴシゴシと化粧を落とす。
それまで、女性だと思い込んでいたファルゴの口元は開いたまま固まっていた。
「おおおおおお―――っん!? 男だと……いや、そう見えるだけ――じゃねぇぇぇえ――――!! 小僧!! マローナはどこに行った!? いつから入れ替わった?」
「オメデタイ、頭だな……。最初から、そんな人間はいない。ずっと僕が、ツワーガイドとして付き添ってやっていただけだ!」
「くうううううっ…………マローナ。俺はまんまと敵にハメられたというわけだな――――ありえない、あってはならない!!! このすべてにおいてパーフェクトな俺が、虫けらから辱しめを受けるなど…………クククッ、そうだァァ――! 小僧、テメー女になれ!! そうすれば、俺のマローナは実在することになる」
恍惚な表情で笑う宰相の孫に、ギデオンは狂気を感じずにいられなかった。
理由が分からなかった。
だまされていたにも関わらず、ファルゴがそこまでしてマローナに執着するのが……。
正体を明かしても尚、求めてくる。
悪意もなく本気でそう言っている……もし、そうだとしたら笑えない。
ここで囚われたら、女にされかねない。
「マローナはいるさ、お前の思い出の中にな! それで充分だろ?」
「ざけんなぁぁああ!! テメーじゃなくて……俺が欲するのは、俺が求める彼女だ」
わなわなと両手を震わせながら、ファルゴの身体から莫大な魔力が解放された。
凄まじい圧により、耳鳴りが止まない。
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