12 / 22
11
しおりを挟む
「実は、その……最初は一目惚れだったんです」
「…………え?!」
「初めてフィオを見た時、妖精姫のようなその可憐な美しさと可愛らしさに、思わず見惚れてしまったのです。それをジルベールに目撃されていたようで、後日君を婚約者だと言って紹介された時は、正直とても悔しかったのをよく覚えています」
そういえばあの時、ジルベール様がやけにベタベタとしてこられていたのよね。本当に気持ち悪くて仕方なかったわ。
まさかそれが、エルに嫌がらせをするためだったなんて。ジルベール、本当にどこまでもつまらない男だったのね。
「それにフィオの事は、レイスからよく聞かされていたのですよ。俺の可愛い自慢の妹だと、色々な話を聞かせてもらってとても楽しかったし、すごく興味をそそられました」
「え、お兄様からですか?!」
気さくなお兄様は、誰とでもすぐに打ち解けてしまわれる。でも、変なことを言ってないわよね?!
「はい。それと同時に、ジルベールの遊び癖の悪さもよく愚痴られていました。あんな男に嫁がないといけない、フィオが不憫で仕方ないと」
「そうだったのですね」
復讐のために、ジルベール様はあえて泳がせておいたのよね。
婚約者としての務めだけはきちんとこなしつつ、その一方で私は自分を磨き、人脈を築き、人としての価値を高める事に集中していた。
何故かあの方は、私が自分に惚れ込んでいるのだと勝手に勘違いをされていた。
私が褒められる度に、それは自分に相応しくあるためなのだと言いまわっていたようだし。
大方あの婚約破棄宣言も、泣きついて来た私を寛大に許してあげる優しい俺様を演出したかっただけなんじゃないかとも思った。
激しい女遊びも、私に嫉妬して欲しかったのかしら?
終わったことだもの、考えるだけ時間の無駄ね。
「不遇な状況に置かれても、ひたむきに頑張る君の姿にとても好感が持てました。もし共に歩むなら、フィオのような方がいいと思ったのです。そうして一度気持ちを自覚してしまうとダメですね。君以外の方が女性に見えなくなってしまいました。だから、君にジルベールの事で相談を持ちかけられた時は、とても嬉しかったのですよ」
「エル……」
「私が、何としても貴方を弟の毒牙から解放してさしあげたいと思いました。それくらいしか、私に出来ることはありませんでしたからね」
「ではあの時、私を正妻に迎えたいと仰っていたのは……」
「貴方を手に入れたいがために口走ってしまった、ずるい下心です。ただあの時は、言った後にすごく後悔しました。最初にいう言葉を間違えてしまったなと……きちんと貴方を愛していると伝えた上で、求婚すべきであったなと」
「そうですね。あの時は、責任から好きでもない女を娶ろうとされるアズリエル様がとても気の毒だと思ったので……」
「やはり、そうですよね。そう思ってしまいますよね」
がっくりと肩を落としたエルに、私は明るく声をかける。
「でもあの当時、婚約者がジルベール様ではなくて、エルだったら良かったのにって、本当は思ってたんですよ」
「……えっ?! そ、それは本当ですか?!」
頬を赤面させながらも、真意を聞きたいと瞳を輝かせてこちらを見つめてくるエル。とてもモテるのに、こういうウブな所が可愛くて愛しい。
「ええ、本当ですよ」
その言葉で、エルは耳まで真っ赤になってしまった。この方はどうしてこんなに可愛いのだろうか。
「愛しています、エル。私を選んで下さって、ありがとうございます」
エルは両手で顔を覆って、プルプルと震えている。
「フィオ、反則です。可愛すぎます」
私からすると、そんなウブなエルの方が可愛くて仕方ないんだけどな。
「エル、私達もう夫婦になったのですよね?」
「はい。とても素晴らしい結婚式でしたね。フィオの花嫁姿、とても綺麗でしたよ」
「ありがとうございます。エルだって、すごく格好よかったですよ」
「貴方にそう言ってもらえると、嬉しい限りです」
エルと一緒にいると、本当に穏やかな時間をまったりと過ごせる。
優しい気持ちになれて、心が澄んでいく感じだ。
それも悪くない、悪くないんだけども!
今日は結婚初夜なのだ。
たまには紳士じゃないエルも見てみたい!
そっとエルのガウンの裾を握って引っ張る。
「そろそろ、あちらに行きませんか?」
「…………え?!」
「初めてフィオを見た時、妖精姫のようなその可憐な美しさと可愛らしさに、思わず見惚れてしまったのです。それをジルベールに目撃されていたようで、後日君を婚約者だと言って紹介された時は、正直とても悔しかったのをよく覚えています」
そういえばあの時、ジルベール様がやけにベタベタとしてこられていたのよね。本当に気持ち悪くて仕方なかったわ。
まさかそれが、エルに嫌がらせをするためだったなんて。ジルベール、本当にどこまでもつまらない男だったのね。
「それにフィオの事は、レイスからよく聞かされていたのですよ。俺の可愛い自慢の妹だと、色々な話を聞かせてもらってとても楽しかったし、すごく興味をそそられました」
「え、お兄様からですか?!」
気さくなお兄様は、誰とでもすぐに打ち解けてしまわれる。でも、変なことを言ってないわよね?!
「はい。それと同時に、ジルベールの遊び癖の悪さもよく愚痴られていました。あんな男に嫁がないといけない、フィオが不憫で仕方ないと」
「そうだったのですね」
復讐のために、ジルベール様はあえて泳がせておいたのよね。
婚約者としての務めだけはきちんとこなしつつ、その一方で私は自分を磨き、人脈を築き、人としての価値を高める事に集中していた。
何故かあの方は、私が自分に惚れ込んでいるのだと勝手に勘違いをされていた。
私が褒められる度に、それは自分に相応しくあるためなのだと言いまわっていたようだし。
大方あの婚約破棄宣言も、泣きついて来た私を寛大に許してあげる優しい俺様を演出したかっただけなんじゃないかとも思った。
激しい女遊びも、私に嫉妬して欲しかったのかしら?
終わったことだもの、考えるだけ時間の無駄ね。
「不遇な状況に置かれても、ひたむきに頑張る君の姿にとても好感が持てました。もし共に歩むなら、フィオのような方がいいと思ったのです。そうして一度気持ちを自覚してしまうとダメですね。君以外の方が女性に見えなくなってしまいました。だから、君にジルベールの事で相談を持ちかけられた時は、とても嬉しかったのですよ」
「エル……」
「私が、何としても貴方を弟の毒牙から解放してさしあげたいと思いました。それくらいしか、私に出来ることはありませんでしたからね」
「ではあの時、私を正妻に迎えたいと仰っていたのは……」
「貴方を手に入れたいがために口走ってしまった、ずるい下心です。ただあの時は、言った後にすごく後悔しました。最初にいう言葉を間違えてしまったなと……きちんと貴方を愛していると伝えた上で、求婚すべきであったなと」
「そうですね。あの時は、責任から好きでもない女を娶ろうとされるアズリエル様がとても気の毒だと思ったので……」
「やはり、そうですよね。そう思ってしまいますよね」
がっくりと肩を落としたエルに、私は明るく声をかける。
「でもあの当時、婚約者がジルベール様ではなくて、エルだったら良かったのにって、本当は思ってたんですよ」
「……えっ?! そ、それは本当ですか?!」
頬を赤面させながらも、真意を聞きたいと瞳を輝かせてこちらを見つめてくるエル。とてもモテるのに、こういうウブな所が可愛くて愛しい。
「ええ、本当ですよ」
その言葉で、エルは耳まで真っ赤になってしまった。この方はどうしてこんなに可愛いのだろうか。
「愛しています、エル。私を選んで下さって、ありがとうございます」
エルは両手で顔を覆って、プルプルと震えている。
「フィオ、反則です。可愛すぎます」
私からすると、そんなウブなエルの方が可愛くて仕方ないんだけどな。
「エル、私達もう夫婦になったのですよね?」
「はい。とても素晴らしい結婚式でしたね。フィオの花嫁姿、とても綺麗でしたよ」
「ありがとうございます。エルだって、すごく格好よかったですよ」
「貴方にそう言ってもらえると、嬉しい限りです」
エルと一緒にいると、本当に穏やかな時間をまったりと過ごせる。
優しい気持ちになれて、心が澄んでいく感じだ。
それも悪くない、悪くないんだけども!
今日は結婚初夜なのだ。
たまには紳士じゃないエルも見てみたい!
そっとエルのガウンの裾を握って引っ張る。
「そろそろ、あちらに行きませんか?」
19
あなたにおすすめの小説
余命3ヶ月と言われたので静かに余生を送ろうと思ったのですが…大好きな殿下に溺愛されました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のセイラは、ずっと孤独の中生きてきた。自分に興味のない父や婚約者で王太子のロイド。
特に王宮での居場所はなく、教育係には嫌味を言われ、王宮使用人たちからは、心無い噂を流される始末。さらに婚約者のロイドの傍には、美しくて人当たりの良い侯爵令嬢のミーアがいた。
ロイドを愛していたセイラは、辛くて苦しくて、胸が張り裂けそうになるのを必死に耐えていたのだ。
毎日息苦しい生活を強いられているせいか、最近ずっと調子が悪い。でもそれはきっと、気のせいだろう、そう思っていたセイラだが、ある日吐血してしまう。
診察の結果、母と同じ不治の病に掛かっており、余命3ヶ月と宣言されてしまったのだ。
もう残りわずかしか生きられないのなら、愛するロイドを解放してあげよう。そして自分は、屋敷でひっそりと最期を迎えよう。そう考えていたセイラ。
一方セイラが余命宣告を受けた事を知ったロイドは…
※両想いなのにすれ違っていた2人が、幸せになるまでのお話しです。
よろしくお願いいたします。
他サイトでも同時投稿中です。
婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
ぐうたら令嬢は公爵令息に溺愛されています
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のレイリスは、今年で16歳。毎日ぐうたらした生活をしている。貴族としてはあり得ないような服を好んで着、昼間からゴロゴロと過ごす。
ただ、レイリスは非常に優秀で、12歳で王都の悪党どもを束ね揚げ、13歳で領地を立て直した腕前。
そんなレイリスに、両親や兄姉もあまり強く言う事が出来ず、専属メイドのマリアンだけが口うるさく言っていた。
このままやりたい事だけをやり、ゴロゴロしながら一生暮らそう。そう思っていたレイリスだったが、お菓子につられて参加したサフィーロン公爵家の夜会で、彼女の運命を大きく変える出来事が起こってしまって…
※ご都合主義のラブコメディです。
よろしくお願いいたします。
カクヨムでも同時投稿しています。
第一王子と見捨てられた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
アナトール公爵令嬢のマリアは婚約者である第一王子のザイツからあしらわれていた。昼間お話することも、夜に身体を重ねることも、なにもなかったのだ。形だけの夫婦生活。ザイツ様の新しい婚約者になってやろうと躍起になるメイドたち。そんな中、ザイツは戦地に赴くと知らせが入った。夫婦関係なんてとっくに終わっていると思っていた矢先、マリアの前にザイツが現れたのだった。
お読みいただきありがとうございます。こちらの話は24話で完結とさせていただきます。この後は「第一王子と愛された公爵令嬢」に続いていきます。こちらもよろしくお願い致します。
前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします
柚木ゆず
恋愛
※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。
我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。
けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。
「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」
そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる