全てを義妹に奪われた令嬢は、精霊王の力を借りて復讐する

花宵

文字の大きさ
2 / 22

しおりを挟む
十歳の頃、お母様を事故で亡くした。
その後すぐに、お父様は離れの屋敷に住まわせていた元娼婦の愛人ミレイユと再婚して、その女の娘リリアナを養子に迎え入れた。

彼女達を溺愛していたお父様は、何でも彼女達の言いなりだった。
跡取りであるお兄様を王国騎士団へと入団させて追い出し、私を離れの屋敷に隔離し、自分達は本邸で贅沢三昧の生活をしていた。

第二王子ジルベール様の婚約者だった私は、毎日嫌というほど勉強をさせられて過ごした。
唯一の楽しみは、お兄様から送られてくるお手紙だった。
しかしそれも、戦争でお兄様が亡くなられてから途絶えた。
もう誰も、私の事を思ってくれる人はいない。

次第に嫌がらせの頻度が増えた。
食事にイタズラをされるのは日常茶飯事で、仕事をさぼるメイド達は屋敷の掃除さえろくにしなくなった。
公爵夫人とリリアナの気分次第で、ひどい仕打ちを受けるこの家にいる事が、ただただ苦痛で仕方なかった。

はやく公爵家から出たかった私は、必死に勉強した。
ジルベール様と結婚すれば、この家から出る事ができる。
彼の隣で相応しくあれるように、それだけを目標に頑張っていた。
そんなとあるパーティの帰り道に、悲劇が突然訪れる。

「フィオラ・ロバーツだな?」

乗っていた馬車が突如襲撃にあった。

「いやっ、やめて!」

「おとなしくしろ!」

気絶させられ誘拐された私は、そこで複数の男性から不名誉な辱しめを受けた。
手足を男たちの手によって拘束されて、身動きすらとれない。
ドレスを脱がされる衣擦れの音がやけに鮮明に聞こえ、気持ちの悪い感触にひたすら耐えるしかなかった。

まさに、悪夢の時間だった。

(誰か助けて下さい!)

その時、バタンと大きな音をたてて扉が開く音が聞こえた。

「フィオラ、これはどういうことだ!?」

聞き間違えるはずがない、愛しい人の声。確かにそれはジルベール様の声だった。

「ジルベール様、助けて下さい!」

そう懇願する私に、信じられない言葉が返って来た。

「お前が複数の男と夜な夜な情事を楽しんでいると通報が入っていた。まさか、本当だったとは……」

何ですって?
私がそんな事をするわけない。
ジルベール様以外の男性と、そんな事をするなんてありえない。
だって私は心から貴方の事を愛しているのに……

どうしてそんな軽蔑するような目で、私の事を見ているの……?

「違います、帰りに馬車が襲われて誘拐されたのです!」

「ここがどこだか分かるか? お前の住む屋敷で誘拐されたなどと、そんな言い訳が通用するとでも思っているのか?」

ここが、私の家?
そんな馬鹿な……状況が呑み込めず、頭が真っ白になった。

「殿下、誠に申し訳ありません!」
「フィオラ様にやらなければ家族を殺すと脅されまして、仕方なくっ!」
「逆らえませんでした、本当に申し訳ありません!」

先程まで私を襲ってきた男達は、口々にそう言って謝罪の言葉を口にした。床に額をくっつけて謝る男達の姿に、意味がわからずわなわなと手が震え出す。

怒りを露にするジルベール様の後ろでは、リリアナが不敵な笑みを浮かべてこちらを見ていた。

「ジルベール様、私は何度も姉に注意したのですが聞き入れてもらえず……力不足で本当に申し訳ありません」

「リリアナ、そなたのせいではない」

はめられたのだと気付いた時にはもう遅く、「フィオラ、お前との婚約を破棄する」そう言ってジルベール様は去っていった。

「フフフ、いいざまね」

嘲笑を残して、リリアナは甘ったるい声を出しながらジルベール様を追いかる。

翌日にはその不名誉な汚名が広がっていて、社交界から大きなバッシングを受けた私は屋敷に引きこもるしかなかった。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました

Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。 順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。 特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。 そんなアメリアに対し、オスカーは… とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。

助けた青年は私から全てを奪った隣国の王族でした

Karamimi
恋愛
15歳のフローラは、ドミスティナ王国で平和に暮らしていた。そんなフローラは元公爵令嬢。 約9年半前、フェザー公爵に嵌められ国家反逆罪で家族ともども捕まったフローラ。 必死に無実を訴えるフローラの父親だったが、国王はフローラの父親の言葉を一切聞き入れず、両親と兄を処刑。フローラと2歳年上の姉は、国外追放になった。身一つで放り出された幼い姉妹。特に体の弱かった姉は、寒さと飢えに耐えられず命を落とす。 そんな中1人生き残ったフローラは、運よく近くに住む女性の助けを受け、何とか平民として生活していた。 そんなある日、大けがを負った青年を森の中で見つけたフローラ。家に連れて帰りすぐに医者に診せたおかげで、青年は一命を取り留めたのだが… 「どうして俺を助けた!俺はあの場で死にたかったのに!」 そうフローラを怒鳴りつける青年。そんな青年にフローラは 「あなた様がどんな辛い目に合ったのかは分かりません。でも、せっかく助かったこの命、無駄にしてはいけません!」 そう伝え、大けがをしている青年を献身的に看護するのだった。一緒に生活する中で、いつしか2人の間に、恋心が芽生え始めるのだが… 甘く切ない異世界ラブストーリーです。

《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。

ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」 その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。

拝啓~私に婚約破棄を宣告した公爵様へ~

岡暁舟
恋愛
公爵様に宣言された婚約破棄……。あなたは正気ですか?そうですか。ならば、私も全力で行きましょう。全力で!!!

◆◆お別れなので「王位継承セット」をプレゼントしたら、妹カップルが玉座を手に入れました。きっと喜んでくれてますよね◆◆

ささい
恋愛
ん?おでかけ楽しみ? そうだね。うちの国は楽しいと思うよ。 君が練ってた棒はないけど。 魔術に棒は要らない。素手で十分? はは、さすがだね。 なのに棒を量産したいの? 棒を作るのは楽しいんだ。 そっか、いいよ。たくさん作って。飾ってもいいね。君の魔力は綺麗だし。 騎士団に渡して使わせるのも楽しそうだね。 使い方教えてくれるの? 向上心がある人が好き? うん、僕もがんばらないとね。 そういえば、王冠に『民の声ラジオ24h』みたいな機能つけてたよね。 ラジオ。遠く離れた場所にいる人の声を届けてくれる箱だよ。 そう、あれはなんで? 民の声を聞く素敵な王様になってほしいから? なるほど。素晴らしい機能だね。 僕? 僕には必要ないよ。心配してくれてありがとう。 君の祖国が素晴らしい国になるといいね。 ※他サイトにも掲載しております。

第一王子と見捨てられた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
アナトール公爵令嬢のマリアは婚約者である第一王子のザイツからあしらわれていた。昼間お話することも、夜に身体を重ねることも、なにもなかったのだ。形だけの夫婦生活。ザイツ様の新しい婚約者になってやろうと躍起になるメイドたち。そんな中、ザイツは戦地に赴くと知らせが入った。夫婦関係なんてとっくに終わっていると思っていた矢先、マリアの前にザイツが現れたのだった。 お読みいただきありがとうございます。こちらの話は24話で完結とさせていただきます。この後は「第一王子と愛された公爵令嬢」に続いていきます。こちらもよろしくお願い致します。

もう我慢したくないので自由に生きます~一夫多妻の救済策~

岡暁舟
恋愛
第一王子ヘンデルの妻の一人である、かつての侯爵令嬢マリアは、自分がもはや好かれていないことを悟った。 「これからは自由に生きます」 そう言い張るマリアに対して、ヘンデルは、 「勝手にしろ」 と突き放した。

元婚約者が修道院送りになった令嬢を呼び戻すとき

岡暁舟
恋愛
「もう一度やり直そう」 そんなに上手くいくのでしょうか???

処理中です...