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第九話 『ブートキャンプに出発』
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グラディアス家のツリーハウスの部屋から楽しそうな話し声が漏れている。
今晩は雲が1つもなく、満月が輝いていて、月光が部屋に差し込んでいた。
ベッドの横の窓から満月が良く見えた。
精神体を飛ばせるようになってから優斗は、毎晩、華の元へ通うようになっていた。 今夜も露天風呂での男子会の後、寝る前に華の所へ来ていた。 華の部屋は7段目のログハウスにあり、1棟丸ごとが華の自室と専属のメイドや従者の詰め所になっている。
精神体の優斗とフィルの声は華とフィン以外には聞こえないので、華とフィンが楽しそうに会話している様に、従者の詰め所には聞こえているはずだ。
今晩はフィルも一緒に飛んできていて、久しぶりにフィンと会えてとても嬉しそうだった。
優斗と同化して同じように精神体が飛んできたフィルもいつも以上に透き通っていた。 優斗と華は、寝室のベッドの上で向かい合って話し込んでいる。 リューから聞いたベネディクトの話や、近々あるブートキャンプの話をしていた。
「じゃ、ブートキャンプが終わるまで会えないんだ」
ブートキャンプの話をすると、華はシュンと寂し気に眉尻を下げた。 華の寂し気な様子に優斗の眉も下がる一方だ。
フィルとフィンは、二人の甘い雰囲気に、少し引き気味に眺めている。
「うん、ごめん。 力を使いこなす為には修行しないとなんだ。 前世の時みたいに直ぐには使えそうにないんだ。 武器も中々出なかったしね」
「そうだよね、私も秘術の修行のスケジュールを詰め込まれてるし。 でも、私も一緒に行きたいな。 仁奈にも瑠衣くんとも会いたいし、風神の毛並みも撫でたい……」
「ブートキャンプが終われば、いつでも会えるよ」
「うん、でもちょっと残念、優斗の武器は私が作りたかったなっ」
「そ、それは、うん、仕方ないな。 エルフの能力で武器が出せるし……」
(……華に頼んだら……絶対にまた、竜が巻き付いてるんだろうなっ)
「かっこいい竜を取り入れたかったっ!」
(……やっぱりかっ、未だに分からないんだよな、華が竜に固執する理由)
「……竜、好きだよな。 華」
「うん! でも、防具は任せてね! 頑張って良いもの作るから!」
「……うん。 程ほどにね」
幼い子供みたいに白銀の瞳を輝かせている華はとても可愛いが、切に程々にして欲しいと思う優斗だった。 脳裏に前世で制作した華の武器や防具が過ぎっていく。
寝室に置いてある置時計から、23時を知らせる鐘の音が5回鳴った。
「そろそろ寝ないと、明日に響くな」
「……うん」
優斗が帰る仕草を出すと、華は眉尻を下げて寂しそうに小さく微笑む。 名残惜しいが、もうそろそろ帰らないと、華の寝仕度の為にメイドが来てしまう。
(精神体だと、お休みのキスも出来ないっ)
メイドには優斗の姿も見えないし、声も聞こえないが、着替えもするだろうから居ない方がいいだろう。
優斗とフィルは、『またね』と本体へ戻った。 華は寂し気に手を振っていた。
ベッドに腰掛けて息を大きく吐き出す。
これで暫くは華と会えないし、話せない。 本体に戻っても優斗の脳内のモニター画面には、華の映像が流れて来る。
メイドが華の部屋に入って来てから、優斗は【透視】と【傍聴】スキルを停止させた。 華の映像と声がプツリと切れる。
暫くすると、監視スキルの声が響いた。
『【透視】【傍聴】スキルを停止させました。 ハナが就寝しました。 周囲に危険はありません。 1人だけ怪しいのがいるから、敵認定まではしないけど、重要人物として登録しておくよ』
(分かった、何かあったら直ぐに敵認定していいからな)
監視スキルが了承し、続いて、優斗の声真似のイケメンボイスが響く。
『了解です。 後は任せておやすみ、ユウト』
(……イケメンボイスはもういいからっ!)
ベッドへ潜り込むと、心の中で華に『おやすみ』と呟いた。 監視スキルが華の代わりに優斗へ返事を返したが、夢の中に居た優斗には聞こえていなかった。
◇
タルピオス家のツリーハウスの4段目のログハウスには、子供たちが寝た後でも灯りが煌々と灯されていた。
4段目のログハウスは夫婦の寝室と私室、客室がある。 リューは私室でランプに照らされた巻紙の羊皮紙を眺めていた。
シンプルなデザインのデスクの上に広げた羊皮紙には、ブートキャンプの事について書かれていた。
リューの私室は相変わらず、資料や外国の本が本棚に並んでいる。
ノックも無しに私室の扉が開かれると、振動で扉が軋んだ音を出した。
「ノックくらいしろといつも言ってるだろう。 リュディ」
「良いじゃない別に。 それとも見られたら何か不味いものでもあるのかしら?」
「そんな事を言ってるんじゃない、マナーの事を言ってるんだ」
悪びれる事もなく、リューが持っている羊皮紙に視線を落とす。 リュディの白銀の瞳が見開かれた。 直ぐに訝し気に目を細める。
「これ……」
「ああ、そうだ。 ユウトは本来なら、中央の里のブートキャンプに参加予定だったんだが、途中で変更になったと知らせが来たんだ」
「知らせって、能力が目覚める前に?」
「そうだ、戦士として目覚める前にだ。 怪しいだろう?」
「本当ね……南の里の方へ行かせるの?」
「ああ、ルイとニーナがいるからな。 友達もいるから大丈夫だ。 次期里長として、こういう事も乗り越えて行かないとダメからな、ユウトは」
「……ふむ、もしかして、あの事も言わない気?」
「あの事か……あの子たちなら自分で気づくだろう。 それに、今は確実に悪魔を退治できる力を付けて欲しいんだ。 初手で躓くと、後に響くからな」
「なるほど、分かったわ。 でも、ちょっと調べてみるわ」
「程々にな」
リュディは片手を振って出て行った。
出て行く後ろ姿を心配気に見つめたが、リューは顔を振って『仕方ないな』と苦笑を零し、自身も少し調べて見るかと内心で呟いた。
◇
出発の朝、いつもの如く優斗は監視スキルに起こされた。
『【ハナを守る】スキルを開始します。 ハナの位置を確認、安全を確認、就寝中に危険などはありませんでした。 ハナは既に起床しています。 【透視】【傍聴】スキルを開始しますか?』
(華に不都合が無ければ……頼む。 今日はキャンプ場に行ったらもう、華を拝めない)
『ハナの最新の映像です』
優斗の脳内で華の最新映像が流れて来る。 脳内のモニター画面に映し出されたのは、豪奢な馬車に乗り込む華とフィンの2人の姿だった。 華も秘術の修行に行くのだろう。 華の周囲に優斗の魔力が溢れ出る。 脳内のモニター画面の華が振り返る。 優斗の視線をスキル越しに感じた様だ。
華とスキル越しに視線が合った。 優斗の心臓が大きく跳ねる。
華の唇が『行ってきます。 優斗も頑張って、私も頑張って来る』と動き、笑顔で馬車に乗り込んでいった。
華には聞こえないと分かっていても、『いってらっしゃい、華、無理はするなよ。 俺も頑張るから、華も頑張れ』と返事を返した。
華の映像を脳内の端に置いて、立体型の地図も出して華の位置を確認した後、優斗も出発の準備を始めた。 絶対に監視スキルは茶化しに来るかと思ったが、何も言わなかった。
◇
タルピオス家のツリーハウスの前に止められた幌馬車を牽く一角馬が鼻を震わせて嘶く。
本日、ブートキャンプへ出発する。
幌馬車に4人分の荷物を優斗たちと、タルピオス家の役人たちと乗せていく。
キャンプなので、必然的に荷物も多くなっていた。
そして、幌馬車を牽くのは瑠衣の従魔で一角馬の風神と、もう一頭、タルピオス家の一角馬だ。 二頭で幌馬車を牽く。
エルフの里では一角馬は珍しくもなく。
人間の乱獲で数を減らした一角馬をエルフが保護している。 一角馬を従魔にしているエルフも少なくない。 特に狩人などは多い。
瑠衣は旅程などを従者と話し込んでいた。 エーリスから参加する若者は優斗と瑠衣、仁奈の3人だけだった。 8人ほどいた成人したエーリスの若者たちは、優斗たち3人を除いて、戦士、或いは術者として目覚める事はなかった。 タルピオス家のツリーハウス前に集まって来た集落の人々が、『頑張れよ』と声援を送ってくれる。 優斗たちは皆に会釈を返し、幌馬車に乗り込んだ。
幌馬車に乗り込んだタイミングで、リュディから爆弾発言が投下された。
「あ、そうだ。 言い忘れてた事があった。 エカテリーニも術者として目覚めて、ブートキャンプに参加するみたいよ。 よろしく言っておいて」
リュディはニヤリと笑みを浮かべた。
含みのある笑みを浮かべたリュディの話を聞いた優斗は、頬を引き攣らせて固まった。 瑠衣の隣に座った仁奈が何かを察したのか、鋭い視線を送って来る。
「ユウト、エカテリーニって誰?」
優斗の隣で座るフィルが無遠慮に訊いてきた。 フィルは銀色の美少年の姿に変わっていた。 フィルの膝に乗せているバスケットから美味しそうな匂いが漂っている。 バスケットには、仁奈とリュディの作ったお弁当が入ってる。 御者を入れて5人分にしては量が尋常ではない。
『相変わらず、大食漢だな』と優斗と瑠衣、仁奈の3人が苦笑する。
「で、優斗、エカテリーニって誰? 勿論、名前からして女子だよな?」
瑠衣が再度、面白がるように訊いて来た。 仁奈の目が浮気を疑って半眼になっている。 幌馬車の中で、仁奈の電撃が落ちるのも嫌だ。 このままではあらぬ疑いを掛けられると思い、慌てて否定した。
「違う、違うから! 変な想像するなっ! 幼馴染っていうかっ。 小さい頃、集落代表の会議について行った時、よく一緒に遊んでた女友達なんだよ。 エカテリーニはノトス村の村長の娘だからっ……」
「ふ~ん、リュディさんの様子だと、それだけじゃないだろう?」
鋭い瑠衣の指摘に、優斗は幌馬車の入り口から見える景色へ視線を逸らした。
車輪が草地を蹴る音がなり、一角馬の蹄の足音が鳴る。 幌馬車が動き出した。
まだ、仁奈の疑いの視線が痛い。
徐々に流れていく景色を眺め、エカテリー二を思い出すと、優斗は深い溜め息を吐いた。
「小さい頃から、エカテリーニに好かれてるらしくて。 毎年、婚約の打診があるんだ。 でも俺、12歳以前の頃は、心ここにあらずって感じで、記憶もあいまいだし。 地に足がついてなくて、周りとも上手く付き合えてなかったんだけど。 何で、エカテリー二に好かれてるのか分からないんだよな」
「えっ」
「ふ~ん、心ここにあらずって、前世の記憶が無かったからか?」
「う~ん、12歳以前の記憶もあるんだけど、何処か他人というか。 今の自分は本当の自分じゃないって思ってたかな……記憶が戻ってから曖昧だった物がスッキリしたから、そういう事かも知れないな」
優斗以外の3人が顔を顰める。
「エカテリー二って子、あんたが華と婚約してるの知らないの?」
「いや、知ってる。 華と婚約してから会いに来たけど、何か凄い怒ってたな。 で、また婚約の打診があった」
「……ほう」
「……」
再び、皆が顔を顰める。 二人の様子にエルフの一般的な結婚事情を説明した。
「エルフは、一夫多妻、一妻多夫制なんだ。 裕福な家は複数の妻か、夫がいる事の方が当たり前なんだ」
「えっ、まじで? でもリューさんはリュディさんだけだよね?」
仁奈の質問に無言で頷く。
「エルフの常識からしたら、うちが特殊なんだよ。 多分、エルフの里から出ないからだろうけど、嫁不足、婿不足なんだと思う。 皆、良い暮らしをしたいから、裕福な家に集中するんだろうな」
「なるほどな、じゃ、エカテリーニって子は金目当てか? でも、エーリス代表はクオンだろ?」
瑠衣の質問に優斗が頷く。
「そうだよ、クオンが継ぐ。 それに金目当てはないな、ノトス村の村長の娘だし、向こうの方が金持ちだ。 それに、俺の結婚相手は華だけから。 華にも俺以外の結婚相手は作らせない」
「そう、ならいいけど……」
仁奈は顎に手を当てて考え込んでいる様子だ。 瑠衣も仁奈と同じ格好をしていた。
「俺は、華の所へ婿に入る立場だから、華以外の婚約者を連れて行く訳にはいかないし、連れて行く気もない。 ずっと断ってるんだけど、諦めてくれなくて……」
手に顎を乗せていた瑠衣が顔を上げて叫んだ。
「なるほどって、それ絶対にブートキャンプで絡んで来る案件だろっ!」
「その事、華も知ってるの?」
「いや、知らない。 っていうか、言ってない」
『なんか、面白くなりそうだね。 あと、これ以上進むとハナを感知する事が出来なくなるよ』
楽しそうな監視スキルの声が響くと、頭の中で流れている華の映像と声がプツリと切れた。 立体型の地図からも、華を示す3Dの人形型の点滅が消える。 華が暮らすグラディアスの村が立体型の地図から外れた。 立体型の地図は閉じられず、開かれたままだった。
(ああ、これで1ヵ月間は、華を感じられない)
優斗は完全に華を感知できなくなると、小さく息を吐いた。 幌馬車は順調に進み、上手く行けば、南の里アウステルを治めるアウステル村で一番大きな集落、オースターに2日程で着くだろう。
「ユウト、ハナにはフィンがいるから大丈夫だよ。 ハナは基本的に抜けてる所があるけど、意外にしっかりしてるから」
「ああ、そうだな」
前に視線を向けると、瑠衣と仁奈がニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべている。
仁奈からは、厳しい一言が投げられた。
「その幼馴染って子の事だけど。 相手が納得してないようなら、ちゃんと話し合った方がいいんじゃない?」
「うん、分かってる。 多分、自分の思い通りにいかないから、拗ねてるだけだと思うんだけど」
「ああ、テンプレだな。 お金持ちのお嬢様にありがちな。 まぁ、なんにせよ。 はっきり優斗には婚約する意思はないって相手に伝えた方がいいな。 この世界じゃ、個々で通信機なんて持ってないし、断ってるって言っても、どうせ書面でだろう?」
「ああ、ちゃんと話さないとって思ってたから、話せるチャンスがあればちゃんと話すよ」
「後、ややこしくなる前に華ちゃんにもな」
「う、うん。 もう華のいる所は、監視スキル外に出たから、ブートキャンプが終わるまで話せないけどな。 それに華ももう、修行の為に出発したからな。 何かあったとしても華には事後報告になるな」
「そっか、華、元気そうだった? どうせ、挨拶しに行ったんでしょ?」
「昨日にな。 今日は、お互いが一方的にスキル越しに挨拶しただけだ。 でも、元気そうだったし、頑張って来るってさ」
「んじゃ、俺たちも頑張ろうぜっ!」
瑠衣がフラグを立てた事で、優斗の胸に嫌な予感が過ぎる。 華のムスッとした表情が脳裏に浮かぶ。 変な誤解をさせて華に振られたくない優斗は、しっかり話をしようと決めたのだった。
◇
途中、川辺や開けた草原で野営をし、ノトス村が管理している森を出た。 森を出た所で、張られている結界に身体が触れて、違和感を感じた瑠衣と仁奈が叫んだ。
「うわっ、何だっ、今、何か気持ち悪い感覚がしたぞっ」
「何か、ブルってしたっ」
「ああ、森に張られてる結界が身体に触れたんだ。 大丈夫だから、ペンダントに記憶されてる通行申請が反応しただけだ」
「なるほど、前にリューさんが言ってたエルフの森に張られてる結界か?」
「そう、フィルは何ともないのか?」
「うん、全然」
(もしかして、魔物だからか?)
幌馬車が荷台を揺らしてエーリスと隣の村の森境を進み、風神の嘶きが聞こえる。
「優斗、風神も何ともないってさ」
「そうなのか、じゃ、魔物には効かないのか?」
「そうなるな」
『エルフの出入りを見張る結界だからじゃない? 魔物は感知しないんでしょ』
(ああ、なるほど。 そうか)
結界が張られている為、結界を通り抜ける時は、通行申請が無いと警戒音が鳴る。
既に通行申請している優斗たちは、隣の村が管理する森へ入って行った。
何事も無く、予定通り2日間の旅程でブートキャンプを行うオースターの集落に着いた。
幌馬車がオースターの広場の馬車止めにゆっくりと停車した。 幌馬車から見える広場は、エーリスの広場よりも広くて、屋台も多く出されている。 道も石畳が引かれ、綺麗に整備されていた。
(やっぱり何処の村もツリーハウスの街並みは、ファンタジーだな)
オースターも、集落というよりは大きな街と言っていいくらい栄えている。
エーリスはどちらかと言うと、長閑な田舎町だ。 広場の中央には噴水があり、人が沢山集まっていた。 集まった若者たちは既に旅支度をし、荷物も一角馬に括り付けていた。
広場を見渡して瑠衣がボソッと呟いた。
「ファンタジーだな……エーリスの集落と同じ作りだ」
「うん、何処の村も、集落もこんな感じだな」
「へ~、そうなんだ。 いいじゃない、メルヘンチックで。 私は好きだなぁ、ツリーハウスの街並み」
「仁奈にもそんな感情あるんだな」
「いいでしょ、ほっといて」
瑠衣と仁奈がじゃれついている間に、御者にお礼を言い、幌馬車が帰って行く後ろ姿を見送る。
荷物も無くなり、軽くなった幌馬車を牽く一角馬の足取りも軽そうだ。
優斗たちは、風神に野営用の荷物を乗せて、自分たちも急いで身支度を整える。
フィルはスライムの姿になり、優斗の荷物へ潜り込む。
「瑠衣、俺らも行こう。 もう、結構な人が集まってる」
「おう、急げ、仁奈」
「うん」
急ぎ足で人が集まっている場所へ急いだ。 優斗たちが行く先には、ブートキャンプに参加するであろう若者たちと、若者たちの家族であろう集団が、個々で暫くの別れを惜しんでいた。
ここで戦士隊から送られて来る指導官と合流し、皆で一緒にブートキャンプ場へと向かう。 二か所のキャンプ場に分れ、1ヵ月間、森の中で修行が行われるのだ。
今晩は雲が1つもなく、満月が輝いていて、月光が部屋に差し込んでいた。
ベッドの横の窓から満月が良く見えた。
精神体を飛ばせるようになってから優斗は、毎晩、華の元へ通うようになっていた。 今夜も露天風呂での男子会の後、寝る前に華の所へ来ていた。 華の部屋は7段目のログハウスにあり、1棟丸ごとが華の自室と専属のメイドや従者の詰め所になっている。
精神体の優斗とフィルの声は華とフィン以外には聞こえないので、華とフィンが楽しそうに会話している様に、従者の詰め所には聞こえているはずだ。
今晩はフィルも一緒に飛んできていて、久しぶりにフィンと会えてとても嬉しそうだった。
優斗と同化して同じように精神体が飛んできたフィルもいつも以上に透き通っていた。 優斗と華は、寝室のベッドの上で向かい合って話し込んでいる。 リューから聞いたベネディクトの話や、近々あるブートキャンプの話をしていた。
「じゃ、ブートキャンプが終わるまで会えないんだ」
ブートキャンプの話をすると、華はシュンと寂し気に眉尻を下げた。 華の寂し気な様子に優斗の眉も下がる一方だ。
フィルとフィンは、二人の甘い雰囲気に、少し引き気味に眺めている。
「うん、ごめん。 力を使いこなす為には修行しないとなんだ。 前世の時みたいに直ぐには使えそうにないんだ。 武器も中々出なかったしね」
「そうだよね、私も秘術の修行のスケジュールを詰め込まれてるし。 でも、私も一緒に行きたいな。 仁奈にも瑠衣くんとも会いたいし、風神の毛並みも撫でたい……」
「ブートキャンプが終われば、いつでも会えるよ」
「うん、でもちょっと残念、優斗の武器は私が作りたかったなっ」
「そ、それは、うん、仕方ないな。 エルフの能力で武器が出せるし……」
(……華に頼んだら……絶対にまた、竜が巻き付いてるんだろうなっ)
「かっこいい竜を取り入れたかったっ!」
(……やっぱりかっ、未だに分からないんだよな、華が竜に固執する理由)
「……竜、好きだよな。 華」
「うん! でも、防具は任せてね! 頑張って良いもの作るから!」
「……うん。 程ほどにね」
幼い子供みたいに白銀の瞳を輝かせている華はとても可愛いが、切に程々にして欲しいと思う優斗だった。 脳裏に前世で制作した華の武器や防具が過ぎっていく。
寝室に置いてある置時計から、23時を知らせる鐘の音が5回鳴った。
「そろそろ寝ないと、明日に響くな」
「……うん」
優斗が帰る仕草を出すと、華は眉尻を下げて寂しそうに小さく微笑む。 名残惜しいが、もうそろそろ帰らないと、華の寝仕度の為にメイドが来てしまう。
(精神体だと、お休みのキスも出来ないっ)
メイドには優斗の姿も見えないし、声も聞こえないが、着替えもするだろうから居ない方がいいだろう。
優斗とフィルは、『またね』と本体へ戻った。 華は寂し気に手を振っていた。
ベッドに腰掛けて息を大きく吐き出す。
これで暫くは華と会えないし、話せない。 本体に戻っても優斗の脳内のモニター画面には、華の映像が流れて来る。
メイドが華の部屋に入って来てから、優斗は【透視】と【傍聴】スキルを停止させた。 華の映像と声がプツリと切れる。
暫くすると、監視スキルの声が響いた。
『【透視】【傍聴】スキルを停止させました。 ハナが就寝しました。 周囲に危険はありません。 1人だけ怪しいのがいるから、敵認定まではしないけど、重要人物として登録しておくよ』
(分かった、何かあったら直ぐに敵認定していいからな)
監視スキルが了承し、続いて、優斗の声真似のイケメンボイスが響く。
『了解です。 後は任せておやすみ、ユウト』
(……イケメンボイスはもういいからっ!)
ベッドへ潜り込むと、心の中で華に『おやすみ』と呟いた。 監視スキルが華の代わりに優斗へ返事を返したが、夢の中に居た優斗には聞こえていなかった。
◇
タルピオス家のツリーハウスの4段目のログハウスには、子供たちが寝た後でも灯りが煌々と灯されていた。
4段目のログハウスは夫婦の寝室と私室、客室がある。 リューは私室でランプに照らされた巻紙の羊皮紙を眺めていた。
シンプルなデザインのデスクの上に広げた羊皮紙には、ブートキャンプの事について書かれていた。
リューの私室は相変わらず、資料や外国の本が本棚に並んでいる。
ノックも無しに私室の扉が開かれると、振動で扉が軋んだ音を出した。
「ノックくらいしろといつも言ってるだろう。 リュディ」
「良いじゃない別に。 それとも見られたら何か不味いものでもあるのかしら?」
「そんな事を言ってるんじゃない、マナーの事を言ってるんだ」
悪びれる事もなく、リューが持っている羊皮紙に視線を落とす。 リュディの白銀の瞳が見開かれた。 直ぐに訝し気に目を細める。
「これ……」
「ああ、そうだ。 ユウトは本来なら、中央の里のブートキャンプに参加予定だったんだが、途中で変更になったと知らせが来たんだ」
「知らせって、能力が目覚める前に?」
「そうだ、戦士として目覚める前にだ。 怪しいだろう?」
「本当ね……南の里の方へ行かせるの?」
「ああ、ルイとニーナがいるからな。 友達もいるから大丈夫だ。 次期里長として、こういう事も乗り越えて行かないとダメからな、ユウトは」
「……ふむ、もしかして、あの事も言わない気?」
「あの事か……あの子たちなら自分で気づくだろう。 それに、今は確実に悪魔を退治できる力を付けて欲しいんだ。 初手で躓くと、後に響くからな」
「なるほど、分かったわ。 でも、ちょっと調べてみるわ」
「程々にな」
リュディは片手を振って出て行った。
出て行く後ろ姿を心配気に見つめたが、リューは顔を振って『仕方ないな』と苦笑を零し、自身も少し調べて見るかと内心で呟いた。
◇
出発の朝、いつもの如く優斗は監視スキルに起こされた。
『【ハナを守る】スキルを開始します。 ハナの位置を確認、安全を確認、就寝中に危険などはありませんでした。 ハナは既に起床しています。 【透視】【傍聴】スキルを開始しますか?』
(華に不都合が無ければ……頼む。 今日はキャンプ場に行ったらもう、華を拝めない)
『ハナの最新の映像です』
優斗の脳内で華の最新映像が流れて来る。 脳内のモニター画面に映し出されたのは、豪奢な馬車に乗り込む華とフィンの2人の姿だった。 華も秘術の修行に行くのだろう。 華の周囲に優斗の魔力が溢れ出る。 脳内のモニター画面の華が振り返る。 優斗の視線をスキル越しに感じた様だ。
華とスキル越しに視線が合った。 優斗の心臓が大きく跳ねる。
華の唇が『行ってきます。 優斗も頑張って、私も頑張って来る』と動き、笑顔で馬車に乗り込んでいった。
華には聞こえないと分かっていても、『いってらっしゃい、華、無理はするなよ。 俺も頑張るから、華も頑張れ』と返事を返した。
華の映像を脳内の端に置いて、立体型の地図も出して華の位置を確認した後、優斗も出発の準備を始めた。 絶対に監視スキルは茶化しに来るかと思ったが、何も言わなかった。
◇
タルピオス家のツリーハウスの前に止められた幌馬車を牽く一角馬が鼻を震わせて嘶く。
本日、ブートキャンプへ出発する。
幌馬車に4人分の荷物を優斗たちと、タルピオス家の役人たちと乗せていく。
キャンプなので、必然的に荷物も多くなっていた。
そして、幌馬車を牽くのは瑠衣の従魔で一角馬の風神と、もう一頭、タルピオス家の一角馬だ。 二頭で幌馬車を牽く。
エルフの里では一角馬は珍しくもなく。
人間の乱獲で数を減らした一角馬をエルフが保護している。 一角馬を従魔にしているエルフも少なくない。 特に狩人などは多い。
瑠衣は旅程などを従者と話し込んでいた。 エーリスから参加する若者は優斗と瑠衣、仁奈の3人だけだった。 8人ほどいた成人したエーリスの若者たちは、優斗たち3人を除いて、戦士、或いは術者として目覚める事はなかった。 タルピオス家のツリーハウス前に集まって来た集落の人々が、『頑張れよ』と声援を送ってくれる。 優斗たちは皆に会釈を返し、幌馬車に乗り込んだ。
幌馬車に乗り込んだタイミングで、リュディから爆弾発言が投下された。
「あ、そうだ。 言い忘れてた事があった。 エカテリーニも術者として目覚めて、ブートキャンプに参加するみたいよ。 よろしく言っておいて」
リュディはニヤリと笑みを浮かべた。
含みのある笑みを浮かべたリュディの話を聞いた優斗は、頬を引き攣らせて固まった。 瑠衣の隣に座った仁奈が何かを察したのか、鋭い視線を送って来る。
「ユウト、エカテリーニって誰?」
優斗の隣で座るフィルが無遠慮に訊いてきた。 フィルは銀色の美少年の姿に変わっていた。 フィルの膝に乗せているバスケットから美味しそうな匂いが漂っている。 バスケットには、仁奈とリュディの作ったお弁当が入ってる。 御者を入れて5人分にしては量が尋常ではない。
『相変わらず、大食漢だな』と優斗と瑠衣、仁奈の3人が苦笑する。
「で、優斗、エカテリーニって誰? 勿論、名前からして女子だよな?」
瑠衣が再度、面白がるように訊いて来た。 仁奈の目が浮気を疑って半眼になっている。 幌馬車の中で、仁奈の電撃が落ちるのも嫌だ。 このままではあらぬ疑いを掛けられると思い、慌てて否定した。
「違う、違うから! 変な想像するなっ! 幼馴染っていうかっ。 小さい頃、集落代表の会議について行った時、よく一緒に遊んでた女友達なんだよ。 エカテリーニはノトス村の村長の娘だからっ……」
「ふ~ん、リュディさんの様子だと、それだけじゃないだろう?」
鋭い瑠衣の指摘に、優斗は幌馬車の入り口から見える景色へ視線を逸らした。
車輪が草地を蹴る音がなり、一角馬の蹄の足音が鳴る。 幌馬車が動き出した。
まだ、仁奈の疑いの視線が痛い。
徐々に流れていく景色を眺め、エカテリー二を思い出すと、優斗は深い溜め息を吐いた。
「小さい頃から、エカテリーニに好かれてるらしくて。 毎年、婚約の打診があるんだ。 でも俺、12歳以前の頃は、心ここにあらずって感じで、記憶もあいまいだし。 地に足がついてなくて、周りとも上手く付き合えてなかったんだけど。 何で、エカテリー二に好かれてるのか分からないんだよな」
「えっ」
「ふ~ん、心ここにあらずって、前世の記憶が無かったからか?」
「う~ん、12歳以前の記憶もあるんだけど、何処か他人というか。 今の自分は本当の自分じゃないって思ってたかな……記憶が戻ってから曖昧だった物がスッキリしたから、そういう事かも知れないな」
優斗以外の3人が顔を顰める。
「エカテリー二って子、あんたが華と婚約してるの知らないの?」
「いや、知ってる。 華と婚約してから会いに来たけど、何か凄い怒ってたな。 で、また婚約の打診があった」
「……ほう」
「……」
再び、皆が顔を顰める。 二人の様子にエルフの一般的な結婚事情を説明した。
「エルフは、一夫多妻、一妻多夫制なんだ。 裕福な家は複数の妻か、夫がいる事の方が当たり前なんだ」
「えっ、まじで? でもリューさんはリュディさんだけだよね?」
仁奈の質問に無言で頷く。
「エルフの常識からしたら、うちが特殊なんだよ。 多分、エルフの里から出ないからだろうけど、嫁不足、婿不足なんだと思う。 皆、良い暮らしをしたいから、裕福な家に集中するんだろうな」
「なるほどな、じゃ、エカテリーニって子は金目当てか? でも、エーリス代表はクオンだろ?」
瑠衣の質問に優斗が頷く。
「そうだよ、クオンが継ぐ。 それに金目当てはないな、ノトス村の村長の娘だし、向こうの方が金持ちだ。 それに、俺の結婚相手は華だけから。 華にも俺以外の結婚相手は作らせない」
「そう、ならいいけど……」
仁奈は顎に手を当てて考え込んでいる様子だ。 瑠衣も仁奈と同じ格好をしていた。
「俺は、華の所へ婿に入る立場だから、華以外の婚約者を連れて行く訳にはいかないし、連れて行く気もない。 ずっと断ってるんだけど、諦めてくれなくて……」
手に顎を乗せていた瑠衣が顔を上げて叫んだ。
「なるほどって、それ絶対にブートキャンプで絡んで来る案件だろっ!」
「その事、華も知ってるの?」
「いや、知らない。 っていうか、言ってない」
『なんか、面白くなりそうだね。 あと、これ以上進むとハナを感知する事が出来なくなるよ』
楽しそうな監視スキルの声が響くと、頭の中で流れている華の映像と声がプツリと切れた。 立体型の地図からも、華を示す3Dの人形型の点滅が消える。 華が暮らすグラディアスの村が立体型の地図から外れた。 立体型の地図は閉じられず、開かれたままだった。
(ああ、これで1ヵ月間は、華を感じられない)
優斗は完全に華を感知できなくなると、小さく息を吐いた。 幌馬車は順調に進み、上手く行けば、南の里アウステルを治めるアウステル村で一番大きな集落、オースターに2日程で着くだろう。
「ユウト、ハナにはフィンがいるから大丈夫だよ。 ハナは基本的に抜けてる所があるけど、意外にしっかりしてるから」
「ああ、そうだな」
前に視線を向けると、瑠衣と仁奈がニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべている。
仁奈からは、厳しい一言が投げられた。
「その幼馴染って子の事だけど。 相手が納得してないようなら、ちゃんと話し合った方がいいんじゃない?」
「うん、分かってる。 多分、自分の思い通りにいかないから、拗ねてるだけだと思うんだけど」
「ああ、テンプレだな。 お金持ちのお嬢様にありがちな。 まぁ、なんにせよ。 はっきり優斗には婚約する意思はないって相手に伝えた方がいいな。 この世界じゃ、個々で通信機なんて持ってないし、断ってるって言っても、どうせ書面でだろう?」
「ああ、ちゃんと話さないとって思ってたから、話せるチャンスがあればちゃんと話すよ」
「後、ややこしくなる前に華ちゃんにもな」
「う、うん。 もう華のいる所は、監視スキル外に出たから、ブートキャンプが終わるまで話せないけどな。 それに華ももう、修行の為に出発したからな。 何かあったとしても華には事後報告になるな」
「そっか、華、元気そうだった? どうせ、挨拶しに行ったんでしょ?」
「昨日にな。 今日は、お互いが一方的にスキル越しに挨拶しただけだ。 でも、元気そうだったし、頑張って来るってさ」
「んじゃ、俺たちも頑張ろうぜっ!」
瑠衣がフラグを立てた事で、優斗の胸に嫌な予感が過ぎる。 華のムスッとした表情が脳裏に浮かぶ。 変な誤解をさせて華に振られたくない優斗は、しっかり話をしようと決めたのだった。
◇
途中、川辺や開けた草原で野営をし、ノトス村が管理している森を出た。 森を出た所で、張られている結界に身体が触れて、違和感を感じた瑠衣と仁奈が叫んだ。
「うわっ、何だっ、今、何か気持ち悪い感覚がしたぞっ」
「何か、ブルってしたっ」
「ああ、森に張られてる結界が身体に触れたんだ。 大丈夫だから、ペンダントに記憶されてる通行申請が反応しただけだ」
「なるほど、前にリューさんが言ってたエルフの森に張られてる結界か?」
「そう、フィルは何ともないのか?」
「うん、全然」
(もしかして、魔物だからか?)
幌馬車が荷台を揺らしてエーリスと隣の村の森境を進み、風神の嘶きが聞こえる。
「優斗、風神も何ともないってさ」
「そうなのか、じゃ、魔物には効かないのか?」
「そうなるな」
『エルフの出入りを見張る結界だからじゃない? 魔物は感知しないんでしょ』
(ああ、なるほど。 そうか)
結界が張られている為、結界を通り抜ける時は、通行申請が無いと警戒音が鳴る。
既に通行申請している優斗たちは、隣の村が管理する森へ入って行った。
何事も無く、予定通り2日間の旅程でブートキャンプを行うオースターの集落に着いた。
幌馬車がオースターの広場の馬車止めにゆっくりと停車した。 幌馬車から見える広場は、エーリスの広場よりも広くて、屋台も多く出されている。 道も石畳が引かれ、綺麗に整備されていた。
(やっぱり何処の村もツリーハウスの街並みは、ファンタジーだな)
オースターも、集落というよりは大きな街と言っていいくらい栄えている。
エーリスはどちらかと言うと、長閑な田舎町だ。 広場の中央には噴水があり、人が沢山集まっていた。 集まった若者たちは既に旅支度をし、荷物も一角馬に括り付けていた。
広場を見渡して瑠衣がボソッと呟いた。
「ファンタジーだな……エーリスの集落と同じ作りだ」
「うん、何処の村も、集落もこんな感じだな」
「へ~、そうなんだ。 いいじゃない、メルヘンチックで。 私は好きだなぁ、ツリーハウスの街並み」
「仁奈にもそんな感情あるんだな」
「いいでしょ、ほっといて」
瑠衣と仁奈がじゃれついている間に、御者にお礼を言い、幌馬車が帰って行く後ろ姿を見送る。
荷物も無くなり、軽くなった幌馬車を牽く一角馬の足取りも軽そうだ。
優斗たちは、風神に野営用の荷物を乗せて、自分たちも急いで身支度を整える。
フィルはスライムの姿になり、優斗の荷物へ潜り込む。
「瑠衣、俺らも行こう。 もう、結構な人が集まってる」
「おう、急げ、仁奈」
「うん」
急ぎ足で人が集まっている場所へ急いだ。 優斗たちが行く先には、ブートキャンプに参加するであろう若者たちと、若者たちの家族であろう集団が、個々で暫くの別れを惜しんでいた。
ここで戦士隊から送られて来る指導官と合流し、皆で一緒にブートキャンプ場へと向かう。 二か所のキャンプ場に分れ、1ヵ月間、森の中で修行が行われるのだ。
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