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私小説
そうだ……散歩しよう。
しおりを挟む私は、段々、自分を見失いつつあるが、とにかく散歩をすることによって、そんな自分を繋ぎ止めることが必要なのだ。といっても、前にも書いたように、自分とは全体のうちの小である。本当に大切なのは全体なのであり、それはそうであろう。ヘタをすると、大切という概念というか価値観だって、全体の中に含まれてしまうものなのだ。
何をしたって何かになるということは、そういうことであり、何かを書いてゆくことによって、私たちは全体を感じようとしている。その大きなうねりに対して、何かをするということが大切であり……いや、大切ではないのだ。大切とは近道であるが、時に人は回り道を選ばないといけないのである。多分。
というわけで、次の日、少し曇っていたが、私は出かけることにした。コースは大体知っている。散歩コースは四つあるが、私は、今日は、東コースを取ろうと思っている。歩けばわかる。何かがあるさと思っている。だが、本当はその人の胸先三寸であり、あると思えばあるし、ないと思えばない。
私は、アパートを降りて、すぐに自分が腹が減っていることがわかる。朝の六時であり、とても寝覚めが良かった。朝といえば、ハイドンが、「朝昼夜」という交響曲を三つ作っている。それではないが、ハイドンの音楽を思い出しながら……一番好きなのはトランペット協奏曲なのであるが、一番近い24時間やっているスーパーへと行く。
60歳くらいの白髪のお婆さんがレジをやっていた。大変なものであるが、中を歩いているが、私は何を食べればいいだろうと思っていると、買い物をしている女性が現れた。
「おはようございます」
「あら。お久しぶりね」
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