上 下
99 / 100
アデライト  逆行復讐編

※エピローグ おまけ。

しおりを挟む

「ついたわ!!ここ!この森の奥!」

「めちゃくちゃ疲れたー!帰ろうよ」

「‥‥‥」


金髪で紫色の瞳のツインテール姿の可愛らしい小さな女の子は黒髪の少年と銀髪の少年二人を連れて、人参を持ちながら暗くて深い森の中へ入って歩いていた。

銀髪の少年は涙目になりながら、お菓子を食べていた。

「ルイーナ、なんで父様達に内緒で家出なの?こんな遠いとこまできてさ、怖いじゃん!?」

泣きべそをかいてる少年に女の子は舌打ちをしながら、人参を見せる。

「ジェイス兄さまがこの中では、1番上なのに、なんで泣くの?私の騎士様でしょ!?なんで剣はもたないで編み物セットなのよ??長男のジョン兄さまは凄くカッコいいのに」

「えー、僕はルイーナの騎士になりたくないよぉ。編み物はね、僕の心のオアシスだから。てか、なんで人参持ち歩くの?」

「ふっふっー!これはね、魔女が嫌いな物よ!私は人参大好きだから魔女より強いもん!」

「‥‥面倒くさい‥‥」

ポソッとそう無表情に呟く黒髪の少年に、ルイーナは黒髪の少年の頬っぺたをつねる。

「私たちだけで、生きてくって決めたじゃない!」

「「いや、決めてない」」

そう少年二人はキッパリと否定すると、ルイーナは涙目になり、スカートの裾をギュッと握りしめる。

「‥‥‥パパもママも‥‥弟が出来てさ、みんなもさ、私がいらなくなったのよ!だから家出なの!私達のおばさまが住んでるとこみたいだし!」

そう話すルイーナに、二人はため息を出してとりあえずルイーナについていく事にした。

ジェイスは黒髪少年にコッソリと話しかける。

「なあ、アレク。もうそろそろ父様達に居場所バレてるよね。僕達、ルイーナにバレないように、便りを送ったし」

「‥‥‥‥ジェイス兄さん、とりあえず器用に編み物をしながら歩くのやめて。ジェイコブ伯父様と同じ事してる‥‥」

「へへ」

「‥‥いや、褒めてない」

そうアレクは腰に木刀を付けて、周りに危険な動物などいないか、警戒しながら歩く。

「ひでぶっぷ!」

「「あ」」

少し目を離した時、ルイーナは盛大にこけた。調子に乗って走っていたからなのか、足に血が出て怪我をした。

「‥‥うっ‥‥あしが‥‥」

涙目になるルイーナの表情を見て、二人は慣れたかのように自分達の耳を塞いだ瞬間

「うああああん!痛いよお!ぐすっ。やっぱお城に帰るうう!!!」

そう大声で、泣きじゃくるルイーナを宥めようとお菓子をあげたりするジェイスに、面倒臭そうにルイーナをおんぶするアレク達の前に、茶色い髪の少年が籠を持って現れた。

「「「「‥‥‥‥」」」」

いや、誰だ?とお互い見つめる。

シンと静かになり、茶色い髪の少年は足を怪我しているルイーナを見て‥‥‥

興味なさそうに、素通りした。

「ちょちょちょ!まって!私足けがしたの!みて!死んじゃう!」

「は?だから?なら死になよ」

「ふぁー!!!?私凄く凄く偉いお姫様なんだよ!?」

「へえ、俺の方が世界一偉い」

「わ、私凄く可愛いってみんなに言われてるんだから!」

「俺より可愛くて美しい存在いるか」

「ががーん!ジェイス兄さま!アレク兄さま!このこ、凄くナルシストだわ!自己チュウよ!?」

「「いや、お前がいうなよ」」

茶色い髪の少年に言い負かされてる我儘姫に、アレクはクスッと笑いつつも、おんぶしているルイーナに声をかけた。

「ルイーナ、お前は黙ってれば可愛いから」

「ぐすっ‥‥アレク、褒めてくれてありがとう」

「ん。どういたしまして」

いや、それ褒めてないけどねえと、心のなかでそう呟くジェイスだった。

鼻水を垂らし泣いてるルイーナをジッと見つめた後、茶色い少年は三人を交互にみる。

「‥‥君、なんか俺の母親に似てる。とくにそこの我儘なツインテール」

「そうなの?あなたの名前なあに?私ルイーナ!」

「‥‥ライト」

「へー薬草に詳しいの?あ、俺アレク。こっちはジェイス」

「まあね。お前、騎士目指してんの?俺は剣よりコッチの方」

そう少年は自慢げに見せたのは鞭だった。
ジェイスだけは「なんで鞭!?」とつっこんでいた。

なんやかんや、何故か四人は意気投合し遊び、ワイワイと騒いで楽しんでいた時だ。

ガサッと幽霊のように突然一人の女性が現れる。半仮面を被り持っている籠の中身は何やら怪しげな食べ物と薬草だらけの姿は、まさしく童話にでてくるような魔女のようだった。
子供達は驚く。

「「ぎゃああああ!!?魔女ー!!!」」

と叫び、ルイーナとジェイスは気絶した。
アレクだけは、気絶した二人をサッと受け止める。

「あ、母上」

「‥‥‥‥ふふ。あらあら‥‥生意気な顔の面影をもつ子供達ね」

「母上の知り合い?」

ペコリと頭を下げるアレクに、女性は溜め息をだした。

「‥‥‥お転婆さんみたいね。親に似てるようね、あなた達は」

「はじめまして、アデライト伯母上」

「ふふ。お前はソフィアとは違い、礼儀正しいわね」

そう彼女は子供達を自分の家まで案内し、その後は‥‥子供達の親達が鬼のような顔をして子供達を叱っていた。それからとても騒がしく、森の動物達も五月蝿いと逃げていく。

そんな賑やかで少し騒がしい、ちょっとしたお茶会が開かれる。

人参で作られたお菓子が沢山並べられていた。


お転婆なホワイト国のお姫様と三人の少年達は、この先の将来、偉大な事を成し遂げる?かもしれないーー。















しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください

ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。 義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。 外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。 彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。 「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」 ――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。 ⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎

妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます

冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。 そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。 しかも相手は妹のレナ。 最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。 夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。 最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。 それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。 「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」 確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。 言われるがままに、隣国へ向かった私。 その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。 ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。 ※ざまぁパートは第16話〜です

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

【完結】私のことを愛さないと仰ったはずなのに 〜家族に虐げれ、妹のワガママで婚約破棄をされた令嬢は、新しい婚約者に溺愛される〜

ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
とある子爵家の長女であるエルミーユは、家長の父と使用人の母から生まれたことと、常人離れした記憶力を持っているせいで、幼い頃から家族に嫌われ、酷い暴言を言われたり、酷い扱いをされる生活を送っていた。 エルミーユには、十歳の時に決められた婚約者がおり、十八歳になったら家を出て嫁ぐことが決められていた。 地獄のような家を出るために、なにをされても気丈に振舞う生活を送り続け、無事に十八歳を迎える。 しかし、まだ婚約者がおらず、エルミーユだけ結婚するのが面白くないと思った、ワガママな異母妹の策略で騙されてしまった婚約者に、婚約破棄を突き付けられてしまう。 突然結婚の話が無くなり、落胆するエルミーユは、とあるパーティーで伯爵家の若き家長、ブラハルトと出会う。 社交界では彼の恐ろしい噂が流れており、彼は孤立してしまっていたが、少し話をしたエルミーユは、彼が噂のような恐ろしい人ではないと気づき、一緒にいてとても居心地が良いと感じる。 そんなブラハルトと、互いの結婚事情について話した後、互いに利益があるから、婚約しようと持ち出される。 喜んで婚約を受けるエルミーユに、ブラハルトは思わぬことを口にした。それは、エルミーユのことは愛さないというものだった。 それでも全然構わないと思い、ブラハルトとの生活が始まったが、愛さないという話だったのに、なぜか溺愛されてしまい……? ⭐︎全56話、最終話まで予約投稿済みです。小説家になろう様にも投稿しております。2/16女性HOTランキング1位ありがとうございます!⭐︎

婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~

ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。 そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。 シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。 ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。 それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。 それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。 なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた―― ☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆ ☆全文字はだいたい14万文字になっています☆ ☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆

酷い扱いを受けていたと気付いたので黙って家を出たら、家族が大変なことになったみたいです

柚木ゆず
恋愛
 ――わたしは、家族に尽くすために生まれてきた存在――。  子爵家の次女ベネディクトは幼い頃から家族にそう思い込まされていて、父と母と姉の幸せのために身を削る日々を送っていました。  ですがひょんなことからベネディクトは『思い込まれている』と気付き、こんな場所に居てはいけないとコッソリお屋敷を去りました。  それによって、ベネディクトは幸せな人生を歩み始めることになり――反対に3人は、不幸に満ちた人生を歩み始めることとなるのでした。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。