【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

アデライト 逆行復讐編

おまけ レジーナ番外編で載せたものです。

不思議な少女と少年達

アルと僅かな時間でも一緒にいたいということで、デートを楽しんでいた。

それにしても10月でもないのに、いまの時期はお化けがイタズラをしにやってくる‥我が国ではそんな言い伝えがあり、街は賑やかなお祭り状態だった。

「まあハロウィンみたいなものよね」

「何それ」

「ふふ。何処もお祭りって楽しいって事よ」

そうベンチに座りながら話す私に、飲み物を持ってきてくれたアルは隣りに座り、小さな子供達がお化けの格好をしているの見つめていた。

「アルって子供が好きなの？そんなに見つめて」

そう私がからかうと、アルは耳を真っ赤にして無口になる。ゆっくりとこうして過ごすのもたまにはいいわね。

そう思っていた時

「だーかーら！わけわかんないよ！？ここ何処よぉ！？私達の国で私達の国じゃないじゃん！！」

「君は相変わらずうるさいね。声がうるさいよ」

「ルイーナ、ほら、お菓子あげるからさ。泣く泣くなよ」

「‥‥‥面倒くさいことなった」

金髪のツインテール姿の可愛らしい小さな女の子と黒髪の少年、銀髪の少年、そして薄い茶色の髪をしている少年達がなんとなく気になって見てみると‥‥私は驚いた。隣りにいるアルも子供達をみてビックリして固まっていた。
女の子にお菓子をあげている銀髪の少年はなんとなく、幼少期のジェイコブお兄様に似てる。
泣いている女の子は、妹のアメリにそっくりだわ‥‥髪の色は違うけれど本当にそっくり‥。

「‥‥アル‥。アルが子供の頃にそっくりな子が目の前にいるわ、ねえ聞いてる？」

「‥‥女の子とその少年‥‥紫色の瞳だな」

紫色の瞳は王族の証であり、血を受け継いでいる証拠。

「ルチータ王子の子なんて、ないわよね。ならば‥‥」

チラッとアルを見ると、アルは全力で首を横に振る。確かにそんな不貞な事アルはしない。というか子供達の年齢を見ても9才から10才ぐらい‥‥。

国王の？いや、愛妻家だもの、ないわね。

だけど‥‥なんだろう、なんだか親近感を感じるような‥‥。

混乱している私達をよそにギャーギャーと何やら揉めている子供達を見つめていると、金髪の女の子と私と目が合い、何故か女の子は私の元へ駆け寄ろうとした。

「ソフィアおばさまだわ！若いわよ！ねえ！みんな！ほらっ！‥‥むぐっ！？」


よく聞こえないけど、女の子は男の子達に叱られ大人しくなっていた。

黒髪の男の子と茶色の髪をしている男の子が、チラッと私達の顔色を伺いつつ話しかけてくる。

「‥‥‥あの‥‥今何年ですか？」

そう黒髪の男の子は少し恥ずかしそうに私とアルに話しかけてきた。


アルは自分の容姿にそっくりな子を警戒しながらも今この国が何年かを教えると、男の子二人は少し驚いていた様子だった。

黒髪の少年は本当に昔のアルにそっくりだわ‥‥。ジーと見つめると、黒髪の少年は私の視線に気付いたのか、頬を赤らめて目を逸らした。逆に、茶色の髪の少年は私を上から下まで見て鼻で笑う。

「いつも思うけど、どう見ても美しいと感じないけどね」

いや、初対面に向かって失礼な子じゃない！？何処の誰の子よ！？

茶色の髪だけど‥‥瞳の色は私やジェイコブお兄様‥アメリと‥‥‥いや、なんとなく‥亡くなったアデライト姉様に似た雰囲気のような‥‥？

茶色の少年は深い溜息を出しながら、私達に話しかける。

「僕のと‥‥あー、ルカとアデライトいる？」

ルカという名前は知らないけれど、アデライト姉様の名前を出してきた事に私はビックリして、固まってしまった。

「‥‥‥ごめんなさい。あの、ルカって誰かはわからないわ。それにアデライト姉‥‥その女性は‥‥亡くなったの」

「‥‥は？何それ。そんなのありえないけど？」

そう私が話すと、茶色の髪の少年は信じられないという顔をしていた。隣りにいた黒髪の少年は慌てて、その少年の手を引っ張り私達から離れて、落ち込んでいる女の子と女の子を宥めている銀髪の少年の元へと走る。

なんだろう。よくわからないけれど‥‥

「ねえ！！まってあなた達迷子！？迷子ならーー」

そう子供達に話しかけようとしたとき、強い風が吹いてきた。

目を開けると不思議な少女と少年達の姿が無かった。え？どういうこと？気配を完全に消えたわよ！？

私はアルの方を見ると、アルもよくわからないという顔をしていた。

「‥‥消えたわよね」

「‥‥一瞬にな。この俺でも、あの子達の気配を追いかけることできなかった」

「‥‥‥ねえ、アル。帰りに寄りたいところあるのいいかしら？」

「ん。了解」

‥‥なんとなく、私はアデライト姉様が眠るお墓へ寄った。


小さい頃のジェイコブお兄様や、アメリ、アルに似ている子と、

なんとなく貴女に似てる少年と出会ったわよ。


そう私は心の中でそう話しかけた。