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アメリー 下克上編
アデライト姉様と私は似ている?
しおりを挟む右肩を負傷していヒューゴ王子は自国の城へと戻り、近くにいたメイドに八つ当たりをしていた。
「クソっ!あの銀髪の女騎士やってくれたな!弓矢で俺の肩を狙いやがった!」
「まあ、ヒューゴ様。落ちつきましょう?とりあえずリリアン姫様はホワイト国にいるはずですけど、私の趣味がバレちゃったから戻れないですし」
ヒューゴは苛々しつつも自分の家臣に現在の状況を確認しながら指示を出していた。
「あー、今は下手に動くのはやめるかな。とりあえず、兄上や姉上達の味方の者達は始末しておいて。国民が何か不満なやつが声を上げてきたら牢屋にでもいれておいてー」
「「ハッ!!」」
アイラはポロポロと涙を流しながら話す。
「ルチータ王子とちゃんと挨拶できずに逃げちゃったわ。次に会えるのはいつになるか‥あぁ、恋煩いとはこういう気持ちだわ。早く私の物にしたいです」
ヒューゴは負傷した肩を治療してもらいながら考えていた。
「兄上を殺したりしたら国民がさらに反発するからとりあえず幽閉するとして‥‥指輪は絶対姉上が持ってるはずだ。ルチータ王子‥‥本当に俺のやりたい事を邪魔ばかりする。殺してやるからそのあと好きにすればいい」
そうヒューゴは、言い残したあとうるさい貴族達を着実に征圧していき、フォース国は混乱していきながらも、いつ攻めるのかを見計らっていた。
「‥‥ここだ」
暗くてじめじめした塔の上にアデライト姉様が幽閉されている。
ジェイコブお兄様とソフィア姉様に会って感じた事。‥‥私はアデライト姉様にも会わないとなと思っていた。
塔の兵達の目を盗んで、私はアデライト姉様がいる塔の階段を登っていった。
キイと古びたドアを開けると、牢の中で自分の髪をクシでとかして鼻歌を歌っているアデライト姉様がいた。半分の顔は綺麗でその半分の顔はとても綺麗だとお世辞がいえない。
ピタリと手が止まりアデライト姉様は笑って話す。
「‥‥あら。久しぶりね?アメリー」
「アデライト姉様‥」
「‥‥ふふ、背が伸びたかしら?まだルチータ殿下の後を追いかけっこ中?」
少し緊張する‥‥ほんの少し前までアデライト姉様に鞭で叩かれた記憶が蘇る‥‥。
「アデライト姉様に剣を教えたの、フォース国の王子様だって知ってたの?」
「それを貴女が知って何か得ることはあるのかしら」
「私はね、ルチータ王子の為にーー」
冷たい眼差しで私を試すような言い方をするアデライト姉様はクスクス笑いながら話し続ける。
「ふふふ、やっぱり貴女は私に似てるわ」
「‥‥お顔?そりゃあ、姉妹だからーー」
「違う。その自分の為に、自分の欲の為に動く事、どちらかというとジェイコブお兄様とソフィアは不器用で単純同士ね。だけどソフィアは正義感が強く、周りにすぐ優しい手を伸ばすでしょうね。でも私と貴女は違うのよ。‥‥残念ね?良い子なのはソフィアだけみたいね」
‥‥なんとなく‥アデライト姉様が言っている事がわかる気がする。
ソフィア姉様と久しぶりに会って少し感じた。私はソフィア姉様のようになれないなあと。
うん、嫉妬していた。
「アデライト姉様、確かにそうかもしれない。私どちらかというと悪い子かもしれない‥‥でも、私はアデライト姉様みたくならないよ」
「‥‥あら、そう」
「私は女神になりたいわけじゃないし、聖女でもなく、カッコいい騎士になりたいわけじゃないの。大好きな兄様や姉様達がいつでも帰ってこれるようにマカロン家を再復興させたい。あとは大好きな人の隣にいても笑われないような、女性になりたいの」
私は真っ直ぐとアデライト姉様の方を見つめるとアデライト姉様はただ微笑み返してくれただけだった。
久しぶりに会ったアデライト姉様はやっぱり少し緊張しちゃったけど‥‥
幽閉されてても、あんな堂々としているアデライト姉様は凄いなあと思ってる自分はやっぱりアデライト姉様寄りなのかな?
私は家に帰り鏡を見つめる。ソフィア姉様のようなストレートな髪ではなく、アデライト姉様と同じ巻き髪。多分このまま成長したら
「アデライト姉様に似てる、かな?」
なんとなくそう思っていた。
あれからフォース国から何かしらきたわけでもなく静かな日々が続いたけど、いつ戦争になるかわからないくらいの状況だった。
まるで何か起きる前のようで‥‥
向こうは絶対何かしかけてくるはず。
ルチータ王子とは公式な場以外では特に会わなかった。
ソフィア姉様は時々屋敷へ帰ってきてよくお茶をするようになって、ジェイコブ兄様は髪色など変えて『コブさん』という名前でリリアン姫様のそばにいた。
何かが変わろうとしているのか。
何かが起きるのか。
とても静かでこのまま何も起きなければいいと思うくらい穏やかな毎日を暮らして月日は7年過ぎていった。
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