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どうあっても学校はある。気持ちはわかるが、自分の将来のためにも学校は行きなさいという親の言葉もあったため、友人やクラスメイトにはどう言おうかなんて考えながら学校へ。
教室に入れば意外と誰もその質問はしてこなかった。連絡を返さなかったからだろうか?何かを察してか、聞くのを控えてくれたのかもしれない。
そわそわとこちらを気にしながらも愛海のことを質問してこないクラスメイトたちに気持ちの落ち込んでいる俺は感謝しつつ、チャイムが鳴り、始まるホームルームで先生はとんでもない連絡をした。
「白波愛海さんは癌だったようです」
「え?」
「癌?」
まさか病名が告げられるとは思わなかった俺は、ざわつくクラスメイトよりも何故先生が愛海の現状を暴露するようなことをと先生を睨んだ。
「これは白波さんたっての希望で伝えるように言われました」
そんな俺の視線に気づいてか、先生は何故話したのかという理由をみんなに告げた。ざわついたみんなが一気にしんと静かになる。
「さすがに……とは思ったのですが、白波さんは頑張りたいからみんなに応援してほしいと先生に伝言をと頼まれました。白波さんは余命宣告を受けています。でも、白波さん自身は治療を頑張って奇跡起こしてやるんだから!と意気込んでいました」
「はは、白波らしいな」
「愛海ってば………」
愛海がそんなことを……。さすがだなぁなんて思う。本人がそこまで言うなら俺もうじうじしてやれないし、愛海の父親に笑顔にするなんて言っといてカッコ悪い真似もできない。
みんなに伝えることで自分を励ましたかったのだろう。愛海の勇気には恐れ入る。
「先生!愛海のために手紙を書く時間とか………もらえないですかね?」
ならば俺ができることは、愛海にみんなの応援を伝えることだとそう思った。でもそれなら色紙でもよかっただろう。だけど、色紙なら買いに行く必要があるし、伝えきれない応援の言葉だってある。
愛海はみんなに愛される存在だ。いつだって中心で笑っていた。だからこそひとりひとりの手紙の方がいいと思ったんだ。それこそ読むのが大変で癌のことを一瞬でも忘れられるんじゃないかと思ったから。
「先生!私もお願いします!」
「俺も!急がなくていいのはわかってるけど、こういうのは早い方がいいと思うし!」
「先生、みんな同じ気持ちだと思います!今、愛海ちゃんが元気でも心の中じゃ不安だと思うから………だから、お願いします!こんな大勢で応援の言葉を伝えに行くのは病院側からしたら迷惑だろうし、放課後には野中くんに渡しに行ってもらえるよう頼めるように……時間をください」
最後は代表とばかりに委員長が立ち上がってお願いをしてくれた。本当なら直接行きたいだろうに愛海の彼氏である俺に託してくれることが凄く嬉しいと思う。
「みんな、先生をなんだと思ってるんですか?私も書きたいくらいです。可愛らしさもない便箋しかないけれど、持ってきますからしっかりがんばる白波さんを応援してあげてください」
ふふと笑って先生は教室を出ていった。
それからはみんな書きたいことがありすぎると愛海の未来を信じて笑いながらも手紙を綴った。
書いた人からひとりずつ俺に手紙を託して。
教室に入れば意外と誰もその質問はしてこなかった。連絡を返さなかったからだろうか?何かを察してか、聞くのを控えてくれたのかもしれない。
そわそわとこちらを気にしながらも愛海のことを質問してこないクラスメイトたちに気持ちの落ち込んでいる俺は感謝しつつ、チャイムが鳴り、始まるホームルームで先生はとんでもない連絡をした。
「白波愛海さんは癌だったようです」
「え?」
「癌?」
まさか病名が告げられるとは思わなかった俺は、ざわつくクラスメイトよりも何故先生が愛海の現状を暴露するようなことをと先生を睨んだ。
「これは白波さんたっての希望で伝えるように言われました」
そんな俺の視線に気づいてか、先生は何故話したのかという理由をみんなに告げた。ざわついたみんなが一気にしんと静かになる。
「さすがに……とは思ったのですが、白波さんは頑張りたいからみんなに応援してほしいと先生に伝言をと頼まれました。白波さんは余命宣告を受けています。でも、白波さん自身は治療を頑張って奇跡起こしてやるんだから!と意気込んでいました」
「はは、白波らしいな」
「愛海ってば………」
愛海がそんなことを……。さすがだなぁなんて思う。本人がそこまで言うなら俺もうじうじしてやれないし、愛海の父親に笑顔にするなんて言っといてカッコ悪い真似もできない。
みんなに伝えることで自分を励ましたかったのだろう。愛海の勇気には恐れ入る。
「先生!愛海のために手紙を書く時間とか………もらえないですかね?」
ならば俺ができることは、愛海にみんなの応援を伝えることだとそう思った。でもそれなら色紙でもよかっただろう。だけど、色紙なら買いに行く必要があるし、伝えきれない応援の言葉だってある。
愛海はみんなに愛される存在だ。いつだって中心で笑っていた。だからこそひとりひとりの手紙の方がいいと思ったんだ。それこそ読むのが大変で癌のことを一瞬でも忘れられるんじゃないかと思ったから。
「先生!私もお願いします!」
「俺も!急がなくていいのはわかってるけど、こういうのは早い方がいいと思うし!」
「先生、みんな同じ気持ちだと思います!今、愛海ちゃんが元気でも心の中じゃ不安だと思うから………だから、お願いします!こんな大勢で応援の言葉を伝えに行くのは病院側からしたら迷惑だろうし、放課後には野中くんに渡しに行ってもらえるよう頼めるように……時間をください」
最後は代表とばかりに委員長が立ち上がってお願いをしてくれた。本当なら直接行きたいだろうに愛海の彼氏である俺に託してくれることが凄く嬉しいと思う。
「みんな、先生をなんだと思ってるんですか?私も書きたいくらいです。可愛らしさもない便箋しかないけれど、持ってきますからしっかりがんばる白波さんを応援してあげてください」
ふふと笑って先生は教室を出ていった。
それからはみんな書きたいことがありすぎると愛海の未来を信じて笑いながらも手紙を綴った。
書いた人からひとりずつ俺に手紙を託して。
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