騎士団やめたら溺愛生活

愛生

文字の大きさ
上 下
16 / 27

夫婦のフリ ※

しおりを挟む

 「夫婦の振りをするなら必要だよね」

 アイザックはリアンを自分の部屋に連れていき、ベッドサイドチェストから小さなケースを取り出した。

(なんだ?)

 ケースの中には銀の指輪が二つ。
 アイザックはリアンの手を取り、右手の薬指に指輪をつけた。

「えっ? なに、これ」
「結婚指輪」
「いやいやいや、なんでこんなもん持ってんだよ! ていうか、これサイズぴったりなんだけど?」
「寝てるときにこっそり測ったからな」
「はあ!?」
「でもこれだけじゃまだ弱いから、ちゃんと協力しろよ」
「いや指輪はどう――」

 アイザックはリアンを抱き寄せ、キスで口をふさいだ。

「……なっ……ん……」

 うねるような舌がリアンの口の中を蹂躙じゅうりんする。
 混乱したリアンはされるがままだ。

(はあ……リアンは唾液ですら甘いんだな)
 
 口内を味わいつくしたアイザックがようやく唇を離すと、カクン、とリアンの膝の力が抜けた。

「大丈夫か?」
「……なんで、こんなキス……」 
「夫婦ならイチャイチャして見せないと。ぎこちないとすぐにバレちゃうよ」
「だからって――んんっ!」

 アイザックは濃厚なキスを続けた。

「ア……んっ、あ……」
「好きだよ、リアン。大好きだ」

 キスをしながらシャツをめくられ、大きな手で素肌を撫でられる。
 抵抗しなきゃと思うのに、なぜか力が入らない。

 アイザックは軽々とリアンを抱き上げ、ベッドに優しく横たわらせた。

 騎士団の制服を脱ぎ捨てると、分厚い胸板や綺麗に割れた腹筋が露わになる。
 アイザックはリアンのシャツを脱がし、首筋に吸いついた。

「あ、アイザック、やめ……」
「新婚ならキスマークくらいないとおかしいだろ」
「え……あ、ちょっ」
 さらに強く吸うアイザック。
「うう……」
 リアンはどうしたらいいかわからず、ギュッと目をつぶった。

「……これでよし」
 リアンの真っ白な首筋に赤い跡がついた。
「他のやつが手を出せないように、身体中につけないとね」

 二度と他の男に触らせるものか。

 嫉妬にかられたアイザックの愛撫は止まらない。
 首筋から胸、胸からお腹へ、微妙な加減で舐めたり吸いついたりしながら、さらに下へとおりていく。

「そこはダメ――」
 リアンの下着からペニスを引き出し、愛おしそうに口づけをした。
「やめろ! 汚いだろ」
「リアンに汚いところなんてない。身体の隅々まで綺麗だ。ここだって……」

 先端を執拗に舐められ、押し寄せる快感にリアンは必死にあらがう。

「ああ、ダメだってば……うぅ、そんなところ……」
「気持ちいいだろ?」

 アイザックは根元まで一気に口に含むと、何度も強く吸い上げた。

「ああっ、ダメ。出ちゃう」
「イって、リアン」
「あ、イっちゃうから……離して、アイザック……あっ、あっ、ああ!」

 欲望にあらがうリアンだったが、抑えきれずにアイザックの口の中に放出した。

「……バカ……後で、覚えてろ……」

 うとうとしながらも、憎まれ口を叩くリアン。
 アイザックはそんなリアンを見て、満足そうな笑みを浮かべた。
 

 

 
 



 

 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

恋人に捨てられた僕を拾ってくれたのは、憧れの騎士様でした

水瀬かずか
BL
仕事をクビになった。住んでいるところも追い出された。そしたら恋人に捨てられた。最後のお給料も全部奪われた。「役立たず」と蹴られて。 好きって言ってくれたのに。かわいいって言ってくれたのに。やっぱり、僕は駄目な子なんだ。 行き場をなくした僕を見つけてくれたのは、優しい騎士様だった。 強面騎士×不憫美青年

【完結】もふもふ獣人転生

  *  
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。 ちっちゃなもふもふ獣人と、攻略対象の凛々しい少年の、両片思い? な、いちゃらぶもふもふなお話です。 本編完結しました! おまけをちょこちょこ更新しています。

モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中

risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。 任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。 快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。 アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——? 24000字程度の短編です。 ※BL(ボーイズラブ)作品です。 この作品は小説家になろうさんでも公開します。

推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。 そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。 ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。 そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

婚約破棄された悪役令息は従者に溺愛される

田中
BL
BLゲームの悪役令息であるリアン・ヒスコックに転生してしまった俺は、婚約者である第二王子から断罪されるのを待っていた! なぜなら断罪が領地で療養という軽い処置だから。 婚約破棄をされたリアンは従者のテオと共に領地の屋敷で暮らすことになるが何気ないリアンの一言で、テオがリアンにぐいぐい迫ってきてーー?! 従者×悪役令息

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました

楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたアルフォン伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。 ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。 喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。   「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」 契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。 アルフォンのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。

【完結】婚約破棄された僕はギルドのドSリーダー様に溺愛されています

八神紫音
BL
 魔道士はひ弱そうだからいらない。  そういう理由で国の姫から婚約破棄されて追放された僕は、隣国のギルドの町へとたどり着く。  そこでドSなギルドリーダー様に拾われて、  ギルドのみんなに可愛いとちやほやされることに……。

処理中です...