騎士団やめたら溺愛生活

愛生

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夫婦のフリ 2

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 朝起きると、アイザックはもう出掛けていた。
「なんだよ、起こせばいいのに」

 リアンが一階に下りると、テーブルの上に目玉焼きとソーセージがあった。
「ふっ、焦げてるし」

 リアンは昨夜のことを思い出し、「ハア」と大きなため息をついた。

「あんな醜態をさらすなんて……あいつ、好きって言ったよな。指輪を用意してたってことは、前からプロポーズするつもりだったのか?」

 アイザックの執拗な愛撫を思い出し、自然と身体が火照ってくる。

「はあ、いやらしいことばっかり思い出しちゃう……俺って淫乱だったのかなあ。でも、変態に触られたときは気持ち悪いだけだったし……俺、アイザックのこと、好きなのかな」

 まだ恋愛したことのないリアンには、自分の気持ちがよくわからなかった。

 ***

 アイザックが休みの日に、指輪をはめて一緒に出掛けることにした。
 ふたりが夫婦だと街の人達にアピールするのが目的だ。

「おい、手を繋ぐことはないんじゃないか?」
「新婚なのに離れて歩いてるほうが不自然だよ」
「そういうもんか?」

(うちの嫁、ちょろくて可愛い……)
 アイザックがひそかに喜びを噛みしめる。

 恋人繋ぎで街を歩くと、あちこちから生暖かい視線が飛んでくる。

「今日はデートかい。仲がいいねえ。旦那、花でも買ってやりなよ」
「じゃあ、赤い薔薇をもらおうかな」

「よお、お似合いだね」
「ふふ、そう見えるか? 苺のケーキをホールでもらおう」

「綺麗な奥さんに素敵なネックレスはどう?」
「見る目があるな。それももら――」

「アイザック、何でも買おうとするな! みんなもこいつをおだてないでよ」
「やだ、リアンちゃん怒らないで~」
「悪かったよ。二人が仲良しだと嬉しくってさあ」
 
(だいたい、なんで俺の方が嫁なんだよ)
 ぷうっと頬を膨らませるリアン。

 いつもと違う子供っぽい表情を見せるリアンを、皆が微笑ましそうに見つめる。

「あんまり見ないで。俺のなんだから」

 ヤキモチを焼いたアイザックがリアンを後ろから抱き締めると、女性達のあいだから「キャーッ」と黄色い声が上がった。

 
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