騎士団やめたら溺愛生活

愛生

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二人の関係 3

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 二人が新しい生活にも慣れてきた頃、事件が起きた。

 リアンがいつものように店をのぞきながら通りを歩いていると、ふいに誰かに声をかけられた。

「……リアン? リアンだよね。良かった。やっと見つけた! 会いたかったよ、リアン」

 知り合いだっけと顔を見れば、気持ちの悪い目付きに見覚えがあった。

(こいつ、騎士団にいたとき、しつこく言い寄ってきた男だ!)

 いつもアイザックやブライアン卿がうまいこと追い払ってくれてたから、どう対応すべきか悩む。

(名前なんてったかな。ウィ……ベネ……確か、どっかの商会のドラ息子だったな。相変わらず気持ち悪いやつだ。どうするかな。家にまでついてこられても困るし……面倒だから、気絶させてその辺に転がしとくか?)
 
 リアンの思惑とは裏腹に、男は上機嫌で話しかけてきた。
「久しぶり。相変わらず綺麗だね。騎士団の人に聞いても誰もきみの居場所を教えてくれないから、調べるのに時間がかかっちゃったよ」

(げ、調べたのかよ)

「どうせ暇なんでしょ、お茶でも飲もうよ。話したいことがたくさんあるんだ」

「いえ、用があるので結構です」
(話すことなんかねえよ)

「遠慮しなくていいんだよ、奢ってあげるから。仕事辞めてお金ないんでしょ?」

 下卑た笑みを浮かべる男に、リアンは氷のような眼差しを向けた。

「あなたに奢ってもらおうとは思わないよ。友だちでもなんでもないんだし」
 それじゃあ、と背を向ける。

「ちょっ、ちょっと待って! ――待てったら!!」
「――つっ」
 男に右肩を思い切り掴まれ、リアンは痛みに顔をゆがめる。

「わざわざ会いに来てやったのに、その態度はないだろ!!」

 男の態度が豹変した。
 どうやら本気でリアンが喜ぶと思っていたらしい。とんだ勘違い野郎だ。
 男はフーフーと荒い息を吐きながら、血走った目をリアンに向ける。

「なんでも、貧乏騎士と一緒に暮らしてるそうじゃないか。清純な振りしてやるもんだな、すっかり騙されたよ」
「はあ!?」
「まあ、どうしてもというなら、俺が面倒見てやってもいい。になったからって、手近な男で我慢することないぞ。俺ならもっといい生活をさせてやれるか――ぐあっ」

 男が突然うめき声を上げて後ろにのけぞった。
 見ると、アイザックが男の背後から思い切り腕を締め上げていた。

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