継母の心得 〜 番外編 〜

トール

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番外編 〜ノア5歳〜 〜

番外編 〜 ノア13歳、アカデミー編1 〜

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ノア視点


帝都アカデミーにはグランニッシュ帝国のあらゆる領地、そして他国から、様々な子供たちが集まってくる。

帝都アカデミーほど教育カリキュラムが充実した学園はないと言われるほどで、世界中から集められた優秀な教師陣が教鞭をとっている。
帝都アカデミーを卒業すれば、職に困る事はない為、貴族だけでなく一般人も目指す由緒ある学園だ。

そんなアカデミーに女性が通うようになったのは、3年前からで、女性の社会進出が目覚ましいこの国では、教育にも力を入れている。

ただでさえ巨大なアカデミーは、3年前からさらに巨大化し、今では学園都市といっても良いほどで、アカデミー周辺の発展が著しい。

もちろん帝都の中心部はもっと活気に溢れているのだが、学園都市は特に若者が集まる場所として、おしゃれなカフェなど、若者受けするお店が多く集まっている。

レール馬車も帝都の中心地から学園都市を結ぶように開通し、交通の便も良くなった事もあり、庶民や、馬車を滅多なことでは使えない貴族たちも利用でき、家からも通いやすくなったらしい。
以前は常に利用者が多く空きがなかった寮も入りやすくなっているそうで、地方からの受け入れも増加傾向にあるようだ。

そして、ディバイン公爵領発のブルーの街灯や、アカデミー内外に騎士団の派出所を置くことで治安も良くなった。
もちろん学園内も、門には門番もおり、入学直前にもらう学生証を必ず提示して入らなくてはならないので、外部の者は入れない仕組みになっている。
ただ、学生証を忘れると入門はできないので、遅刻する者も何人かいるのだとか。


「───ノア様、学生証の提示をお願いいたします」

馬車でアカデミーの門を通過中、サイモンに言われ学生証を取り出すと、門番がすぐさま確認し、特に問題もなく通過できた。

「私たちの場合は、学生証の提示が今回の一度限りで良いようです」

馬車に付いている公爵家の紋章が今後は学生証の代わりになるのだと、サイモンが教えてくれた。

「そうなんだね。教えてくれてありがとう、サイモン」
「私はノア様の従者ですから」

幼い頃から兄弟のように育ってきたサイモンは、そう言って微笑むと、姿勢を正し窓の外に目を向けた。

『ノア、あっち、しょくどー!!』

お留守番するものだと思っていたアオは、ついて来てくれるみたいで、今は窓に張り付いて外を見てはしゃいでいる。

アオ曰く、事前に下見をしたらしいので案内できるそうだけど、この分じゃ、食堂ばかり連れて行かれそうだなぁ。

『アカ、アス、あのへや、いるー!!』
「え? ……サイモン、あの部屋はどんな部屋なのかな?」

アオの言葉が気になりサイモンに聞けば、「あちらは上級生の教室です。イーニアス殿下もあちらの教室にいるはずです」と言うので、やっぱりアオの言っていることは本当なのだと納得した。

「アオ、アカの所に行きたいなら、行っておいで」
『ううん。アオ、ノアといっしょ!!』
「フフッ、これから入学式だから、私の膝の上で大人しくしているんだよ」
『はーい!!』

アオが腕の中に飛び込ん出来たので、抱きしめてあげると鼻歌を歌いながら、嬉しそうに左右に揺れていた。

その歌、お母様が良く歌ってくれていた歌だよね。


入学式は生徒と教師が大講堂に集まって行う。
式の最中に在校生の挨拶と、新入生の挨拶があるのだけど、在校生代表はイーニアス殿下、新入生代表は私という事で、講堂の舞台裏へ式の途中に案内されたのだ。

「ノア! 入学おめでとう!」
「アス殿下!」

舞台裏にはアス殿下がおり、おめでとうと声をかけてくれた。昨夜妖精通信で話したばかりだというのに、アカデミーという場所でアス殿下に会うと安心してしまう。

『ノア! にゅーがく、おめでとー!』

アカが顔に抱きついてきたのでびっくりした。

「はい。二人ともありがとうございます」
「うむ。充実した学園生活を送れるよう、私も先輩としてサポートを惜しまないつもりだ」

アス殿下ほど頼もしい先輩はいないが、殿下を支えるのは私の役目だ。

『アオもー!! アオも、ノア、サポートするー!!』
「うむ。アオもノアを支えてやってほしい」
『はーい!!』

アオってば、アス殿下の前でやる気満々、と胸を張っていた。


代表挨拶は、アス殿下の人気がわかる歓声の中始まり、さすがアス殿下だと、何だか私が誇らしくなって、舞台袖で拍手をしていたのだけど、いよいよ新入生の代表挨拶をする時間がやってきた。

私は、皆に受け入れてもらえるだろうか───……

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