継母の心得 〜 番外編 〜

トール

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番外編 〜ノア5歳〜 〜

番外編 〜 ノア13歳、アカデミー編2 〜

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ノア視点


舞台袖から出て壇上に立つと、広い講堂には何百人と生徒や教師が座っていて、その視線が一斉に向くと圧倒される。

お父様だったら、なんてことない顔をして、緊張なんてしないんだろうけど、私は……。

『ノア、アオいる!! だいじょーぶ!!』

一瞬頭が真っ白になっていた時だ。
アオが、私の顔に抱きついて、大丈夫だと落ち着かせてくれた。

『ノア、だいじょーぶ!! ベルいってた、みんなパンケーキ!!』

アオ、それを言うなら、じゃがいもだよ。パンケーキは私の好きなおやつ。

アオの言葉にフッと気が緩み、笑いが漏れた。すると、皆が息を飲む気配がして、慌てて代表挨拶をしたんだ。

アオのお陰でリラックスして話すことができたよ。

私が話し出すと、悲鳴が上がって数人が倒れてしまったのには驚いたけど、彼女たちは貧血だったのかな?

「ノア、素晴らしい挨拶だった! 格好良かったぞ。アオも良くやったのだ」
『アオ、よくやったー!!』

舞台袖に戻ると、アス殿下が褒めてくれて、嬉しさと安堵でついアオを抱きしめてしまった。

『んふふ~、ノアすきー!!』
「ありがとう、アオ。アス殿下も、格好良かったです」
「うむ。ノア、午後からは部活動の勧誘が始まるのだが……」
「私はアス殿下の部活に入ります。それはもう決まっています」

アス殿下が立ち上げた部活は、『大型帆船研究部』。
殿下が立ち上げたと聞いた時からずっと憧れていた部活で、アカデミーに入学したら絶対入ると決めていた。

卒業までに目指すのは、ガレオン船の完成なんだ。

「そうか! うむ。皆ノアが来るのを楽しみにしている。午後に部室で待っているからな!」
「はい!」

こうして無事、入学式が終了し、教室へと移動を始めたのだけど、その途中友人から不思議な話を聞いた。

「アカデミーの七不思議、知ってる?」
「皇城の七不思議なら知ってるけど、ここでもそんなのあるんだな。あ、ノア! お前知ってる? アカデミーの七不思議」

そんなの、お父様からもウォルトからも聞いた事ないけど……。

「ブルちゃ……ブルネッラは知っていましたか?」
「ううん……。初めて聞きました」

偶々同じクラスだったブルちゃんに話しかけると、ブルちゃんは首を横に振った。

『ノア、どーして、ブルってよばない??』

お母様から、女の子は特別扱いすると虐めがあったりと大変だから、そういう所は気を付けてあげなさいと言われている。たから、ブルちゃんって呼ぶのは、周りに誰もいない時だけなんだ。
それと、丁寧な言葉遣いも、アス殿下だけにすると、アス殿下が落ち込むから、みんなにも同じように丁寧な言葉遣いで話しかけるようにしている。

「───それでさ、教室に誰もいないのに、窓が突然開いたんだってよ!」
「何だよそれ、皇城七不思議と内容同じじゃねぇ?」
「いやいや、他にも音楽室のピアノが勝手に鳴ったり、物が突然消えたりって、兄さんから聞いたんだって! ノアは信じてくれるよな!?」
「え……その現象、どこかで聞いた事あるような気がしますが……」
「ノアも信じてくれないのか~!」

いや、その話……、

「……妖精のイタズラ、みたいですね」

ブルちゃんが言った言葉に皆が、「たしかに」と頷く。

アオとアカに、後で話さないといけないことが出来たようだ。


◇◇◇


『アオ、ピアノひーてない!! ひーたのアカ!!』
『まどあけたの、アオ!』
『私は、落とし物拾ってあげただけよ! だからテオには言わないでほしいのっ』

『大型帆船研究部』の部長室で妖精たちを問い詰めたら、なぜかお父様の契約妖精である、風の妖精王ルピナスまで出てきた。

「アス殿下……」
「うむ。ピアノならば皇宮にもあるだろう。公爵家にもな。ピアノが弾きたいなら家のピアノを弾くこと。約束できるか?」
『アカ、やくそくする!』
『アオも!!』
「良い子だ。それとルピナス」
『はいぃ!』
「落とし物を拾ってくれてありがとう。優しい子だな」
『イーニアス最高~! これからは気を付けるわ!』

さすがアス殿下、自由な妖精たちが言う事を聞いてる。

これで大丈夫だ。そう思っていたんだけど、妖精たちはこのアカデミーで、大事件を起こしたんだ。

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