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番外編 〜 ノア3〜4歳 〜
番外編 〜 ノアとアオ 〜 ノア4歳、イザベル妊娠発覚直後
しおりを挟む※イザベルの妊娠発覚直後の話です。
『アオ、おやつたべたーい!!』
「わたちも、おやちゅたべたーい!!」
雲一つない青空の下、きゃっきゃと笑いながら、青いお化けキノコと手を繋ぎ、お庭を走るノアにほっこりする。
カミラは走り回るノアをゼェハァ言いながら追いかけ、メイドたちはにこやかにテラスへアフターヌーンティーのセットをし、テオ様がやって来る前に姿を消す。
わたくし付の侍女であるミランダも、この時ばかりは部屋の隅へ待機し、テオ様の視界に入らないよう注意していた。
暫くすると、いつものようにテオ様がやって来て、わたくしの頬にキスすると、当然のように隣へ座る。
高級リゾートホテルに置いてあるような、外用ソファはテオ様の雰囲気によく合っており、半袖でも、ましてサングラスなどしていないにも関わらず、まるで南の島にリゾートにやって来たセレブのようだと感じた。
「ベル、ずっと思っていたのだが……」
「何でしょうか?」
ノアとアオをチラッと見たテオ様が言いにくそうに口を開く。
「何故、あの青いキノコだけがここに居るんだ」
「? 正妖精はフロちゃんの所に行っておりますし、アカはイーニアス殿下の所へ出掛けておりますから、今はアオだけなのですわ」
妖精たちは最近、よく別行動しますのよね。
「だからなぜ、青いキノコが、さも当然のようにノアと行動を共にしているんだ」
「それはもちろん、アオはノアのきのこ……コホンッ、妖精だからですわ」
『チロト~、ベルミタイネ~』
「そうね、チロ」
わたくしの肩にちょこんと座っているチロが、ふわりと飛んで、ほっぺたに寄り添いながら、『ネ~』と仲良しアピールしているのが可愛らしいわ。
「いつから……ノアはアオと契約したんだ……」
そういえば、テオ様に報告しておりませんでしたわ!
「テオ様、申し訳ありませんわ! わたくし、うっかり報告しておりませんでした!」
最近忙しくて、頭から飛んでしまっていましたわ。
「……ベル、我々は妖精と馴れ合いすぎて、特別だとは思えなくなっているが……一応アレらは、教会や国も動き出すような重要な存在なのだ」
「はい……」
ふぅっと溜め息を吐いて、わたくしを優しく見つめ、諭すように仰るテオ様は、ミスをした部下にも優しい。
わたくし、部下ではありませんけれども。
「今後はこのような事がないよう気をつけますわ」
わたくしがしゅんとしていたからか、テオ様はわたくしの手を握ると、
「ああ。何があるか分からないからな。気をつけてくれると助かる」
と仰り、頷けばふわりと微笑んで、わたくしを魅了してくるので、慌ててお茶を口に含んだのだ。
「それで、青いキノコと契約をしたノアは、何か変わった事はないか?」
「特に今までと変わった事もございませんが……。あ、ノアとイーニアス殿下は、いつの間にか妖精の姿が見えているようですが、それだけではないかしら?」
「見える事も大騒ぎになるような事だが……契約していない私ですら、アレらが力を貸せば魔法の威力が上がる。契約したとなると……試すべき、なのだろうな」
え、わたくし、チロと契約関係にありますけれど、特に何も変わっておりませんわよ?? ほんのちょっと、ライトの光が大きくなったくらいですわ。
『ノア!! おやつ、よーいされてる!!』
「ほんとね! アオ、おかぁさまのところ、はやく、いくの!」
『うん!! アオ、おやつのじかーん!!』
「わたちも、おやちゅの、じかーん!」
きゃーと言いながら駆けてくる二人は、あっと言う間にわたくしの前まで来ると、両手をわたくしの前で広げて抱っこをせがむのだ。
「あらあら、甘えん坊さんですわね」
ノアを膝の上に乗せると、アオも抱っこをせがんでくるので
結局ノアはわたくしの膝の上に、アオはノアの膝の上に座る事になる。
まるでブレーメンの音楽隊のようだと苦笑していると、テオ様がノアとアオに話しかけた。
「ノア、アオ、お前たちは本当に契約したのか?」
『したー!! ノア、アオの!! アオ、ノアの!!』
「なかよち、なのよ!」
青いお化けキノコのぬいぐるみを抱いているみたいなノアは、テオ様に胸を張るとニコニコと答えた。
「妖精と契約したノアに、どのような力が現れたのか知りたいのだが、教えてもらえるだろうか」
『ノア、ちからましましー!!』
「それは分かっている。具体的にどのような能力が開花するのかを聞いているんだ」
『のーりょく……ハッ! アオ、しってるばしょ、いどーできる!!』
「「なんだと(ですって)!?」」
アオの言葉に驚き、テオ様と二人顔を見合わせる。
アオ曰く、ノア自身に転移魔法は使えないが、アオが使える魔法でノアを移動させる事が可能になったのだとか。もちろんそれはアカも同じで、つまり、ノアとイーニアス殿下はアカとアオが知っている場所ならいつでも行けるという事らしい。
それは、皇后様要らずの能力じゃありませんこと!?
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