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書いた部分を最後まで読んでもらうのためには

設定を語りたいのはわかるが、ソレなら物語に力を入れよう

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他の方の作品を読んで気になったのが、いきなりの全登場人物と世界設定の紹介。
全登場人物紹介は、身長体重、髪型、目の色から、親の設定などなど。
世界設定紹介は、毎月の呼び方から、独自の単位、どこかで見たことのある魔法一覧などなど。

【お前も書いてるだろう、とツッコム前に、では敢えて書いた理由、内容の違いを考察してみような】

書き手としては、よくわかります。
考えた設定を知ってもらいたいのは、よくわかります。
物語の雰囲気を醸し出すためにも、いろいろと設定したいのは、わかります。

でも、読者様目線では、掲載何ヶ月か後に何シーン出てくるのかもわからないキャラの目の色も、三月の呼び方にも、興味が薄いのではないでしょうか。
読んでも、出てきたコロには、忘れてますし。
その時こそ設定を見ろ、と思っているのでしょうが、膨大な設定の中から探すより、読み流す方が多い、と予想されますし、霧の月(三月)の方が、親切です。

怖いのが、独自の単位。
凝った設定だと、書き手が忘れて間違いの宝庫ですし、単純にメートルをメルとかにしただけだと、ばっちりメートルと誤記してしまって、逆に読み易くなる、という笑えないコトもあります。
正直、厳密に計算して書き込んでも、読者様は雰囲気でナナメに読んでいるのが現実でしょう。
ココ単位間違ってたけど指摘される前に直せて良かった、ではなく、適度に脳内変換されたサイズで読まれているのです。
なので、重要な伏線(例えば魔法の飛距離や継続時間)に使ってしまう、と回収したときに、読者様キョトンがありえます。

つまり、雰囲気のためだけのギミックであるならば、読者様にとっては、どうでもいい、むしろ読みにくくする邪魔な設定なのです。

逆に、物語のキーとなる設定であるならば、読者様に開示しなければ、ルール違反です。
例えば、火事の建物に取り残された主人公は、火の精霊魔法しか使えず、水で消火できず、土で防護壁もつくれない。
どうやって助かるんだろう、とドキドキする読者様。
そして、伏線もなく明かされる設定。
『火の精霊魔法の術者は、火で傷つかない』。
えええー、となる読者様。
この後、どんなピンチも知らない設定が都合よく出てくるんでしょ、と読者様は離れていくでしょう。
そもそも、火事のシーンが、魔法の設定を隠していなければ、ピンチでもなんでもありませんから、悪質です。

読者様が求めているのは、設定を開示した上で、ピンチをどう工夫して回避するかです。
知らない設定が、都合よく出てくるコトではありません。
(チートで力づくで回避するのが流行ですが、書籍化されている作品は、ピンチを工夫して回避が、描かれているコトが多いので参考にしましょう。ただし力のインフレには要注意です。また、設定開示を逆手に使っているのが、拙作の中男です)。

つまり、「俺の設定すげ~から見て!」は、自己満足でしかなく、物語そのもの、もしくは伏線への理解を深めるために、設定は開示する必要があるのです。

もっと言えば、雰囲気用の設定より、物語を考える方に、時間をかけましょう。
更に言えば、オリジナルの設定と思っていても、大抵は既存です。
似ていると指摘されてヘコむぐらいなら、地の文での説明にとどめて、物語の特長つくりに力を入れましょう。

要約すると「設定を語りたいのはわかるが、ソレなら物語に力を入れよう」でした。
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