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#90 真冬の階段
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*月*日
これは、聞いた話なんやけど、飲み会で帰りが遅くなり、友達の女子ところに泊まることにした時の事。
部屋の持ち主である友人はもうかなりご酩酊でベッドに倒れこんだまま動かなくなってしまった。
泊めてもらった子の方は、暫くTVを観た後、ソファで寝ることにして、トイレに行って寝ようと思った。
そして、トイレから出てきて灯りを消してソファに横になって、ある事に気づいた。
それは、友人が爆睡しているベッドの下に何かがいるということだった。人なのか、ペットなのかわからないけれど、たしかにベッドの下に何かがいる。ソファに横にならなければ気づかなかった。
その子は、一瞬にして凍りついた。思考がとまる。どうしたらいいのかわからない。何がいるのかはわからないけれど、息をひそめて隠れているのが、ハッキリとわかる。
とにかく友達を起こして部屋から出ようと思った。なんでもいいから理由をつけて、相手に気取られないように外に出て通報しようと思った。
ぐずぐずしてはいられない、一刻も早く出なければと、急に咳き込むまねをして、ヤバイ、また喘息が出たと言うと、友達を起こしにかかった。
着衣のままなのは幸いだった。ついさっきちゃんと着替えて寝なよと注意したのに、うるさい!と一喝されたのだった。
「マユミ起きて! 薬飲まないと眠れないの」
「うっさいなぁ、かんべんしてよ」とマユミは取り合わない。
「喘息なんだ私、近くに24時間の薬局あったじゃん、一緒に買いにいってよ」下から手がスーッと伸びてきそうで、少しベッドから離れ気味にしながら、マユミの華奢な体を揺さぶった。
「もう仕方ないなぁ、じゃ明日のランチ奢りね?」
足取りがふらふらしているマユミに肩を貸して、とりあえず着の身着のまま部屋から飛び出した。
そして、ベッドの下に何かがいることを説明し、すぐさま110番しようとしたらマユミに止められた。
「やめてよ、そんなこと。盗みに入ってうちたちが帰ってきたから逃げる逃げられなくなったんじゃないの」
「そうかもしれないけど住居不法侵入でしょ? 」
「今、警察呼んだらパトカー来るって事だから近所迷惑だよね」
「そうだけどマユミはこのままでいいの?」
「よくないよ、けどもう今ごろは逃げ出していなくなってんじゃん」
「ほんとマユミはお気楽なんだから。でもそういう楽天家なところ見習いたいな」
それから、ふたりは恐る恐るマユミの部屋に戻った。
わざと賑やかに普段よりもさらに大きな声で笑い合いながら、ふたりしてベッドの下を窺ったが、それらしいものはいないようだった。
「ほら、いったじゃん、もう出てったんだよ」
「そうだね、さっきの気持ち悪い気配は消えてる」
「てことで、寝ますか?」とパジャマに着替えながらマユミ。
「あのさ、悪いんだけど今夜は一緒にベッドで寝ていいかな?」
「もう、怖がり屋さんなんだから。じゃ、これに着替える?」と大きめのTシャツを籐のチェストからマユミが出してくれた。
「ほな、うちは先にねます、おやすみ」
ゆっくり着替え終わって、髪をときながら、ドレッサーの鏡を見た。もう、すっかり酔いも醒めていた。立ち上がりトイレに向かう。
ドアノブに手をかけて、とたんに、手が震えはじめた。
鍵がかかっている‼️
これは、聞いた話なんやけど、飲み会で帰りが遅くなり、友達の女子ところに泊まることにした時の事。
部屋の持ち主である友人はもうかなりご酩酊でベッドに倒れこんだまま動かなくなってしまった。
泊めてもらった子の方は、暫くTVを観た後、ソファで寝ることにして、トイレに行って寝ようと思った。
そして、トイレから出てきて灯りを消してソファに横になって、ある事に気づいた。
それは、友人が爆睡しているベッドの下に何かがいるということだった。人なのか、ペットなのかわからないけれど、たしかにベッドの下に何かがいる。ソファに横にならなければ気づかなかった。
その子は、一瞬にして凍りついた。思考がとまる。どうしたらいいのかわからない。何がいるのかはわからないけれど、息をひそめて隠れているのが、ハッキリとわかる。
とにかく友達を起こして部屋から出ようと思った。なんでもいいから理由をつけて、相手に気取られないように外に出て通報しようと思った。
ぐずぐずしてはいられない、一刻も早く出なければと、急に咳き込むまねをして、ヤバイ、また喘息が出たと言うと、友達を起こしにかかった。
着衣のままなのは幸いだった。ついさっきちゃんと着替えて寝なよと注意したのに、うるさい!と一喝されたのだった。
「マユミ起きて! 薬飲まないと眠れないの」
「うっさいなぁ、かんべんしてよ」とマユミは取り合わない。
「喘息なんだ私、近くに24時間の薬局あったじゃん、一緒に買いにいってよ」下から手がスーッと伸びてきそうで、少しベッドから離れ気味にしながら、マユミの華奢な体を揺さぶった。
「もう仕方ないなぁ、じゃ明日のランチ奢りね?」
足取りがふらふらしているマユミに肩を貸して、とりあえず着の身着のまま部屋から飛び出した。
そして、ベッドの下に何かがいることを説明し、すぐさま110番しようとしたらマユミに止められた。
「やめてよ、そんなこと。盗みに入ってうちたちが帰ってきたから逃げる逃げられなくなったんじゃないの」
「そうかもしれないけど住居不法侵入でしょ? 」
「今、警察呼んだらパトカー来るって事だから近所迷惑だよね」
「そうだけどマユミはこのままでいいの?」
「よくないよ、けどもう今ごろは逃げ出していなくなってんじゃん」
「ほんとマユミはお気楽なんだから。でもそういう楽天家なところ見習いたいな」
それから、ふたりは恐る恐るマユミの部屋に戻った。
わざと賑やかに普段よりもさらに大きな声で笑い合いながら、ふたりしてベッドの下を窺ったが、それらしいものはいないようだった。
「ほら、いったじゃん、もう出てったんだよ」
「そうだね、さっきの気持ち悪い気配は消えてる」
「てことで、寝ますか?」とパジャマに着替えながらマユミ。
「あのさ、悪いんだけど今夜は一緒にベッドで寝ていいかな?」
「もう、怖がり屋さんなんだから。じゃ、これに着替える?」と大きめのTシャツを籐のチェストからマユミが出してくれた。
「ほな、うちは先にねます、おやすみ」
ゆっくり着替え終わって、髪をときながら、ドレッサーの鏡を見た。もう、すっかり酔いも醒めていた。立ち上がりトイレに向かう。
ドアノブに手をかけて、とたんに、手が震えはじめた。
鍵がかかっている‼️
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