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#91 Yep!
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*月*日
日曜日。
パンデミックがなんちゃらなんてどこ吹く風。街にはまた賑やかな日常が戻ってきつつあった。
駅前の広場ではフリーマーケットの出店準備でおおわらわ。その朝の光景の中の一員となってさんざめきを縫うように抜けていくとやがて異質な感じに気づいた。
キショイオヤジがひとり街角で人類の危機を嘆いていた。何かが異質だった。
ひまだしちょうどいいと思って、からかい半分にペットボトルのミネラルウォーターをビールに変えてみせてよ、といってみた。
すると髭面で(働いたら負け)と書いてあるぼろぼろのTシャツにダメージジーンズを履いたそのオヤジは即座にいいだろうと答えて、公衆の面前でズボンのチャックを下ろしかけた。
そのあまりにもわかりやすい反応に、呆れ果てて軽蔑の眼差しを向けていたら、勘違いするなよ、ちょっと位置が悪いから直しただけやというや、ミネラルウオーターの入ったペットボトルを引っ掴むと、あっと言う間に透明な水は、ワインレッドに染まっていった。
驚いたのなんのって。しかし。
「おいおい、オヤジ、オレの話聞いてないのかよ? ビールっていったよね?」
「あーすまんすまん。しかしな、おまえもよく知ってるだろ? キリストが水をワインに変えるってのは、鉄板やぞ?」
日曜日。
パンデミックがなんちゃらなんてどこ吹く風。街にはまた賑やかな日常が戻ってきつつあった。
駅前の広場ではフリーマーケットの出店準備でおおわらわ。その朝の光景の中の一員となってさんざめきを縫うように抜けていくとやがて異質な感じに気づいた。
キショイオヤジがひとり街角で人類の危機を嘆いていた。何かが異質だった。
ひまだしちょうどいいと思って、からかい半分にペットボトルのミネラルウォーターをビールに変えてみせてよ、といってみた。
すると髭面で(働いたら負け)と書いてあるぼろぼろのTシャツにダメージジーンズを履いたそのオヤジは即座にいいだろうと答えて、公衆の面前でズボンのチャックを下ろしかけた。
そのあまりにもわかりやすい反応に、呆れ果てて軽蔑の眼差しを向けていたら、勘違いするなよ、ちょっと位置が悪いから直しただけやというや、ミネラルウオーターの入ったペットボトルを引っ掴むと、あっと言う間に透明な水は、ワインレッドに染まっていった。
驚いたのなんのって。しかし。
「おいおい、オヤジ、オレの話聞いてないのかよ? ビールっていったよね?」
「あーすまんすまん。しかしな、おまえもよく知ってるだろ? キリストが水をワインに変えるってのは、鉄板やぞ?」
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