本当は貴方に興味なかったので断罪は謹んでお断り致します。

B介

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ネフェリア、学園編

予期

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「留守の間は何も無かったか?」

ヴィヴァリアンは詰襟の王族衣装から制服に着替えながらサリファンに声を掛ける。

カウディリアンは胸元まで留め具を外し、ソファに腰掛け、ナヴィルリアンは既に半裸状態で制服のワイシャツを手に取っていた。

「はい、フィフィル・カトローザと裏で繋がっている者との連絡手段がわかりました。」


サリファンは皇子の不在中の出来事を細かく話、ドファスが現在文字のくせから、相手を探している事、女性である事を伝えた。


すると、ヴィヴァリアンは口元に手をやり、考える仕草を暫く行ってから口をゆっくり開いた。

「イザベラ・ヤードを探れ。」


「確かに1番怪しいのはイザベラではあるが、公爵令嬢がこんな事までするか?もし、やったとしたら、地位は確実に下がるぞ?」


キリウスは眉を寄せながらヴィヴァリアンを見るが、ヴィヴァリアンの視線から、イザベラだと彼は断定している事に気づく。


「アリウス。イザベラを見張れ。」

キリウスは息を吐きながら、アリウスに指示を出した。

「畏まりました。」  



「…後、まだ他言無用にしてもらいたいが、シャーパと戦争になるかもしれん。」


ヴィヴァリアンの発言にサリファンとアリウスが息を飲む。

「まだ、分からないが、シャーパが武器を輸入している情報が入った。…狙うならウチだろう。」

ヴィヴァリアンに続き、カウディリアンが話し、2人は拳を握った。


「まぁ…様子を見ている状態だが、頭に入れておく様に。」

サリファンとアリウスは畏まりましたと、顔を強張らせたまま礼をとった。

何故皇子様方だけでなく、キリウス、プロント家も呼ばれたか、理解出来た。

もし、来年以降戦争が起これば、キリウスは騎士として戦争に参加するだろう、次期宰相のエスティリオも場合によっては戦力として動く事にもなる。そうなるとネフェリアは当主補佐、もしくはバロンの補佐として動く事にもなる。

サリファンはまだ自分の地位が不確かであり、年齢も相まって今回呼ばれなかった事に拳を震わせた。

それはアリウスもそうだ。

剣術ではそこらの兵士より戦力となるはずだが、18歳までまだ後3年ある。兄と共に戦場で戦えない事に悔しく歯を食いしばる。


そんな2人にナヴィルリアンはポンッと背中を叩いた。


「サリファン、アリウス。私が1番君らの気持ちが分かると思うが…今は悔やむ時じゃない。支えるべき時だよ。その時迄に力をつけよう。」


そうだ。

ナヴィルリアンはカウディリアンが王位継承権ほ放棄した為、第二の位置付けだが、年齢的に1番下であり、兄達と共に戦える術は無い。

戦争指揮は第一皇子のヴィヴァリアンになるだろう。

1番のスキルである剣術も使えず、戦争が始まれば祈るしかないのだ。


2人は深呼吸をして、口元を笑わせた。


そう、支える事を考えよう。



すると、キリウスは護衛の為の武装を解きつつ、ヴィヴァリアンに声をかけた。


「…なぁ、ヴィヴァリアン様。…もしかして、戦争が始まるかもしれない事、知っていたのか?」


キリウスの言葉に皆の視線がヴィヴァリアンに集まる。


ヴィヴァリアンはキリウスの青い瞳が鋭く光を放つのを見つめ、ゆっくりと椅子に腰掛けた。


「…何故、そう思う?」


「…この学園に入学する時、俺に言ったよな?騎士にしろ、近衛にしろ、護衛にしろ、万が一の事を考え、鎧の重さに耐えれるよう、動きにくさに耐えれるよう訓練しとけって。」


「……言ったな。」


「この国は殆どの国と和平を結び、傘下に入れている。通常であれば、卒業し、配属希望のテストを受け、配属された団の鎧で訓練を積む筈だ。確かに急な戦争になれば、慣れない鎧で戦う事になるかもしれない、万が一の為の訓練も理解できる。…だが、ヴィヴァリアン様は俺にだけ言った。カウディリアン様やアリウスに指示は出さなかった。…それは、近い内に戦争が起きるとよきしていたからでは?」


ヴィヴァリアンは表情を変えず、キリウスの話を聞いていた。


カウディリアンはキリウスとその様なやりとりを兄がしていたとは知らなかった。それはアリウスも同じだろう。

だが、確かに戦争という話にも、兄は驚きもせずに父上の話を聞いていた。


兄は元々表情があまり動かない。その為だろうと思っていたが…

「…兄上?」



カウディリアンの戸惑いの声に、仕方ないとばかりにヴィヴァリアンは口を開いた。


「…予期はしていた。…ただ、こんなに早くでは無い。」


「何故?何故お分かりになられたんですか?」

ナヴィルリアンもゴクリと唾を飲み込みつつ、質問した。


国王、宰相すら予期していない事を何故ヴィヴァリアンは分かったのか。


「…今は言えぬ。時が来れば話そう。だが、近い内、対応しなければ戦争にはなるだろう。…皆も特訓には励め。いつかなど分からないからな。」


ヴィヴァリアンはチラッとキリウスに金の瞳を向ける。

暫し、時が止まったかの様に互いに視線で会話した後、折れたのはキリウスだった。

大きなため息を吐き、頭を掻くキリウスは、小さく了解と呟いた。


これ以上は詮索しないと決めたのだろう。


キリウスの言葉に周りも口を閉じる事とした。


どちらにせよ、出来ることは限られているのだ。


まだ未成年という壁に包まれた己達なのだから。



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