本当は貴方に興味なかったので断罪は謹んでお断り致します。

B介

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ネフェリア、学園編

強さ

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「ネフェリア様ー！！」

僕はキリウスと食堂へ向かう途中、媚びる様な甲高い声にドキリと身を固めた。

いち早く対応したのはキリウスだった。第一皇子側近の権利として、剣を持つ許可が下りている。
その剣をいつでも抜ける様に触れ、ネフェリアの前に立った。

その様子に身体を一瞬強張らせたが、にっこりと微笑み近づいてくる。

フィフィル・カトローザ

「何のようだ…。」

キリウスは冷たい眼差しでフィフィルを見下ろすが、その立ち姿に惚けて、顔を赤らめている。

「ネフェリア様が襲われたと言うお噂を聞いて、姿が見えたので、いてもあってもいられずに参りました。」

フィフィル！！よくも、そんな事を！！

ネフェリアの目に怒りが宿る。

それは、キリウスも同じようで、先程より鋭くフィフィルを睨みつける。

「今、お前に構う暇は無い。下がれ！」

キリウスの迫力にフィフィルは後退るが、ニヤッと不適に顔を歪ませた。

「では、一言だけ。ネフェリア様！例え純潔を失っても、貴方はお綺麗です！決して汚れてなどいません！頑張って下さい！」

純潔を失った？汚れ？

何を言って…！！

ネフェリアはあまりの事に、身体を震わすと、周りからの視線が一気に集まった。

(やはり、噂は本当か…)

(やられてしまったって事だろ？可哀想に)

ザワザワと騒めきと共に聞こえる憐れむ声に、ネフェリアはサーッと血が下がる音が身体中から聞こえた。

寒く、震える身体を抱くように手を組むが、キリウスの背中を見て、弱さは出さないよう、口元を必死に笑わせた。

「貴様！！無礼だぞ！！根の歯もない事を！」

キリウスの怒声が響く。

「ひゃ！怖い！キリウス様、僕は噂を聞いて、慰めに来ただけです！！何か至らなかったら申し訳ございません！」

フィフィルはペコリと頭を下げて、その場を去っていった。

チッ！

キリウスは忌々しげにフィフィルの背中を睨み、背後のネフェリアに視線を移す。

ネフェリアは青白い顔で、微笑みながらも、自分を守る様に腕を組んでいた。

「ネフェリア…！」

キリウスはネフェリアの肩を抱こうと手を伸ばすが、ネフェリアは首を振った。

「キリウス様…今は私の肩を抱いてはダメです。傷ついたネフェリアとして、真実になってしまいます。私は汚れてなどいません。どうか、このままで…。」

にっこりと、耐え忍びながら微笑むネフェリアにキリウスは差し出した手をグッと握りしめる。

「わかった。ネフェリア…では、食堂はどうする？」

「食欲は失せましたが、このまま帰るのもおかしく見えるでしょう。食べ物を買って生徒会室に戻りたいです。」

「わかった。そのようにしよう。」

キリウスはネフェリアとサンドウィッチの列に並び、数種類手にすると、生徒会室に急いだ。

生徒会室に戻ると、キリウスは先に食堂へと行っていた、ヴィヴァリアン達に伝える為に戻り、ネフェリアに内鍵を閉めるよう伝えた。

1人となった生徒会室で、ネフェリアは作っていた表情を解く。

先程より震える身体に弱さを感じて、机を殴る。

「止まれ！止まれよ！！」

情けない！！僕はなんて情けないんだ！

言い返せたはず！！何故、震えて…！

カリウス様が言っていた…人間はいざって言うときに強さがわかると…。

僕は…あんな侮辱を受けて、笑顔一つで精一杯だ。

守られているだけで、何がプロント家を守るだ！！

これじゃあ、立川の方が頑張ってた。そして、どんな噂だろうと、役を辞めない強さがあった。

立川の方が強かった…。

僕は立川以上に、人を守れないのでは、ないか…。

俯き、額を机に叩きつける。

せめて、必死に込み上げる涙を流さないよう、何度もおでこをぶつけた。

コンコン

「ネフェリア！開けてくれ！」

ヴィヴァリアンの声に、ネフェリアは数回深呼吸をして、扉の鍵を開けた。

「ネフェリア！！」

ヴィヴァリアンはネフェリアを強く抱きしめた。

抱きしめらた温もりに、また涙が溢れそうになる。

「大丈夫か？…額が赤いぞ！どうした？」

青ざめるヴィヴァリアンに、ネフェリアはそんなに赤いかと、触れてみた。

すると、ぷっくりと腫れている。

「先程までなかったぞ！？」

キリウスもオロオロとおでこを見た。

エスティリオは急いで水袋を用意した。

ワタワタと焦る3人に自分でやったと言い出しにくくなる。

「誰か来たのか！？でも鍵はかかっていたよな？」

「どこかに雇われた影では！？」

「なに！？すぐに学園長に伝えろ！！」

「わーーーーー!! 違います！僕が自分でやりました！！ちょっと感情的になって！！」

3人はピタッと止まり、ネフェリアを見た。

「ネフェリア…お前の美貌に傷はつけるな。」
ヴィヴァリアンはキラキラと美しい顔をよせ、心配そうに見つめる。

「感情的になるなら、キリウスを殴れ！筋肉があるし、いくら叩いても剣で切っても丈夫だ。」

エスティリオはぐいっとキリウスを羽交い締めにした。

「いや、剣は死ぬ。」

真面目な顔でキリウスに伝えられ、僕は焦るが、なんだがおかしくなり、笑ってしまった。

「申し訳ございません。二度と傷付けませんから。」

「殴らなくていいのか？」

キリウスは羽交い締めにされたまま、腹を捲り、見事な腹筋を見せた。

また、笑ってしまう。

もっと強くなりたい…皆の笑顔を守れるくらい。

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