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B介

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ネフェリア、学園編

久しぶりの学園

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久しぶりでドキドキしながら、慣れ親しんだ廊下を歩き、大きな扉をノックする。

返答が返ってきたから、誰かいるかな?

カチャッと扉を開けて覗き込む。


「ネフェリア!」

ヴィヴァリアンが、席から立ち上がり、出迎える。

「迎えに行くと言っただろう…。」

おでこにキスをするヴィヴァリアンにネフェリアは恥ずかしそうに、胸を押す。

「やめてください!早く着いてしまったので…!」


今朝まで一緒にいたヴィヴァリアンは朝1番に対応しなければならない案件があり、本日から登校のネフェリアは医師の診断後に来る予定であり、心配していたのだ。

「廊下で誰にも合わなかったか?」

「はい、皆さん授業中ですしね。」

にっこり笑うと、ホッとするヴィヴァリアン。


「はい、そこ~!そこまでにしてくれないとキリウス妬いちゃいますよ~。」

棒読みで、机に肘をつき、こちらを見ているキリウス。


真顔で棒読みは読みにくいからやめてほしい。


「キリウス様おはようございます。」


キリウスは立ち上がり、ヴィヴァリアンからネフェリアを奪うと、今度はつむじにキスをした。


「ンー!おはよう。やはり、ネフェリアは制服がよく似合う。」

「ちょ!キリウス様も辞めてください!」

あわわ!と手でつむじを隠すネフェリア。


「冷たいな。エスティリオと寝るひも加わって、2日間我慢しなくちゃならなくなったのに。」

ネフェリアはウッ!と言葉を詰まらす。

そうなのだ、ネフェリアの我儘で、少しの間エスティリオも加わり、ヴィヴァリアン→キリウス→エスティリオとなったのだ。

その事でヴィヴァリアンとキリウスからはブーブー言われた。


だって、兄様がいると安心するし、こんな時じゃないと14歳にもなって、兄様とねれないじゃないか…。


「そろそろ兄離れしたらどうか?ネフェリア…。」

「そうだぞ?俺達がいるんだし…。」


ヴィヴァリアン様に頬に触れられ、キリウス様が耳たぶで遊ぶ。

最近、少しずつスキンシップが激しくなってきて、恥ずかしいんだよ!!

身を捩りながら、赤くなる顔を俯いて隠すネフェリア。


照れている様子が可愛いくて、つい弄りたくなってしまう、デレデレの2人に、今入ってきたであろう人物は冷たい視線を送る。

「私の弟をいやらしい目で見ないで下さい。」


「兄様!」

エスティリオに抱きつくネフェリア。

エスティリオは2人の嫉妬の視線を平然と受けながら、ネフェリアの頭を撫でる。

「よしよし、2人に何かされたらすぐ言うんだよ。プロント家の力を使ってでも守ってあげるからね?」


「はい、兄様。」

エスティリオに微笑むとショックを受けた顔をする2人に、ネフェリアは舌を出す。

「ネフェリア~!そんな~」

「………。」

最近、僕を揶揄うのを楽しんでいたり、スキンシップが激しいから、これぐらい許されるよね?


ニヤッと不敵に笑うエスティリオに2人の顔に青筋が立つ。



僕はカウディリアン達に会いたくて、Sクラスに行こうとするが、1人では危ないとキリウスが同行することになった。

「また嫌な視線で見られるかもしれんが大丈夫か?」

キリウスは心配そうに眉をよせる。


「ちょっと怖いけど、堂々と前を向くんでしょ?…前はプロント家としてだったけど、今回は第一皇子ヴィヴァリアン様と最強のキリウス様の婚約者候補ですからね?どんとこい!ですよ。」

胸を叩くネフェリアを愛おしいそうに見つめるキリウス。

「それでこそ、俺が惚れた男だ。」


授業終了のチャイムが鳴り、廊下へと生徒がわらわらと出てきた。


ネフェリアとキリウスを見て、驚くように視線を向けてくる。


ネフェリアは気にせず前だけを見た。


すると、Sクラスからちょうどマリックが出てきて、僕は手を振った。


マリックは目を見開き、次に少し切ない顔をした。

僕は首を傾げるが、それは一瞬の事で、すぐに笑顔で迎えてくれた。

「ネフェリア。久しぶり。キリウス様も」


キリウスに向けて頭を下げるマリック。

そして、その後の数秒間、無言で2人は視線を合わせていた。


「ねぇ、マリック。カウディリアン様達はいる。」

ネフェリアによって、2人は視線を解き、マリックは、頷いた。

「ああ、サリファンとアリウスならいるよ。カウディリアン様は最近いらしていない。」

僕はえっ?と驚き、キリウスを見ると、キリウスも頷いた。

「カウディリアン様は今王宮に用があり戻っていると聞いている。」

そうなんだ…。

なんだ、会えると思ったのに…。

しょんぼりしたネフェリアをマリックは心配そうに見つめると、慌ただしく、アリウスが顔を出した。

「ネフェリア!」

続いてサリファンも。

「アリウス!サリファン!」


「登校したんだね。大丈夫?」

「何かあったらすぐ言えよ?」

「ふふっ!大丈夫だよ!でも、まだ生徒会室で勉強になる。もう少し落ち着いたら、クラスに行くから。」

2人の嬉しそうな顔を見れて僕も嬉しい。

「ああ。俺達もなるべくそっちに行くから。今任務やら仕事もあるからずっとは入れないけど。」

アリウスにギュッと手を繋がれ、慣れ親しんだアリウスの手が心なしか大きく感じた。

「僕も、なるべく行くから…。」

サリファンにも反対の手を握られた。いつもスベスベだった手に少しマメの硬さを感じて驚く。

「う、うん!待ってるね!…じゃあ、戻るから。」

ネフェリアはマリックにも手を振り、生徒会室に戻った。

たったの数日なのに、アリウスとサリファンの変化を感じて、少し戸惑ってしまった。

僕が過去に囚われている間も時は進む。
僕も前を向かい立ち向かわなければと、思った。


もう、視線なんか気にしない!!

鼻息荒く前を向くネフェリアの後ろ姿をキリウスは苦笑しながら見つめた。


少し、妬けるな。やはり、刺激を受けるべきは同年代か…。


そんな時だった、キリウスに向けての一瞬の殺気!  

ぞくりと走る嫌な感じに、辺りを見回す。

ネフェリアの腕を取り、腕の中へと守る様に抱く。

「キリウス様?」

張り詰めた空気から、ネフェリアも静かに腕の中にいた。

殺気が消え、既に廊下には誰もいない。

キリウスは息を吐き、ネフェリアを解放する。

「すまない。少し気になって。」

「いいえ、大丈夫です。」

腕から解放されたネフェリアは、ふと窓から反対の校舎を見た。


そこには、こちらを見据えるペリドットの瞳のダーウィングが立っていた。

ダーウィングはネフェリアに向けて、手を振ると、姿を消した。


「ダーウィング・アピア…」



「どうした?ネフェリア。」

キリウスの問いに、ふるふると首を振る。


「いえ、なんでもありません。」


ネフェリア達は生徒会室へと向かった。

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