闇の錬金術師と三毛猫 ~全種類のポーションが製造可能になったので猫と共にお店でスローライフします~

桜井正宗

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第23話 エレクトラ教会のプリースト

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書斎を出て一階へ。
母さんはいるのか……?


キッチンへ入ると母さんが倒れていた。


「……母さん! おい、母さん!!」


体を揺らしてみると……息はあった。気絶というか、寝ている?
これは眠らされているのか。

……そうか、俺も眠らされていたんだ。

母さんをリビングのソファへ寝かせ、俺は家の中を捜索。父さんとヴァルハラの姿はなかった。

父さん……まさかヴァルハラの存在に気づいていたのか。


俺から奪ったのか?
そんな、信じられない。
信じたくもない。
あの父さんがそんなことするわけない。

きっと何かあったんだ。


家を飛び出して、夜の街を走る。……ちょっと肌寒いけど気にしている場合ではない。


露店街を回ったり、噴水公園を走ったりした。でも見つからない。いったい、どこへ行ってしまったんだ。


ふと、エレクトラ教会の前を通りかかる。
懺悔ざんげをするわけではないけれど……頼ってみよう。


教会の中は明かりが灯されていて視界は良好だった。でも、誰もいない。無人だ――そう感じていたけど、それは気のせいだった。


「ようこそ、エレクトラ教会へ。懺悔に参られたのですか」


いつの間にか女の子がいた。
ベールにシスター服……その神々しい風貌はプリーストに見えた。
なんだかキレイな人だな。

「いや、人を探しているんだ」
「そうでしたか。では、私が探しましょう」
「探すって、どうやって?」

「私には千里眼の力があるのです。これは遠見や透視が可能な力……ですから、探している方を見つけられると思います」

「そ、それは凄いな」
「ただし、私の力を借りるからには代償が必要です」

「代償……?」

「なんでも良いのです。なるべく質の良いアイテムを捧げて下さい」


なるほど代償ってか、見返りが欲しいってことか。
なら、俺は『ブルーポーション改』を手渡した。


「これでどうかな。今は手に入りにくいブルーポーションだよ」
「……あなた、もしかして錬金術師のカイリさんですか?」
「なんだ、知っていたのか」
「有名ですよ。そうでしたか……これは失礼を」

プリーストは、俺のアイテムを受け取り拒否した。気が変わったらしい。でも、俺は受け取ってもらうことにした。

「いや、見つけてもらう以上はお礼がしたい」
「あなたは優しいのですね。分かりました、確実に見つけましょう。こちらへ」

なぜか外へ向かうと、小さな噴水の前まできた。
ここに何があるというのか。

その前に立つプリーストは、なにもないところから『杖』を取り出した。……魔法の一種か?

「それで……噴水で何が分かるんだ」
「見ていてください」

杖を握り、噴水を何度もトントンと突く。
すると魔法が掛かり、水面が反射していく。どこかの風景が映し出されたんだ。

「え……なんだこりゃ」
「これはアルデバラン王国の『ロイヤルスター城』の城内ですね」
「じょ、城内だって!? そんなところにヴァルハラと父さんが! え……あれは……」

水面に映し出されている場所には、女性らしき姿があった。まさか、あの人がヴァルハラと父さんを……?

だけど、あの人は――そんな馬鹿な。

「あの方は、宮廷錬金術師のフォーマルハウト様では」
「……そうなのか」
「はい。彼女は間違いなくこのアルデバラン王国最高の錬金術師です。戻られていたのですね」
「君、詳しいね」

「ええ、まあ……お城にはよく招かれるもので」
「ひとつ聞きたい。君は何者だ」

「これは失礼を。私の名はスピカです。このエレクトラ教会のしがない聖職者です」
「そうか、スピカのおかげで居場所が分かった。ありがとう」
「ロイヤルスター城は警備が厳重です。侵入は容易ではないので、この私がお手伝いしましょう」

「それ、代償が必要?」
「いえ、これは無償です。カイリさんに興味が沸いたので、協力しますよ」
「それはありがたい」

スピカが一時的に仲間になってくれた。城に関して詳しいらしいし、これは心強いぞ。

「では、私のどこでもいいので触れて下さい」
「ど、どこでも!?」
「はい、テレポートしますから」
「な、なるほど……お城へテレポートできるんだな」
「そうです。私の顔は知られているので怪しまれませんよ」

俺は、スピカの肩に触れた。
他を触れる勇気はなかった。

くすくすとからかうように笑うスピカは、寧ろ俺の手を握ってくれた。……ちょ、話が違うっ。細くて柔らかい……。

そうしてテレポートが始まったんだ。
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