【第1部完結】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~

Bonzaebon

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第3章 迷宮道中膝栗毛!!

第147話 お前はもう抵抗したって無駄!

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「グオオオアアッ!!」


 砂男が悲鳴を上げる。この技では止めを刺すのは難しいだろうけど、周りを一片に攻撃するにはこれしかない。


「おのれええ!お前は勇者だったのかあ!」


 勇者とは気付いていなかった?ということは、こいつもそれなりの強さではあるようだ。やっかいなのは間違いなかった。


「こうなったら、仕方ない!最大の秘技その2、ハードロック・ボディ!」


 ヤツは元の人型に戻り、周囲の砂をありったけ、かき集め始めた。


「硬くなれば、剣ではダメージを与える事は出来ん!剣の方が折れてしまうぞ!」


 大量の砂を集めてはいるが、体格はそのままだ。さっきの砂嵐とは逆に密度を凝縮して体を硬くしているようだ。それはつまり……。


「さあどうする!お前には勝ち目がないぞ!どうすることも出来まい!」


 まだ俺を倒してもいないのに、勝ったつもりでいるようだ。まあ、でも、俺ももう勝ったつもりでいるけどな!


「うわー、勝てないわ。どうしよう。……霽月八刃!」


 砂男、いや、今は岩男か?岩男を剣で一閃した。


「無駄!無駄よ、無駄!無……駄?」

「うん!お前はもう抵抗したって無駄!」


 全身に亀裂が入り、ボロボロと崩れていく。そして、砕けた破片も砂に戻っていく。


「ふう。コイツがバカで良かった。一カ所にまとめたら俺が有利になるに決まってるじゃないか。ずっと砂のままで攻撃してきたら、ヤバかったかもな。」


 気付けば、部屋の奥に転送門が出現していた。コレに入れば次に行けるだろう。でも、アイツらを待たないと行けない。


「むう。これは勇者殿に先を越されたようだ。」 


 噂をすればなんとやら……、侍がこの部屋に入ってきた。相変わらず、無傷のようだ。コイツにダメージを与える手段はあるんだろうか?


「ケッ!俺が最後か!」


 ファルちゃんが次にやってきた。侍と違い、少し疲れているようだ。魔力を使いっぱなしだっただろうな?


「なんでお前が一番乗りしてんだよ?……しかも、主まで倒しやがったのか!」

「いやー、最速攻略したんで!まあ、最短のショートカットルートを見つけたもんだからさあ。」


 ただ単に罠に掛かっただけだが、最短だったのは間違いない。罠に掛かることこそが近道だったッ!


「まあいい。次に行くぞ。」

「良いのか?次はまたやっかいな物が待ち受けているかもしれぬぞ?」

「それって、どういう……?」


 侍がらしくないことを口走った。何だ?何があった?いや、何があるのかと言うべきか?


「アンタ、どういうつもりだ?」


 ファルちゃんも侍の言動に違和感を感じたようだ。やっぱり怪しい。


「覚悟は出来ておるのかと聞いておるのだ。何があっても拙者は知らぬぞ。」

「怖じ気づいたか?」


 ファルちゃんはそう言うが多分違うだろう。侍の言葉は俺たちに向けられている。


「何があるって言うんだよ!」

「……行けば、わかる。拙者の覚悟はもう、出来ておる。」

 侍は俺たちに背を向けて転送門に入っていった。
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