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第3章 迷宮道中膝栗毛!!
第146話 砂地獄
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「結局、罠にかかっちまったじゃないか。」
靴の中の砂を出しながら悪態をついた。あの後、流砂に流され、やけにだだっ広い部屋に辿り着いた。今度はどんな罠が待ち受けているのやら……。
「フォフォフォ。ネズミが一匹罠にかかったようだな。」
突然声がした。明らかにファルちゃんや侍じゃない。もしかして、この迷宮の主か?
「ところでアンタ誰?」
「俺の名はサンドストーム。この砂の迷宮の主だ。」
やっぱり主か!てことは俺が一番乗りか!やったぜ。“災い転じて福をなす”とはよく言ったもんだな。
「じゃあ俺が大当たりだったワケだな?」
主さんは姿を現した。名前と迷宮のように全身が砂で出来た大柄な人形みたいだった。コイツは魔法生物かな?
「何を勘違いしている。罠すら突破出来ない奴は弱者だ。そんな弱者から順に倒していくのが俺の常套手段よ。罠を突破したとしても、体力・魔力は消耗する。強者はその上で倒すのだ。」
「弱者ねえ……?」
「フォフォフォ!どうだ俺様の見事な策に恐れおののくがいい!」
なんか頭いいアピールをめっちゃしてくる。自信過剰なヤツのようだ。そんなの頭がいいというより、普通にセコイだけじゃないの?
「なんかアンタの方が勘違いしてない?強者もついうっかり罠にかかるなんてこともありえるんじゃない?」
「そういうのは強者でも弱者でもなく、馬鹿と言うのだあ!」
「誰がバカやねん!」
くやしさのあまり口調がゲンコツのおっちゃん風になってしまった。バカにしたことを後悔させてやるからな。
「さて、馬鹿をいたぶってやるとするか!」
砂男は攻撃体勢に入った。何をするのかと思いきや、砂玉を投げつけてきた。でも、こんな物はすぐに躱せる。喰らっても所詮砂なのでは、とも思う。
「こんなもの、余裕で躱せる!」
(ドシャ!…ドシャ!…ドシャ!)
外れた砂玉は床に次々と落ちていく。辺りに小さな砂山が次第に増えていった。これじゃ、ただの砂遊びじゃないか?
「楽しいか?砂遊びは?」
「おお、そうともよ。だが、本番はこれからよ。もっと楽しいことになるぜえ!」
周囲から何かが迫る気配がした。まさか……?
「フォフォフォ!これぞ、砂地獄よ!」
周囲の砂山が襲ってきた。砂玉を適当に投げていたのはこれをやるためだったようだ。砂山が本体の腕の姿に変化している。
「捕まえてやる。これでお前は逃げられない!」
「うわーっ!?」
このままでは捕まる!こういうときは……。
「捕まえたぞ!……?なんだこれは?……鞘ではないか!」
ンフフ!かかったな。砂の腕がつかんでいたのは拳の鞘だった。俺自身は離れたところに移動した。
「確かウツヌケの術とか言ったかな?見よう見まねだがうまくいったぜ!」
忍者戦のときのファルちゃんのモノマネをした。忍者のマネもしているので、モノマネのモノマネと言った方がいいかな?
「ちがーう!それはウツセミの術だ。忍者野郎の真似をしおったな!」
「そ、そうとも言う!」
「それに、こんなものはウツセミの術とは言わん!剣の鞘を身代わりにする奴がどこにいるのだあ!」
「ここにいるじゃない?前人未踏のチャレンジをやってみたんだが?何か問題でも?」
「それはただ回避しただけだあ!」
どうやら違うらしい。それはともかく……砂の腕が群れを成して襲いかかってきた。迎撃せねば。
「今度こそ捕まえてやる!」
「そうはいくか!」
俺はお決まり通り目を閉じ、ヤツらの気配、生命の根源を探った。
「霽月八刃!」
(ザバッ!……ザバッ!……ザバッ!)
砂を次々と斬っていった。砂を斬っているとはいえ、きちんと手応えは感じられる。効果が出ている証拠だ。
「ぐぬうう!痛え!何をすれば、そんなことが出来るのだあ!」
砂男は痛がっている。斬っているのは本体じゃないから、ダメージを与えるだけに留まっているようだ。倒すには本体を斬らないといけないみたいだ。
「おのれええ!弱者にしてはやるではないか!こうなったら、とっておきを喰らわしてやる!」
(ブワワワッ!!)
突然、周囲の砂が巻き上がり始めた。ということは、ここら一帯の砂は全部アイツの体の一部なのか?
「これぞ!我が最大の秘技、地獄の砂嵐よ!」
(ブワワワアアアアッ!!!)
巨大な砂嵐が俺目掛けて襲ってきた。
「ぐう!これじゃ、目が開けられない!」
とは言っても、相手の性質上、目で見る必要はないのだが。
「どうにか……ごほっ、ぺっ、ぺっ!!」
口の中にも砂が入ってきた。口も開けられない。
(ここは落ち着いて……霽月八刃!)
斬ってはいるが、さっきとは違って明らかに手応えがない。以前、魔王の猛毒ブレスを斬ったことがあったが、あれは暗黒エネルギーの塊だったから斬れた。同じような空気みたいだが今回は違う。砂嵐と共に気配も拡散してしまっている。なんかちっさい虫にまとわりつかれているみたいだ。
「こんな状態でも、ダメージを与えてくるとはな!だが、この状態ではかすり傷程度にしかならんわ!」
このままではダメだ。なんとかしなくては。もっと広範囲を攻撃する技じゃないと。流派梁山泊ばかりにこだわっていてはダメなんだ。
「くらえ!勇者の一撃!シャイニング・イレイザー!」
「なにぃー!?」
起死回生の勇者の技だ!コレなら広範囲をなぎ払える。これならどうだ!
靴の中の砂を出しながら悪態をついた。あの後、流砂に流され、やけにだだっ広い部屋に辿り着いた。今度はどんな罠が待ち受けているのやら……。
「フォフォフォ。ネズミが一匹罠にかかったようだな。」
突然声がした。明らかにファルちゃんや侍じゃない。もしかして、この迷宮の主か?
「ところでアンタ誰?」
「俺の名はサンドストーム。この砂の迷宮の主だ。」
やっぱり主か!てことは俺が一番乗りか!やったぜ。“災い転じて福をなす”とはよく言ったもんだな。
「じゃあ俺が大当たりだったワケだな?」
主さんは姿を現した。名前と迷宮のように全身が砂で出来た大柄な人形みたいだった。コイツは魔法生物かな?
「何を勘違いしている。罠すら突破出来ない奴は弱者だ。そんな弱者から順に倒していくのが俺の常套手段よ。罠を突破したとしても、体力・魔力は消耗する。強者はその上で倒すのだ。」
「弱者ねえ……?」
「フォフォフォ!どうだ俺様の見事な策に恐れおののくがいい!」
なんか頭いいアピールをめっちゃしてくる。自信過剰なヤツのようだ。そんなの頭がいいというより、普通にセコイだけじゃないの?
「なんかアンタの方が勘違いしてない?強者もついうっかり罠にかかるなんてこともありえるんじゃない?」
「そういうのは強者でも弱者でもなく、馬鹿と言うのだあ!」
「誰がバカやねん!」
くやしさのあまり口調がゲンコツのおっちゃん風になってしまった。バカにしたことを後悔させてやるからな。
「さて、馬鹿をいたぶってやるとするか!」
砂男は攻撃体勢に入った。何をするのかと思いきや、砂玉を投げつけてきた。でも、こんな物はすぐに躱せる。喰らっても所詮砂なのでは、とも思う。
「こんなもの、余裕で躱せる!」
(ドシャ!…ドシャ!…ドシャ!)
外れた砂玉は床に次々と落ちていく。辺りに小さな砂山が次第に増えていった。これじゃ、ただの砂遊びじゃないか?
「楽しいか?砂遊びは?」
「おお、そうともよ。だが、本番はこれからよ。もっと楽しいことになるぜえ!」
周囲から何かが迫る気配がした。まさか……?
「フォフォフォ!これぞ、砂地獄よ!」
周囲の砂山が襲ってきた。砂玉を適当に投げていたのはこれをやるためだったようだ。砂山が本体の腕の姿に変化している。
「捕まえてやる。これでお前は逃げられない!」
「うわーっ!?」
このままでは捕まる!こういうときは……。
「捕まえたぞ!……?なんだこれは?……鞘ではないか!」
ンフフ!かかったな。砂の腕がつかんでいたのは拳の鞘だった。俺自身は離れたところに移動した。
「確かウツヌケの術とか言ったかな?見よう見まねだがうまくいったぜ!」
忍者戦のときのファルちゃんのモノマネをした。忍者のマネもしているので、モノマネのモノマネと言った方がいいかな?
「ちがーう!それはウツセミの術だ。忍者野郎の真似をしおったな!」
「そ、そうとも言う!」
「それに、こんなものはウツセミの術とは言わん!剣の鞘を身代わりにする奴がどこにいるのだあ!」
「ここにいるじゃない?前人未踏のチャレンジをやってみたんだが?何か問題でも?」
「それはただ回避しただけだあ!」
どうやら違うらしい。それはともかく……砂の腕が群れを成して襲いかかってきた。迎撃せねば。
「今度こそ捕まえてやる!」
「そうはいくか!」
俺はお決まり通り目を閉じ、ヤツらの気配、生命の根源を探った。
「霽月八刃!」
(ザバッ!……ザバッ!……ザバッ!)
砂を次々と斬っていった。砂を斬っているとはいえ、きちんと手応えは感じられる。効果が出ている証拠だ。
「ぐぬうう!痛え!何をすれば、そんなことが出来るのだあ!」
砂男は痛がっている。斬っているのは本体じゃないから、ダメージを与えるだけに留まっているようだ。倒すには本体を斬らないといけないみたいだ。
「おのれええ!弱者にしてはやるではないか!こうなったら、とっておきを喰らわしてやる!」
(ブワワワッ!!)
突然、周囲の砂が巻き上がり始めた。ということは、ここら一帯の砂は全部アイツの体の一部なのか?
「これぞ!我が最大の秘技、地獄の砂嵐よ!」
(ブワワワアアアアッ!!!)
巨大な砂嵐が俺目掛けて襲ってきた。
「ぐう!これじゃ、目が開けられない!」
とは言っても、相手の性質上、目で見る必要はないのだが。
「どうにか……ごほっ、ぺっ、ぺっ!!」
口の中にも砂が入ってきた。口も開けられない。
(ここは落ち着いて……霽月八刃!)
斬ってはいるが、さっきとは違って明らかに手応えがない。以前、魔王の猛毒ブレスを斬ったことがあったが、あれは暗黒エネルギーの塊だったから斬れた。同じような空気みたいだが今回は違う。砂嵐と共に気配も拡散してしまっている。なんかちっさい虫にまとわりつかれているみたいだ。
「こんな状態でも、ダメージを与えてくるとはな!だが、この状態ではかすり傷程度にしかならんわ!」
このままではダメだ。なんとかしなくては。もっと広範囲を攻撃する技じゃないと。流派梁山泊ばかりにこだわっていてはダメなんだ。
「くらえ!勇者の一撃!シャイニング・イレイザー!」
「なにぃー!?」
起死回生の勇者の技だ!コレなら広範囲をなぎ払える。これならどうだ!
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