87 / 96
#86 オーディション
しおりを挟む
「あれ、みんないるね……」
平日の学校終わり、家に戻った真人が家の中を歩いていると、図書室に美香、愛莉、梓、美晴、由花、音夢の6人が大きな机を囲んでいた。
どうやら皆んなで勉強をしていたようで、机の上には色んな参考書や教科書が散らばっていた。
「あ、真人さん」
「勉強してるんだ……?」
「そうっす! 愛莉さんと美香さんに見てもらってるんすよー」
「分からないところもすぐに教えてくれるからすごい助かってるんだ」
「そうなんだ…… 美香も愛莉もお疲れ……」
「教えると言っても皆んな優秀だからあんまり教えることないけどね」
「そうですね。 由花さんに関しては私達と然程変わらないくらいですし」
「テストめんどくさい」
「そう言う音夢っちはあんま勉強してないっすけど、なんでそんな頭いいんすか?」
「授業聞いてれば分かる。 それにテストは授業で出したところしか出ない」
「実はこの中で1番頭いいの音夢ちゃんかもねー?」
「物覚えよくて羨ましいっす……」
「テストは今週末だっけ……?」
「そうですね。 まぁ、私達4人はそこまで余裕がないわけではないですから」
「そもそも成績悪いと普通に退学だから、女の子達は絶対成績落とさないように頑張ってるからね」
どうやら彩雲高校には年度ごとに取らなければいけない成績のラインがあるらしく、そこを下回ると問答無用で退学させられるそうだ。
ただ、この世界で限りなく少ない貴重な男子との接点が持てるこの学校生活を手放さないためにも皆んなしっかり勉強は怠らないのである。
「そっか、みんな頑張ってね…… 応援してるから……」
「ん、ダーリンにそう言ってもらえるとやる気出る」
「そうですね、頑張りましょう」
これ以上ここにいても真人が特にできることは無いのでその場を後にした。
「あ、ご主人様。 ここにいらしたんですね」
「エマ、どうしたの……?」
「以前お会いした男性保護局の佐々木局長から連絡があって、話していたオーディションの件で少し確認したいから電話で話せないかという事です」
「うん、僕は全然大丈夫だよ…… 今からかな……?」
「勤務時間内ならいつでもいいとの事でしたので、連絡してみましょうか」
エマが連絡してみたところ、ぜひ今からとの事だったので、早速電話を繋いでいく。
『もしもし、大野様。 ご無沙汰しております。 佐々木です』
「あ、どうも…… 何か相談事があると聞きました……」
『はい。 というのも、この前話していたオーディションの募集をかけてもいいかの確認をしたかったんです』
「え、もうですか……? 早いですね……」
『オーディションの件を国のトップに話したらそれはもう喜ばれまして。 とにかく急ピッチで話が進んだ結果、もう後は真人様の許可を得るのみというところまで来ました』
「僕としては大丈夫ですよ…… ちなみにどういった形ですることになったんですか……?」
『とりあえず募集をかけてみて、真人様の通われている学校が夏休みに入る頃にはこちらの方で5人程に絞りたいと思います。 それで提案なのですが、そこで選ばれた方との交流の時間を取る際に、テレビ番組で放映する用の撮影をさせていただきたいんです』
「て、テレビですか……」
『もちろん、男性だと分かればいいので後ろ姿くらいは出すかもしれませんが、お顔は出ませんし、紹介の仕方もAランクとして紹介しますので』
「大丈夫ですかね…… 僕がテレビなんて出ても……」
『ふふ、特に真人様に台本などが渡されるわけではないですから、ありのままでいいですよ。 その方がこちらとしても嬉しいので』
「わ、わかりました…… 頑張ります……」
『それでは、オーディションについての発表は明日したいと思います。 期限は1ヶ月程でテレビや雑誌にも広告を出す予定なので楽しみにしておいてください』
「本当に大掛かりですね……」
『恐らく普通にいけばこの試みはこの国でも有数のエンタメになると思いますから、手を掛けるのは当然です。 それでは、また何か決まりましたら連絡致しますので、真人様からも何かありましたら遠慮なく連絡をしてください』
「分かりました…… よろしくお願いします……」
電話を切り、真人はソファーにもたれかかって一休みしていく。
「おや、真人。 電話は終わったのか?」
「お疲れ様です旦那様~」
「うん、終わったよ…… ありがとう、李梨花……」
李梨花が美味しい紅茶を淹れてくれたのでそれを飲み、一息ついた。
「オーディションの件だよな? どうなったんだ?」
「明日にはもう発表するって…… 夏休みくらいにまでに人数を絞って、会う様子はテレビで流すように撮影させて欲しいみたいな感じかな……」
「それは中々に大規模な話になったな? まぁ、真人はこうして一緒にいると忘れがちだが唯一のSランクだからな。 それも当然か」
「オーディションはどのようにされるんです~?」
「募集を募ってその中からまずは完全抽選で100人くらいに絞るらしい…… で、そこから身辺調査をして問題無さそうな人を5人くらい選ぶんだって……」
「それはもう本当に宝くじのような確率ですね。 それでもご主人様と繋がりを持てるのならば応募しないわけないですが」
「大丈夫かな……」
「大丈夫ですよ~。 ぜひ旦那様の力で幸せな人を増やしてあげてください~」
「私や李梨花さんもご主人様と出会えたのはかなり運が良かったと思いますから、そんな私達とも上手くやっていけているご主人様なら大丈夫ですよ」
「私たちは応援することしか出来ないが、いつでも真人の力になるから困ったらなんでも言ってくれ」
「みんな…… うん、ありがとう、がんばるね……」
*
佐々木局長と話をした次の日の朝。
朝食を食べながら朝のニュース番組を見ていると、昨日話していたばかりのオーディションについてのニュースがエンタメコーナーの一つとして取り上げられていた。
『さて、それでは次のトピックですが、なにやら男性保護局の方からAランクの男性の方と出会えるオーディションが開催されるということです』
『最初、この台本を見たときはデマかと思ったんですが、先程確認してみたら本当に男性保護局のトップページに大きく募集が出ていましたね。 保護局が嘘などつくわけも無いので本当にAランクの男性と出会えるのでしょう』
『詳しい説明はそちらの方で見ていただきたいのですが、正直な話、夢のような条件で、応募料も1000円となっていたので、応募はし得なのではないでしょうか』
『そうですねー、私も年齢条件さえ満たしていたら応募したいくらいです』
『応募できる簡単な条件は20歳から32歳の社会人の方となっており、期間は今日から1ヶ月程となっているようなので、気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。 それでは次のトピックです……』
かなり大々的に取り上げられており、どうやら他のチャンネルでも同じように取り上げられているようだった。
「まーくんすごいね?」
「いや、僕もまさかこんなに大々的に広告出すとは思ってなかったよ……」
「これから結構真人さんは忙しくなりそうですね?」
「まぁ、元々皆んなのおかげでかなり暇してた方だから、割といい具合だとは思うよ……」
「ダーリン、学校も交流日以外の来なくていい日は休んでそっちの都合を優先してもいいよ」
「ほんと……?」
「えっ、それを音夢っちが言うんすね? なんか意外っす」
「音夢はダーリンの奥さんだから。 ダーリンのお仕事を応援するのも役目」
「あら、いいこと言うわね」
「ありがとう音夢…… それにみんなも、沢山これからも頼ると思うけど、よろしくね……」
真人の婚約者達は真人のその言葉に皆んなして笑顔で頷いてくれた。
平日の学校終わり、家に戻った真人が家の中を歩いていると、図書室に美香、愛莉、梓、美晴、由花、音夢の6人が大きな机を囲んでいた。
どうやら皆んなで勉強をしていたようで、机の上には色んな参考書や教科書が散らばっていた。
「あ、真人さん」
「勉強してるんだ……?」
「そうっす! 愛莉さんと美香さんに見てもらってるんすよー」
「分からないところもすぐに教えてくれるからすごい助かってるんだ」
「そうなんだ…… 美香も愛莉もお疲れ……」
「教えると言っても皆んな優秀だからあんまり教えることないけどね」
「そうですね。 由花さんに関しては私達と然程変わらないくらいですし」
「テストめんどくさい」
「そう言う音夢っちはあんま勉強してないっすけど、なんでそんな頭いいんすか?」
「授業聞いてれば分かる。 それにテストは授業で出したところしか出ない」
「実はこの中で1番頭いいの音夢ちゃんかもねー?」
「物覚えよくて羨ましいっす……」
「テストは今週末だっけ……?」
「そうですね。 まぁ、私達4人はそこまで余裕がないわけではないですから」
「そもそも成績悪いと普通に退学だから、女の子達は絶対成績落とさないように頑張ってるからね」
どうやら彩雲高校には年度ごとに取らなければいけない成績のラインがあるらしく、そこを下回ると問答無用で退学させられるそうだ。
ただ、この世界で限りなく少ない貴重な男子との接点が持てるこの学校生活を手放さないためにも皆んなしっかり勉強は怠らないのである。
「そっか、みんな頑張ってね…… 応援してるから……」
「ん、ダーリンにそう言ってもらえるとやる気出る」
「そうですね、頑張りましょう」
これ以上ここにいても真人が特にできることは無いのでその場を後にした。
「あ、ご主人様。 ここにいらしたんですね」
「エマ、どうしたの……?」
「以前お会いした男性保護局の佐々木局長から連絡があって、話していたオーディションの件で少し確認したいから電話で話せないかという事です」
「うん、僕は全然大丈夫だよ…… 今からかな……?」
「勤務時間内ならいつでもいいとの事でしたので、連絡してみましょうか」
エマが連絡してみたところ、ぜひ今からとの事だったので、早速電話を繋いでいく。
『もしもし、大野様。 ご無沙汰しております。 佐々木です』
「あ、どうも…… 何か相談事があると聞きました……」
『はい。 というのも、この前話していたオーディションの募集をかけてもいいかの確認をしたかったんです』
「え、もうですか……? 早いですね……」
『オーディションの件を国のトップに話したらそれはもう喜ばれまして。 とにかく急ピッチで話が進んだ結果、もう後は真人様の許可を得るのみというところまで来ました』
「僕としては大丈夫ですよ…… ちなみにどういった形ですることになったんですか……?」
『とりあえず募集をかけてみて、真人様の通われている学校が夏休みに入る頃にはこちらの方で5人程に絞りたいと思います。 それで提案なのですが、そこで選ばれた方との交流の時間を取る際に、テレビ番組で放映する用の撮影をさせていただきたいんです』
「て、テレビですか……」
『もちろん、男性だと分かればいいので後ろ姿くらいは出すかもしれませんが、お顔は出ませんし、紹介の仕方もAランクとして紹介しますので』
「大丈夫ですかね…… 僕がテレビなんて出ても……」
『ふふ、特に真人様に台本などが渡されるわけではないですから、ありのままでいいですよ。 その方がこちらとしても嬉しいので』
「わ、わかりました…… 頑張ります……」
『それでは、オーディションについての発表は明日したいと思います。 期限は1ヶ月程でテレビや雑誌にも広告を出す予定なので楽しみにしておいてください』
「本当に大掛かりですね……」
『恐らく普通にいけばこの試みはこの国でも有数のエンタメになると思いますから、手を掛けるのは当然です。 それでは、また何か決まりましたら連絡致しますので、真人様からも何かありましたら遠慮なく連絡をしてください』
「分かりました…… よろしくお願いします……」
電話を切り、真人はソファーにもたれかかって一休みしていく。
「おや、真人。 電話は終わったのか?」
「お疲れ様です旦那様~」
「うん、終わったよ…… ありがとう、李梨花……」
李梨花が美味しい紅茶を淹れてくれたのでそれを飲み、一息ついた。
「オーディションの件だよな? どうなったんだ?」
「明日にはもう発表するって…… 夏休みくらいにまでに人数を絞って、会う様子はテレビで流すように撮影させて欲しいみたいな感じかな……」
「それは中々に大規模な話になったな? まぁ、真人はこうして一緒にいると忘れがちだが唯一のSランクだからな。 それも当然か」
「オーディションはどのようにされるんです~?」
「募集を募ってその中からまずは完全抽選で100人くらいに絞るらしい…… で、そこから身辺調査をして問題無さそうな人を5人くらい選ぶんだって……」
「それはもう本当に宝くじのような確率ですね。 それでもご主人様と繋がりを持てるのならば応募しないわけないですが」
「大丈夫かな……」
「大丈夫ですよ~。 ぜひ旦那様の力で幸せな人を増やしてあげてください~」
「私や李梨花さんもご主人様と出会えたのはかなり運が良かったと思いますから、そんな私達とも上手くやっていけているご主人様なら大丈夫ですよ」
「私たちは応援することしか出来ないが、いつでも真人の力になるから困ったらなんでも言ってくれ」
「みんな…… うん、ありがとう、がんばるね……」
*
佐々木局長と話をした次の日の朝。
朝食を食べながら朝のニュース番組を見ていると、昨日話していたばかりのオーディションについてのニュースがエンタメコーナーの一つとして取り上げられていた。
『さて、それでは次のトピックですが、なにやら男性保護局の方からAランクの男性の方と出会えるオーディションが開催されるということです』
『最初、この台本を見たときはデマかと思ったんですが、先程確認してみたら本当に男性保護局のトップページに大きく募集が出ていましたね。 保護局が嘘などつくわけも無いので本当にAランクの男性と出会えるのでしょう』
『詳しい説明はそちらの方で見ていただきたいのですが、正直な話、夢のような条件で、応募料も1000円となっていたので、応募はし得なのではないでしょうか』
『そうですねー、私も年齢条件さえ満たしていたら応募したいくらいです』
『応募できる簡単な条件は20歳から32歳の社会人の方となっており、期間は今日から1ヶ月程となっているようなので、気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。 それでは次のトピックです……』
かなり大々的に取り上げられており、どうやら他のチャンネルでも同じように取り上げられているようだった。
「まーくんすごいね?」
「いや、僕もまさかこんなに大々的に広告出すとは思ってなかったよ……」
「これから結構真人さんは忙しくなりそうですね?」
「まぁ、元々皆んなのおかげでかなり暇してた方だから、割といい具合だとは思うよ……」
「ダーリン、学校も交流日以外の来なくていい日は休んでそっちの都合を優先してもいいよ」
「ほんと……?」
「えっ、それを音夢っちが言うんすね? なんか意外っす」
「音夢はダーリンの奥さんだから。 ダーリンのお仕事を応援するのも役目」
「あら、いいこと言うわね」
「ありがとう音夢…… それにみんなも、沢山これからも頼ると思うけど、よろしくね……」
真人の婚約者達は真人のその言葉に皆んなして笑顔で頷いてくれた。
応援ありがとうございます!
11
お気に入りに追加
1,482
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる