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#64 体育祭②
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真那「みんなお疲れー! 特に音夢ちゃんと美晴ちゃん! 大活躍だったねー!」
昼食の時間。
真人達は真那達と合流し、各々のお家の面々が用意してきたお弁当をみんなで食べ始めていた。
那波「ここまででもみんなの写真たくさん撮れたよ」
「そっか…… それは良かった……」
沙奈江「音夢、とっても速かったわね~? おばあちゃんびっくりしたよ」
音夢「ん、頑張った」
明里「本当にね! あの跳び箱跳んだ時とか普通に感動しちゃったよ!」
桃「そんなこと言ったら、美晴ちゃんの走りもとってもかっこよかったですよ」
明里「確かにね! アンタいつの間にあんな足早くなってたんだい?」
美晴「ウチだってやればできるんすよ!」
由花「お母さん、来てくれたんですね」
雫「ええ。 今日は何が何でも予定を空けたわ」
雫は変装のためか眼鏡と帽子をかぶっていたが、どこか普通の人とは違うオーラみたいなものが出ていた。
和やかに昼食は進んでいき、あっという間に過ぎていった。
『そろそろ昼食の時間は終わりとなります! お片付けの方を始めてくださーい!』
真那「じゃあみんな頑張ってね! 応援してるわよー!」
腹ごしらえを済ませた真人達は、レジャーシートを片付けクラス席の方へと戻っていった。
『午後の最初は食後の運動も兼ねて、全員参加の○✖︎クイズです! 生徒のみなさんは前にどうぞー!』
食後にいきなり激しい運動は流石に辛いものがあるため、最初は簡単な○✖︎クイズから始まるようだ。
ルールは体育館の真ん中に全員が一列に並び、他者との相談は無しで、アナウンサー側の掛け声と同時に右の○ゾーンか左の✖︎ゾーンに移動するというものだ。
間違えた者から席へと戻るのだが、男子生徒は班の誰かが残っていたら、近くで応援してていいそうだ。
ゾロゾロと生徒達が並び終わると、いよいよクイズが出されていった。
最初の数問は男子生徒でも分かる人は分かるような時事問題が出た。
ただ、当然不正解者も出てくるので、徐々に徐々にその人数を減らしていった。
ちなみに真人は3問目で間違えた。
6問目7問目辺りにはもう、ほとんど分かる人がいないであろう問題が出始め、運がいい人、実力があった人が10人ちょっと残るのみとなった。
梓「あっ!? 間違えちゃった…… うー、あと由花ちゃんだけかー、頑張ってね!」
由花「はい、頑張りますっ」
真人の班も残るは由花だけとなり、クイズはいよいよ終盤に差し掛かっていった。
そして10問目。
真人からしたら、もはや問題文に出てくる単語のほとんどが分からない文章が読み上げられた。
『せーの!』
残ったのは既に5人くらいだったのだが、由花は✖︎に跳び、その他の全員は○に跳んだ。
流石の由花でもこれは分からないかと真人も内心思っていたが……
『正解は…… ✖︎です! おっと、まさかの1人だけ! 文句なしの優勝です!』
なんと正解は✖︎だったので、由花の一人勝ちとなった。
「すごいよ、由花……!」
由花「引っかけ問題でしたね。 私も一瞬○に跳びそうでした」
流石の学年首席の力を見せつけた由花には、メダルと賞状が渡されるようだ。
『素晴らしい活躍を見せてくれた生徒達に拍手をお願いします!』
沢山の人達の拍手の音に包まれ、真人と由花は席に戻っていった。
美晴「流石っすね! 由花っち!」
音夢「ん、よくわかったね」
由花「ふふ、頑張りました」
『次の種目、綱引きに参加する生徒は移動をお願いします!』
由花「あ、もう出番みたいですね。 いってきます」
美晴「ウチも行ってくるっすー!」
由花と美晴は綱引きに参加するべく席を立っていった。
「やっぱりみんな頭いいんだね……」
梓「まぁ、一応進学校だしね? でも、由花ちゃんはやっぱり頭ひとつ抜けてる感じがするねー」
音夢「ちゃんとダーリンとの時間も大切にしつつ勉強してるから、要領もいい」
「僕からしたらみんなすごいよ……」
つい忘れそうになるが、この学校の女子生徒はこの国でもトップレベルにみんな頭がいいのだ。
その上、性格もいいのでまさに人としては完璧といっていいだろう。
音夢「ん、始まるよ」
早速綱引きの準備が終わったようで、まずはA組対C組の勝負になった。
二本先取のトーナメント形式で、始まりのピストルと共に両クラスの代表15名が一斉に縄を引き合っていく。
両者一歩も譲らず、力の限りを振り絞った結果、試合は一対一の3試合目までもつれこんだ。
梓「うぅー…… 頑張れみんなっ」
クラスの面々が固唾を飲んで見守る中、最終試合のピストルが鳴り響いた。
綱の真ん中に巻かれた赤い布は左右にほんの少し動くだけで、ほぼずっと判定線の上から動くことは無い。
制限時間も迫る中、決着は突然ついた。
A組の生徒の数名が偶然にも同じタイミングで最後の力と言わんばかりにほんの少しだけ力を強めたのだ。
一人の小さな力ではさほど変わらなかったであろう変化だったが、数人のタイミングが合ったことでそれは大きな差となった。
急に引かれる力が強まったことに驚いたC組の生徒の数名が前につんのめってしまい、瞬く間にA組の方へと綱は引き寄せられていく。
パァンパァン!
そして、終わりを告げるピストルの音が鳴り響き、見事A組の勝利となった。
「よしっ……!」
音夢「おー、みんな勝った」
梓「すごい白熱した戦いだったねー!」
A組の生徒もC組の生徒も、全てを出し切った故、喜びや悲しみよりも相手に対するリスペクトが生まれていた。
なので、両生徒みんなで握手を交わしていき、お互いの健闘を讃えあっていく。
その後、種目はつつがなく行われていき、A組は最初の疲れもあってか次の試合で負けてしまったが、それでも戻ってきた生徒達は晴れ晴れとした顔を浮かべていた。
「あ、由花、美晴、おかえり……!」
美晴「ただいまっす~。 いやー、疲れたっすよ」
由花「腕も足もプルプルです…… これは明日筋肉痛になるやつですね……」
梓「みんなとってもカッコよかったよー! お疲れ様ー!」
音夢「ん、頑張ってた」
クラスの皆、綱引きに出た選手たちを笑顔で受け入れていった。
「2人とも、お疲れ様……」
美晴「はいっすー。 流石に普段しない動きで力使うと疲れるっすねー」
由花「接戦の時とか、腕の感覚なかったです……」
「本当にお疲れ…… あ、それなら帰ったら4人共マッサージするよ……!」
真人は4人にだけ聞こえる声でそう囁いた。
美晴「えっ、いいんすか……♡?」
由花「それは嬉しいんですけど……♡」
「じゃあ、代わりに僕のこともしてくれると嬉しいな……」
梓「そんなの、喜んでするよ♡」
音夢「むしろいい事しかない♡」
今日の夜にする事が決まり、4人とも俄然やる気が溢れてきた。
「次は玉入れだよね……? 行こっか……?」
体育祭も後半に差しかかり、いよいよ男子達が出場する種目の一つ、玉入れの時間がやってきた。
ルールはシンプルで、高い所に置かれた籠に多く玉を入れたクラスが勝ちだ。
だが、少しやり方は変わっていて、まず班ごとに玉がある程度の数を配られ、投げて入らなかった玉を班でまた回収して使いまわすという形で行われる。
基本は回収2人に玉を投げやすいように並べるのが1人、そして投げるのが2人という役割分担で行われる。
なぜこうなのかというと、全員が同じ陣地で行った場合、玉を拾うのに夢中で前を見ずに衝突して怪我をする危険を無くすためである。
真人達の班は真人と音夢が玉を投げて、梓と美晴が回収し、由花が玉を並べる兼暇な時は投げるのにも参加する形となった。
音夢はバレーボールをやっているからか、狙った所にボールをコントロールするのが練習段階で上手かったので、今回は投げる担当となっていた。
音夢「ダーリン、頑張ろ♡」
「うん……! 梓、由花、美晴も頑張ろうね……!」
梓「うん! 頑張って拾ってくるねー!」
美晴「ウチもっす!」
由花「私も暇があれば投げれるよう頑張ります」
各クラス、所定の位置につき今か今かとスタートを待っている。
パァン!
ピストルの音と共に玉入れが始まった。
始まるや否やそれぞれのクラスに応じたカラフルな色の玉がビュンビュン飛び交っていく。
真人はポンポン投げるより一個一個ある程度狙って投げていった。
必死に取り組んでいる時間はあっという間に過ぎ、3分程で再びピストルの音が鳴った。
「あ、もう終わりなんだ……」
音夢「あっという間だった」
各クラスのかなり沢山入った籠が降ろされ、いーち、にー、とゆっくりアナウンスに沿って玉が天に投げられていく。
美晴「見ただけじゃどこが勝ってるか分かんないっすね」
各クラス、かなり頑張ったみたいだったが、30を越えた辺りから脱落するクラスが出始めた。
そして真人達A組は、39というアナウンスと同時に最後の一個が天高く放り投げられ、3位という結果に終わった。
ただ、2位が41、1位も44球と、わずか5球の差でしか無かったので、かなり接戦ではあったようだ。
由花「惜しかったですね」
梓「でも、みんなでわちゃわちゃして楽しかったね!」
他の男子生徒も班員と感想を言い合っているようだったが、みんな笑顔を見せていたので、しっかり楽しむことはできていたみたいだ。
『次の種目、二人三脚リレーに出場する選手はそのまま残ってくださーい!』
梓「あ、私達だね! 音夢ちゃん、頑張ろうね!」
音夢「ん、頑張ろ」
梓と音夢はこのまま残り、真人、美晴、由花は席に戻って行った。
「結構疲れるね…… 玉入れって……」
由花「何事も必死でやると疲れるものですね」
美晴「それに、真人っちは沢山投げてたっすからねー」
「これが終わったら後はクラス対抗リレーだけだよね……?」
由花「そうですね」
美晴「いやー、始まる前はこんなに種目あるんだーって思ってたっすけど、もう終わっちゃうんすねー」
残り2種目のうち、今から行われる二人三脚リレーは、約35メートル直線で走ったのち、置かれたカラーコーンで折り返して戻ってきてバトンタッチというルールになっている。
「難しそうだね、二人三脚……」
美晴「あんまり練習時間取れてない種目っぽいっすから、結構わちゃわちゃするかもっすね」
美晴の予想通り、いざ始まった二人三脚リレーは、どのクラスも楽しそうわーきゃー騒ぎながらわちゃわちゃ進んでいった。
由花「あ、梓さんと音夢さんペアの番ですよ」
そして、梓と音夢も走り出したのだが、他の選手達がかなりもたつく中、2人は中々いいペースで走り、チームのタイムをかなり早めていった。
「普通に速いね……!」
美晴「いつの間にあんな練習したんすかね?」
結果、A組はクラスで2つ目の団体種目1位を獲得した。
クラス席はお祭りムードとなり、帰ってきた選手にみんなで労いの声をかけていく。
由花「お二人とも速かったですね?」
梓「えへへ、実はこっそりお家とかで練習してたんだ」
音夢「ん、同居してる特権」
「そうだったんだ……! すごかったよ……!」
真人にも褒められ、梓と音夢はこっそり練習していて良かったと思った。
『さて、いよいよ本日の最終種目、クラス対抗リレーです! 生徒の皆さんは準備してくださーい!』
美晴「いよいよ最後っすね…… 頑張るっすよ!」
「うん、みんなで頑張ろう……!」
このクラス対抗リレーは、体育館の直線100メートルを使って、1人50~200メートルを選んで走り、クラスで合計3000メートルを走るというルールで、真人班はクラス内での相談の結果、由花が50、梓、真人が100、音夢が150、美晴が200メートルを走ることになっていた。
順番は班毎になっており、真人達は5班なので最終グループで、真人は拓哉からバトンをもらい、梓にそれを渡し、由花、音夢、そして美晴がクラスのアンカーとして走り切る形となっている。
梓「ねぇねぇ! 最後だし、クラスみんなで集まろうよ!」
梓がそう呼びかけたことで、A組はみんなで円になり、クラス全員が片手を前にピッと出した。
音頭は体育委員の美晴が取るようだ。
美晴「よーし、みんな! 今日はこれで泣いても笑っても最後っす! とにかく全力で頑張るっすよー! A組ー! ファイッ!」
『オーーーーーーッ!』
真人や拓哉以外の男子は少し遠慮気味だったが、それでもやる時には笑顔で付き合ってくれたので、クラスはこれで一つになった。
各自がスタート位置に移動し、自分の順番を待つ。
どのクラスも、男子が5人ということで、他の班の女子とのバトン渡しにならないよう、第一走者は男子生徒から始まる。
周りの保護者も、ほぼほぼ全員がカメラを構え、絶対に今日の出来事を記録しようと息巻いていた。
『いちについて、よーい……』
そしてついに、先生がピストルを天に向け、大きな声でそう言った。
パァンッ!
大きなピストルの音と共に、第一走者がスタートした。
ほとんどの男子生徒が走るのは50メートルだけなので、早速バトンタッチが行われた。
効率的なバトン渡しなど練習する時間は無かったので、みんなとにかく落とさないように丁寧にバトン渡しをしていく。
「中々差はつかないね……」
由花「走力のバランスは取れてるみたいですね」
美晴「そうこなくっちゃ面白く無いっすね!」
同じスタート地点に由花と美晴がいたので、3人はレースの行方を固唾を飲んで見守っていく。
1人また1人と順番は進んでいき、真人達の前、拓哉達のグループの時点でA組はなんとほんの僅かだがトップの位置を走っていた。
「僕の番だ……!」
由花「真人さん、頑張ってくださいっ!」
美晴「何も考えず、前だけ見て走るっすよ!」
「うん、頑張るね……!」
前方からは拓哉が全力疾走してきており、真人はバトンタッチ位置についた。
拓哉「真人っ!」
「うんっ……!」
真人からのバトンをスムーズに受け取り、真人は全力で走り出した。
日頃のトレーニングのおかげか、体力テストの時よりもスピードに乗れ、途中で失速などもせずに真人は梓の元までたどり着いた。
「梓っ……!」
梓「はいっ!」
かけ声と共に差し出した真人のバトンを、梓はしっかりと受け取って、走り出していった。
一息ついて他のレーンを見てみると、最後の拓哉、真人の2人の走りにより、他のクラスの男子生徒と差がついたのか、リードは少し広がっていた。
そうこうしている内に、梓が真人がスタートした地点で由花にバトンを渡していた。
由花は、ここ最近の運動のおかげか、体力テストの時よりも目に見えて速く走れていた。
しかし、問題が起きた。
自分でもこんなに走れると思わなかったのか、由花が40メートルを通過した辺りで足がもつれ、よろけてしまったのである。
それでも由花はなんとかかんとか、バトンゾーンまでは足を運んだが、その中で盛大に転んでしまった。
ただ、バトンは音夢の方へと腕だけ伸ばして差し出していたことで、音夢はそれを駆け寄って受け取り、走り出していった。
そんな音夢の横を走り抜けていった一つの影があった。
「由花っ……! 大丈夫っ……!?」
由花「ま、真人さんっ……!」
そう、真人である。
真人は由花が転びそうになった瞬間から既に駆け出しており、レーン上に転がっていた由花を素早くお姫様抱っこして救出した。
そのすぐ後に、音夢がそこを安心した表情で駆け抜けていった。
由花「す、すみません…… 転んで、しかも邪魔になっちゃって……」
「全然いいんだよ……! 足は大丈夫……?」
由花「は、はい…… ちょっと擦れただけなので……」
真人は由花をお姫様抱っこしたまま他のクラスに邪魔にならないよう素早くコース外へと外れ、由花を近くにあった椅子に座らせた。
すると、真人の行動に感動した近くにいた保護者や生徒から拍手をもらってしまった。
ドドドドドドドドッ!
真人と由花が少し気恥ずかしそうにしていると、すぐ横を美晴が走り抜けていった。
美晴は隣のレーンの走者とデットヒートを繰り広げており、両者一歩も譲らず切り返して最後の100メートル勝負となった。
「頑張れ……! 美晴っ!」
美晴が横を通る瞬間、恐らくこの世界に来てから1番の大きな声で、真人は美晴の名前を呼んだ。
とてつもない速さで走り抜けていった美晴は、そのままのスピードでゴールまで駆け抜けていった。
真人がいる位置からは隣のレーンの選手も同時にゴールしたように見え、結果がどうなったか分からなかったが、数秒後に「1」と大きく書かれたパネルがA組の前に掲げられた。
つまり、このリレーはA組が1位ということだった。
体育館中から歓声が上がり、他のクラスのアンカー達も続々とゴールしていった。
『クラス対抗リレー、1位はA組です! おめでとうございます! 全クラスほとんど差のないとても素晴らしいレースでした! 皆さん、選手たちに大きな拍手をお願いします!』
パチパチパチパチパチパチ!
体育館には拍手の音が鳴り響き、彩雲高校の体育祭はこれにて全種目を終わらせた。
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「はい、A組の皆さんおつかれ様でした。 とても素晴らしい体育祭だったと思います」
あれからクラス席に戻り、今は真帆先生の話を聞く時間になっていた。
「それでは、各班こちらにメダルを用意しました。 今日の参加賞で1人1つは必ずありますので、男子生徒は同じ班の女子生徒達にぜひメダルをかけてあげてください。 保護者の皆様も写真撮りたい方はどうぞ」
真人の班のメダルはかなりの量があり、4人ともまずは、参加賞とクラス対抗リレー1位のメダル、美晴は100メートル走全体中3位のメダル、由花は○✖︎クイズ優勝のメダル、梓は二人三脚リレー1位のメダル、音夢は二人三脚と障害物リレー1位のメダルをそれぞれ真人に首にかけてもらった。
真那や那波、それに梓達の親達もしっかりその風景を写真に収めていく。
美晴「くぅー、活躍度的には音夢っちに負けたっすね」
音夢「ふふん、音夢の勝ち」
梓「でも、みんな頑張ったよね!」
音夢「ん、それはそう。 みんな同じだけ頑張ってた」
「由花、足は平気……?」
由花「さっきまで冷やしてましたから、処置はできてますよ。 まだちょっとヒリヒリしますけどね」
由花の足は床に擦った部分が軽い火傷のように赤くなっていたので、先ほどまで氷嚢で冷やして今はガーゼを巻いている。
ただ、処置は出来ているので、恐らくは大丈夫だろう。
「それでは今日は本当にお疲れ様でした。 これにて体育祭は終了となりますので、各自解散していただいて構いません」
これにて長かったようで短かった体育祭は幕を閉じ、生徒達はそれぞれの思い出を胸に帰路についていった。
昼食の時間。
真人達は真那達と合流し、各々のお家の面々が用意してきたお弁当をみんなで食べ始めていた。
那波「ここまででもみんなの写真たくさん撮れたよ」
「そっか…… それは良かった……」
沙奈江「音夢、とっても速かったわね~? おばあちゃんびっくりしたよ」
音夢「ん、頑張った」
明里「本当にね! あの跳び箱跳んだ時とか普通に感動しちゃったよ!」
桃「そんなこと言ったら、美晴ちゃんの走りもとってもかっこよかったですよ」
明里「確かにね! アンタいつの間にあんな足早くなってたんだい?」
美晴「ウチだってやればできるんすよ!」
由花「お母さん、来てくれたんですね」
雫「ええ。 今日は何が何でも予定を空けたわ」
雫は変装のためか眼鏡と帽子をかぶっていたが、どこか普通の人とは違うオーラみたいなものが出ていた。
和やかに昼食は進んでいき、あっという間に過ぎていった。
『そろそろ昼食の時間は終わりとなります! お片付けの方を始めてくださーい!』
真那「じゃあみんな頑張ってね! 応援してるわよー!」
腹ごしらえを済ませた真人達は、レジャーシートを片付けクラス席の方へと戻っていった。
『午後の最初は食後の運動も兼ねて、全員参加の○✖︎クイズです! 生徒のみなさんは前にどうぞー!』
食後にいきなり激しい運動は流石に辛いものがあるため、最初は簡単な○✖︎クイズから始まるようだ。
ルールは体育館の真ん中に全員が一列に並び、他者との相談は無しで、アナウンサー側の掛け声と同時に右の○ゾーンか左の✖︎ゾーンに移動するというものだ。
間違えた者から席へと戻るのだが、男子生徒は班の誰かが残っていたら、近くで応援してていいそうだ。
ゾロゾロと生徒達が並び終わると、いよいよクイズが出されていった。
最初の数問は男子生徒でも分かる人は分かるような時事問題が出た。
ただ、当然不正解者も出てくるので、徐々に徐々にその人数を減らしていった。
ちなみに真人は3問目で間違えた。
6問目7問目辺りにはもう、ほとんど分かる人がいないであろう問題が出始め、運がいい人、実力があった人が10人ちょっと残るのみとなった。
梓「あっ!? 間違えちゃった…… うー、あと由花ちゃんだけかー、頑張ってね!」
由花「はい、頑張りますっ」
真人の班も残るは由花だけとなり、クイズはいよいよ終盤に差し掛かっていった。
そして10問目。
真人からしたら、もはや問題文に出てくる単語のほとんどが分からない文章が読み上げられた。
『せーの!』
残ったのは既に5人くらいだったのだが、由花は✖︎に跳び、その他の全員は○に跳んだ。
流石の由花でもこれは分からないかと真人も内心思っていたが……
『正解は…… ✖︎です! おっと、まさかの1人だけ! 文句なしの優勝です!』
なんと正解は✖︎だったので、由花の一人勝ちとなった。
「すごいよ、由花……!」
由花「引っかけ問題でしたね。 私も一瞬○に跳びそうでした」
流石の学年首席の力を見せつけた由花には、メダルと賞状が渡されるようだ。
『素晴らしい活躍を見せてくれた生徒達に拍手をお願いします!』
沢山の人達の拍手の音に包まれ、真人と由花は席に戻っていった。
美晴「流石っすね! 由花っち!」
音夢「ん、よくわかったね」
由花「ふふ、頑張りました」
『次の種目、綱引きに参加する生徒は移動をお願いします!』
由花「あ、もう出番みたいですね。 いってきます」
美晴「ウチも行ってくるっすー!」
由花と美晴は綱引きに参加するべく席を立っていった。
「やっぱりみんな頭いいんだね……」
梓「まぁ、一応進学校だしね? でも、由花ちゃんはやっぱり頭ひとつ抜けてる感じがするねー」
音夢「ちゃんとダーリンとの時間も大切にしつつ勉強してるから、要領もいい」
「僕からしたらみんなすごいよ……」
つい忘れそうになるが、この学校の女子生徒はこの国でもトップレベルにみんな頭がいいのだ。
その上、性格もいいのでまさに人としては完璧といっていいだろう。
音夢「ん、始まるよ」
早速綱引きの準備が終わったようで、まずはA組対C組の勝負になった。
二本先取のトーナメント形式で、始まりのピストルと共に両クラスの代表15名が一斉に縄を引き合っていく。
両者一歩も譲らず、力の限りを振り絞った結果、試合は一対一の3試合目までもつれこんだ。
梓「うぅー…… 頑張れみんなっ」
クラスの面々が固唾を飲んで見守る中、最終試合のピストルが鳴り響いた。
綱の真ん中に巻かれた赤い布は左右にほんの少し動くだけで、ほぼずっと判定線の上から動くことは無い。
制限時間も迫る中、決着は突然ついた。
A組の生徒の数名が偶然にも同じタイミングで最後の力と言わんばかりにほんの少しだけ力を強めたのだ。
一人の小さな力ではさほど変わらなかったであろう変化だったが、数人のタイミングが合ったことでそれは大きな差となった。
急に引かれる力が強まったことに驚いたC組の生徒の数名が前につんのめってしまい、瞬く間にA組の方へと綱は引き寄せられていく。
パァンパァン!
そして、終わりを告げるピストルの音が鳴り響き、見事A組の勝利となった。
「よしっ……!」
音夢「おー、みんな勝った」
梓「すごい白熱した戦いだったねー!」
A組の生徒もC組の生徒も、全てを出し切った故、喜びや悲しみよりも相手に対するリスペクトが生まれていた。
なので、両生徒みんなで握手を交わしていき、お互いの健闘を讃えあっていく。
その後、種目はつつがなく行われていき、A組は最初の疲れもあってか次の試合で負けてしまったが、それでも戻ってきた生徒達は晴れ晴れとした顔を浮かべていた。
「あ、由花、美晴、おかえり……!」
美晴「ただいまっす~。 いやー、疲れたっすよ」
由花「腕も足もプルプルです…… これは明日筋肉痛になるやつですね……」
梓「みんなとってもカッコよかったよー! お疲れ様ー!」
音夢「ん、頑張ってた」
クラスの皆、綱引きに出た選手たちを笑顔で受け入れていった。
「2人とも、お疲れ様……」
美晴「はいっすー。 流石に普段しない動きで力使うと疲れるっすねー」
由花「接戦の時とか、腕の感覚なかったです……」
「本当にお疲れ…… あ、それなら帰ったら4人共マッサージするよ……!」
真人は4人にだけ聞こえる声でそう囁いた。
美晴「えっ、いいんすか……♡?」
由花「それは嬉しいんですけど……♡」
「じゃあ、代わりに僕のこともしてくれると嬉しいな……」
梓「そんなの、喜んでするよ♡」
音夢「むしろいい事しかない♡」
今日の夜にする事が決まり、4人とも俄然やる気が溢れてきた。
「次は玉入れだよね……? 行こっか……?」
体育祭も後半に差しかかり、いよいよ男子達が出場する種目の一つ、玉入れの時間がやってきた。
ルールはシンプルで、高い所に置かれた籠に多く玉を入れたクラスが勝ちだ。
だが、少しやり方は変わっていて、まず班ごとに玉がある程度の数を配られ、投げて入らなかった玉を班でまた回収して使いまわすという形で行われる。
基本は回収2人に玉を投げやすいように並べるのが1人、そして投げるのが2人という役割分担で行われる。
なぜこうなのかというと、全員が同じ陣地で行った場合、玉を拾うのに夢中で前を見ずに衝突して怪我をする危険を無くすためである。
真人達の班は真人と音夢が玉を投げて、梓と美晴が回収し、由花が玉を並べる兼暇な時は投げるのにも参加する形となった。
音夢はバレーボールをやっているからか、狙った所にボールをコントロールするのが練習段階で上手かったので、今回は投げる担当となっていた。
音夢「ダーリン、頑張ろ♡」
「うん……! 梓、由花、美晴も頑張ろうね……!」
梓「うん! 頑張って拾ってくるねー!」
美晴「ウチもっす!」
由花「私も暇があれば投げれるよう頑張ります」
各クラス、所定の位置につき今か今かとスタートを待っている。
パァン!
ピストルの音と共に玉入れが始まった。
始まるや否やそれぞれのクラスに応じたカラフルな色の玉がビュンビュン飛び交っていく。
真人はポンポン投げるより一個一個ある程度狙って投げていった。
必死に取り組んでいる時間はあっという間に過ぎ、3分程で再びピストルの音が鳴った。
「あ、もう終わりなんだ……」
音夢「あっという間だった」
各クラスのかなり沢山入った籠が降ろされ、いーち、にー、とゆっくりアナウンスに沿って玉が天に投げられていく。
美晴「見ただけじゃどこが勝ってるか分かんないっすね」
各クラス、かなり頑張ったみたいだったが、30を越えた辺りから脱落するクラスが出始めた。
そして真人達A組は、39というアナウンスと同時に最後の一個が天高く放り投げられ、3位という結果に終わった。
ただ、2位が41、1位も44球と、わずか5球の差でしか無かったので、かなり接戦ではあったようだ。
由花「惜しかったですね」
梓「でも、みんなでわちゃわちゃして楽しかったね!」
他の男子生徒も班員と感想を言い合っているようだったが、みんな笑顔を見せていたので、しっかり楽しむことはできていたみたいだ。
『次の種目、二人三脚リレーに出場する選手はそのまま残ってくださーい!』
梓「あ、私達だね! 音夢ちゃん、頑張ろうね!」
音夢「ん、頑張ろ」
梓と音夢はこのまま残り、真人、美晴、由花は席に戻って行った。
「結構疲れるね…… 玉入れって……」
由花「何事も必死でやると疲れるものですね」
美晴「それに、真人っちは沢山投げてたっすからねー」
「これが終わったら後はクラス対抗リレーだけだよね……?」
由花「そうですね」
美晴「いやー、始まる前はこんなに種目あるんだーって思ってたっすけど、もう終わっちゃうんすねー」
残り2種目のうち、今から行われる二人三脚リレーは、約35メートル直線で走ったのち、置かれたカラーコーンで折り返して戻ってきてバトンタッチというルールになっている。
「難しそうだね、二人三脚……」
美晴「あんまり練習時間取れてない種目っぽいっすから、結構わちゃわちゃするかもっすね」
美晴の予想通り、いざ始まった二人三脚リレーは、どのクラスも楽しそうわーきゃー騒ぎながらわちゃわちゃ進んでいった。
由花「あ、梓さんと音夢さんペアの番ですよ」
そして、梓と音夢も走り出したのだが、他の選手達がかなりもたつく中、2人は中々いいペースで走り、チームのタイムをかなり早めていった。
「普通に速いね……!」
美晴「いつの間にあんな練習したんすかね?」
結果、A組はクラスで2つ目の団体種目1位を獲得した。
クラス席はお祭りムードとなり、帰ってきた選手にみんなで労いの声をかけていく。
由花「お二人とも速かったですね?」
梓「えへへ、実はこっそりお家とかで練習してたんだ」
音夢「ん、同居してる特権」
「そうだったんだ……! すごかったよ……!」
真人にも褒められ、梓と音夢はこっそり練習していて良かったと思った。
『さて、いよいよ本日の最終種目、クラス対抗リレーです! 生徒の皆さんは準備してくださーい!』
美晴「いよいよ最後っすね…… 頑張るっすよ!」
「うん、みんなで頑張ろう……!」
このクラス対抗リレーは、体育館の直線100メートルを使って、1人50~200メートルを選んで走り、クラスで合計3000メートルを走るというルールで、真人班はクラス内での相談の結果、由花が50、梓、真人が100、音夢が150、美晴が200メートルを走ることになっていた。
順番は班毎になっており、真人達は5班なので最終グループで、真人は拓哉からバトンをもらい、梓にそれを渡し、由花、音夢、そして美晴がクラスのアンカーとして走り切る形となっている。
梓「ねぇねぇ! 最後だし、クラスみんなで集まろうよ!」
梓がそう呼びかけたことで、A組はみんなで円になり、クラス全員が片手を前にピッと出した。
音頭は体育委員の美晴が取るようだ。
美晴「よーし、みんな! 今日はこれで泣いても笑っても最後っす! とにかく全力で頑張るっすよー! A組ー! ファイッ!」
『オーーーーーーッ!』
真人や拓哉以外の男子は少し遠慮気味だったが、それでもやる時には笑顔で付き合ってくれたので、クラスはこれで一つになった。
各自がスタート位置に移動し、自分の順番を待つ。
どのクラスも、男子が5人ということで、他の班の女子とのバトン渡しにならないよう、第一走者は男子生徒から始まる。
周りの保護者も、ほぼほぼ全員がカメラを構え、絶対に今日の出来事を記録しようと息巻いていた。
『いちについて、よーい……』
そしてついに、先生がピストルを天に向け、大きな声でそう言った。
パァンッ!
大きなピストルの音と共に、第一走者がスタートした。
ほとんどの男子生徒が走るのは50メートルだけなので、早速バトンタッチが行われた。
効率的なバトン渡しなど練習する時間は無かったので、みんなとにかく落とさないように丁寧にバトン渡しをしていく。
「中々差はつかないね……」
由花「走力のバランスは取れてるみたいですね」
美晴「そうこなくっちゃ面白く無いっすね!」
同じスタート地点に由花と美晴がいたので、3人はレースの行方を固唾を飲んで見守っていく。
1人また1人と順番は進んでいき、真人達の前、拓哉達のグループの時点でA組はなんとほんの僅かだがトップの位置を走っていた。
「僕の番だ……!」
由花「真人さん、頑張ってくださいっ!」
美晴「何も考えず、前だけ見て走るっすよ!」
「うん、頑張るね……!」
前方からは拓哉が全力疾走してきており、真人はバトンタッチ位置についた。
拓哉「真人っ!」
「うんっ……!」
真人からのバトンをスムーズに受け取り、真人は全力で走り出した。
日頃のトレーニングのおかげか、体力テストの時よりもスピードに乗れ、途中で失速などもせずに真人は梓の元までたどり着いた。
「梓っ……!」
梓「はいっ!」
かけ声と共に差し出した真人のバトンを、梓はしっかりと受け取って、走り出していった。
一息ついて他のレーンを見てみると、最後の拓哉、真人の2人の走りにより、他のクラスの男子生徒と差がついたのか、リードは少し広がっていた。
そうこうしている内に、梓が真人がスタートした地点で由花にバトンを渡していた。
由花は、ここ最近の運動のおかげか、体力テストの時よりも目に見えて速く走れていた。
しかし、問題が起きた。
自分でもこんなに走れると思わなかったのか、由花が40メートルを通過した辺りで足がもつれ、よろけてしまったのである。
それでも由花はなんとかかんとか、バトンゾーンまでは足を運んだが、その中で盛大に転んでしまった。
ただ、バトンは音夢の方へと腕だけ伸ばして差し出していたことで、音夢はそれを駆け寄って受け取り、走り出していった。
そんな音夢の横を走り抜けていった一つの影があった。
「由花っ……! 大丈夫っ……!?」
由花「ま、真人さんっ……!」
そう、真人である。
真人は由花が転びそうになった瞬間から既に駆け出しており、レーン上に転がっていた由花を素早くお姫様抱っこして救出した。
そのすぐ後に、音夢がそこを安心した表情で駆け抜けていった。
由花「す、すみません…… 転んで、しかも邪魔になっちゃって……」
「全然いいんだよ……! 足は大丈夫……?」
由花「は、はい…… ちょっと擦れただけなので……」
真人は由花をお姫様抱っこしたまま他のクラスに邪魔にならないよう素早くコース外へと外れ、由花を近くにあった椅子に座らせた。
すると、真人の行動に感動した近くにいた保護者や生徒から拍手をもらってしまった。
ドドドドドドドドッ!
真人と由花が少し気恥ずかしそうにしていると、すぐ横を美晴が走り抜けていった。
美晴は隣のレーンの走者とデットヒートを繰り広げており、両者一歩も譲らず切り返して最後の100メートル勝負となった。
「頑張れ……! 美晴っ!」
美晴が横を通る瞬間、恐らくこの世界に来てから1番の大きな声で、真人は美晴の名前を呼んだ。
とてつもない速さで走り抜けていった美晴は、そのままのスピードでゴールまで駆け抜けていった。
真人がいる位置からは隣のレーンの選手も同時にゴールしたように見え、結果がどうなったか分からなかったが、数秒後に「1」と大きく書かれたパネルがA組の前に掲げられた。
つまり、このリレーはA組が1位ということだった。
体育館中から歓声が上がり、他のクラスのアンカー達も続々とゴールしていった。
『クラス対抗リレー、1位はA組です! おめでとうございます! 全クラスほとんど差のないとても素晴らしいレースでした! 皆さん、選手たちに大きな拍手をお願いします!』
パチパチパチパチパチパチ!
体育館には拍手の音が鳴り響き、彩雲高校の体育祭はこれにて全種目を終わらせた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「はい、A組の皆さんおつかれ様でした。 とても素晴らしい体育祭だったと思います」
あれからクラス席に戻り、今は真帆先生の話を聞く時間になっていた。
「それでは、各班こちらにメダルを用意しました。 今日の参加賞で1人1つは必ずありますので、男子生徒は同じ班の女子生徒達にぜひメダルをかけてあげてください。 保護者の皆様も写真撮りたい方はどうぞ」
真人の班のメダルはかなりの量があり、4人ともまずは、参加賞とクラス対抗リレー1位のメダル、美晴は100メートル走全体中3位のメダル、由花は○✖︎クイズ優勝のメダル、梓は二人三脚リレー1位のメダル、音夢は二人三脚と障害物リレー1位のメダルをそれぞれ真人に首にかけてもらった。
真那や那波、それに梓達の親達もしっかりその風景を写真に収めていく。
美晴「くぅー、活躍度的には音夢っちに負けたっすね」
音夢「ふふん、音夢の勝ち」
梓「でも、みんな頑張ったよね!」
音夢「ん、それはそう。 みんな同じだけ頑張ってた」
「由花、足は平気……?」
由花「さっきまで冷やしてましたから、処置はできてますよ。 まだちょっとヒリヒリしますけどね」
由花の足は床に擦った部分が軽い火傷のように赤くなっていたので、先ほどまで氷嚢で冷やして今はガーゼを巻いている。
ただ、処置は出来ているので、恐らくは大丈夫だろう。
「それでは今日は本当にお疲れ様でした。 これにて体育祭は終了となりますので、各自解散していただいて構いません」
これにて長かったようで短かった体育祭は幕を閉じ、生徒達はそれぞれの思い出を胸に帰路についていった。
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