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814.転売屋はクッキーのようなものを作る
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「どうしてこうなった。」
「そりゃそうでしょ、皆お祭り好きだもの。」
「それは俺も理解してる。だが、これはちょっとどうなんだ?材料になる小麦が値上がりしてるんだぞ?それなのにわざわざ高い金出して消費するんて、いやまぁいいんだけどさぁ。」
「値上がりしても品物が無いわけじゃないでしょ?それに、楽しみたい時に楽しむのが私達じゃない。それよりもいいの?今なら果物系の素材が飛ぶように売れるけど。」
「言われなくてももうやってるっての。」
クリスマスに向けてクッキーを作ろう。
そういう話になり素材をかき集めてから三日。
街のどこを歩いても甘い香りを感じない場所はないぐらいに、そこら中でクッキーが焼かれていた。
それだけの数が生産されるという事は同じ数だけ消費されるという事。
どこを歩いてもクッキーが売られ、いや配られており空腹になる暇すらない。
いや、マジで大通りを歩くだけで風蜥蜴の被膜に包まれたクッキーを強制的に渡される。
気分はバレンタインデーのイケメンだろうか。
残念ながら恋愛感情ゼロ、むしろ消化してくれるならだれでもというバーゲンセール状態だ
。
因みに今作られているのはあくまでも練習。
本番は二日後に行われるクッキーコンテストとなっている。
『一番斬新でそして美味しいクッキーを作った人が優勝、優勝賞金ズバリ金貨1枚!』なんて誰だよこんなお祭り騒ぎに仕立てたやつは。
「いやー、盛り上がってますねぇ。」
「出たな主犯格。」
「誰が犯罪者ですか。」
心外なと怒ったような口ぶりだが羊男の目は笑っている。
それもそうだろう、盛り上がれば盛り上がるだけ最終的に街に落ちる金は増えるんだから。
コンテストまであと二日だ、もう十分元は取ったんじゃないか?
「こんなバカ騒ぎにしやがって、おかげで当初の予定が狂ったじゃないか。」
「でもそのおかげでシロウさんも大儲けですよね?」
「儲けは出てる、だが単価がなぁ。」
コンテストで使う小麦なんかはギルド協会が放出した備蓄で賄えているが、砂糖や中に入れる材料は参加者の実費になっている。
おっちゃんのバターも飛ぶように売れ、この時期にこれだけ消費してくれるなんて!と大喜びしていた。
もちろん俺もすぐに反応して、ボンバーオレンジやレレモンなど元々持っていた在庫を放出。
他にも売れそうなブルブルベリーや、少し高めのマジックベリーなども売りに出したがそちらも順調に消費されている。
が、いくら売れても単価が伴わないので俺の取引価格としては少額だ。
といっても銀貨数十枚は売り上げているので悪い売り上げではないのだが。
「贅沢な悩みねぇ。」
「シロウさんは稼ぎが違いますから。」
「違うとはいえ金は金、その辺は考えを改めないといけないのはわかってるんだがなぁ。」
「わかってるならいいじゃない。」
普段扱っているのが銀貨や金貨なので銅貨の儲けがどうしても少なく感じてしまうのだが、金は金だ。
ちりも積もればなんとやら。
この辺は定期的に考えを改めて行かないといつか痛い目を見るだろう。
とはいえ、それがなかなか難しい。
「コンテストにはシロウさんも参加されるんですよね?」
「俺がというかエリザがというか屋敷全体で参加するつもりだ。元はガキ共に配るためのクッキーだったんだがこんなことになるなんてなぁ。どうするんだよ余ったら。」
「余れば売ります。」
「皆腹いっぱいだろ。」
「ですので日持ちしますのでここではなく他所で売るつもりです。手軽に食べられて、しかも安い。長距離の移動のときってどうしても口さみしくなりますから。」
「目ざといやつめ。」
確かに携帯食料の代わりになれば旅人も商人も喜んで買うだろう。
普通のクッキーなら見向きもされないが、ここで作られているのは一味も二味も違うような奴。
日持ちする上に味もそれなりとなれば喜んで買ってくれるだろう。
陸路でも水路でも移動時はどうしても暇になるからな。
特に陸路は食事などで停止するとそれだけ行程が遅れてしまう。
なので、移動しながら食べられるものが好まれるというわけだ。
ふむふむなるほど、そういう事か。
「あ、シロウがまた何か考えてる。」
「確かに悪い顔していますね。」
「誰の顔が悪いって?」
「濡れ衣なんですが。」
「冗談だって。エリザ、クッキーの材料まだ余ってたよな。」
「あるにはあるけど卵とミルクはもうなかったはずよ。コンテストには間に合うけど、それ様にしか仕入れてないから余裕ないんじゃないかしら。」
むしろそれ以外の材料があれば問題ない。
携帯食料。
普段冒険者が口にしている物なのに、なんでもっと早く気付かなかったんだろうか。
常に使うものこそ金になるのに。
「小麦粉でしたらお譲りさせて頂きますよ?」
「そうだな、せっかくだし10㎏程貰おうか。」
「え、そんなに?」
「最初は少量だが、行けそうなら量産する。別に難しい物でもないからレシピさえ出来ればいけるはずだ。」
正直に言って儲けは少ない。
だが数が出て更に毎日売れればそれなりの儲けになるだろう。
別に俺が作る必要はない。
いつものように材料だけ提供して誰かが作るってやり方でもいい。
むしろその方が有難い。
「シロウさん良かったら。」
「断る。」
「まだ何も言ってませんけど。」
「どうせコンテストの題材にしませんか、だろ?」
「いやー、話が早い。」
「残念だがお断りだ。」
というか俺が考えている奴は俺の持っている素材でしか作れない。
作ったものの長らく忘れていた素材がいよいよ日の目を見る時が来たようだ。
食い下がってくる羊男を引っぺがして急ぎ屋敷に戻る。
食堂ではアネットとミラがコンテストに向けたクッキー作りを続けていたが、その一角を借りて俺は別の物を作り始めた。
「え、小麦に直接バターですか?」
「それに卵も入れないの?ボソボソになるわよ?」
「そうならないためにはちみつを入れるんだよ。下手に卵入れると傷むからな、最低限の素材で三日は持たせて、加えて栄養価も高いからそれさえ食えば何とかなる的なやつを作るんだ。」
「そんな夢みたいな食べ物・・・。」
「飽食の豆ですね。」
さすがミラ、俺がやろうとしていることをすぐに把握してくれたようだ。
昔的に言うツーカーというやつだろうか、もしくは以心伝心?
栄養価が高いって所だけ聞いてそれを言い当てる時点で流石としか言いようがない。
「そういえばそんなものあったわね。」
「スカイビーンズはアネットの薬に使ったが、生育を抑える為に植えたのをすっかり忘れてた。」
「収穫した分は屋敷の倉庫に入れてあります、どうやって使いますか?」
「こいつにぶち込みたいんだがどうするべきだと思う?」
作ろうとしているのはクッキーではなくショートブレッドと呼ばれるお菓子。
イメージはカロリーなんとかっていうスティック状の食べ物だ。
それに飽食の豆を入れて長旅でも簡単に栄養補給出来るものを作りたい。
食感に関しては砂糖の代わりにはちみつを入れることで卵が無くても多少しっとりさせることは出来るだろう。
問題は豆をどうするかだ。
「甘く煮て入れたら?食感も変わって美味しいかも。」
「煮豆か。」
「私は茹でたのを細かく砕いて入れたらどうかなって思いました。」
「甘く煮た物をすりつぶして練り込んではいかがですか?」
「とりあえず茹でる所からか。前に調べた時には茹でても栄養は損なわれないらしいし、何種類か作ってみるか。」
「「「はい!」」」
ってことでクッキーづくりを中断して携帯食料づくりへ。
味も甘い物からしょっぱい物と色々と工夫しながら作っていると、あっという間に夜になってしまった。
つまみ食いしすぎたせいで常にお腹は満腹状態。
うーむ、たったこれだけでこの満腹感。
やばいな。
「個人的にはこのすり潰したやつが気に入った。塩気が良い感じに食欲をそそるな。」
「私は煮豆かしら、どうしてもボソボソしちゃうから食感が変わるだけでも食べやすかったわ。」
「私はご主人様と一緒です、喉が渇くのが欠点ですね。」
「確かに塩気があるせいで余計に喉が乾いてしまいます。」
うーむ、美味いと思うが確かにそれはあるな。
ダンジョン内も馬車の旅も水は貴重品。
すぐに手に入る状況ならともかく、そうでないのならあまり食べたいとは思わないだろう。
休憩時に食べるとも限らないし、ダンジョンを移動しながらなのであれば余計にそれが気になるところだ。
となると選択肢は一つ。
確かに甘く煮た豆はホロホロで食べやすく、はちみつを入れてしっとりとした食感を崩すことはない。
甘さもあり食べやすく、更にはそこまで水を欲しない。
が、一方食べれば長時間飲食しなくても十分となると冒険者からしてみれば有難い話だろう。
さらに言えば煮豆なら水分で豆が膨らむ分かさも増える。
材料に限界があるだけにそれはデカい。
「ってことで甘い方で決定だな、とはいえ豆はもう少し味付けにこだわってもいいだろう。」
「せっかく食べるんだもん、美味しくないとね。」
「シロウ様、これもコンテストに?」
「出すべきだと思うか?」
「知名度を上げるにはうってつけかと。趣旨からは外れますが最高の宣伝になります。」
紹介するからにはギルド協会も嚙ませろとか言い出しかねないが、豆はうちの専売だし材料だけ提供してという当初の計画通りにはなるか。
冒険者ギルドと輸送ギルドにだけ卸して、そこからばらまいてもらうという方法もある。
ふむ、こっちの方がありかもしれない。
どちらにせよ知名度を上げる必要はあるわけで。
クッキーを作っていたはずが変な方向に変わってしまったが、まぁいつもの事だ。
むしろ俺は金になるほうがありがたい。
さて、残り二日もう少しだけ仕上がりを良くしてみようじゃないか。
「そりゃそうでしょ、皆お祭り好きだもの。」
「それは俺も理解してる。だが、これはちょっとどうなんだ?材料になる小麦が値上がりしてるんだぞ?それなのにわざわざ高い金出して消費するんて、いやまぁいいんだけどさぁ。」
「値上がりしても品物が無いわけじゃないでしょ?それに、楽しみたい時に楽しむのが私達じゃない。それよりもいいの?今なら果物系の素材が飛ぶように売れるけど。」
「言われなくてももうやってるっての。」
クリスマスに向けてクッキーを作ろう。
そういう話になり素材をかき集めてから三日。
街のどこを歩いても甘い香りを感じない場所はないぐらいに、そこら中でクッキーが焼かれていた。
それだけの数が生産されるという事は同じ数だけ消費されるという事。
どこを歩いてもクッキーが売られ、いや配られており空腹になる暇すらない。
いや、マジで大通りを歩くだけで風蜥蜴の被膜に包まれたクッキーを強制的に渡される。
気分はバレンタインデーのイケメンだろうか。
残念ながら恋愛感情ゼロ、むしろ消化してくれるならだれでもというバーゲンセール状態だ
。
因みに今作られているのはあくまでも練習。
本番は二日後に行われるクッキーコンテストとなっている。
『一番斬新でそして美味しいクッキーを作った人が優勝、優勝賞金ズバリ金貨1枚!』なんて誰だよこんなお祭り騒ぎに仕立てたやつは。
「いやー、盛り上がってますねぇ。」
「出たな主犯格。」
「誰が犯罪者ですか。」
心外なと怒ったような口ぶりだが羊男の目は笑っている。
それもそうだろう、盛り上がれば盛り上がるだけ最終的に街に落ちる金は増えるんだから。
コンテストまであと二日だ、もう十分元は取ったんじゃないか?
「こんなバカ騒ぎにしやがって、おかげで当初の予定が狂ったじゃないか。」
「でもそのおかげでシロウさんも大儲けですよね?」
「儲けは出てる、だが単価がなぁ。」
コンテストで使う小麦なんかはギルド協会が放出した備蓄で賄えているが、砂糖や中に入れる材料は参加者の実費になっている。
おっちゃんのバターも飛ぶように売れ、この時期にこれだけ消費してくれるなんて!と大喜びしていた。
もちろん俺もすぐに反応して、ボンバーオレンジやレレモンなど元々持っていた在庫を放出。
他にも売れそうなブルブルベリーや、少し高めのマジックベリーなども売りに出したがそちらも順調に消費されている。
が、いくら売れても単価が伴わないので俺の取引価格としては少額だ。
といっても銀貨数十枚は売り上げているので悪い売り上げではないのだが。
「贅沢な悩みねぇ。」
「シロウさんは稼ぎが違いますから。」
「違うとはいえ金は金、その辺は考えを改めないといけないのはわかってるんだがなぁ。」
「わかってるならいいじゃない。」
普段扱っているのが銀貨や金貨なので銅貨の儲けがどうしても少なく感じてしまうのだが、金は金だ。
ちりも積もればなんとやら。
この辺は定期的に考えを改めて行かないといつか痛い目を見るだろう。
とはいえ、それがなかなか難しい。
「コンテストにはシロウさんも参加されるんですよね?」
「俺がというかエリザがというか屋敷全体で参加するつもりだ。元はガキ共に配るためのクッキーだったんだがこんなことになるなんてなぁ。どうするんだよ余ったら。」
「余れば売ります。」
「皆腹いっぱいだろ。」
「ですので日持ちしますのでここではなく他所で売るつもりです。手軽に食べられて、しかも安い。長距離の移動のときってどうしても口さみしくなりますから。」
「目ざといやつめ。」
確かに携帯食料の代わりになれば旅人も商人も喜んで買うだろう。
普通のクッキーなら見向きもされないが、ここで作られているのは一味も二味も違うような奴。
日持ちする上に味もそれなりとなれば喜んで買ってくれるだろう。
陸路でも水路でも移動時はどうしても暇になるからな。
特に陸路は食事などで停止するとそれだけ行程が遅れてしまう。
なので、移動しながら食べられるものが好まれるというわけだ。
ふむふむなるほど、そういう事か。
「あ、シロウがまた何か考えてる。」
「確かに悪い顔していますね。」
「誰の顔が悪いって?」
「濡れ衣なんですが。」
「冗談だって。エリザ、クッキーの材料まだ余ってたよな。」
「あるにはあるけど卵とミルクはもうなかったはずよ。コンテストには間に合うけど、それ様にしか仕入れてないから余裕ないんじゃないかしら。」
むしろそれ以外の材料があれば問題ない。
携帯食料。
普段冒険者が口にしている物なのに、なんでもっと早く気付かなかったんだろうか。
常に使うものこそ金になるのに。
「小麦粉でしたらお譲りさせて頂きますよ?」
「そうだな、せっかくだし10㎏程貰おうか。」
「え、そんなに?」
「最初は少量だが、行けそうなら量産する。別に難しい物でもないからレシピさえ出来ればいけるはずだ。」
正直に言って儲けは少ない。
だが数が出て更に毎日売れればそれなりの儲けになるだろう。
別に俺が作る必要はない。
いつものように材料だけ提供して誰かが作るってやり方でもいい。
むしろその方が有難い。
「シロウさん良かったら。」
「断る。」
「まだ何も言ってませんけど。」
「どうせコンテストの題材にしませんか、だろ?」
「いやー、話が早い。」
「残念だがお断りだ。」
というか俺が考えている奴は俺の持っている素材でしか作れない。
作ったものの長らく忘れていた素材がいよいよ日の目を見る時が来たようだ。
食い下がってくる羊男を引っぺがして急ぎ屋敷に戻る。
食堂ではアネットとミラがコンテストに向けたクッキー作りを続けていたが、その一角を借りて俺は別の物を作り始めた。
「え、小麦に直接バターですか?」
「それに卵も入れないの?ボソボソになるわよ?」
「そうならないためにはちみつを入れるんだよ。下手に卵入れると傷むからな、最低限の素材で三日は持たせて、加えて栄養価も高いからそれさえ食えば何とかなる的なやつを作るんだ。」
「そんな夢みたいな食べ物・・・。」
「飽食の豆ですね。」
さすがミラ、俺がやろうとしていることをすぐに把握してくれたようだ。
昔的に言うツーカーというやつだろうか、もしくは以心伝心?
栄養価が高いって所だけ聞いてそれを言い当てる時点で流石としか言いようがない。
「そういえばそんなものあったわね。」
「スカイビーンズはアネットの薬に使ったが、生育を抑える為に植えたのをすっかり忘れてた。」
「収穫した分は屋敷の倉庫に入れてあります、どうやって使いますか?」
「こいつにぶち込みたいんだがどうするべきだと思う?」
作ろうとしているのはクッキーではなくショートブレッドと呼ばれるお菓子。
イメージはカロリーなんとかっていうスティック状の食べ物だ。
それに飽食の豆を入れて長旅でも簡単に栄養補給出来るものを作りたい。
食感に関しては砂糖の代わりにはちみつを入れることで卵が無くても多少しっとりさせることは出来るだろう。
問題は豆をどうするかだ。
「甘く煮て入れたら?食感も変わって美味しいかも。」
「煮豆か。」
「私は茹でたのを細かく砕いて入れたらどうかなって思いました。」
「甘く煮た物をすりつぶして練り込んではいかがですか?」
「とりあえず茹でる所からか。前に調べた時には茹でても栄養は損なわれないらしいし、何種類か作ってみるか。」
「「「はい!」」」
ってことでクッキーづくりを中断して携帯食料づくりへ。
味も甘い物からしょっぱい物と色々と工夫しながら作っていると、あっという間に夜になってしまった。
つまみ食いしすぎたせいで常にお腹は満腹状態。
うーむ、たったこれだけでこの満腹感。
やばいな。
「個人的にはこのすり潰したやつが気に入った。塩気が良い感じに食欲をそそるな。」
「私は煮豆かしら、どうしてもボソボソしちゃうから食感が変わるだけでも食べやすかったわ。」
「私はご主人様と一緒です、喉が渇くのが欠点ですね。」
「確かに塩気があるせいで余計に喉が乾いてしまいます。」
うーむ、美味いと思うが確かにそれはあるな。
ダンジョン内も馬車の旅も水は貴重品。
すぐに手に入る状況ならともかく、そうでないのならあまり食べたいとは思わないだろう。
休憩時に食べるとも限らないし、ダンジョンを移動しながらなのであれば余計にそれが気になるところだ。
となると選択肢は一つ。
確かに甘く煮た豆はホロホロで食べやすく、はちみつを入れてしっとりとした食感を崩すことはない。
甘さもあり食べやすく、更にはそこまで水を欲しない。
が、一方食べれば長時間飲食しなくても十分となると冒険者からしてみれば有難い話だろう。
さらに言えば煮豆なら水分で豆が膨らむ分かさも増える。
材料に限界があるだけにそれはデカい。
「ってことで甘い方で決定だな、とはいえ豆はもう少し味付けにこだわってもいいだろう。」
「せっかく食べるんだもん、美味しくないとね。」
「シロウ様、これもコンテストに?」
「出すべきだと思うか?」
「知名度を上げるにはうってつけかと。趣旨からは外れますが最高の宣伝になります。」
紹介するからにはギルド協会も嚙ませろとか言い出しかねないが、豆はうちの専売だし材料だけ提供してという当初の計画通りにはなるか。
冒険者ギルドと輸送ギルドにだけ卸して、そこからばらまいてもらうという方法もある。
ふむ、こっちの方がありかもしれない。
どちらにせよ知名度を上げる必要はあるわけで。
クッキーを作っていたはずが変な方向に変わってしまったが、まぁいつもの事だ。
むしろ俺は金になるほうがありがたい。
さて、残り二日もう少しだけ仕上がりを良くしてみようじゃないか。
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