818 / 1,063
815.転売屋は失敗する
しおりを挟む
「ん?お前、そんな髪色だったか?」
「あ、気付きました?ちょっと変えてみたんですよ。」
「変える?」
「シロウさん知らないんですか?今、無茶苦茶流行ってるんですよ。」
自慢げな顔で鮮やかな栗色の髪の毛を軽く撫でる馴染みの冒険者。
いつも同じ素材を同じ量持ち込んでくれるのでよく覚えているが、確か元の髪色は深い紺色だったはず。
元の世界では髪の毛の色を変えるなんてのは良くある話だが、この世界では聞いたことがない。
美容師はいるけれど、ブリーチやカラーはしていなかったと思うんだがなぁ。
仮に出来たとしてもこんなに鮮やかに変わるだろうか。
「そこ、詳しく聞かせてくれ。」
「へへ、高いですよ。」
「じゃあいい。」
「冗談ですって!ミミクリーワームの体液を使ったんです。」
「ミミクリーワーム聞いた事ないな。」
「色んなものに擬態する魔物で見つけるのがなかなか大変なんですけど、そいつの体液をかけると色が変わるんです。それこそ剣とか鎧とかも。」
ふむ、そんな魔物がいるのか。
キキがいれば色々と話を聞けたのだが、生憎と今日はダンジョンに入っている。
「で、それで髪の毛を変えたのか。」
「元の色も嫌いじゃないんですけど、試しにやったらいい感じの色になったんで。」
「試しに?」
「何色になるかは選べないんですよ、相棒は紫になってましたね。」
「なかなかギャンブルだな。」
「そこが面白いんじゃないですか。」
冒険者は賭け事が好きだからなぁ、おおかた飲みながら遊んでいたんだろう。
一人がやりだすと周りもそれに同調して、最終的には大騒ぎになるのがいつもの話だ。
剣や鎧の色も変わるらしいしそれ目当てに体液を掛けるやつもいるはず。
ギャンブル性が高いからこそ嵌る。
トレーディングカードとかもそうだが、中身がわからないからこそ面白いってのはどの世界でも共通だな。
だが一つ気になることがある。
「その色、すぐに戻せるのか?」
「お湯を掛けて体液を流せば戻りますよ。皮膚とかは変わらないんで、その辺は安心です。」
「なるほどなぁ。」
「シロウさんもやったらどうですか?面白いですよ。」
「いや、俺は遠慮しとく。今日の買取は銀貨5枚な。」
「え、いつもより多いですよ。」
「情報料だよ。」
いつもは銀貨3枚の買取。
銀貨2枚で面白い話が聞けたんだ、今後の儲けを考えれば安いもんだろう。
買取金を受け取り冒険者が出て行くのと同時に、店の札を休憩中に変える。
いい話を聞かせてはもらったものの裏取りは必要だ。
彼らの仲間内だけで流行っているんじゃ儲けになりはしない。
急ぎイライザさんの店に向かって今の話を振ってみると、ここ数日そういう遊びをする冒険者が増えているそうだ。
店が汚れるので使う時は外に行ってもらっているみたいだけど、お湯を掛ければすぐに流せるのでそこまで困ったことにはなっていないようだ。
使っているのは主に武器。
自分達のイメージカラーに合わせて同じ色になるまで使ったりしているらしい。
ふむ、なかなかいいじゃないか。
簡単に変化を楽しめるのは言い換えると複数回楽しめるという事。
今度は冒険者ギルドに向かい値段を調べてみたが、一回分で銅貨20枚程度らしくそこまで高価な物ではないようだ。
『ミミクリーワーム。様々なものに擬態して敵の目を欺く魔物。積極的に攻撃してくることは無く、普段から擬態しているので見つけられずにスルーすることは多い。最近の平均取引価格は銅貨25枚。最安値銅貨10枚、最高値銅貨38枚、最終取引日は本日と記録されています。』
鑑定結果では物の色を変えるとは出てこなかった。
ふむ、最近見つかった効果なんだろうか。
物は試しとギルドで買い取ったやつを売ってもらい、店の在庫にかけてみる。
「お、マジで色が変わった。」
「鉄の剣がなんていうか、子供の玩具みたいです。」
「この色はなぁ。」
横で見ていたメルディが素直な感想を出してくれたが、俺も同じ感想だ。
体液は半透明でとろみのある感じで、それを剣にかけると下に流れながら刃の色が銀からショッキングピンク的なのに変わってく。
この色の武器は流石に使えない。
外れと言ってもいいだろう。
ギルドから買い付けた分でちょうど一回分。
そこまで高価じゃないだけにリトライしたくなるよなぁ。
今度は上からお湯をかけてみると、ピンク色がみるみるうちに元の銀色に戻っていく。
溶けると元の色に戻るのか地面がピンク色になる感じもない。
うーむ、面白い。
「売れるな。」
「仕入れますか?」
「あぁ、とりあえず冒険者に依頼して集めてみよう。一回分銅貨10枚で個数に制限はかけない。俺はギルドに依頼を出すからメルディは店頭に貼る分を書いてくれ。」
「はい!」
流行りに遅れたのは少々痛いが、やらないよりもやったほうが儲けが出る。
たとえ一個の儲けが銅貨10枚でも、100回分売れれば銀貨10枚になる。
どの色が出るかわからない以上回数をこなすのは必然。
つまり数が売れる。
元の世界でも何が出るかわからないトレーディングカードなんかは未開封でも高値で取引されてた。
物によっては数倍、数十倍の物だってあった。
もちろんそれは需要と供給のバランスが崩れた事で起きた事例だが、ここに来れば大量に手に入るとなれば冒険者が集まってくるのは間違いない。
冒険者が集まれば客も増える。
客が増えれば結果的に俺の金が増えるわけだ。
撒き餌としてはもってこいの素材だろう。
ってことで急ぎギルドに依頼を出し、ミミクリーワームの体液を集めることになった。
最初こそ数は集まらなかったものの、その日のうちに100回分。
その翌日には200回分が持ち込まれた。
その間に売れた者もあるが手元に残っているのはおおよそ150回分。
このペースで行けば今日は300回分ぐらい集まりそうだな。
「シロウさん持ってきましたよ!」
「おぅ、いらっしゃい。って多いな。」
「巣があったんで根こそぎ倒してきました。」
「カニみたいに絶滅させるなよ。」
「それは無いと思いますよ。」
「だといいがな。」
持ち込まれたのは全部で40回分ほど。
他にも持ち込みがあったので今日だけで300を超えた計算になる。
しかし妙だな。
「髪色、戻したんだな。」
「明るいのもいいんですけど、こっちのほうが落ち着くんですよねぇやっぱり。」
「俺はそっちの方が似合うと思うぞ。」
「へへ、ありがとうございます。」
「銀貨4枚、確認してくれ。」
カウンターの上に銀貨を積み上げていくと冒険者の目の輝きが増していく。
わかる。
現金買取ってこれが一番楽しいよな。
「ありがとうございます!これ、いつまでやります?」
「一応まだ継続する予定だが・・・どうしたんだ?」
「いや、仲間もやりたいっていうもんで。」
「そうなのか?てっきり消費するもんだと思ったんだが。」
「あー、なんか飽きてきたんですよね。」
ふむ、確かにやり過ぎると飽きも来るだろう。
特に色を合わせたいとかいう連中は揃ったら興味なくなるしな。
あれ、もしかしてヤバイ?
「とりあえずギルドの依頼も取り下げるし、お前だけにしておいてくれ。」
「へへ、了解っす。」
なんだか嫌な予感がするぞ。
とりあえず急ぎギルドに行って依頼を取り消しておかないと。
流行ってのは流行るのも早いし廃れるのも早い。
そしてそれに気づくのが遅れたやつが大損を被る。
俺も過去に何度か失敗したことがあるんだが、これはまさにその流れだ。
今回は気付くのが遅かっただけに乗り遅れた感は否めないんだよなぁ。
そんな俺の予感を裏付けるようにその後も買取が立て続けに起き、あっという間に在庫が膨れ上がってしまった。
その数1000回分。
ギルドの依頼は取り消したものの、それまでに仕入れた分は買い取るしかなく結果として在庫が膨れ上がってしまった。
金額にしては金貨1枚ほど。
俺にしてはまだ少ない方だが、一般的な感覚で行くと大金だ。
「どうするのよこれ。」
「どうするかなぁ。」
「多量に使用すると皮膚炎を起こす事がわかってからは一気に使用が減りましたね。」
「装備品も錆が出るとわかりましたし、使われることはないと思います。」
買取を停止してすぐはまだ売れていたのだが、ミラとキキが言うように多用していた連中に被害が出始めてからぱったりと使われることが無くなってしまった。
なんでも髪の毛の色を変えまくっていたやつの髪がごそっと抜けたらしい。
そりゃそうだろう。
地肌だけでなく髪の毛まで抜けるとなれば怖くて使えるはずが無い。
加えて装備品にもわずかながら劣化が見受けられた。
遊びで使って商売道具がだめになったとか笑い話にもならない。
そんなこんなでせっかく集めた体液は全て無駄になってしまったというわけだ。
やれやれ、相場スキルがあっても市場の動きを読めなければ意味がない。
こればっかりは運もあるが、今回のは完全に俺の読み違いだ。
「ま、何とかなるだろ。」
「本気でそう思ってる?」
「俺を誰だと思ってるんだ?買い取ったからには無駄にはしないぞ。」
「とか何とか言っちゃって。今までにどれだけ無駄にしてきてるのよ。」
「無駄じゃない、寝かせてるだけだ。」
買い取ったからにはもちろん金に買えるつもりではいる。
だが今はそのときじゃない。
こいつもいずれ何かに使える日が来るはず。
多分だけど。
久方ぶりの失敗。
まぁ長いことやってるとそんなこともあるだろう。
相場スキルがあるとはいえ連戦連勝とは行かないものだ。
今日という日を教訓に明日から又がんばればいい。
「かっこいい事いってるけど負け惜しみよね、それ。」
「うるさい。」
まったくひと言多いやつめ、これだから脳筋は。
「あ、気付きました?ちょっと変えてみたんですよ。」
「変える?」
「シロウさん知らないんですか?今、無茶苦茶流行ってるんですよ。」
自慢げな顔で鮮やかな栗色の髪の毛を軽く撫でる馴染みの冒険者。
いつも同じ素材を同じ量持ち込んでくれるのでよく覚えているが、確か元の髪色は深い紺色だったはず。
元の世界では髪の毛の色を変えるなんてのは良くある話だが、この世界では聞いたことがない。
美容師はいるけれど、ブリーチやカラーはしていなかったと思うんだがなぁ。
仮に出来たとしてもこんなに鮮やかに変わるだろうか。
「そこ、詳しく聞かせてくれ。」
「へへ、高いですよ。」
「じゃあいい。」
「冗談ですって!ミミクリーワームの体液を使ったんです。」
「ミミクリーワーム聞いた事ないな。」
「色んなものに擬態する魔物で見つけるのがなかなか大変なんですけど、そいつの体液をかけると色が変わるんです。それこそ剣とか鎧とかも。」
ふむ、そんな魔物がいるのか。
キキがいれば色々と話を聞けたのだが、生憎と今日はダンジョンに入っている。
「で、それで髪の毛を変えたのか。」
「元の色も嫌いじゃないんですけど、試しにやったらいい感じの色になったんで。」
「試しに?」
「何色になるかは選べないんですよ、相棒は紫になってましたね。」
「なかなかギャンブルだな。」
「そこが面白いんじゃないですか。」
冒険者は賭け事が好きだからなぁ、おおかた飲みながら遊んでいたんだろう。
一人がやりだすと周りもそれに同調して、最終的には大騒ぎになるのがいつもの話だ。
剣や鎧の色も変わるらしいしそれ目当てに体液を掛けるやつもいるはず。
ギャンブル性が高いからこそ嵌る。
トレーディングカードとかもそうだが、中身がわからないからこそ面白いってのはどの世界でも共通だな。
だが一つ気になることがある。
「その色、すぐに戻せるのか?」
「お湯を掛けて体液を流せば戻りますよ。皮膚とかは変わらないんで、その辺は安心です。」
「なるほどなぁ。」
「シロウさんもやったらどうですか?面白いですよ。」
「いや、俺は遠慮しとく。今日の買取は銀貨5枚な。」
「え、いつもより多いですよ。」
「情報料だよ。」
いつもは銀貨3枚の買取。
銀貨2枚で面白い話が聞けたんだ、今後の儲けを考えれば安いもんだろう。
買取金を受け取り冒険者が出て行くのと同時に、店の札を休憩中に変える。
いい話を聞かせてはもらったものの裏取りは必要だ。
彼らの仲間内だけで流行っているんじゃ儲けになりはしない。
急ぎイライザさんの店に向かって今の話を振ってみると、ここ数日そういう遊びをする冒険者が増えているそうだ。
店が汚れるので使う時は外に行ってもらっているみたいだけど、お湯を掛ければすぐに流せるのでそこまで困ったことにはなっていないようだ。
使っているのは主に武器。
自分達のイメージカラーに合わせて同じ色になるまで使ったりしているらしい。
ふむ、なかなかいいじゃないか。
簡単に変化を楽しめるのは言い換えると複数回楽しめるという事。
今度は冒険者ギルドに向かい値段を調べてみたが、一回分で銅貨20枚程度らしくそこまで高価な物ではないようだ。
『ミミクリーワーム。様々なものに擬態して敵の目を欺く魔物。積極的に攻撃してくることは無く、普段から擬態しているので見つけられずにスルーすることは多い。最近の平均取引価格は銅貨25枚。最安値銅貨10枚、最高値銅貨38枚、最終取引日は本日と記録されています。』
鑑定結果では物の色を変えるとは出てこなかった。
ふむ、最近見つかった効果なんだろうか。
物は試しとギルドで買い取ったやつを売ってもらい、店の在庫にかけてみる。
「お、マジで色が変わった。」
「鉄の剣がなんていうか、子供の玩具みたいです。」
「この色はなぁ。」
横で見ていたメルディが素直な感想を出してくれたが、俺も同じ感想だ。
体液は半透明でとろみのある感じで、それを剣にかけると下に流れながら刃の色が銀からショッキングピンク的なのに変わってく。
この色の武器は流石に使えない。
外れと言ってもいいだろう。
ギルドから買い付けた分でちょうど一回分。
そこまで高価じゃないだけにリトライしたくなるよなぁ。
今度は上からお湯をかけてみると、ピンク色がみるみるうちに元の銀色に戻っていく。
溶けると元の色に戻るのか地面がピンク色になる感じもない。
うーむ、面白い。
「売れるな。」
「仕入れますか?」
「あぁ、とりあえず冒険者に依頼して集めてみよう。一回分銅貨10枚で個数に制限はかけない。俺はギルドに依頼を出すからメルディは店頭に貼る分を書いてくれ。」
「はい!」
流行りに遅れたのは少々痛いが、やらないよりもやったほうが儲けが出る。
たとえ一個の儲けが銅貨10枚でも、100回分売れれば銀貨10枚になる。
どの色が出るかわからない以上回数をこなすのは必然。
つまり数が売れる。
元の世界でも何が出るかわからないトレーディングカードなんかは未開封でも高値で取引されてた。
物によっては数倍、数十倍の物だってあった。
もちろんそれは需要と供給のバランスが崩れた事で起きた事例だが、ここに来れば大量に手に入るとなれば冒険者が集まってくるのは間違いない。
冒険者が集まれば客も増える。
客が増えれば結果的に俺の金が増えるわけだ。
撒き餌としてはもってこいの素材だろう。
ってことで急ぎギルドに依頼を出し、ミミクリーワームの体液を集めることになった。
最初こそ数は集まらなかったものの、その日のうちに100回分。
その翌日には200回分が持ち込まれた。
その間に売れた者もあるが手元に残っているのはおおよそ150回分。
このペースで行けば今日は300回分ぐらい集まりそうだな。
「シロウさん持ってきましたよ!」
「おぅ、いらっしゃい。って多いな。」
「巣があったんで根こそぎ倒してきました。」
「カニみたいに絶滅させるなよ。」
「それは無いと思いますよ。」
「だといいがな。」
持ち込まれたのは全部で40回分ほど。
他にも持ち込みがあったので今日だけで300を超えた計算になる。
しかし妙だな。
「髪色、戻したんだな。」
「明るいのもいいんですけど、こっちのほうが落ち着くんですよねぇやっぱり。」
「俺はそっちの方が似合うと思うぞ。」
「へへ、ありがとうございます。」
「銀貨4枚、確認してくれ。」
カウンターの上に銀貨を積み上げていくと冒険者の目の輝きが増していく。
わかる。
現金買取ってこれが一番楽しいよな。
「ありがとうございます!これ、いつまでやります?」
「一応まだ継続する予定だが・・・どうしたんだ?」
「いや、仲間もやりたいっていうもんで。」
「そうなのか?てっきり消費するもんだと思ったんだが。」
「あー、なんか飽きてきたんですよね。」
ふむ、確かにやり過ぎると飽きも来るだろう。
特に色を合わせたいとかいう連中は揃ったら興味なくなるしな。
あれ、もしかしてヤバイ?
「とりあえずギルドの依頼も取り下げるし、お前だけにしておいてくれ。」
「へへ、了解っす。」
なんだか嫌な予感がするぞ。
とりあえず急ぎギルドに行って依頼を取り消しておかないと。
流行ってのは流行るのも早いし廃れるのも早い。
そしてそれに気づくのが遅れたやつが大損を被る。
俺も過去に何度か失敗したことがあるんだが、これはまさにその流れだ。
今回は気付くのが遅かっただけに乗り遅れた感は否めないんだよなぁ。
そんな俺の予感を裏付けるようにその後も買取が立て続けに起き、あっという間に在庫が膨れ上がってしまった。
その数1000回分。
ギルドの依頼は取り消したものの、それまでに仕入れた分は買い取るしかなく結果として在庫が膨れ上がってしまった。
金額にしては金貨1枚ほど。
俺にしてはまだ少ない方だが、一般的な感覚で行くと大金だ。
「どうするのよこれ。」
「どうするかなぁ。」
「多量に使用すると皮膚炎を起こす事がわかってからは一気に使用が減りましたね。」
「装備品も錆が出るとわかりましたし、使われることはないと思います。」
買取を停止してすぐはまだ売れていたのだが、ミラとキキが言うように多用していた連中に被害が出始めてからぱったりと使われることが無くなってしまった。
なんでも髪の毛の色を変えまくっていたやつの髪がごそっと抜けたらしい。
そりゃそうだろう。
地肌だけでなく髪の毛まで抜けるとなれば怖くて使えるはずが無い。
加えて装備品にもわずかながら劣化が見受けられた。
遊びで使って商売道具がだめになったとか笑い話にもならない。
そんなこんなでせっかく集めた体液は全て無駄になってしまったというわけだ。
やれやれ、相場スキルがあっても市場の動きを読めなければ意味がない。
こればっかりは運もあるが、今回のは完全に俺の読み違いだ。
「ま、何とかなるだろ。」
「本気でそう思ってる?」
「俺を誰だと思ってるんだ?買い取ったからには無駄にはしないぞ。」
「とか何とか言っちゃって。今までにどれだけ無駄にしてきてるのよ。」
「無駄じゃない、寝かせてるだけだ。」
買い取ったからにはもちろん金に買えるつもりではいる。
だが今はそのときじゃない。
こいつもいずれ何かに使える日が来るはず。
多分だけど。
久方ぶりの失敗。
まぁ長いことやってるとそんなこともあるだろう。
相場スキルがあるとはいえ連戦連勝とは行かないものだ。
今日という日を教訓に明日から又がんばればいい。
「かっこいい事いってるけど負け惜しみよね、それ。」
「うるさい。」
まったくひと言多いやつめ、これだから脳筋は。
19
お気に入りに追加
332
あなたにおすすめの小説
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
異世界でお取り寄せ生活
マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。
突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。
貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。
意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。
貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!?
そんな感じの話です。
のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。
※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる