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813.転売屋は雑巾をつくる
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「ハワード、そこ抑えといてくれ。」
「了解です、気を付けて。」
脚立代わりの椅子をハワードに抑えてもらいながら、俺はその上に乗り必死に手を動かす。
屋敷は広い。
普段はグレイス達が綺麗に掃除をしてくれているのだが、やはり少ない人数で回すのには限界があり高い場所や窓なんかは後回しになってしまう。
なので今日はそういった場所を掃除する日となったわけだ。
事の発端は俺。
朝食をとりながらふと食堂の窓に目をやると、思った以上にどんよりとしていた。
「今日は曇りか、随分と暗いな。」
「そうですか?」
「向こうには青空が見えますね。」
「マジか。」
俺の場所からは少し霞んだ空しか見えないのだが、窓辺に近づくと普通に青空が見える。
ふと見上げると上部の窓ガラスが白く濁っていた。
「あぁ、あそこが汚れているからか。」
それを聞いた瞬間にグレイスの顔がひきつったのがわかった。
「申し訳ございません!急ぎ拭きますので・・・。」
「あー、別に怒ってるわけじゃない。っていうかそこまで手が回らないのは全部俺のせいだ。」
「いえ、掃除できていないのは私の不徳の致すところです。」
「じゃあ聞くが、グレイスの手であそこに届くのか?」
「椅子に乗れば。」
「じゃあ誰がそれを支えるんだ?というか乗ったところで上まで届かないだろ、届くとしたらハワードか俺。つまり俺がサボっていたからこうなったわけだ、そうだよな?」
屋敷の一切を任されている以上自分の不手際だとグレイスは思っているだろう。
だが、いくら有能なグレイスとはいえ全てをこなすことは不可能だ。
ただでさえあれやこれやとやることが増えているのに、屋敷の人員は一向に増えない。
一応俺も掃除道具などを開発してはいるが、焼け石に水。
マンパワーを増やさない事にはそもそも無理な話だ。
「そうではありませんが・・・。」
「そういう事にしてくれ。ってことで新しい暦を迎えるべく今日は大掃除をしようと思うんだが、どうだろうか。」
「いいんじゃない?私もこの子のために部屋の掃除しちゃわないと。」
「私もリーシャの服などがつい溜まってしまって。頑張ります。」
他の面々も笑顔で了承してくれた。
ってな感じで大掃除が始まったというわけだ。
「うーむ、拭きにくい。」
「雑巾変えますか?」
「いや、腕が疲れてきただけだ。つぎ乾拭き用の方をくれ。」
「次は俺がやりますんで。」
掃除を始めてふと思ったんだが窓多すぎじゃね?
そりゃあ採光の為に窓は必須だが、増やせば増やすだけ掃除する場所が増える。
下はミミィやジョンでも届くが、それ以上になるとやはり無理が出る。
今までは棒に雑巾をつけてこすっていたようだがそれじゃあ効率が悪い上に綺麗にならない。
で、つい忘れ去られたというわけだ。
「よし、これで終わり。ここはこれでいいだろう。」
「お疲れ様です。」
「とはいえ大の大人二人がかりでこれは効率悪すぎだな、せめて簡単に拭き取れればいいんだが。」
「二度拭きが非効率なんです。せめて一発で終われば分担もできるんですが。」
「洗剤的なもので解決するか、それとも別の物か。」
元の世界にあった四角いスポンジじゃないが、水と一緒に拭くと一気に取れたりしたら最高なんだけどなぁ。
汚れを取る方法は二つ。
汚れを浮かせるか、それとも強引に拭き取るか。
拭くにしても撫でるだけじゃ意味がない。
汚れを効率的に削るようにして取らないと。
ってことはだ、布が凸凹していて更には抵抗がなければいけない。
でも抵抗がありすぎると窓に傷をつけてしまうので、やはり汚れを浮かせる必要があるわけで。
ぐぬぬ、何かいいものない物か。
「ハワード、台所の油汚れってどうしてる?」
「トレントの樹液をぶっかけて、その上に紙を敷いて油を浮かせてから拭きます。」
「何で拭くんだ?」
「革ですね。」
「革?」
「使い古した奴を使うといい感じの抵抗があって拭きやすいんです、ぼろぼろになったら捨てても惜しくないんで。」
「なるほど。」
確かにザラザラしてていい感じの抵抗あるもんなぁ。
メガネのレンズを拭くのに鹿の皮が使われることもあるらしいし。
ってことは油汚れも取れる?
「ちょっと出る、無理のない範囲で続けてくれ。」
「え、あ、はい。」
気になるのなら即行動だ。
俺は小走りで坂を下り、その足で店まで向かった。
「キキ、いる・・・。」
「では全部で銀貨21枚と銅貨65枚です、ありがとうございました。」
飛び込んだらちょうどメルディが接客中だった。
とはいえ代金を渡して終わりのようなので、そのまま邪魔にならない所で客が帰るのを待つ。
「あ、シロウさん!どうしたんですか?」
「いや、キキに用事があったんだが・・・。なんだそれ。」
「ロックフロッグの皮です。」
「なかなか厳ついフォルムだな。」
「ですよね。」
見ただけでゴツゴツしているのがわかるフォルム。
触らずにもわかる硬そうな触感って、あれ?
思ったよりも柔らかい?
それどころか少しトロっとしてる。
『ロックフロッグの皮。岩場に生息するロックフロッグは岩に化け近くに来た獲物を捕食する。水分を逃さないよう皮の内側は油分が多く皮も見た目以上に柔らかい。その為汚れ取りとして使われることが多い。最近の平均取引価格は銅貨30枚、最安値銅貨19枚、最高値銅貨45枚、最終取引日は4日前と記録されています』
ふむ汚れ取りねぇ。
試しに皮の内側でカウンターを撫でてみる。
すると油がカウンターに移り、若干テカった感じになった。
それを反対側のゴツゴツした方で拭く。
「お?」
「どうしました?」
「いや、いい感じの抵抗がって・・・すごいな。」
「わ!このカウンターってこんなに綺麗だったんですね!」
そこそこの抵抗を感じながらも最初に塗った油がいい感じの潤滑剤になり、カウンターの汚れを見事に取り去った。
俺もメルディと同じ感想だ。
冒険者の持ち込む血の付いた素材やら、泥の付いた鉱石やらを乗せたカウンターは、気付かないうちにドロドロになっていたらしい。
だがそれもさっきまでの事、本来のカウンターは想像以上に綺麗な色をしていた。
そのまま勢いに任せてカウンターをピカピカにしてしまう。
何だろうこの達成感、やばいな。
「綺麗になりましたねぇ。」
「あぁ、まさかこの皮にこんな実力があったとは。どのぐらい買い付けた?」
「全部で30枚です。」
「よし、全部くれ。」
「え、全部ですか!?」
「今屋敷の大掃除中なんだよ、これがあれば随分捗る。」
「あの・・・。」
ん?
買い取ったばかりの皮を回収しようと手を伸ばしたその時、メルディが申し訳なさそうな顔で俺を見てくる。
なんだろう、この宿題忘れてしまいましたみたいな感じは。
しらんけど。
「私も色々掃除したいので何枚か置いていただけると。」
「そういう事なら構わないぞ。」
「ありがとうございます!」
「その代わり・・・。」
「冒険者にこの皮を回収するよう依頼を出すんですね、おまかせください!」
「メルディも随分こっちに染まってきたな。」
「えへへ、なんとなくですけど分かるようになってきました。」
これは売れる。
そう判断したのは俺だけじゃないようだ。
これ一つで掃除の快適さが変わる、それを謳えば街の奥様方は間違いなく食いつくだろう。
奥様方だけでなく普通に商売している人達だって、毎日の掃除が楽になれば食いつくに違いない。
まぁ、鑑定スキルによれば前々から掃除用の素材として使われているみたいだけど、普及していないのは事実だ。
なら普及させればいい。
なんなら大掃除用素材大放出と銘打ってもいい。
金になるのであれば仕入れない理由は無い、それが俺のやり方だ。
とはいえ今日は急ぐ理由があるわけで。
五枚ほど残し、残りを持ってすぐに屋敷へ戻る。
これのいいところは加工しなくても使えるって事だな。
手ごろなサイズに皮をカットして、それを手に窓を拭く。
最初は油分の多いほう。
暫くして汚れが浮いたらゴツゴツしている方でそれを拭き取る感じ。
二度拭きも要らず、むしろコーティングが掛かったようにピカピカになる窓ガラス。
万能すぎるだろこいつは。
「これは、やばいですね。」
「あぁ、何で今までこれを知らなかったんだろうってレベルだな。」
「とはいえあまり柔らかい物や油分を吸ってしまうものには向かないようですが、硬いものにはばっちりって感じです。机、窓、床なんでもです。」
「全員に支給して気になるところをきれいにしてもらうとしよう。別に今日中にやりきらないといけないわけじゃないんだ、地道にこつこつやっていこう。」
「とはいえ人材不足は深刻です。どうします?」
「買うしかないだろうなぁ。もしくは雇うか。」
「雇うっても冒険者を呼ぶわけには行かないでしょう、誰でもは困ります。」
「別に奴隷じゃなくても住み込みで働いてくれるならかまわないんだが、やっぱり難しいか。」
「いっそのこと一家族丸々とかなら連携も取れますし、すぐに逃げたりしないんで安心ですけどね。」
「家族なぁ・・・。」
そんな都合のいい話は無いだろう。
ここはダンジョン街。
冒険者は山ほど入ってくるが、そうでない人の流入は極端に少ない。
仕事はそれなりにあるのでそれ目当てに来る人もいるけれど、住まいの問題でそれが実現するのは難しい。
それならナミル女史の所に行ってサプリメントや化粧品を作る方が可能性は高いだろう。
もっとも、向こうも守秘義務がかなり厳しいので誰でもというわけではないけどな。
「その辺はまぁおいおい考えていく、掃除の続きをするか。」
「了解です。」
まだまだきれいにする場所はたくさんある。
小さいことからこつこつと、今後は空き時間に掃除を手伝うようにしよう、そうしよう。
「了解です、気を付けて。」
脚立代わりの椅子をハワードに抑えてもらいながら、俺はその上に乗り必死に手を動かす。
屋敷は広い。
普段はグレイス達が綺麗に掃除をしてくれているのだが、やはり少ない人数で回すのには限界があり高い場所や窓なんかは後回しになってしまう。
なので今日はそういった場所を掃除する日となったわけだ。
事の発端は俺。
朝食をとりながらふと食堂の窓に目をやると、思った以上にどんよりとしていた。
「今日は曇りか、随分と暗いな。」
「そうですか?」
「向こうには青空が見えますね。」
「マジか。」
俺の場所からは少し霞んだ空しか見えないのだが、窓辺に近づくと普通に青空が見える。
ふと見上げると上部の窓ガラスが白く濁っていた。
「あぁ、あそこが汚れているからか。」
それを聞いた瞬間にグレイスの顔がひきつったのがわかった。
「申し訳ございません!急ぎ拭きますので・・・。」
「あー、別に怒ってるわけじゃない。っていうかそこまで手が回らないのは全部俺のせいだ。」
「いえ、掃除できていないのは私の不徳の致すところです。」
「じゃあ聞くが、グレイスの手であそこに届くのか?」
「椅子に乗れば。」
「じゃあ誰がそれを支えるんだ?というか乗ったところで上まで届かないだろ、届くとしたらハワードか俺。つまり俺がサボっていたからこうなったわけだ、そうだよな?」
屋敷の一切を任されている以上自分の不手際だとグレイスは思っているだろう。
だが、いくら有能なグレイスとはいえ全てをこなすことは不可能だ。
ただでさえあれやこれやとやることが増えているのに、屋敷の人員は一向に増えない。
一応俺も掃除道具などを開発してはいるが、焼け石に水。
マンパワーを増やさない事にはそもそも無理な話だ。
「そうではありませんが・・・。」
「そういう事にしてくれ。ってことで新しい暦を迎えるべく今日は大掃除をしようと思うんだが、どうだろうか。」
「いいんじゃない?私もこの子のために部屋の掃除しちゃわないと。」
「私もリーシャの服などがつい溜まってしまって。頑張ります。」
他の面々も笑顔で了承してくれた。
ってな感じで大掃除が始まったというわけだ。
「うーむ、拭きにくい。」
「雑巾変えますか?」
「いや、腕が疲れてきただけだ。つぎ乾拭き用の方をくれ。」
「次は俺がやりますんで。」
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そりゃあ採光の為に窓は必須だが、増やせば増やすだけ掃除する場所が増える。
下はミミィやジョンでも届くが、それ以上になるとやはり無理が出る。
今までは棒に雑巾をつけてこすっていたようだがそれじゃあ効率が悪い上に綺麗にならない。
で、つい忘れ去られたというわけだ。
「よし、これで終わり。ここはこれでいいだろう。」
「お疲れ様です。」
「とはいえ大の大人二人がかりでこれは効率悪すぎだな、せめて簡単に拭き取れればいいんだが。」
「二度拭きが非効率なんです。せめて一発で終われば分担もできるんですが。」
「洗剤的なもので解決するか、それとも別の物か。」
元の世界にあった四角いスポンジじゃないが、水と一緒に拭くと一気に取れたりしたら最高なんだけどなぁ。
汚れを取る方法は二つ。
汚れを浮かせるか、それとも強引に拭き取るか。
拭くにしても撫でるだけじゃ意味がない。
汚れを効率的に削るようにして取らないと。
ってことはだ、布が凸凹していて更には抵抗がなければいけない。
でも抵抗がありすぎると窓に傷をつけてしまうので、やはり汚れを浮かせる必要があるわけで。
ぐぬぬ、何かいいものない物か。
「ハワード、台所の油汚れってどうしてる?」
「トレントの樹液をぶっかけて、その上に紙を敷いて油を浮かせてから拭きます。」
「何で拭くんだ?」
「革ですね。」
「革?」
「使い古した奴を使うといい感じの抵抗があって拭きやすいんです、ぼろぼろになったら捨てても惜しくないんで。」
「なるほど。」
確かにザラザラしてていい感じの抵抗あるもんなぁ。
メガネのレンズを拭くのに鹿の皮が使われることもあるらしいし。
ってことは油汚れも取れる?
「ちょっと出る、無理のない範囲で続けてくれ。」
「え、あ、はい。」
気になるのなら即行動だ。
俺は小走りで坂を下り、その足で店まで向かった。
「キキ、いる・・・。」
「では全部で銀貨21枚と銅貨65枚です、ありがとうございました。」
飛び込んだらちょうどメルディが接客中だった。
とはいえ代金を渡して終わりのようなので、そのまま邪魔にならない所で客が帰るのを待つ。
「あ、シロウさん!どうしたんですか?」
「いや、キキに用事があったんだが・・・。なんだそれ。」
「ロックフロッグの皮です。」
「なかなか厳ついフォルムだな。」
「ですよね。」
見ただけでゴツゴツしているのがわかるフォルム。
触らずにもわかる硬そうな触感って、あれ?
思ったよりも柔らかい?
それどころか少しトロっとしてる。
『ロックフロッグの皮。岩場に生息するロックフロッグは岩に化け近くに来た獲物を捕食する。水分を逃さないよう皮の内側は油分が多く皮も見た目以上に柔らかい。その為汚れ取りとして使われることが多い。最近の平均取引価格は銅貨30枚、最安値銅貨19枚、最高値銅貨45枚、最終取引日は4日前と記録されています』
ふむ汚れ取りねぇ。
試しに皮の内側でカウンターを撫でてみる。
すると油がカウンターに移り、若干テカった感じになった。
それを反対側のゴツゴツした方で拭く。
「お?」
「どうしました?」
「いや、いい感じの抵抗がって・・・すごいな。」
「わ!このカウンターってこんなに綺麗だったんですね!」
そこそこの抵抗を感じながらも最初に塗った油がいい感じの潤滑剤になり、カウンターの汚れを見事に取り去った。
俺もメルディと同じ感想だ。
冒険者の持ち込む血の付いた素材やら、泥の付いた鉱石やらを乗せたカウンターは、気付かないうちにドロドロになっていたらしい。
だがそれもさっきまでの事、本来のカウンターは想像以上に綺麗な色をしていた。
そのまま勢いに任せてカウンターをピカピカにしてしまう。
何だろうこの達成感、やばいな。
「綺麗になりましたねぇ。」
「あぁ、まさかこの皮にこんな実力があったとは。どのぐらい買い付けた?」
「全部で30枚です。」
「よし、全部くれ。」
「え、全部ですか!?」
「今屋敷の大掃除中なんだよ、これがあれば随分捗る。」
「あの・・・。」
ん?
買い取ったばかりの皮を回収しようと手を伸ばしたその時、メルディが申し訳なさそうな顔で俺を見てくる。
なんだろう、この宿題忘れてしまいましたみたいな感じは。
しらんけど。
「私も色々掃除したいので何枚か置いていただけると。」
「そういう事なら構わないぞ。」
「ありがとうございます!」
「その代わり・・・。」
「冒険者にこの皮を回収するよう依頼を出すんですね、おまかせください!」
「メルディも随分こっちに染まってきたな。」
「えへへ、なんとなくですけど分かるようになってきました。」
これは売れる。
そう判断したのは俺だけじゃないようだ。
これ一つで掃除の快適さが変わる、それを謳えば街の奥様方は間違いなく食いつくだろう。
奥様方だけでなく普通に商売している人達だって、毎日の掃除が楽になれば食いつくに違いない。
まぁ、鑑定スキルによれば前々から掃除用の素材として使われているみたいだけど、普及していないのは事実だ。
なら普及させればいい。
なんなら大掃除用素材大放出と銘打ってもいい。
金になるのであれば仕入れない理由は無い、それが俺のやり方だ。
とはいえ今日は急ぐ理由があるわけで。
五枚ほど残し、残りを持ってすぐに屋敷へ戻る。
これのいいところは加工しなくても使えるって事だな。
手ごろなサイズに皮をカットして、それを手に窓を拭く。
最初は油分の多いほう。
暫くして汚れが浮いたらゴツゴツしている方でそれを拭き取る感じ。
二度拭きも要らず、むしろコーティングが掛かったようにピカピカになる窓ガラス。
万能すぎるだろこいつは。
「これは、やばいですね。」
「あぁ、何で今までこれを知らなかったんだろうってレベルだな。」
「とはいえあまり柔らかい物や油分を吸ってしまうものには向かないようですが、硬いものにはばっちりって感じです。机、窓、床なんでもです。」
「全員に支給して気になるところをきれいにしてもらうとしよう。別に今日中にやりきらないといけないわけじゃないんだ、地道にこつこつやっていこう。」
「とはいえ人材不足は深刻です。どうします?」
「買うしかないだろうなぁ。もしくは雇うか。」
「雇うっても冒険者を呼ぶわけには行かないでしょう、誰でもは困ります。」
「別に奴隷じゃなくても住み込みで働いてくれるならかまわないんだが、やっぱり難しいか。」
「いっそのこと一家族丸々とかなら連携も取れますし、すぐに逃げたりしないんで安心ですけどね。」
「家族なぁ・・・。」
そんな都合のいい話は無いだろう。
ここはダンジョン街。
冒険者は山ほど入ってくるが、そうでない人の流入は極端に少ない。
仕事はそれなりにあるのでそれ目当てに来る人もいるけれど、住まいの問題でそれが実現するのは難しい。
それならナミル女史の所に行ってサプリメントや化粧品を作る方が可能性は高いだろう。
もっとも、向こうも守秘義務がかなり厳しいので誰でもというわけではないけどな。
「その辺はまぁおいおい考えていく、掃除の続きをするか。」
「了解です。」
まだまだきれいにする場所はたくさんある。
小さいことからこつこつと、今後は空き時間に掃除を手伝うようにしよう、そうしよう。
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