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七章親友と再会

7-3※R15

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「ここかー。豆腐が名産なだけあってたくさん客がいるなあ」

 昭弘が住んでいるであろう豆腐屋の前にやってきた。たくさんの観光客達がレジ前に列を作って名産品を購入していっている。かなり繁盛しているようだ。

「じゃあ俺はとりあえずその昭弘くんとやらを呼び出せばいいんだな?」
「そうだ。頼む」
「オーケイ。待ってろ」

 架谷は笑顔で豆腐屋の店先へ出向いて行った。
 あいつに頼むようで悪いが、オレの姿を見た途端に会ってくれないかもしれないので、まずは呼び出してもらう事から始めた。

 そんなオレは今すごく緊張していて、心臓が早鐘をうっている。ここまで緊張するなんて、小さい頃の家庭教師からのあらゆる実地試験をこなす時以来かもしれない。それくらい、昭弘との再会に期待と不安と恐怖を抱いている表れ。オレ、ちゃんと昭弘にあえるのだろうか。

 しばらく遠くから架谷の様子を見守っていると、店先からたぶん昭弘の父親らしき人物が出てきて、架谷と話し出している。その間、オレは緊張とハラハラした気持ちでもどかしくなっているが、架谷が昭弘を連れて来てくれることを今は祈るだけ。

 自己満かもしれない。だけど、あのまま終わったままだなんて一生それを引きずりそうだから、せめて謝罪だけはしたい。それで罵られても、二度と会うなと言われても……覚悟はできた、と思う。

「矢崎」

 名前を架谷から呼ばれて盛大にどきりとした。気配すら感じられないほど緊張していたようだ。

「今、昭弘くんは仕事中なんだってよ。ちょうど客がピークの時間で忙しいらしい。だから、一時間半後くらいに行くから、あの高台の一本杉の前で待っててくれってさ」
「そ、そうか……。昭弘はどんな奴だった?」

 らしくないほど狼狽えている自分が滑稽だ。

「え、普通の男子って感じだったよ。離島に住んでるから肌とか焼けてる感じの。お前と親友だなんて世間が知ったら信じなさそうなくらいの平凡男子って印象だ」
「そう……。オレと昭弘は住んでいる世界がまるで違ったから」
「第一印象といえば、優しそうかな。お前の名前を出したらすっげぇ驚いてたけど」
「……そっか」
「じゃあ、その高台とやらに一足先にレッツラゴーだ」

 
 高台の一本杉はあの豆腐屋から徒歩5分の場所に存在した。一時間程度で島全体を徒歩で歩けるくらい島の面積は小さい。

 オレと架谷は一本杉の前にやってくると、高台から辺りを見渡せるベンチの上に腰を下ろした。ここからだと島全体を見渡せていい眺めである。

 風が心地よく、柔らかい日差しが降り注ぐ。夏なのにそれほど暑さを感じないのは海に囲まれた場所だからか、気温のわりには涼しげだった。

「とりあえずその間にメシを食べよう」

 架谷が持っていたカバンの中から弁当箱を取り出した。

「それ、弁当だったのか」
「そうそう。スイートルームに泊まった時、部屋にキッチンついてたし、なんか使わないと勿体ない気がしてな。風呂入ってすぐに短時間でちゃっちゃと作ったんだ。お前、卵焼き好きだって言ってただろ?」
「たしかに言った。だからお前、朝風呂入った後にキッチン部屋にこもってたのか。持ってるカバンも不可解だったし、何持ってきてんだと思ってた」
「少ないけど、腹の足しにしようと思ってな。スイートルームの冷蔵庫に食材まで入ってると思わなくて、つい使っちゃったけど……大丈夫だった?」
「別にそれくらい屁でもない。宿泊費に含まれてるだろうし……全部矢崎の経費だ」

 まさか弁当を作ってくるとは思わなかったが、やはり架谷の手作りはうれしいものだ。

 時間がなかったから大したことがないとは言っているが、オレからすればどんな料理よりも価値のある代物にしか思えない。美味そうで、見た目も綺麗な家庭料理って感じで、甲斐を嫁に本気でほしいと思った。

「やっぱりうまいな。お前の作った卵焼き」
「サンキュ。卵焼きってアレンジがききやすいからな、俺の得意料理なんだ。そういえばお前は料理できないんだっけ。久瀬が以前すげーエピソードばらしてたけど」
「っ……あれは黒歴史だ」

 小さい頃、料理を自分なりにしてみたら大惨事になりかけた事を思い出した。

 甘すぎるからと塩を鍋に丸々ぶち込んだり、小麦粉と重曹を間違えたり、油の中に卵を殻のまま丸々入れたりと、我ながら凄まじい事をしていた気がする。料理だけならいざしらず、洗濯機に洗濯用洗剤を入れるはずが、洗剤がどれかわからなくてトイレ用の洗剤を入れた事もあった。ハルから嘲笑われて暴露されてもおかしくはない酷いエピソード達である。

 オレには……家事全般は向いてないな。うん。

「料理なんてほとんどしないからな。家では使用人やメイド、コックが作ってくれてたから家事なんて必要ないと思ってたんだ。学校とかの家庭科の授業なんてくだらねーし、サボって出た事ねぇし」
「相当なお坊ちゃんだなお前」

 架谷がおにぎりを食いながらあきれた様子だ。人間向き不向きがあると思うんだから仕方あるまい。

「お前、口の端にご飯粒ついてるぞ」
「え」

 オレが指摘してやると、丁度おにぎりを食べている架谷がきょとんとする。だから、オレがそれをキスしつつ舐めとってやった。途端に架谷の頬がリンゴみたいに赤くなって可愛さにムラっとした。

「ガキみたいだな、お前」
「返す言葉もねーや」

 悔しそうにしている架谷をどうにかしてしまいそうになるが、なんとか抑える。コイツと相思相愛になってから、オレの性的欲求の壁も脆くなったように思えるよ。

「でも、あんたと二人だけの時は……子供っぽくてもいいか……」
「架谷?」
「ぁ、あんたの前では……弱いところ見せてもいいって思ってるし」

 真っ赤になりながらそう恥ずかしそうに言うコイツに、ぷちん。オレの理性がもう我慢できなかった。

 軽々と架谷を自分の膝に乗せて、キスの嵐を降らせる。片方の手が架谷のズボンに伸びて、ベルトが外されている事に焦って抵抗をしているこの生き物。無駄な抵抗とはこのことだ。

「ちょ、んっ……や、ざきっ……だ……ダメ、だ。こんな、所で」
「可愛く煽るお前が悪い」

 股間に手をすべらせて、架谷の大事な場所をまさぐった。

「ひ、い!駄目、だってばぁ……俺、汗かいてて……汚いし」
「汚くないだろ。お前の匂いはなんだって好きだ。マジ我慢できそうもない」

 ズボン越しから自分のものが膨張しているのを感じた。それをわざとらしく架谷の尻に擦り付けて興奮の度合いを知らしめてやると、架谷がぶるりと震えた。

「真昼間からおっ勃てやがって」
「お前のせいでこんなになってんだよ。お前が悪い」

 架谷の尻や太ももに膨張したズボン越しのものを擦り付けながら、服の下に手を入れて滑らかな肌をまさぐり続ける。固いが、スベスベで触り心地がいい肌だな。

「ぁ、う、理由になってねえし、あ……やっ………誰かきたらぁ……ど、するんだよぉ」
「来ねえよ。まだ一時間は時間がある。それに観光客も空気を読んで近寄って来ないはずだ。部下に頼んでここらに誰も近寄らないようにしてある」
「っ権力行使しやがって……でも、野外でなんて……」
「服着たままでいいから……この熱を冷ましてくれよ」
「な、直……」
「甲斐……お前で感じさせろよ」

 普段は苗字呼びなのに、甘える時だけ名前で呼び合うのって萌えるものだな。

 なんだかんだ嫌だと言いつつも、大好きなオレには従順なコイツ。快楽の欲望に負けたな。

「は、あ、あっ、ああ」
「甲斐……お前の、擦れて気持ちい……甲斐は?」
「お、俺も……気持ち、いー……よ……直」

 一本杉の下で、チャックとズボンを軽く下ろしあって互いのモノを絡ませた。動くだけで性器が優しく扱かれて、疑似セックスのような感覚に心酔する。

 真昼間からなんてことをしているんだって自分でも思うが、可愛い恋人がムラムラさせるので耐えられなかった。

「あ、あぁ……直、直……っ」
「甲斐……甲斐……っ」

 愛しい甲斐がオレの首にしがみついて腰を動かしてくる。オレも甲斐の衣服を乱して耳や乳首にキスを落としつつ、性器を指でも上下に扱く。

 汗と蜜が互いの性器に絡み合ってとても気持ちがいい。卑猥な水音すら興奮を煽るが、何より野外でという背徳感もあるので、いっきに絶頂までは早かった。

「直っ……も、出る」
「オレも、甲斐………」

 潤んだ瞳の甲斐に口づけて、お互いの性器を強く扱きあったら白濁が勢いよくはじけた。


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