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直の過去
たとえばぼくが死んだら2
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しばらくして、正之の愛人の才堂祥子が帰宅した。
愛人以上の権力を行使しようとする浅ましい女で、今じゃ義母のような立場に成り上がっている。もちろん、オレも友里香もこんな女を母親だと認めてはいない。こんな性悪女狐など、一緒な空間にいることでさえ嫌なほどに。
そんな才堂はオレの姿を見るなり甘えた顔ですがってきた。猫なで声で「直くん」って。年増ババアの溺愛だなんて吐き気がする。オレのまわりは変態ばかりしか寄ってこないのだろうかって嘆きたくなるものだ。
才堂はオレの頬をすっと撫でて唇を重ねようとしてきたので、さりげなく振り払ってやり過ごした。邪険に振り払えばあのヒステリー女は正之にチクるので厄介この上ない。
あの女がオレを狙うのは、次期社長という立場を約束されているから。そして、今より次期を選ぶのは奴の趣味によるものだろう。
絶大な権力持ちの正之でもなく、誠一郎のじじいでもなく、オレだけを一本に絞ったのは面食いなショタ好き女だから。
友里香を虐めるのも、第一夫人に似ているからもあるが、妹という立場からオレに接することができる妬みのようなものにも近いからだろうか。くそ女め。
「正之さま、今日は私とお風呂に入りませんこと?」
才堂は正之の腕を組む。オレにそっけなくされて正之に今は鞍替えしたようだ。ずっとそっちに行ってろよクソ女。
「そうだな……小間使いの女を抱くのも少々飽きてきた」
正之は才堂の腰を抱きながら立ち上がる。つくづく節操のない男だ。
「ねぇ正之さま、明日は直くんと友里香ちゃんのお見舞いに行きたいわぁ」
「いや直には帝王学の勉強があるからスケジュール的には……」
「直くんとも仲良くなりたいんですの。息子なんですから」
と、言いながらオレに流し目をするあの女。何が息子だ。ただの正之の愛人のくせに。
「………そうか。スケジュールを空けさせておくよ」
正之も才堂がオレに惚れているのを知っているからこそ、気に入らないのか苛立っている様子だ。無駄に綺麗で嫌だったこの容姿も、こういう時には役に立つようで片腹痛い。
もっとも、こんな女に好かれて全くもって嬉しくはないが、このクソ正之の悔しげな顔を見れただけでも少しだけスカッとした。
翌日、スケジュールを空けて友里香の見舞いに同行した。友里香はオレが見舞いに来たのに驚いていたが喜んでくれていた。血の繋がりはないが妹。自分と同じで矢崎家を憎む一人だからこそ親近感がわいていた。
俺が少なからず心を開けるのはこの妹と秘書の久瀬だけ。この二人がいなかったら、俺はとうの昔に死んでいただろうな。
友里香の病室に滞在中は、久瀬が防波堤になってくれたおかげで妹共々平和に過ごすことができた。
才堂の甘い色を使った視線や、なんとかしてオレに気に入られようと必死な様子が多々見られてキモかったが、ひたすら久瀬のそばを離れずに行動したため、実力行使はされなかった。されたとしても隙を見せなければ既成事実は作られないだろうし、このオレがたかが女のひ弱な力でどうこうされることはない。正之にチクられるのは厄介だが。
その後、夕方に帰宅すると、祖父の誠一郎のジジイが帰国して矢崎邸を訪れていた。ジジイから部屋に来るようにと言われていたので、鞄を置いて向かおうとする矢先、廊下の途中で変な男共に囲まれた。
誰だと言う暇もなくいきなり口元を塞がれて、薬を嗅がされた。迂闊だった。油断していたんだ。
意識が朦朧とするまま近くの部屋に強引に連れ込まれ、オレはなんとか抵抗をしようとするが強力な薬のせいか体の力が入らない。
客室用のベッドに勢いよく倒されて、数人の男に手足を押さえつけられた。ぼやける視界から確認すれば面識のない獰猛な男達だった。
「ねえ、いいんですかぁ?こんな綺麗な男の子マワしても。すっげぇ美少年じゃん。しかも次期社長様だろ?勿体ないよ」
「ああ、命令されたからな。社長様に。息子に現実を見せてやってほしいとな。社長直々の命令なら利くしかないだろうよ。なあ?」
「はは、それもそうだ」
男たちの顔が下劣に歪む。話を聞いている限り、こいつらは義父の命令でけしかけたようだった。正之はオレによっぽど才堂をとられるのが気に入らなかったらしく、行動を起こしたのか。
オレの事を次期跡取りとしか見ていないアイツが、絶対にオレに父親らしい事をするはずがないのは知っていた。が、まさかここまで反感を抱かれて嫌われていたとはな。
ま、オレも大嫌いだがな。あんなクソ義父など。殺したいくらい憎い。
それにしても、そんなに好きだったんだな。たかが才堂って愛人のこと。オレを疎ましいと思うくらいには。
ばかばかしい。笑える。
「ふふふ……」
オレはこれから起こる恐怖なんかより、おかしさの方が勝っていた。これが笑わずにはおくべきか。
「おい、なんか笑ってるけど……こいつ不気味だな」
「泣き叫ばれるよりましだろ。とっととヤって金もらってトンズラしようぜ」
「あーおれは女の子が好きなんだがまさか男をヤる羽目になるなんてなぁ。でも見た目は綺麗だから女と思えばできないこともないか」
「ショタ好きな男は歓喜だがな、くくく」
男達はオレの服を引き裂き始めた。複数の手がオレの体を触り、撫でまわしてくる。野郎に触られるのってすこぶる気持ちが悪いもんだな。いつも女にしている逆の事をされるってのは相当な屈辱感だ。そっち系の趣味なんてないからこそ、最初は無駄に抵抗はしていたが、男達は容赦なく暴力を振るってきた。腹パンなどを主に。
顔は綺麗で勿体ないという理由で傷はつけられなかったが、体は痣になるほど殴られた。そして、一気に三人から交代で凌辱された。
「なあ……たしかに綺麗な美少年だが、声……全くあげないな」
男は激しく腰を動かしているが、オレはぼうっと天井を仰いでいた。ギシギシと揺れるベットと共に自分も揺れるだけで、興奮どころか声を発する事もしなくなった。
はやくおわんねーかなって思いつつ、時々クスクス笑ってみたりして。あと全然気持ちよくない。ヤられるよりヤる方が好きだなとか他人事のように考えていた。
痛みとかそういうのに慣れすぎて不感症になっていたのかもしれない。いやむしろ、才堂が正之よりオレに執着している様子と、それに悔しがって仕返しをする正之が痛快すぎてそれどころではなかったのかもしれない。
だって笑えるだろ。あの仕事人間の冷徹男が、たかがガキのオレに仕返しまでするなんて。
「つまんねーな。声ださねぇなんて興奮しねーよ」
どくりと中で汚い体液が注がれる感触がした。中で出されまくっても妊娠とかの心配はしなくていいのは楽だが、やはり気色悪いものは悪い。吐きそうだ。
男達は何度かオレの中でイった後、つまらないと早々に服を着て興味を無くして出て行った。やっと終わったかとぼんやりと起き上がる。
オレはべたべたで精液まみれな体を清めるべくベットから降り、さっと体を拭こうとタオルを取ろうとした時に扉が開いた。
「直……!」
オレが来るのが遅いと感じたのか誠一郎のジジイがオレを探しに来たようだ。
「じ、じじい……!」
タイミングが悪かったな。
「その、体は……!」
精液まみれのオレの体をジジイが辛そうに見ている。できればあまり見られたくない姿だ。恥ずかしいというより情けなさの方が勝っていた。
「これは……正之の……やつらに遊ばれてよ……。まあ、大したことはない。勉強になった。油断するなって言いたいんだろ……」
どう返事をしていいかわからず、とりあえずオレは強がって見せた。しかし、ジジイはそれが逆に痛々しく見えたらしい。
「っ……直、直……すまん!すまんな!こんな事を……っ。お前には……本当に……苦労をかけてしまう……」
なに、泣いてんだよジジイ。別に大したことないだろこんな事。ただケツにナニが突っ込まれただけだろ。ちょっと痛いだけでオレはなんとも………あれ。
気がついたらオレは泣いていた。頬に温かいものがとめどなくこぼれ落ちては止まらない。
「お前をこんな箱庭から助けだしてやりたいのに……今のわしの力じゃ……正之をどうにかできない事を許してほしい」
「……べつに、じじいのせいじゃ……」
気がついたら、誠一郎のジジイに抱き締められていた。なんで涙がとまらないんだろう。とうの昔に涙なんて枯れ果てて、悲しいとすら何も思わなくなったのに。
オレ……本当は、本当は……辛かったのか……?
愛人以上の権力を行使しようとする浅ましい女で、今じゃ義母のような立場に成り上がっている。もちろん、オレも友里香もこんな女を母親だと認めてはいない。こんな性悪女狐など、一緒な空間にいることでさえ嫌なほどに。
そんな才堂はオレの姿を見るなり甘えた顔ですがってきた。猫なで声で「直くん」って。年増ババアの溺愛だなんて吐き気がする。オレのまわりは変態ばかりしか寄ってこないのだろうかって嘆きたくなるものだ。
才堂はオレの頬をすっと撫でて唇を重ねようとしてきたので、さりげなく振り払ってやり過ごした。邪険に振り払えばあのヒステリー女は正之にチクるので厄介この上ない。
あの女がオレを狙うのは、次期社長という立場を約束されているから。そして、今より次期を選ぶのは奴の趣味によるものだろう。
絶大な権力持ちの正之でもなく、誠一郎のじじいでもなく、オレだけを一本に絞ったのは面食いなショタ好き女だから。
友里香を虐めるのも、第一夫人に似ているからもあるが、妹という立場からオレに接することができる妬みのようなものにも近いからだろうか。くそ女め。
「正之さま、今日は私とお風呂に入りませんこと?」
才堂は正之の腕を組む。オレにそっけなくされて正之に今は鞍替えしたようだ。ずっとそっちに行ってろよクソ女。
「そうだな……小間使いの女を抱くのも少々飽きてきた」
正之は才堂の腰を抱きながら立ち上がる。つくづく節操のない男だ。
「ねぇ正之さま、明日は直くんと友里香ちゃんのお見舞いに行きたいわぁ」
「いや直には帝王学の勉強があるからスケジュール的には……」
「直くんとも仲良くなりたいんですの。息子なんですから」
と、言いながらオレに流し目をするあの女。何が息子だ。ただの正之の愛人のくせに。
「………そうか。スケジュールを空けさせておくよ」
正之も才堂がオレに惚れているのを知っているからこそ、気に入らないのか苛立っている様子だ。無駄に綺麗で嫌だったこの容姿も、こういう時には役に立つようで片腹痛い。
もっとも、こんな女に好かれて全くもって嬉しくはないが、このクソ正之の悔しげな顔を見れただけでも少しだけスカッとした。
翌日、スケジュールを空けて友里香の見舞いに同行した。友里香はオレが見舞いに来たのに驚いていたが喜んでくれていた。血の繋がりはないが妹。自分と同じで矢崎家を憎む一人だからこそ親近感がわいていた。
俺が少なからず心を開けるのはこの妹と秘書の久瀬だけ。この二人がいなかったら、俺はとうの昔に死んでいただろうな。
友里香の病室に滞在中は、久瀬が防波堤になってくれたおかげで妹共々平和に過ごすことができた。
才堂の甘い色を使った視線や、なんとかしてオレに気に入られようと必死な様子が多々見られてキモかったが、ひたすら久瀬のそばを離れずに行動したため、実力行使はされなかった。されたとしても隙を見せなければ既成事実は作られないだろうし、このオレがたかが女のひ弱な力でどうこうされることはない。正之にチクられるのは厄介だが。
その後、夕方に帰宅すると、祖父の誠一郎のジジイが帰国して矢崎邸を訪れていた。ジジイから部屋に来るようにと言われていたので、鞄を置いて向かおうとする矢先、廊下の途中で変な男共に囲まれた。
誰だと言う暇もなくいきなり口元を塞がれて、薬を嗅がされた。迂闊だった。油断していたんだ。
意識が朦朧とするまま近くの部屋に強引に連れ込まれ、オレはなんとか抵抗をしようとするが強力な薬のせいか体の力が入らない。
客室用のベッドに勢いよく倒されて、数人の男に手足を押さえつけられた。ぼやける視界から確認すれば面識のない獰猛な男達だった。
「ねえ、いいんですかぁ?こんな綺麗な男の子マワしても。すっげぇ美少年じゃん。しかも次期社長様だろ?勿体ないよ」
「ああ、命令されたからな。社長様に。息子に現実を見せてやってほしいとな。社長直々の命令なら利くしかないだろうよ。なあ?」
「はは、それもそうだ」
男たちの顔が下劣に歪む。話を聞いている限り、こいつらは義父の命令でけしかけたようだった。正之はオレによっぽど才堂をとられるのが気に入らなかったらしく、行動を起こしたのか。
オレの事を次期跡取りとしか見ていないアイツが、絶対にオレに父親らしい事をするはずがないのは知っていた。が、まさかここまで反感を抱かれて嫌われていたとはな。
ま、オレも大嫌いだがな。あんなクソ義父など。殺したいくらい憎い。
それにしても、そんなに好きだったんだな。たかが才堂って愛人のこと。オレを疎ましいと思うくらいには。
ばかばかしい。笑える。
「ふふふ……」
オレはこれから起こる恐怖なんかより、おかしさの方が勝っていた。これが笑わずにはおくべきか。
「おい、なんか笑ってるけど……こいつ不気味だな」
「泣き叫ばれるよりましだろ。とっととヤって金もらってトンズラしようぜ」
「あーおれは女の子が好きなんだがまさか男をヤる羽目になるなんてなぁ。でも見た目は綺麗だから女と思えばできないこともないか」
「ショタ好きな男は歓喜だがな、くくく」
男達はオレの服を引き裂き始めた。複数の手がオレの体を触り、撫でまわしてくる。野郎に触られるのってすこぶる気持ちが悪いもんだな。いつも女にしている逆の事をされるってのは相当な屈辱感だ。そっち系の趣味なんてないからこそ、最初は無駄に抵抗はしていたが、男達は容赦なく暴力を振るってきた。腹パンなどを主に。
顔は綺麗で勿体ないという理由で傷はつけられなかったが、体は痣になるほど殴られた。そして、一気に三人から交代で凌辱された。
「なあ……たしかに綺麗な美少年だが、声……全くあげないな」
男は激しく腰を動かしているが、オレはぼうっと天井を仰いでいた。ギシギシと揺れるベットと共に自分も揺れるだけで、興奮どころか声を発する事もしなくなった。
はやくおわんねーかなって思いつつ、時々クスクス笑ってみたりして。あと全然気持ちよくない。ヤられるよりヤる方が好きだなとか他人事のように考えていた。
痛みとかそういうのに慣れすぎて不感症になっていたのかもしれない。いやむしろ、才堂が正之よりオレに執着している様子と、それに悔しがって仕返しをする正之が痛快すぎてそれどころではなかったのかもしれない。
だって笑えるだろ。あの仕事人間の冷徹男が、たかがガキのオレに仕返しまでするなんて。
「つまんねーな。声ださねぇなんて興奮しねーよ」
どくりと中で汚い体液が注がれる感触がした。中で出されまくっても妊娠とかの心配はしなくていいのは楽だが、やはり気色悪いものは悪い。吐きそうだ。
男達は何度かオレの中でイった後、つまらないと早々に服を着て興味を無くして出て行った。やっと終わったかとぼんやりと起き上がる。
オレはべたべたで精液まみれな体を清めるべくベットから降り、さっと体を拭こうとタオルを取ろうとした時に扉が開いた。
「直……!」
オレが来るのが遅いと感じたのか誠一郎のジジイがオレを探しに来たようだ。
「じ、じじい……!」
タイミングが悪かったな。
「その、体は……!」
精液まみれのオレの体をジジイが辛そうに見ている。できればあまり見られたくない姿だ。恥ずかしいというより情けなさの方が勝っていた。
「これは……正之の……やつらに遊ばれてよ……。まあ、大したことはない。勉強になった。油断するなって言いたいんだろ……」
どう返事をしていいかわからず、とりあえずオレは強がって見せた。しかし、ジジイはそれが逆に痛々しく見えたらしい。
「っ……直、直……すまん!すまんな!こんな事を……っ。お前には……本当に……苦労をかけてしまう……」
なに、泣いてんだよジジイ。別に大したことないだろこんな事。ただケツにナニが突っ込まれただけだろ。ちょっと痛いだけでオレはなんとも………あれ。
気がついたらオレは泣いていた。頬に温かいものがとめどなくこぼれ落ちては止まらない。
「お前をこんな箱庭から助けだしてやりたいのに……今のわしの力じゃ……正之をどうにかできない事を許してほしい」
「……べつに、じじいのせいじゃ……」
気がついたら、誠一郎のジジイに抱き締められていた。なんで涙がとまらないんだろう。とうの昔に涙なんて枯れ果てて、悲しいとすら何も思わなくなったのに。
オレ……本当は、本当は……辛かったのか……?
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