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立ち止まっても上を向こう 3
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アヤトは久しぶりに家に帰ると言って母国へと行ってしまった。
取り残された私はエドガーから引き継ぎをして慣れない作業を覚えるのに必死であっという間にアヤトが帰ってくる時期になった。
「おー、いい感じにパンクしてるな」
「パンクしてないもん!
数字じゃなくって文字だからいけないのよ!
何でこんなにも難しい言葉を、こんな分厚い本を見ながらやらないといけないの!!!」
「そういやお前、完全な数学脳だもんな。
見る物が全部数字に見える危険な頭してるのは俺も判るけど、人間なんだからさ。人類が作り上げた文化の結晶の文字位愛でて行こうや」
「きー!!!
綾人が変なんだよ!数字と文字の両方に特化してるなんて意味わかんないし!」
「おかげさまで芸術面は散々だ。
まあ、これからの人生芸術は生み出す物ではなく買う物だからその辺は問題ないな」
「きー!!!
そんな事言ってるとエドガーに言いつけてやるんだから!」
「何、これからは全部カティに任されるんだからエドガーが文句言うとは思わないし?」
「きーっ!!!
みんなアヤトに優しすぎでしょ!」
「俺はカティが元気になって嬉しいよ」
言葉と行動が全く違うと言う様に俺はみんなにお土産を配り歩いていた。
オリヴィエもマイヤーもカティの事を快く受け入れてくれて、庭掃除など教えながら分担している。
カティは憧れのマイヤー・ランドールと対面して大興奮していたのをオリヴィエが納得できないといった不満のメールを一万字ほどかけて愚痴って来た。
うん。
オリヴィエには判らないけど俺も時々やるが、カティも音を数値化してしまう人種らしい。
ただ聞かされていた俺とは違い、カティはしっかり教育された知識もあるので聞けば脳内で作られる楽譜が総て数字に自動変換されると言う気持ち悪い感性の持ち主でもある。
誰にも理解されない俺の脳内ゲームだと思ってたけどカティも同様に考えていたようで、アメリカの学会に行った時に何気に音ゲーをやっていた学生君が音ゲー音楽を口ずさむのではなく数字に脳内変換した物を歌っていた時は
「俺、さすがにあそこまで危なくなくてよかったと思う」
「偶然ね。私もそこまでノリノリで歌えないよ」
そんな話をしていれば、聞いていた周囲の学生も集まってきて「おれも」「おれも」なんてどんな詐欺ですかwwwと聞いてみたい懸案で
「俺達どんな変態の巣窟に来てしまったのだろうか」
なんて呟けば通りすがりに聞いていた陽気な人が
「類が友を呼んだんだ!皆母国語を数字変換して解読しようじゃないか!」
真の変態もいたが
「あ、俺もうすぐ順番だからパス」
何て適当な言葉で断って結局彼は誰ひとりの名前も教えてもらえなかった痛々しい奴になった。まあ、変態だし良いよねとその後の事もあり交流もなしのまま別れたが、メアド交換してなくってよかったと心から思った。
少し懐かしく思うアメリカ遠征に彼は元気だろうかと考えていれば
「ねえ、アヤト。こっちにはいつまで居られるの?」
「あー、とりあえず五日ぐらい。その後ロードの所に行きたいから」
意外と滞在時間は短い。
だけど沢山話したい事があってまずは最重要懸案を口にする。
「アヤトにお願いがあるんだ。
アヤトは私の事カティと呼んでくれるけど、もうカティじゃないし、あんな家族を思い出すような名前で呼んでほしくないの」
驚くアヤトに私は緊張しながら、でも緊張して何も言えない私でいてはいけない。
もう子供じゃないんだから。
少しずつ大人にかわらなくちゃと決意が力になる。
「書類上とは言え私は今ジェレミー・グル―の奥さんだから今の名前はアイヴィー・グル―になるの。でも何年かしたら離婚する予定だから。
私の事アイヴィーって呼んでもらえるとすごく嬉しい」
顔を真っ赤にして俯きながらの自己主張。
物凄く緊張したけど綾人は小さく笑い
「そうだな。もうカティじゃないもんな。
改めてだ。アイヴィーよろしく」
アヤトも名前を呼ぶのに緊張するかのように何処か声が震えて美しくなかったが、だけど優しく頭を撫でてくるその手の平が温かくて、やっぱり好きだな。
アヤトの好きな所を一つ一つ集める事に喜びを覚え、あれだけ苦しかった日々が嘘のように今は幸せを感じるのだった。
「じゃあ、とりあえず日本語とのやり取りも必要になるな。折角だし日本の言葉を覚えよう。
良い本買って来たんだ」
私の気も知らないでアヤトは独特なキャラクターのイラストを乗せる日本語の本を私にプレゼントしてくれた。
「ちっが―――うっっっ!!!」
私の心の叫びにオリヴィエとマイヤーが盛大に頷いてくれた。
取り残された私はエドガーから引き継ぎをして慣れない作業を覚えるのに必死であっという間にアヤトが帰ってくる時期になった。
「おー、いい感じにパンクしてるな」
「パンクしてないもん!
数字じゃなくって文字だからいけないのよ!
何でこんなにも難しい言葉を、こんな分厚い本を見ながらやらないといけないの!!!」
「そういやお前、完全な数学脳だもんな。
見る物が全部数字に見える危険な頭してるのは俺も判るけど、人間なんだからさ。人類が作り上げた文化の結晶の文字位愛でて行こうや」
「きー!!!
綾人が変なんだよ!数字と文字の両方に特化してるなんて意味わかんないし!」
「おかげさまで芸術面は散々だ。
まあ、これからの人生芸術は生み出す物ではなく買う物だからその辺は問題ないな」
「きー!!!
そんな事言ってるとエドガーに言いつけてやるんだから!」
「何、これからは全部カティに任されるんだからエドガーが文句言うとは思わないし?」
「きーっ!!!
みんなアヤトに優しすぎでしょ!」
「俺はカティが元気になって嬉しいよ」
言葉と行動が全く違うと言う様に俺はみんなにお土産を配り歩いていた。
オリヴィエもマイヤーもカティの事を快く受け入れてくれて、庭掃除など教えながら分担している。
カティは憧れのマイヤー・ランドールと対面して大興奮していたのをオリヴィエが納得できないといった不満のメールを一万字ほどかけて愚痴って来た。
うん。
オリヴィエには判らないけど俺も時々やるが、カティも音を数値化してしまう人種らしい。
ただ聞かされていた俺とは違い、カティはしっかり教育された知識もあるので聞けば脳内で作られる楽譜が総て数字に自動変換されると言う気持ち悪い感性の持ち主でもある。
誰にも理解されない俺の脳内ゲームだと思ってたけどカティも同様に考えていたようで、アメリカの学会に行った時に何気に音ゲーをやっていた学生君が音ゲー音楽を口ずさむのではなく数字に脳内変換した物を歌っていた時は
「俺、さすがにあそこまで危なくなくてよかったと思う」
「偶然ね。私もそこまでノリノリで歌えないよ」
そんな話をしていれば、聞いていた周囲の学生も集まってきて「おれも」「おれも」なんてどんな詐欺ですかwwwと聞いてみたい懸案で
「俺達どんな変態の巣窟に来てしまったのだろうか」
なんて呟けば通りすがりに聞いていた陽気な人が
「類が友を呼んだんだ!皆母国語を数字変換して解読しようじゃないか!」
真の変態もいたが
「あ、俺もうすぐ順番だからパス」
何て適当な言葉で断って結局彼は誰ひとりの名前も教えてもらえなかった痛々しい奴になった。まあ、変態だし良いよねとその後の事もあり交流もなしのまま別れたが、メアド交換してなくってよかったと心から思った。
少し懐かしく思うアメリカ遠征に彼は元気だろうかと考えていれば
「ねえ、アヤト。こっちにはいつまで居られるの?」
「あー、とりあえず五日ぐらい。その後ロードの所に行きたいから」
意外と滞在時間は短い。
だけど沢山話したい事があってまずは最重要懸案を口にする。
「アヤトにお願いがあるんだ。
アヤトは私の事カティと呼んでくれるけど、もうカティじゃないし、あんな家族を思い出すような名前で呼んでほしくないの」
驚くアヤトに私は緊張しながら、でも緊張して何も言えない私でいてはいけない。
もう子供じゃないんだから。
少しずつ大人にかわらなくちゃと決意が力になる。
「書類上とは言え私は今ジェレミー・グル―の奥さんだから今の名前はアイヴィー・グル―になるの。でも何年かしたら離婚する予定だから。
私の事アイヴィーって呼んでもらえるとすごく嬉しい」
顔を真っ赤にして俯きながらの自己主張。
物凄く緊張したけど綾人は小さく笑い
「そうだな。もうカティじゃないもんな。
改めてだ。アイヴィーよろしく」
アヤトも名前を呼ぶのに緊張するかのように何処か声が震えて美しくなかったが、だけど優しく頭を撫でてくるその手の平が温かくて、やっぱり好きだな。
アヤトの好きな所を一つ一つ集める事に喜びを覚え、あれだけ苦しかった日々が嘘のように今は幸せを感じるのだった。
「じゃあ、とりあえず日本語とのやり取りも必要になるな。折角だし日本の言葉を覚えよう。
良い本買って来たんだ」
私の気も知らないでアヤトは独特なキャラクターのイラストを乗せる日本語の本を私にプレゼントしてくれた。
「ちっが―――うっっっ!!!」
私の心の叫びにオリヴィエとマイヤーが盛大に頷いてくれた。
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