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立ち止まっても上を向こう 4
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ハロウィンが近くなり、オリオールのお店もハロウィン仕様になる。
この頃になると私の仕事はほぼ一人で出来るようになっていた。
時々疑問を覚えればエドガーとネット越しでレクチャーを受け、一日の終わりにイギリスに居るアヤトに報告をする。
寝る前のルーティンになっていた。
アヤトの寝る時間が早いのが問題なのだが、それでも時差を考えても早いだろうと少しだけ時計を進めている私からのツッコミはもう挨拶な物だ。
紅茶とチョコレートを並べて本日の行動内容を伝える。
本当に忙し時はメールで済ませているが、今だに城から出れない私の為に話し相手になってくれている。
さすがにこの頃になるとみんな新しい生活にやっと慣れて、少し楽しさを覚え出した頃。少しずつ連絡が途切れがちになるのはイギリスとフランスと言う距離があるから。
少し寂しくもあるが、みんなが成長している証拠なのだ。
たまの連絡でも来るだけでも良しとしておこう。
アヤトと話をしてると時々ジェムやフェイも画面越しに挨拶をしてくれる。
相変わらずアヤトの家に入り浸ってご飯を食べさせてもらってたり、顔の知らない新しい仲間も増えている。
「俺も人の事言えないけどアヤトの奴絶対野良猫とかに餌をあげる延長で俺達にご飯食べさせてるんだぜ?
最近ネット見ながら何か怪しい料理を食べさせてくれるんだけど悔しい事に美味いんだ!」
「やだ、羨ましい」
「うん。だから、今度向こうに行った時は作ってもらうといいよ。
最もオリオールがいるから無事作れるか判らないけどね」
ちょっと自慢げな顔に私は悔しそうに口をとがらせてしまう。
書類上の夫婦だけど気分は私が綾人のアパートに遊びに行ってた時のような気楽なやり取り。優しいジェムとは今も友達だ。
卒業は出来るけど卒論の直しばかりで進まない。少し泣き真似しながらの泣き言懐かしいと笑いながら
「まだまだ時間があるからじっくりと取り組むといいよ?大学院進むんでしょ?
大丈夫。ドクターになるのならじっくりと研究する事に励むんだから。今からその練習だと思えば寝ている暇なんてないよ」
全部やり直しをくらった私の事を思えば少し進んでチェックが入った所で修正してくれる教授の優しさがかなり羨ましい。
かかる時間は同じなのだろうが、寄りそってくれる先生が羨ましいと、スパルタ気味の先生の方針を思い出して今度は私の方が涙目だ。
さすがにばつが悪いと思ったのかフェードアウトしたけど、すぐにアヤトが代わりに出てきて
「それじゃ、ジェムの卒論面倒見るからまた明日な」
「うん、また明日」
そんな挨拶で一日が終わる。チョコレートも食べ終わって紅茶ももう空っぽ。
元ホテルだったと言うおかげで各部屋設置されているバスブースでざっと汗を流して歯を磨く。便利だよねと思いながら机に向き合うのだった。
あれからかなりの不眠症となってしまった。
寝るとあの時の事を思い出してしまう事から寝るのが怖くなり、寝れなくなってしまった。
黙っていたけどちゃんと顔に現れていて、一生懸命化粧で隠していたけどだんだん濃くなる化粧にアヤトにばれてしまった。
「寝れないのなら無理して寝る事はない。
オリオール達にも話しておくから昼間にお昼寝休憩を取ればいい」
そんな提案に自分が情けなくそして散々迷惑かけているのにこうやって気を使ってくれる。あまりの情けなさに涙まで出て来るけど
「アイヴィーは何も悪くない。
ゆっくり休みながらいつか自立する為の時の為に少しずつでいいから労働をスポーツと思って身体を動かすと良い。身の回りの物を俺が買ってあげるのは簡単だが、それじゃあアイヴィーのプライドは許さないだろ?」
うんと頷く私はこんなぼろぼろになってもしっかりとプライドだけは残っていて嫌になる。
「もし寝れなくなくて暇をしてたらさ、この論文の検証手伝って欲しいけど?」
こう言う優しさに私は何度も救われる。
アヤトの判りにくい不器用な優しさは見放さないと言う所だろう。
この城に住まわせてくれる、毎晩連絡を取ってくれる。
勘違いしそうで嬉しくなってしまうもエドガーとアヤトの話しをするたびに
「ちゃんと友達してるだろうな?」
慎重な視線で言われ続けて冷水をかけられたみたいに浮ついた心を引き締めてくれる。
エドガーだってこんなにも優しくされたらコロッとなる気持ちはわかるがと言ってくれるが
「これはアヤトの心の問題でもある。
大丈夫。俺が知る限りでは女の子ではアイヴィーぐらいにしか親切にしてない。
アヤトがアイヴィーを助けてくれるように、アイヴィーがアヤトを助けてやって欲しい。
女性はそんなにも恐れる存在じゃないって」
母親に見捨てられたからこそ大切な人は見捨てない。
きっと口にまだ出せない思いに気付けば大切にされていると理解して、少し心が温かくなった所で
「アイヴィー、今言ったばかりだろ?」
忠告するエドガーは
「アヤトとこの先仲良くずっと居たかったらちゃんと忠告を守るんだ」
口うるさいけどアヤトと仲良くは居たいからその忠告は守る。
なので寝る前のお茶の時間。
チョコレートと紅茶と言う幸せを運んでくれる時間の中でアヤトとほんの数分のお喋りは眠りに着くための儀式にも似てて、最近あの時の夢を見る回数が減って来たのは嬉しいアヤト効果だと思っている。
この頃になると私の仕事はほぼ一人で出来るようになっていた。
時々疑問を覚えればエドガーとネット越しでレクチャーを受け、一日の終わりにイギリスに居るアヤトに報告をする。
寝る前のルーティンになっていた。
アヤトの寝る時間が早いのが問題なのだが、それでも時差を考えても早いだろうと少しだけ時計を進めている私からのツッコミはもう挨拶な物だ。
紅茶とチョコレートを並べて本日の行動内容を伝える。
本当に忙し時はメールで済ませているが、今だに城から出れない私の為に話し相手になってくれている。
さすがにこの頃になるとみんな新しい生活にやっと慣れて、少し楽しさを覚え出した頃。少しずつ連絡が途切れがちになるのはイギリスとフランスと言う距離があるから。
少し寂しくもあるが、みんなが成長している証拠なのだ。
たまの連絡でも来るだけでも良しとしておこう。
アヤトと話をしてると時々ジェムやフェイも画面越しに挨拶をしてくれる。
相変わらずアヤトの家に入り浸ってご飯を食べさせてもらってたり、顔の知らない新しい仲間も増えている。
「俺も人の事言えないけどアヤトの奴絶対野良猫とかに餌をあげる延長で俺達にご飯食べさせてるんだぜ?
最近ネット見ながら何か怪しい料理を食べさせてくれるんだけど悔しい事に美味いんだ!」
「やだ、羨ましい」
「うん。だから、今度向こうに行った時は作ってもらうといいよ。
最もオリオールがいるから無事作れるか判らないけどね」
ちょっと自慢げな顔に私は悔しそうに口をとがらせてしまう。
書類上の夫婦だけど気分は私が綾人のアパートに遊びに行ってた時のような気楽なやり取り。優しいジェムとは今も友達だ。
卒業は出来るけど卒論の直しばかりで進まない。少し泣き真似しながらの泣き言懐かしいと笑いながら
「まだまだ時間があるからじっくりと取り組むといいよ?大学院進むんでしょ?
大丈夫。ドクターになるのならじっくりと研究する事に励むんだから。今からその練習だと思えば寝ている暇なんてないよ」
全部やり直しをくらった私の事を思えば少し進んでチェックが入った所で修正してくれる教授の優しさがかなり羨ましい。
かかる時間は同じなのだろうが、寄りそってくれる先生が羨ましいと、スパルタ気味の先生の方針を思い出して今度は私の方が涙目だ。
さすがにばつが悪いと思ったのかフェードアウトしたけど、すぐにアヤトが代わりに出てきて
「それじゃ、ジェムの卒論面倒見るからまた明日な」
「うん、また明日」
そんな挨拶で一日が終わる。チョコレートも食べ終わって紅茶ももう空っぽ。
元ホテルだったと言うおかげで各部屋設置されているバスブースでざっと汗を流して歯を磨く。便利だよねと思いながら机に向き合うのだった。
あれからかなりの不眠症となってしまった。
寝るとあの時の事を思い出してしまう事から寝るのが怖くなり、寝れなくなってしまった。
黙っていたけどちゃんと顔に現れていて、一生懸命化粧で隠していたけどだんだん濃くなる化粧にアヤトにばれてしまった。
「寝れないのなら無理して寝る事はない。
オリオール達にも話しておくから昼間にお昼寝休憩を取ればいい」
そんな提案に自分が情けなくそして散々迷惑かけているのにこうやって気を使ってくれる。あまりの情けなさに涙まで出て来るけど
「アイヴィーは何も悪くない。
ゆっくり休みながらいつか自立する為の時の為に少しずつでいいから労働をスポーツと思って身体を動かすと良い。身の回りの物を俺が買ってあげるのは簡単だが、それじゃあアイヴィーのプライドは許さないだろ?」
うんと頷く私はこんなぼろぼろになってもしっかりとプライドだけは残っていて嫌になる。
「もし寝れなくなくて暇をしてたらさ、この論文の検証手伝って欲しいけど?」
こう言う優しさに私は何度も救われる。
アヤトの判りにくい不器用な優しさは見放さないと言う所だろう。
この城に住まわせてくれる、毎晩連絡を取ってくれる。
勘違いしそうで嬉しくなってしまうもエドガーとアヤトの話しをするたびに
「ちゃんと友達してるだろうな?」
慎重な視線で言われ続けて冷水をかけられたみたいに浮ついた心を引き締めてくれる。
エドガーだってこんなにも優しくされたらコロッとなる気持ちはわかるがと言ってくれるが
「これはアヤトの心の問題でもある。
大丈夫。俺が知る限りでは女の子ではアイヴィーぐらいにしか親切にしてない。
アヤトがアイヴィーを助けてくれるように、アイヴィーがアヤトを助けてやって欲しい。
女性はそんなにも恐れる存在じゃないって」
母親に見捨てられたからこそ大切な人は見捨てない。
きっと口にまだ出せない思いに気付けば大切にされていると理解して、少し心が温かくなった所で
「アイヴィー、今言ったばかりだろ?」
忠告するエドガーは
「アヤトとこの先仲良くずっと居たかったらちゃんと忠告を守るんだ」
口うるさいけどアヤトと仲良くは居たいからその忠告は守る。
なので寝る前のお茶の時間。
チョコレートと紅茶と言う幸せを運んでくれる時間の中でアヤトとほんの数分のお喋りは眠りに着くための儀式にも似てて、最近あの時の夢を見る回数が減って来たのは嬉しいアヤト効果だと思っている。
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