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Chapter8(がむしゃら編)
Chapter8-②【泣かせてくれよ】前編
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「この赤いエナメルが凄く鮮やかで気に入っているんです。
そう言えば、ユウヤにお礼もしてなかった。
大切な事を忘れていました。」
夢を追い掛けるあまり、肝心な事を疎かにしていた。
それを思い出させてくれた山下に頭を下げる。
山下が再度、石を拾う。
アンダースローで投げた石は水面を切って、邁進していく。
今度は四度目もジャンプした。
水面に映る観覧車が弾け飛んだ。
沖で汽笛が鳴った。
「そろそろ戻るか。
体内のオイルが良い感じに温まってきたぜ。
お前も同じだろ?」
ワタルも身体の内からそれを感じる。
走り出した山下の腰をかっちり掴む。
白いスーツをずらし、アナルに唇を押し付ける。
「おい、ここじゃ流石に不味いぞ。」
振り返った山下に頷いて見せた。
「仕方ないな。
なら次はお前のを飲ませろ。」
緩んだ活躍筋から緩やかに温かいオイルが排出される。
それを喉を鳴らし、ごくごくと飲む。
疲れた身体に染み込んで行く。
また30キロの道程を走るのが楽しみになった。
「えっ、レッスンを続けてもらえるんですか?」
ユウヤが正面からワタルを見た。
そして顔をくしゃくしゃにして笑う。
破顔したユウヤを目の当たりして、意固地になっていた自分を顧みる。
一人の力でやり遂げたいという甘い考えが滑稽に思えた。
助けてもらえば、次は助けてあげれば良いのだ。
自然にそう思える様になった。
「そんな店を出すんですか!
だったらラバーマスクもありにしないっすか?
その方がよりリラックス出来るっすよ。」
ユウヤが瞳を輝かせて案を出す。
「おっ、グッドアイデア!
マスクなんて買っても、中々被る場所なんてないからな。
食事をするのには向かないけどな。」
ワタルはスマホにメモする。
「俺にも手伝わせて欲しいな。
良い仕事するリフォームショップを知ってるっすよ。」
ユウヤに話したお陰でトントン拍子で話が進む。
一人で考えていたら、こうは行かなかっただろう。
「なら次は業者を連れてくるっすよ。」
「業者を、ここへか?」
ここに一般人を連れてこられても困る。
「訳知りの奴だから大丈夫っすよ。
俺の部屋の改装も頼んだ、信頼出来る奴なんで。
どんな無茶なリクエストでも実現してくれるっすよ!
俺も随分、無理言って困らせたけど、その分今の部屋には凄く満足してるんです。
ちょっと待って下さい。
アポだけ取っておきます。」
ユウヤはスマホを取り出すと、耳に当てた。
「トントン拍子で話が進んでいるみたいだな。」
山下がワタルの肩に手を置く。
「ええ、今ユウヤが業者に連絡してくれて。
ここへ呼んでも大丈夫ですか?」
「別に構わん。
込み入った話なら、外でするよりここの方が良いだろう。
遠慮なく使え。」
メッシュの全身タイツを着た山下が肩を叩いた。
「それ初めて見ます。
そんな格好で寛げる店が理想なんです。」
伸ばした掌でメッシュ生地の感触を楽しむ。
(つづく)
そう言えば、ユウヤにお礼もしてなかった。
大切な事を忘れていました。」
夢を追い掛けるあまり、肝心な事を疎かにしていた。
それを思い出させてくれた山下に頭を下げる。
山下が再度、石を拾う。
アンダースローで投げた石は水面を切って、邁進していく。
今度は四度目もジャンプした。
水面に映る観覧車が弾け飛んだ。
沖で汽笛が鳴った。
「そろそろ戻るか。
体内のオイルが良い感じに温まってきたぜ。
お前も同じだろ?」
ワタルも身体の内からそれを感じる。
走り出した山下の腰をかっちり掴む。
白いスーツをずらし、アナルに唇を押し付ける。
「おい、ここじゃ流石に不味いぞ。」
振り返った山下に頷いて見せた。
「仕方ないな。
なら次はお前のを飲ませろ。」
緩んだ活躍筋から緩やかに温かいオイルが排出される。
それを喉を鳴らし、ごくごくと飲む。
疲れた身体に染み込んで行く。
また30キロの道程を走るのが楽しみになった。
「えっ、レッスンを続けてもらえるんですか?」
ユウヤが正面からワタルを見た。
そして顔をくしゃくしゃにして笑う。
破顔したユウヤを目の当たりして、意固地になっていた自分を顧みる。
一人の力でやり遂げたいという甘い考えが滑稽に思えた。
助けてもらえば、次は助けてあげれば良いのだ。
自然にそう思える様になった。
「そんな店を出すんですか!
だったらラバーマスクもありにしないっすか?
その方がよりリラックス出来るっすよ。」
ユウヤが瞳を輝かせて案を出す。
「おっ、グッドアイデア!
マスクなんて買っても、中々被る場所なんてないからな。
食事をするのには向かないけどな。」
ワタルはスマホにメモする。
「俺にも手伝わせて欲しいな。
良い仕事するリフォームショップを知ってるっすよ。」
ユウヤに話したお陰でトントン拍子で話が進む。
一人で考えていたら、こうは行かなかっただろう。
「なら次は業者を連れてくるっすよ。」
「業者を、ここへか?」
ここに一般人を連れてこられても困る。
「訳知りの奴だから大丈夫っすよ。
俺の部屋の改装も頼んだ、信頼出来る奴なんで。
どんな無茶なリクエストでも実現してくれるっすよ!
俺も随分、無理言って困らせたけど、その分今の部屋には凄く満足してるんです。
ちょっと待って下さい。
アポだけ取っておきます。」
ユウヤはスマホを取り出すと、耳に当てた。
「トントン拍子で話が進んでいるみたいだな。」
山下がワタルの肩に手を置く。
「ええ、今ユウヤが業者に連絡してくれて。
ここへ呼んでも大丈夫ですか?」
「別に構わん。
込み入った話なら、外でするよりここの方が良いだろう。
遠慮なく使え。」
メッシュの全身タイツを着た山下が肩を叩いた。
「それ初めて見ます。
そんな格好で寛げる店が理想なんです。」
伸ばした掌でメッシュ生地の感触を楽しむ。
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