妄想日記6<<EVOLUTION>>

YAMATO

文字の大きさ
上 下
166 / 190
Chapter8(がむしゃら編)

Chapter8-①【今夜ここまま】後編

しおりを挟む
「だったら何だ?」
「セレクトショップを出したいんです。
そんな変わったボディスーツやアクセサリーを並べた店を出すのが夢なんです。
全頭マスクやグローブに、ロングブーツなど。
どこに売っているか分からない物を並べたい。」
山下の白いスーツを指差す。
「お前、そんなんで食っていけると思ってんのか?」
呆れ顔で山下が言う。
「簡単でないのは分かっています。
ただこういうスーツに興味ある人はいる筈です。
俺がそれを着て、買いたいと思っている人の背中を押してあげたいんです。」
「まあ、いない事はないと思うが、絶対的に少ないぞ。」
山下が眉間に皺を寄せる。
「買っても着る機会がないと思うんです。
折角買っても着ていく場所がない。
買いそびれている人って、クラブなんか行かない筈だし。」
漠然と想像していた店が口に出す事で明確になってきた。
「それを着れる場所にもしたいんです。
誰の視線も気にせず、リラックス出来る店に。」
頭の中に具体的なイメージが沸いきた。
店半分をショップにして、残ったエリアをラウンジにする。
談笑しながら寛げる店がはっきりと映像となった。
 
「確かにそんな店があれば、俺も通うがな。」
山下が笑う。
「でしょ!
簡単に手に入らない奇抜なウェアを揃えて、それを着てもらうんです。
軽食を出して、酒を飲みながら寛いでもらう。
買った人は皆喜びますよ。」
同意を得て、自信が増す。
「だったら俺のジムと提携しないか?
そんなエロ着でトレーニングなんて、余所じゃ出来ないからな。」
山下も乗ってきた。
「それ良いですね。
だったらオリーブオイル・トレーニング方をもっと広めましょう。」
ワタルは夢が一歩近づいた様に思えた。
 
「夢を語るって良いですね。」
ワタルは思い切り伸びをした。
「その赤いパンツはユウヤに貰ったんだろ?」
頷いた顔を下に向ける。
赤いエナメルのパンツを今日渡された。
エナメルの生地に夜景が反射している。
「あいつは気に入った奴に赤い物をプレゼントすると言ってた。
だったらユウヤの喜ぶ顔も見たくないか?
それがお前の夢なんだろ?」
山下の見開いた瞳にワタルが映った。
矛盾点を突かれ、困惑を浮かべた表情だ。
『夢を語るにはまだ早い。』
暗にそう言われた気がした。
 
水面に対岸の観覧車が映る。
「どうせ軍資金はユウヤからもらった金だろ?
今更、それが増えたところで問題ないだろう。
それでユウヤが喜ぶんだ。
お前は軍資金を使わないで済む。
ウインウインで、良い提案だと思うがな。」
「少し考えてみます。」
「そうしてくれ。
何時もキャップを目深に被った男の笑い顔を見てみたいだろ。
俺はあいつの笑った顔をまだ見た事がない。
それを知っているのはお前だけだ。」
山下が観覧車に向かって石を投げる。
三回水を切った石は四度目で海中へ消えた。
観覧車には届かない。
ワタルはもう一回ジャンプしてみる気になった。
 
 
(つづく)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

少年探偵は恥部を徹底的に調べあげられる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

捜査員は柱の中央で絶頂を強制される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

スパイは無様な姿で情報を絞り出される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

二本の男根は一つの淫具の中で休み無く絶頂を強いられる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

生意気な少年は男の遊び道具にされる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...