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Chapter4(下坂編)
Chapter4-②【SoKoナシLOVE】後編
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「ジム割りで二人。」
「本日はマスク着用日となりますが、レンタルしますか?」
黒い布の掛かった小窓の向こうから声がした。
「二人ともレンタルで。」
タクがてきぱきと答える。
「何だよ、言うほど混んでないじゃないか。」
「あれ、おかしいな。
今、ここが一番ホットな筈なんだけどな。
混雑するのは夜だけなのかな?」
タクが惚ける。
大体こんなマニアックっな店が、客で溢れる訳がない。
「それに愚問だよな。
レンタルするかって。
マスクを持ち歩く奴が世の中いるか。」
「そうでもないみたい。
ほら、見てみな。
壁に凭れているマッチョ。
あのラバーマスクは絶対に自前だよ。」
タクの視線の先に向く。
ロッカー室の明かりが漏れるギリギリの位置に男が立っていた。
陰影の浮き立たせ、筋肉を誇示している。
「あそこなら出入りする奴を全員チェック出来るから、ベストポジションだね。」
タクが顔を寄せ、小声で言う。
貸し出されたマスクは布製でダボつく。
それに比べると、ラバー製のマスクは顔面にフィットし、精悍さを醸し出していた。
15年前の記憶が甦る。
初めてラバーマスクを被った時の興奮が。
息苦しく、呼吸が乱れた。
だがそれが欲望を掻き立てるのだ。
別人格が入り込み、より淫らなプレイに没頭出来た。
忘れていた快楽が蘇る。
半透明のラバーは他の何よりも淫らで、イカしていた。
下半身が熱くなる。
億劫さは跡形もなく消えていた。
腰を突き出し、股間を強調して歩く。
男との距離が縮まる。
態とらしく鼻を鳴らす。
懐かしい匂いが雪崩れ込んできた。
二人が通り過ぎる時、マッチョは左右の大胸筋を動かしてみせた。
「ワタルの事、誘ってたじゃん。
行ってきたら?」
角を曲がった所でタクが囁く。
「タクは?」
「あそこ迄の筋肉はちょっとね。
ワタルみたいな脂の乗った筋肉の方が好み。
他を探してくるよ。」
タクがワタルの大胸筋を突っつく。
「それってディスってるのか?」
「勿論、誉めてるよ。
じゃ、流れ解散って事で。
頑張ってね。」
タクはウイングすると、闇の中へ消えていった。
「連れとは別行動か?」
背後から声がした。
籠った声でラバーマスクの男と分かる。
背中から伸びた手がワタルの乳首を掴む。
拒絶しない事を答とした。
「個室行こうぜ。」
マスクマンがカーテンを潜っていく。
ワタルもその後に続いた。
狭い部屋で男は仁王立ちになる。
三方の鏡にラバーマンが映り込んだ。
筋肉を伝う汗が微かな照明で輝く。
ふらふらとマスクマンに近寄り、汗に舌を伸ばす。
「ううっ。」
籠った声に視線を上げる。
ラバーで覆われた口で唇を塞がれた。
ゴム特有の臭いと味に恍惚さを覚える。
「おい、これを被ってくれないか?
その布マスクだとイマイチあがらないんだ。」
マスクマンがもう一枚のマスクを差し出す。
受け取ったラバーの感触に全身が熱くなった。
(つづく)
「本日はマスク着用日となりますが、レンタルしますか?」
黒い布の掛かった小窓の向こうから声がした。
「二人ともレンタルで。」
タクがてきぱきと答える。
「何だよ、言うほど混んでないじゃないか。」
「あれ、おかしいな。
今、ここが一番ホットな筈なんだけどな。
混雑するのは夜だけなのかな?」
タクが惚ける。
大体こんなマニアックっな店が、客で溢れる訳がない。
「それに愚問だよな。
レンタルするかって。
マスクを持ち歩く奴が世の中いるか。」
「そうでもないみたい。
ほら、見てみな。
壁に凭れているマッチョ。
あのラバーマスクは絶対に自前だよ。」
タクの視線の先に向く。
ロッカー室の明かりが漏れるギリギリの位置に男が立っていた。
陰影の浮き立たせ、筋肉を誇示している。
「あそこなら出入りする奴を全員チェック出来るから、ベストポジションだね。」
タクが顔を寄せ、小声で言う。
貸し出されたマスクは布製でダボつく。
それに比べると、ラバー製のマスクは顔面にフィットし、精悍さを醸し出していた。
15年前の記憶が甦る。
初めてラバーマスクを被った時の興奮が。
息苦しく、呼吸が乱れた。
だがそれが欲望を掻き立てるのだ。
別人格が入り込み、より淫らなプレイに没頭出来た。
忘れていた快楽が蘇る。
半透明のラバーは他の何よりも淫らで、イカしていた。
下半身が熱くなる。
億劫さは跡形もなく消えていた。
腰を突き出し、股間を強調して歩く。
男との距離が縮まる。
態とらしく鼻を鳴らす。
懐かしい匂いが雪崩れ込んできた。
二人が通り過ぎる時、マッチョは左右の大胸筋を動かしてみせた。
「ワタルの事、誘ってたじゃん。
行ってきたら?」
角を曲がった所でタクが囁く。
「タクは?」
「あそこ迄の筋肉はちょっとね。
ワタルみたいな脂の乗った筋肉の方が好み。
他を探してくるよ。」
タクがワタルの大胸筋を突っつく。
「それってディスってるのか?」
「勿論、誉めてるよ。
じゃ、流れ解散って事で。
頑張ってね。」
タクはウイングすると、闇の中へ消えていった。
「連れとは別行動か?」
背後から声がした。
籠った声でラバーマスクの男と分かる。
背中から伸びた手がワタルの乳首を掴む。
拒絶しない事を答とした。
「個室行こうぜ。」
マスクマンがカーテンを潜っていく。
ワタルもその後に続いた。
狭い部屋で男は仁王立ちになる。
三方の鏡にラバーマンが映り込んだ。
筋肉を伝う汗が微かな照明で輝く。
ふらふらとマスクマンに近寄り、汗に舌を伸ばす。
「ううっ。」
籠った声に視線を上げる。
ラバーで覆われた口で唇を塞がれた。
ゴム特有の臭いと味に恍惚さを覚える。
「おい、これを被ってくれないか?
その布マスクだとイマイチあがらないんだ。」
マスクマンがもう一枚のマスクを差し出す。
受け取ったラバーの感触に全身が熱くなった。
(つづく)
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