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第二章 王国奪還編
第39話 最後の賭け! 決めろ、ダメージカウンター!
しおりを挟む「ジーク様、無礼をお許しください! 『挑発ぅ』!」
グーファーさんは暴走するジークさんにヘイトを自分に向けさせる、『挑発』を使う。
「ぐぉぉおぉーん!」
雄叫びをあげながら、グーファーさんに向かって走るジークさん。
橘さんは『グランドウェーブ』でグーファーさんをドミニデスの方へと運ぶ。
いい感じだ。その間に僕とザーハックさんでドミニデスの足止めをする。
「元王子には、橘を攻撃しろと命令したはずだぞ!? なぜ別のやつを狙っている?」
命令と違った行動を取っている、ジークさんに戸惑いを隠せないドミニデス。あと、少しでこちらに到達する。
「うわぁぁ! こわいこわい! まじで追いかけられてますぅぅ! ひええぇぇ!!」
グーファーさんが恐怖のあまり取り乱している。まあ無理もない。
砂に乗って、ものすごいスピードで移動しているのに、僅差のない速さで追いかけられているのだから。
あと、十メートルほどで僕たちのいる場所に、グーファーさんとジークさんが辿り着く。
僕とザーハックさんは避ける準備をするが、ドミニデスも同じように避けようとする。
さすがに『太陽の恩寵』を発動中の、ジークさんの攻撃は、ただでは済まないと察したかもしれない。まあ逃しはしないけどね!
「坊主! どうするつもりだ!?」
「大丈夫です。ザーハックさん。見ててください」
「分かった。俺はこのまま避けるぞ!」
「くそっ! 離れろ! 何をするつもりだガキ!」
僕はドミニデスの後ろを取り、逃げられないように捕まる。
「ぐおおおぉ! 『太陽神の一撃』!」
「橘さん! 今です!」
「はい」
僕の合図で、グーファーさんを運んでいた砂の波は右方向に進行を変えた。
「ひえぇぇえ!!!」
グーファーさんの悲鳴と共に、ジークさんの『太陽神の一撃』がドミニデスに命中した。
後ろにいた僕は巻き添えをくらう。とても痛かった。
「ぐわぁぁあ!!!」
ドミニデスにもいいダメージがはいったみたいだ。
僕は吹き飛ばされながら、空中でドミニデスに蹴りをいれ、近くの建物に叩きつけた。
少し遅れて僕も建物に叩きつけられる。
起き上がった、ドミニデスは埃をはらいながらいった。
「元王子の攻撃を俺に当てるために自ら犠牲にしたのか。
なかなかクレイジーなやつだ。いいダメージだったぞ。次は、お前を支配してやる!」
ドミニデスのヘイトが僕に向けられたようだ。挑発スキルを使った覚えはないんだけどな。
ドミニデスの残りのHPは3900。やっと4000を切った。さすがはジークさんだ。かなり削ってくれた。
ドミニデスに回復する隙を与えてはいけない!
そんな事を思っていると、グーファーさんの悲鳴が聞こえた。
声がする方を振り向くと、ジークさんが攻撃する態勢をとっていた。
グーファーさんは再び砂の波にさらわれていた。さすがは橘さん。よく分かってくれている。
「ちっ、またか。『ハウリング・フィアー』!」
ドミニデスの『ハウリング・フィアー』をジークさんは受ける。
ジークさんは減速して、攻撃速度が遅れ、ドミニデスは攻撃を避ける事に成功する。
避けた先に僕がいたので、ドミニデスは僕に蹴りを入れてきた。
それをしっかり剣で防ぐ。よし、いい感じにヘイト管理をできているようだ。
「お前に絶望をくれてやろう。『盗星』!」
僕は『盗星』の効果を受けてしまい、レベルを1つ奪われてしまった。
ドミニデスのレベルは35から変わらないのだが。
だが、狙い通りだ。
僕はニヤッと微笑み。
「それを待っていた!」
「なんだと!?」
「『バウンスバック』!」
「なんだ!? 何をした!?」
僕は『反撃』を派生させ、『バウンスバック』というスキルを作っていた。
『バウンスバック』は、相手の補助系スキルの効果を受けた時、それを無効にし、その効果をそのまま、相手に跳ね返すというもの。
これにより僕を対象とした、ドミニデスの『盗星』の効果を受けるのは僕ではなく、ドミニデス自身が受けることになる。
「自分のステータスを確認してみたら?」
「がぁああ!? 俺のレベルが34に下がっているだと? 逆に、お前のレベル28に上がっているではないか! 先程のスキルは、補助効果を跳ね返すというのか?」
「そうだよ。これが、僕の開発したスキル。『バウンスバック』経験値を獲得しなくても、レベルが上がったよ。
ありがとう! これで、8あったレベルの差も6差まで縮まったね」
「だから、わざとヘイトを向けたのか。くくく。面白いな」
「それはどうも。橘さん、ザーハックさんあとはお願いします」
二人が近づいてきたのが分かった。
その場を二人に託し、僕は二人から離れ、リーフィスさんに近づき、リーフィスさんに声をかける。
「リーフィスさーん! こちらにきてくれませんかー!」
聞こえるように大声で呼んだ。気づいてくれたみたいで、こちらに走ってきてくれた。
「お待たせしました。『反撃』の時間ですか?」
「はい。そうです。リーフィスさんのスキルのCTもあると思いますので、僕のHPが1500以下になったら回復スキルを。
僕の HPが2000以下になったら継続回復スキルを使用してください」
「分かりました。やってみます」
「よろしくお願いします。着いてきてください」
僕はジークさんに追われている、グーファーさんの元へと駆ける。
「あ! トワさん! 助けてください! 『挑発』の効果は切れていると思うのですが、まだ狙われているんです!」
「それほど、グーファーさんの挑発が効いたってことですよ。ではもう一度、ジークさんに挑発をして下さい」
「えぇ……。あ、はい。分かりました……。『挑発』!」
「ありがとうございます。僕が合図をするまでは、ジークさんの攻撃は僕が全部受けます。
リーフィスさんはグーファーさんの後ろで見ていてください」
リーフィスさんはグーファーさんの後ろに隠れる。
挑発の効果を受けた、ジークさんはグーファーさんを狙う。スキルは使用しないか。二人の間に割ってはいる。
「さぁ! ジークさん! 再び勝負だ! 『反撃』」
ジークさんのブローが僕にダメージを与える。
「ふぅ。スキルなしでもいいダメージですね。勝負はこれからですよ」
剣をカンカンと音を鳴らし威嚇した。
「グオオオー! 『太陽神の巨槌』!』」
知らないスキルだ。手をハンマーの形に変えて、押し潰すような攻撃だった。
めちゃくちゃ痛い。火属性攻撃なのでだいぶ軽減できている。が、今はダメージを受けたいから今は軽減してほしくはないのだが……。
次は、『太陽神の一撃』! これもいいダメージ。僕は吹き飛ばされた。
「『癒しの風』」
リーフィスさんがスキルを使ってくれた。あれは、継続回復スキルだ。10秒毎に5パーセント回復する。回復量はスキルによって違ってくる。
残り40秒ほどで『反撃』の効果が切れてしまう。このダメージ量ではドミニデスは倒せない。
よし、ザーハックさんたちに攻撃してもらおう。そう思い僕は、ドミニデスの近くにいるザーハックさんたちのところへいく。
「みなさーん! 僕を攻撃してください! わぁ!?」
周りから見たらただの変態だが仕方ない。
移動中にジークさんから背後から攻撃を受けた。
「よく分からんが、坊主を攻撃すればいいのか?」
「おぉ! トワ君はドMだったのですね」
「そうです。僕を攻撃して下さい。一番いいのをお願いします」
「いくぞ? 『燼滅紅牙』!」
「『グランドウェーブ』……『グランドスピア』」
「うわぁっ!! うぅ。ありがとうございます! いい感じです」
「みんなを癒して! 『リザレクション』」
リーフィスさんの回復により、次のジークさんの攻撃を耐えれるくらいにはなった。『リザレクション』は広範囲に行き渡る回復スキルだ。
ジークさんは、雄叫びを上げながら僕に近づいてくる。
「『太陽神の一撃』」
「うっ! くぅぅ。ーーさぁ! ドミニデス! これで終わりだ! 覚悟しろ! この国を! みんなの自由を返してもらう!」
「また、元王子に攻撃させようというのだな。これ以上くらってたまるか! 解除!」
ジークさんの洗脳を解除をしたのか。よし!
僕が受けたダメージはトータル2800。
そのダメージの1.5倍のダメージをドミニデスに与える。つまり、4200のダメージ。先程見たときの残りHPは4000をきっていた。これが決まれば僕たちの勝利だ!
「「いっけぇぇぇぇ!!!」」
みんなが、背中を押してくれた。
僕は叫びながら、ドミニデスに大ダメージを与える、『反撃』を放つ!
「ダメージィィ! カウンタァァァァァ!!!!」
ドミニデスは、鉤爪を前に突き出し、
「そんな斬撃! 押し返してやるわぁぁぁ!!! 『毒祭』!」
僕が放った『反撃』はドミニデスの武器を破壊しながら、ドミニデスの体を光が包み込む。
地面を抉りながら、大爆発を起こす!
「クソがぁぁぁあぁ! グガァァァァァア!」
その場に、ドミニデスは轟く叫びをあげた。
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