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第一章 かぐや姫見たいな……
第4話学校って、こんなに疲れる所だっただろうか?
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◇◇◇
勿論と言うべきかどうかはさておき、光輝は月子と同じ学校の同じ学年に転校することが決まっていた。
だから、案の定月子が学校まで案内する事を母親から言い渡された。
それが、嫌と言う訳出はない。
違うのだが、何故に一つ上の学年の筈が同じ学年なのかは聞いてみたかった。
見たかったのだが、そこは余程の事情があるのかも知れないと、聞くのが憚られた。
いつも思ったことは口に出す月子だが、言って良いことと悪いことの区別だけはつくつもりだからだ。
「月子の学校へは歩いて行くのね…」
光輝が楽しそうに聞いてくる。
「電車通学でもしてみたかった?…この辺だと、電車通学なら女子高が二駅先に合ったと思ったけど、そっちに転校し直す?」
軽い気持ちで月子は返した。
「嫌よ。……その学校には月子がいないでしょう?」
「まあ、いないよね」
普通で考えて、月子が通っているのは、自宅から程々の距離にある共学なのだから、女子高には通っていない。
この時も月子は、見知らぬ人ばかりだと不安なんだろうな、位にしか考えてはいなかった。
最も、光輝は月子がいるから、これから向かう学校に通うのだが、そこは気付いては貰えなかった。
さらに言うならば、月子がいなければ学校にだって通うつもりは無いのだ。
「月子がいるから学校に行くのよ?」
余りにも鈍い月子に痺れを切らせた光輝は直球を投げて見た。
「そうなの?…同じクラスになるかはまだ、解らないのよ?」
月子は直球を打ち返す事はせずに見送ってしまった。
勿論、光輝は月子と同じクラスに成れるように裏から少しばかり手を加えているのだが、そこは月子に言う事はない。
出来れば、そんな腹黒い一面や行動は、知られたくない案件だからだ。
まあ、何故そんな事が出来るのか?と言うと光輝が人間では無いからなのだが、そんな事も月子は忘れてしまっていた。
子供の頃の記憶は、光輝の家族によって封じられているのだから、月子には非がない。
そこを責めるのはお門違いと言う物だ。
「まあ、でも同じクラスになると良いね」
普段のクールな月子からは考えられない柔らかな笑顔を向けてくる。
だから、心配になってこんな所まで光輝は出向いて来る羽目になったのだが、そこも月子は知るよしもなかった。
「私は、月子の側が良いのよ…」
光輝が真顔で伝えると、月子は、出来れば、私も一緒がいいわと答えた。
光輝は、学年で言えば一つ上になる。
なるにはなるのだが、そこは人間の世界での話で、異世界を住みかとしている光輝達とは、文化が違う。
そもそも、一つや2つ位歳が離れている位じゃ、離れている事にすらならない。
人間とは寿命が違うのだ。
光輝でさえ、70歳なのだが、人間の年で言えば17歳位でしかない。
それを言ってしまえば、月子なんてまだ、豆粒位しか生きていない事になるが、そもそもが比べる事が間違っているので、議論にすらならない。
一言で片付ければ、光輝は月子との年の差なんて、気にならないのだ。
◇◇◇
学校に着くと、案の定というかお約束というか、光輝は話題の的になった。
お人形のように整った顔をした美少女がへんてこな時期に転校してきたのだ、無理も無かった。
それも、何故か月子にベッタリで、さながら嫉妬深い彼氏の様だとは、月子の友達の実花の言葉だ。
だが、それも女子には受けが良かった。
美人でも男に媚びるんじゃなくて、月子大好きを全面に出して、その他はどうでもいいと言う態度は、反感を持たれ辛い。
だが、迷惑なのは月子である。
何せ、光輝は何処にでも付いてこようとするのだから、困った物だ。
「お願いだから……トイレは一人で行かせてくれる?」
「女の子は、一緒に行くものじゃ無いの?」
それはどこで習った知識だ!?と危うく激しく突っ込む所だったのを、何とか押さえた。
あながち間違いでは無いが、正解でもない。
「元々、私はトイレは一人で行った方が落ち着くの」
と言って、月子はトイレを一人で行くことに成功したのである。
思えば、昨日から始まって今の今まで、初めて一人になった事に気がついた。
「こんなに誰かと一緒にいるのは初めてね」
それが苦痛じゃないから……何も言えない。
寧ろ、月子にしては珍しく煩わしさが心地よかったりするのだから、不思議だ。
だが思わず出てしまった独り言は思いの外、大きかったらしい。
「随分インパクトの強いお友達を連れてるな?」
声を掛けてきたのは、比較的仲の良い、同じ図書委員の眼鏡が良く似合う近藤君だった。
「お友達?」
「違うのか?」
「うーん、違わない」
友達……じゃないとは言わないけど、しっくりとこない。……家族…とも違う?
じゃあ、一体なんだろう?と考えたが答えが出なかった。
「大丈夫か?…お前、一人でいる方が好きなタイプだろう?」
「何?…心配してくれるの?」
茶化すつもりは無かったが、近藤くんは「はあ?」と言って顔を赤くしてしまった。
「ごめんね、茶化している訳では無くて、純粋に心配してくれたのかなあ?と思って…」
「いや、まあ、らしくないなとは思ってな…」
何やらゴニョゴニョと小声で言い訳らしい事を言っている近藤君が珍しかったが、月子はそれどころでは無かった。
「そうかな?…私らしく無いかな?」
月子自身、光輝が隣にいることが何故か当然な感じがして、どちらかと言えば元にやっと戻った様な不思議な思いだったのだが、傍目で見れば違うらしい。
「まあ、女同士の普通は俺には解らんけどな。……それが男で彼氏なら、束縛が強そうだよな」
何気に言った言葉だろうが、何故だか月子には引っ掛かりがあった。
変だろう、だって光輝は女の子で、先程の近藤君の言った言葉には当てはまらない。
それに女の子同士の普通は咳が月子にも解らなかった。
月子の性格もどうやら周りから言わせれば、普通とは少しだけ異なるのだそうだから。
勿論と言うべきかどうかはさておき、光輝は月子と同じ学校の同じ学年に転校することが決まっていた。
だから、案の定月子が学校まで案内する事を母親から言い渡された。
それが、嫌と言う訳出はない。
違うのだが、何故に一つ上の学年の筈が同じ学年なのかは聞いてみたかった。
見たかったのだが、そこは余程の事情があるのかも知れないと、聞くのが憚られた。
いつも思ったことは口に出す月子だが、言って良いことと悪いことの区別だけはつくつもりだからだ。
「月子の学校へは歩いて行くのね…」
光輝が楽しそうに聞いてくる。
「電車通学でもしてみたかった?…この辺だと、電車通学なら女子高が二駅先に合ったと思ったけど、そっちに転校し直す?」
軽い気持ちで月子は返した。
「嫌よ。……その学校には月子がいないでしょう?」
「まあ、いないよね」
普通で考えて、月子が通っているのは、自宅から程々の距離にある共学なのだから、女子高には通っていない。
この時も月子は、見知らぬ人ばかりだと不安なんだろうな、位にしか考えてはいなかった。
最も、光輝は月子がいるから、これから向かう学校に通うのだが、そこは気付いては貰えなかった。
さらに言うならば、月子がいなければ学校にだって通うつもりは無いのだ。
「月子がいるから学校に行くのよ?」
余りにも鈍い月子に痺れを切らせた光輝は直球を投げて見た。
「そうなの?…同じクラスになるかはまだ、解らないのよ?」
月子は直球を打ち返す事はせずに見送ってしまった。
勿論、光輝は月子と同じクラスに成れるように裏から少しばかり手を加えているのだが、そこは月子に言う事はない。
出来れば、そんな腹黒い一面や行動は、知られたくない案件だからだ。
まあ、何故そんな事が出来るのか?と言うと光輝が人間では無いからなのだが、そんな事も月子は忘れてしまっていた。
子供の頃の記憶は、光輝の家族によって封じられているのだから、月子には非がない。
そこを責めるのはお門違いと言う物だ。
「まあ、でも同じクラスになると良いね」
普段のクールな月子からは考えられない柔らかな笑顔を向けてくる。
だから、心配になってこんな所まで光輝は出向いて来る羽目になったのだが、そこも月子は知るよしもなかった。
「私は、月子の側が良いのよ…」
光輝が真顔で伝えると、月子は、出来れば、私も一緒がいいわと答えた。
光輝は、学年で言えば一つ上になる。
なるにはなるのだが、そこは人間の世界での話で、異世界を住みかとしている光輝達とは、文化が違う。
そもそも、一つや2つ位歳が離れている位じゃ、離れている事にすらならない。
人間とは寿命が違うのだ。
光輝でさえ、70歳なのだが、人間の年で言えば17歳位でしかない。
それを言ってしまえば、月子なんてまだ、豆粒位しか生きていない事になるが、そもそもが比べる事が間違っているので、議論にすらならない。
一言で片付ければ、光輝は月子との年の差なんて、気にならないのだ。
◇◇◇
学校に着くと、案の定というかお約束というか、光輝は話題の的になった。
お人形のように整った顔をした美少女がへんてこな時期に転校してきたのだ、無理も無かった。
それも、何故か月子にベッタリで、さながら嫉妬深い彼氏の様だとは、月子の友達の実花の言葉だ。
だが、それも女子には受けが良かった。
美人でも男に媚びるんじゃなくて、月子大好きを全面に出して、その他はどうでもいいと言う態度は、反感を持たれ辛い。
だが、迷惑なのは月子である。
何せ、光輝は何処にでも付いてこようとするのだから、困った物だ。
「お願いだから……トイレは一人で行かせてくれる?」
「女の子は、一緒に行くものじゃ無いの?」
それはどこで習った知識だ!?と危うく激しく突っ込む所だったのを、何とか押さえた。
あながち間違いでは無いが、正解でもない。
「元々、私はトイレは一人で行った方が落ち着くの」
と言って、月子はトイレを一人で行くことに成功したのである。
思えば、昨日から始まって今の今まで、初めて一人になった事に気がついた。
「こんなに誰かと一緒にいるのは初めてね」
それが苦痛じゃないから……何も言えない。
寧ろ、月子にしては珍しく煩わしさが心地よかったりするのだから、不思議だ。
だが思わず出てしまった独り言は思いの外、大きかったらしい。
「随分インパクトの強いお友達を連れてるな?」
声を掛けてきたのは、比較的仲の良い、同じ図書委員の眼鏡が良く似合う近藤君だった。
「お友達?」
「違うのか?」
「うーん、違わない」
友達……じゃないとは言わないけど、しっくりとこない。……家族…とも違う?
じゃあ、一体なんだろう?と考えたが答えが出なかった。
「大丈夫か?…お前、一人でいる方が好きなタイプだろう?」
「何?…心配してくれるの?」
茶化すつもりは無かったが、近藤くんは「はあ?」と言って顔を赤くしてしまった。
「ごめんね、茶化している訳では無くて、純粋に心配してくれたのかなあ?と思って…」
「いや、まあ、らしくないなとは思ってな…」
何やらゴニョゴニョと小声で言い訳らしい事を言っている近藤君が珍しかったが、月子はそれどころでは無かった。
「そうかな?…私らしく無いかな?」
月子自身、光輝が隣にいることが何故か当然な感じがして、どちらかと言えば元にやっと戻った様な不思議な思いだったのだが、傍目で見れば違うらしい。
「まあ、女同士の普通は俺には解らんけどな。……それが男で彼氏なら、束縛が強そうだよな」
何気に言った言葉だろうが、何故だか月子には引っ掛かりがあった。
変だろう、だって光輝は女の子で、先程の近藤君の言った言葉には当てはまらない。
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